NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 98-54-4
名称 4-ターシャリ-ブチルフェノール
物質ID m-nite-98-54-4_v1
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
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-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
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- - エアゾール製品でない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 可燃性固体 分類できない
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- - 可燃性を有するが、データがなく分類できない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 爆発性に関連する原子団及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
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- - 発火点が510℃ (EU-RAR (2008)) であり、常温で発火しないと考えられる。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 自己発熱性化学品 分類できない
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- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
16 金属腐食性化学品 分類できない
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- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
17 鈍性化爆発物 -
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健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
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- - ラットのLD50値として、801~5,660 mg/kg及び> 2,000 mg/kgの範囲内で10件の報告がある。3件が区分4に、7件が区分外 (そのうちの4件 (2,990 mg/kg (環境省リスク評価第13巻 (2015)、EU-RAR (2008)、DFGOT vol. 11 (1998))、3,500 mg/kg、4,000 mg/kg (EU-RAR (2008))、3,620 mg/kg (雌) (EU-RAR (2008)、NITE有害性評価書 (2007)) は区分外 (国連分類基準の区分5)) に該当するので、最も多くのデータ (4件) が該当する区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
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- - ウサギのLD50値として、1,580 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、> 2,000 mg/kg (EU-RAR (2008))、2,318 mg/kg (環境省リスク評価第13巻 (2015)、EU-RAR (2008)、DFGOT vol. 11 (1998))、> 5,000 mg/kg (DFGOT vol. 11 (1998))、> 16,000 mg/kg (NITE有害性評価書 (2007)) との5件の報告がある。1件が区分4に、4件が区分外 (そのうち1件は区分外 (国連分類基準の区分5)) に該当するので、最も多くのデータ (3件) が該当する区分外とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。なお、ラットに飽和蒸気を6時間吸入ばく露 (4時間換算値:6.0 ppm) (EU-RAR (2008)、DFGOT vol. 11 (1998)) 及び8時間吸入ばく露 (4時間換算値:6.9 ppm) (EU-RAR (2008)) させた結果、共に死亡例なしとの報告がある。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分に該当しない
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- - ラットのLCLo値 (4時間) として、5.6 mg/Lとの報告 (環境省リスク評価第13巻 (2015)、PATTY (6th, 2012)、EU-RAR (2008)、NITE有害性評価書 (2007)、DFGOT vol. 11 (1998)) に基づき、区分外とした。なお、被験物質が固体であるため、粉じんの基準値を適用した。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404) において、本物質500 mgを4 時間、半閉塞適用した結果、重度の刺激反応がみられたが14日以内に回復したとの報告 (EU-RAR (2008)) や、ウサギを用いた他の皮膚刺激性試験 (OECD TG 404) において、刺激性ありとの報告 (NITE初期リスク評価書 (2007)) や、重度の刺激性ありとの報告 (EU-RAR (2008))、腐食性ありとの報告 (NITE初期リスク評価書 (2007)) がある。さらに、ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (US DOT regulation 173.1300) において、本物質500 mgを 4 時間、半閉塞適用した結果、強度の刺激性又は腐食性がみられたとの報告 (EU-RAR (2008)) や、本物質500 mgを 4 時間又は 24 時間適用した結果、皮膚の壊死、痂皮形成、落屑がみられたが、投与 17 日後までに回復したとの記載がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、EU-RAR (2008)、DFGOT vol. 11 (1998))。