NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 95-80-7
名称 2,4-トルエンジアミン (別名: 2,4-ジアミノトルエン)
物質ID m-nite-95-80-7_v1
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
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-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
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- - エアゾール製品でない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
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-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 可燃性固体 分類できない
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- - ICSC (2014) では可燃性としているが、データがなく分類できない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
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- - 発火点が520℃ (GESTIS (Access on August2015)) であり、常温で発火しないと考えられる。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 自己発熱性化学品 分類できない
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- - 融点が140℃以下の固体に適した試験法が確立していない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 金属および半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
16 金属腐食性化学品 分類できない
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- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
17 鈍性化爆発物 -
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健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
ラットのLD50値として、73 mg/kg、136 mg/kg (EU-RAR (2008)、環境省リスク評価第6巻 (2008))、179~212 mg/kg (環境省リスク評価第6巻 (2008))、230 mg/kg (環境省リスク評価第6巻 (2008)、DFGOT vol. 6 (1993))、270 mg/kg (EU-RAR (2008)、DFGOT vol. 6 (1993)、EHC (1987))、300 mg/kg (EHC (1987))、73~300 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008)) との報告に基づき、区分3とした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(経皮) 区分4


警告
H312 P302+P352
P362+P364
P280
P312
P321
P501
ラットのLD50値として、1,200 mg/kg (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2008)、DFGOT vol. 6 (1993)、EHC (1987))、ウサギのLD50値として、> 5,750 mg/kg (環境省リスク評価第6巻 (2008)) との報告がある。ラットのデータの基づくと区分4に、ウサギのデータに基づくと区分外に該当する。ラットの区分とウサギの区分とを比較し、より厳しい区分である区分4とした。情報源の更新でウサギのLD50値が変更されたことにより、区分を見直した。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分に該当しない
-
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- - 本物質単体のデータはないが、本物質80%と2,6-トルエンジアミン20%との異性体混合物のラットのLC50値として、> 5.57 mg/L (EU-RAR (2008))、> 0.916 mg/L (NITE初期リスク評価書 (2008)) との2件の報告がある。1件は区分を特定できないが、1件が区分外に該当するので、区分外とした。本件では、異性体混合物の毒性データを本物質のものとして評価できる (EU-RAR (2008)) として分類を行った。なお、試験は蒸気-粉塵の混合物で行われたとの記載、及び被験物質が固体であるため、粉じんの基準値を適用した。今回の調査で入手した新たな情報を追加し、区分を見直した。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
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-
- - ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404) において、本物質適用による刺激性はみられなかったとの報告がある (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2008))。また、具体的な情報ではないが本物質は皮膚を刺激するとの記載がある (環境省リスク評価第6巻 (2008))。以上より、テストガイドラインに従った試験の情報をもとに、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