EU-RAR (2008) は、これらの報告から本物質を重度の皮膚刺激性物質としている。以上より、区分2とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質10 mg又は80 mgを適用した結果、重度の角膜損傷、虹彩炎、重度の結膜刺激性反応が認められ、80 mgでは重度の刺激性と報告され回復性がみられなかったとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、EU-RAR (2008))。以上、より区分1とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
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- - データ不足のため分類できない。なお、職業ばく露において、本物質による気管支誘発試験を行ったところ、 相性喘息反応を誘発したとの報告 (環境省リスク評価第13巻 (2015)、EU-RAR (2008)) があるが、1例のみの報告であり区分に用いるには不十分なデータと判断した。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 皮膚感作性 分類できない
-
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- - データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験 (OECD TG 406) において、陰性の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、EU-RAR (2008))。一方、ヒトのパッチテストで陽性が数件報告されている (NITE初期リスク評価書 (2007)、EU-RAR (2008))。EU-RAR (2008) はこれらの動物試験及びヒトの情報は、感作性物質との判断に足る情報ではないと結論している (EU-RAR (2008)) ことから分類できないとした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性 (NITE有害性評価書 (2007)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on November 2015)、環境省リスク評価第13巻 (2015)、EU-RAR (2008))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性、陰性の結果がある (NITE有害性評価書 (2007)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on November 2015)、環境省リスク評価第13巻 (2015)、EU-RAR (2008))。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 発がん性 分類できない
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- - 雄ラットにニトロソグアニジン (MNNG) をイニシエーターとして投与1週間後から本物質を15,000 ppm含む飼料 (1,070 mg/kg/day 相当量) を51週間投与した二段階発がん性試験において、MNNG前処置した投与群では前胃に乳頭腫、又は扁平上皮がんの頻度がMNNG (+) 対照群と比べ増加し、本物質のプロモーター作用が示唆された。しかし、MNNG処置しない本物質単独投与群ではMNNG (-) 対照群と比べて、前胃に過形成のみ認められ、腫瘍発生の増加はなく、イニシエーターとしての作用はない (SIDS (2012)、NITE有害性評価書 (2007)) との記述がある。これ以外に本物質の発がん性に関する情報はなく、データ不足のため分類できない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物では、ラットを用いた経口経路による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) では、最大200 mg/kg/dayの投与量で親動物の生殖能、生後4日までの児動物の生存率、体重推移に有害影響はみられなかった (EU-RAR (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015)、NITE有害性評価書 (2007)、PATTY (6th, 2012))。しかしながら、ラットを用いた経口経路 (混餌投与) による2世代生殖毒性試験において、F0親動物では2,500 ppm (200 mg/kg/day相当) 以上で体重増加抑制、摂餌量低下が雌雄に、卵巣重量減少、膣上皮の萎縮が雌に、7,500 ppm (600 mg/kg/day相当) では卵巣における成熟卵胞の比率低下と原始卵胞の比率上昇、性周期の変化 (発情前期例の増加と発情後期例の減少) がみられ、着床部位数の軽度減少、腹重量の減少もみられた (EU-RAR (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。F1児動物には2,500 ppm 以上で体重の低値、7,500 ppmで同腹生存児数の軽度減少、生後の生存率低下がみられた。また、F1親動物においても体重増加抑制 (雄)、摂餌量低下 (雌)、7,500 ppmで体重増加抑制 (雌)、卵巣・子宮重量の減少、膣上皮の萎縮、卵巣における成熟卵胞と原始卵胞の比率の変化がF0雌と同様に認められ、F2児動物も2,500 pppm以上で体重の低値、7,500 ppmで同腹児数の減少がみられた (EU-RAR (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。
以上、ラットを用いた反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験では生殖影響は検出されなかったが、ラットを用いた2世代生殖毒性試験ではF0、F1世代ともに親動物に体重増加抑制がみられる用量で雌の生殖器官への組織変化及び性周期の変化を生じ、F1、F2児動物にも体重の低値推移以外に同腹児数の減少、生存率低下 (F1のみ) が認められた。よって、本項は区分2とした。
なお、EUは本物質を Repr. 2 に分類している (ECHA CL Inventory (Access on Novenmber 2015))。また、旧分類後に公表されたEU-RAR (2008) などList 1 情報源に収載されたデータにより、分類を変更した。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性)


警告
H335 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
本物質はヒトの気道を重度に刺激し、吸入ばく露により咳や咽頭痛、経口摂取で吐き気、嘔吐が認められる (環境省リスク評価第13巻 (2015))。実験動物では、ラットの経口投与 (LD50=3620~5360 mg/kg、区分2超) で動作緩慢、不規則歩行、虚脱、ラットの吸入ばく露 (5.6 mg/L、区分2超) で鼻、口腔、眼周囲粘膜の刺激性、呼吸困難の報告がある (NITE有害性評価書 (2007)、EU-RAR (2008)、SIDS (2012)、PATTY (6th, 2012))。
以上より、本物質は気道刺激性があり、区分3 (気道刺激性) とした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- - ヒトでは1970年代に本物質への職業ばく露により、英国、オーストラリアの化学工場での作業者症例では皮膚の色素脱失に加えて、肝臓障害 (肝機能障害、肝臓腫大、肝細胞脂肪変性、線維化など)、甲状腺肥大を伴う症例が報告された (DFGOT vo.l 11 (1998)) が、ドイツの化学工場で本物質へのばく露を受けた作業者では皮膚の色素脱失のみで肝臓、甲状腺への影響はみられていない。EUのリスク評価ではヒトでは本物質ばく露による影響は皮膚の色素脱失のみで、全身影響について利用可能なデータはないと結論した (EU-RAR (2008))。なお、皮膚の色素脱失は本物質の刺激性・感作性による関与では説明できず、皮膚生検標本の電顕観察の結果、メラノサイトの消失欠損、損傷メラノサイトの存在を認めたなどメラニン形成阻害などの機序も考えられている (EU-RAR (2008))。ただし、この影響はばく露を回避し、皮膚から本物質を除去することで可逆性を示すと記述されている (EU-RAR (2008))。
実験動物ではラットを用いた経口経路 (強制経口) による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験では高用量の200 mg/kg/day (90日換算: 93 mg/kg/day) で、刺激性に起因すると考察された呼吸音の雑音以外に、血漿アルブミン・総タンパクの低値のみで標的臓器を特定可能な所見は認められなかった (NITE有害性評価 (2007)、環境省リスク評価第13巻 (2015)、EU-RAR (2008))。また、ラットを用いた経口経路 (混餌) による2世代生殖毒性試験においても、親動物には区分2の用量範囲を超える200~600 mg/kg/day相当の用量で体重増加抑制、肝臓重量増加、膣上皮の萎縮などがみられた (環境省リスク評価第13巻 (2015)、EU-RAR (2008))。この他、雄ラット又は雄ハムスターに本物質を混餌投与した二段階発がん性試験において、本物質単独ばく露群でラット、ハムスターのいずれにも前胃に過形成が認められたが、換算用量は1,000 mg/kg/day超であった (NITE有害性評価 (2007)、環境省リスク評価第13巻 (2015)、EU-RAR (2008))。
以上、ヒトでは職業ばく露により皮膚色素の脱失以外に初期の研究報告では肝臓、甲状腺に異常所見を認めたとのDFGOTの評価であった (DFGOT vol. 11 (1998)) が、EUの評価ではヒトの職業ばく露では皮膚のみが本物質の標的臓器と結論されており (EU-RAR (2008))、実験動物での上記知見からも肝臓、甲状腺を本物質の標的と特定すべき明瞭な変化は認められず、その他、実験動物の既存知見からは標的臓器を特定できない。したがって、経口経路では区分外相当と考えられるが、実験動物を用いた他経路での毒性情報がなく、本項はデータ不足のため分類できないとした。
なお、皮膚は皮膚腐食性/刺激性で本物質の有害性の対象器官/組織としており、色素の脱失による白斑も可逆的な変化で重篤度は低いと判断されたため、特定標的臓器の対象外とした。また、旧分類で標的臓器とした肝臓、甲状腺を除外した理由は上記の通り。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 誤えん有害性 分類できない
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-
- - データ不足のため分類できない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
甲殻類(ベイシュリンプ)の96時間LC50/EC50 = 1.9 mg/L(EU-RAR, 2008)であることから、区分2とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分2


-
H411 P273
P391
P501
急速分解性がなく(逆転法14日間でのBOD分解度=0%、TOC分解度=1.2%(通産省公報, 1977))、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC(r) = 0.32 mg/L(EU-RAR, 2008、環境省リスク初期評価第13巻, 2015)から、区分2とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データなし 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
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  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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