ウサギの眼に本物質100μgを適用した結果24時間以内に重度の刺激性がみられたとの報告がある (EHC (1987))。また、ウサギを用いたドレイズ試験において本物質100 mg適用した結果、軽度の結膜発赤がみられたが、7日以内に回復したの報告 (EU-RAR (2008)) や、ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG405) において本物質適用による刺激性はみられなかったとの報告 (NITE初期リスク評価書 (2008)) がある。さらに、ウサギを用いた他の眼刺激性試験において軽度の結膜炎を生じたとの記載がある (DFGOT vol.6 (1994))。以上より、区分2とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
モルモットを用いたマキシマイゼーション試験 (OECD TG 406) で感作性を示したとの報告 (EU-RAR (2008)、DFGOT vol.6 (1994)、NITE初期リスク評価書 (2008)) や、モルモットを用いた別の感作性試験において供試動物の35%に感作性がみられたとの報告 (EHC (1987)) がある。以上から区分1とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
In vivoでは、マウスの優性致死試験で陰性、小核試験ではラットの骨髄細胞を用いた試験で陽性、ラット、マウスの骨髄細胞及びマウスの末梢血赤血球を用いた試験で複数の陰性結果、マウスの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性、トランスジェニック動物 (Big Blueマウス) の肝臓を用いた遺伝子突然変異試験で陽性、マウスの骨髄細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陰性、ラットの肝臓を用いた不定期DNA合成試験で陽性、ラット、マウスのコメットアッセイではラットの胃、腎臓、脳、結腸、マウスの肝臓、腎臓、胃、肺で陽性、ラットのDNA付加体形成試験では肝臓、腎臓、乳腺で陽性の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、EHC (1987)、EU-RAR (2008)、DFGOT vol. 6 (1993)、NTP DB (Access on October 2015))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験では陽性、陰性の結果、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、マウスリンフォーマ試験では陽性、陰性の結果、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験では陽性の結果である (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、EHC (1987)、EU-RAR (2008)、DFGOT vol. 6 (1993)、NTP DB (Access on October 2015))。以上より、本物質は哺乳類を用いるin vivo体細胞変異原性試験、哺乳類を用いるin vivo生殖細胞遺伝毒性試験で陽性結果があるため、区分2とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
本物質に限定したばく露とヒト発がん性との相関性に関して、評価が可能な疫学研究報告はない (NTP RoC (13th, 2014))。
実験動物では、ラット、又はマウスに経口経路 (混餌) で2年間投与した発がん性試験が実施され、ラットの投与群では体重低下が顕著なため途中で用量を減じて継続し、対照群及び低用量群は103週間後に、高用量群は79~84週間後にそれぞれ屠殺剖検した。しかし、ラット、マウスの雌雄いずれにも用量依存的な肝臓腫瘍 (肝細胞がん、又は肝臓の腫瘍性結節) がみられ、加えてラットには乳腺腫瘍 (がん又は線維腺腫) が雌に、マウスでは肺及び造血系組織の腫瘍が雄に認められた (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第6巻 (2008))。経皮経路では、マウスの皮膚に本物質の6%溶液を0.05 mLを1回/週の頻度で2年間以上塗布した試験において、皮膚局所の腫瘍の発生頻度は対照群と差がなかったが、雌雄ともに投与群では肺の腺腫、及び腺がんの頻度に有意な増加がみられた (EU-RAR (2008))。その他、ラットに皮下投与した試験でも、8ヶ月後に生存した9例全例の皮下に肉腫の形成がみられた (IARC 16 (1978)) との記述がある。
国際機関による発がん性分類結果としては、IARCが1987年に「グループ2B」に (IARC 16 Supl. 7 (1987))、NTPが1981年に「R」に (NTP RoC (13th, 2014))、日本産業衛生学会が「2B」に (許容濃度の勧告 (2015))、EUが「Carc. 1B」 に (EU-RAR (2008))、それぞれ分類されている。EU以外の分類結果に基づけば、区分2に該当するが、EUは本物質は遺伝毒性発がん物質であるとし、かつ実験動物では肝細胞壊死後に細胞増殖の亢進が生じることが肝臓腫瘍誘発機序に関連していると考察した上で、この発がん機序は実験動物に限定的ではなく、ヒトでも生じる可能性があると考え、「Carc. 1B」 (当時はDSD分類のCategory 2) に分類した根拠を明示している (EU-RAR (2008))。
以上より、分類に利用可能なヒトの疫学知見はないが、EUの分類根拠についての見解を支持し、本項は区分1Bとした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
米国の数箇所のジアミノトルエン製造施設に従事した男性作業者を対象とした複数の疫学研究において、ばく露された作業者の集団では、精子形成障害の発生率の増加と彼らの妻の間では自然流産の発生率の増加がみられたとする報告がある一方で、ばく露群と対照群との間で、精液の分析値、及び流産の発生頻度に差異はないと結論した報告がある。ただし、いずれの報告も、本物質以外に異性体や他の化学物質を含む複合ばく露であること、コホートの規模が限定的であること、調査対象者が志願者のためバイアスを含む可能性があるなど、本物質の生殖影響評価に利用するには適切なデータではないとされた (EU-RAR (2008))。この他に、ヒトの生殖影響に関して利用可能なデータはない。
実験動物では、雄ラットに本物質を9週間混餌投与 (1,000 ppm: 約50 mg/kg/day) 後に、無処置の雌と交配させたが、投与群の雄全例が雌を妊娠させることができず、雄性不妊が示唆された (EU-RAR (2008))。追試でも、雄ラットに本物質を10週間混餌投与 (100, 300 ppm (約 5、15 mg/kg/day)) 後に、無処置の雌と交配させた結果、300 ppm群では投与期間中に体重増加抑制、及び摂餌量減少がみられ、雄5/10例が交配したが、雌を妊娠させることができなかった (交配14日後の着床痕の観察時)。また、同群では交配指数 (精子検出雌数/交尾雌数)、繁殖指数 (妊娠雌数/精子検出雌数) のいずれの指標も有意な低下を示し、病理組織学的検査の結果、精巣の精細管内の精母細胞形成の低下、及び精巣上体尾部内の精子数の減少が認められた (EU-RAR (2008)、環境省リスク評価第6巻 (2008))。この他の関連知見も併せて、EUは実験動物では本物質は精巣毒性を介して、雌を妊娠させる受胎能の低下を引き起こし、雄性不妊に対するLOAEL及びNOAELは各々15 mg/kg/day及び5 mg/kg/dayと結論し、カテゴリー3 (CLP分類で「Repr. 2」に該当) に分類した (EU-RAR (2008))。この他、催奇形性を含む発生毒性に関して、分類に利用可能な情報はない。
以上、実験動物での雄性不妊の知見に基づき、本項は区分2とした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、肝臓、血液系) 、区分3 (気道刺激性)



危険
警告
H370
H335
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
本物質は気道刺激性がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、EHC (1987))。ヒトにおいては、吸入ばく露で咳、咽頭痛、頭痛、眩暈、吐き気、嘔吐、錯乱、痙攣、意識喪失、チアノ-ゼ、経口摂取では、さらに腹痛を生じる。また、肝臓や血液に影響を及ぼし、肝障害やメトヘモグロビン生成の原因となる (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、EHC (1987))。
実験動物では、ラット、マウスの経口投与 (区分1相当用量) で、努力性呼吸、鎮静、活動低下、協調運動失調、呼吸数増加、立毛、眼瞼下垂、振戦など顕著な中枢神経系抑制、下痢、多尿、胃腸管の出血及び炎症、腹水、肺充血、肺水腫、肝臓の変色、黄疸、チアノーゼ、メトヘモグロビンの生成、ラット、マウスの吸入ばく露 (区分1相当用量) で努力性呼吸、メトヘモグロビンの生成が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、EHC (1987)、EU-RAR (2008)、DFGOT vol. 6 (1993))。
以上より、本物質は気道刺激性があるほか、中枢神経系、肝臓、血液系に影響を与えることから、区分1 (中枢神経系、肝臓、血液系) 、区分3 (気道刺激性) とした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (免疫系、肝臓、精巣)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトではロシアの本物質製造工場の作業者59人を対象とした調査で、頭痛、咳、胃痛、胸部痛の症状を各々2~4人が訴えた以外に異常は報告されず (環境省リスク評価第6巻 (2008))、この報告を含め標的臓器を特定可能な情報はない。
実験動物では雄ラットに3~10週間混餌投与した複数の試験において、精巣毒性として精巣相対重量の増加、精巣上体精子数の減少、セルトリ細胞の変性、血清テストステロンの低下及び血清LHの上昇がみられている (EU-RAR (2008)、環境省リスク評価第6巻 (2008))。これらは主として区分1の用量範囲 (ガイダンス値換算用量: 3.8~11.5 mg/kg/day) でみられている。また、ラットに7~103週間混餌投与した複数の試験、及びマウスを用いた14日間強制経口投与試験で、肝臓への影響 (肝細胞の変性、壊死、線維化、肝硬変、胆管増生、血清中肝由来酵素活性の上昇) がみられ、これらは区分1ないし区分2の用量範囲 (ガイダンス値換算用量: 5.8~45 mg/kg/day) での影響であった (EU-RAR (2008)、環境省リスク評価第6巻 (2008))。さらに、本物質をマウスに14日間強制経口投与した試験では、25 mg/kg/day (ガイダンス値換算: 3.9 mg/kg/day) 以上で、脾臓のマクロファージ貪食能の低下、ヒツジ赤血球に対する抗体産生能の低下、細菌に対する宿主抵抗性の低下、NK活性の低下、白血球数及びリンパ球比率の増加、遅延型過敏反応など (EU RAR (2008)、環境省リスク評価第6巻 (2008))、液性免疫の抑制及び細胞性免疫の亢進を示唆する免疫系影響がみられたため、免疫系も標的臓器と考えられた。ラット15ヶ月間混餌投与試験において、約28 mg/kg/dayで認められた白血球増加、脾臓の顕著な萎縮 (EU RAR (2008)、環境省リスク評価第6巻 (2008)) は免疫系への影響を支持する所見と思われた。
以上より、実験動物での有害性知見に基づき、本項は区分1 (免疫系、肝臓、精巣) とした。
なお、本分類では旧分類が採用した血液系及び脾臓を併せて「免疫系」と判断し、腎臓はラットの15ヶ月以上の長期投与試験において、腎盂炎、慢性腎傷害の所見が存在するものの、亜急性影響として腎臓を標的臓器とみなす所見が得られていないことから、今回は標的臓器に含めなかった。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
魚類(マダイ)の96時間LC50 = 0.2~0.4 mg/L(EU-RAR, 2008)であることから、区分1とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(14日でのBOD分解度=0%、難分解性(通産省公報, 1977))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC (繁殖) = 0.52 mg/L(環境省生態影響試験, 2001、環境省リスク評価第6巻, 2008、NITE 初期リスク評価書, 2008)であることから、区分2となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく、魚類(マダイ)の96時間LC50=0.2~0.4 mg/L(EU-RAR, 2008)であることから、区分1となる。
以上の結果を比較し、区分1とした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データなし 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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