化学物質管理

(4)家庭用防除剤等に関連する法規制等

1.薬事法

薬事法の目的は、

「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の品質、有効性及び安全性の確保のために規制を行うとともに、医薬品及び医療用具の研究開発の促進のために必要な措置を講じて、保健衛生の向上を図ること」です。

「5.家庭用防除剤」

人の健康を害する恐れのある衛生害虫に対する防除剤は薬事法の対象となります。このうち、医薬品と医薬部外品の区別は防除剤の有効成分と剤型によって決まり、次の表によります。

医薬品と医薬部外品の区別
区別 有効成分や剤型
医薬品 くん煙剤
エアゾール剤
防疫用の油剤、乳剤、粉剤
医薬部外品 蚊取線香
電気蚊取(マット式、液体式、ファン式)
毒餌剤、ダニシート、忌避剤
エアゾール剤(有効成分がピレスロイド)
防疫用の油剤、乳剤、粉剤(有効成分がピレスロイド)

(この冊子の防除剤では、表以外の製品は薬事法の対象外となります。)

医薬品や医薬部外品は厚生労働省の製造販売承認が必要で、製造販売承認を申請する場合に有効成分と製剤それぞれに安全性の多くの試験を重ね、すべてにパスしなければ製造販売承認が得られません。

<新殺虫剤の承認申請に際し必要な資料>

  • 急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、催奇形性、その他の毒性に関する資料
  • 効力の有無などの薬理作用に関する資料
  • 薬剤の吸収、分布、代謝、排泄に関する資料
  • 有効成分および製剤の安定性に関する資料

そのため、個々の製品ごとに有効成分およびその他の成分、使用方法、効能・効果などについて審査され、承認されることが必要です。薬剤の種類によって定められた範囲で効果・効能を表示できます。

医薬品、医薬部外品はその区分により「第1種医薬品」、「第2種医薬品」、「第3種医薬品」及び「防除用医薬部外品」の文字を記載しなければなりません。(平成21年6月1日施行)

その他、製造販売業者氏名又は名称、住所、販売名、製造番号又は製造記号、内容量、有効成分の名称及びその分量、用法、用量上の注意などを記載することが義務づけられています。

薬事法のなかで、毒性が強いものとして指定された医薬品は「毒」という文字が、劇性が強いものとして指定された医薬品は「劇」という文字が記載されます。防除剤の中で一部有機リン系の防除剤がこの劇物の対象となり、白地に赤枠で、その品名および「劇」の文字が記載され、販売が制限(14歳未満への交付は不可等)されます。(ラベル例1)

ページトップへ

2.毒物及び劇物取締法

この法律は毒物及び劇物について保健衛生上の見地から必要な取締りを行うことを目的とした法律です。

同じ物質でも薬事法の対象となるものは薬事法で規制されます。

薬事法の対象以外で、毒物として指定された製品には、「医薬用外毒物」という文字が、劇性が強いものとして指定された製品には「医薬用外劇物」という文字が容器及び包装に記載されます。

ページトップへ

3.化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)

化審法は、自然作用により分解しにくい(難分解性)の化学物質で、継続的に摂取すると人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがあるものによる環境の汚染を防止することを目的とする法律です。そのため新規化学物質の製造又は輸入に際し、事前にその化学物質の性状を審査し、その性状等に応じて製造、輸入、使用等を規制することを目的としているものです。

ある有効成分が薬事法での承認・許可、農薬取締法での登録が認められたものであっても、これら以外の用途として不快害虫駆除剤等を製造する場合で、その有効成分が化審法において名称告示がなされていない場合には、改めて化審法に基づく新規化学物質の届出を行う必要があります。

以前に防除剤として使用されていたDDT、エンドリン、ヘキサクロロベンゼン(BHC)や白アリ駆除剤のクロルデン類は、化審法で第一種特定化学物質に指定され、製造・輸入が禁止されました。

ページトップへ

4.建築基準法

国土交通省は、厚生労働省のシックハウス(室内空気汚染)に関する室内濃度指針値(次章参照)が公表されたことに対応して、2002年7月12日に居室内における化学物質の発散に対する衛生上の規制を導入することとした建築基準法の改正を行いました。規制の対象となる化学物質は防蟻剤として使用されるクロルピリホス、そしてホルムアルデヒドです。居室を有する建築物には、クロルピリホスを添加した建築材料の使用の禁止と居室の種類と換気回数等に応じて、内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建築材料の面積制限を行うものです。

ページトップへ

5.室内濃度指針との関係

厚生労働省は、シックハウス(室内汚染検討会)問題に関する検討会において平成14年1月22日までに検討された「個別の揮発性有機化合物(VOC)の指針値(13物質)」の中で、屋内において使用する家庭用防除剤に関係があると考えられる化学物質の指針値は次のとおりです。

室内濃度指針との関係
  室内濃度指針値
ホルムアルデヒド 100μg/m3 0.08ppm
パラジクロロベンゼン 240μg/m3 0.04ppm
クロルピリホス(小児の場合) 1μg/m3(0.1μg/m3 0.07ppb(0.007ppb)
ダイアジノン 0.29μg/m3 0.02ppb

(2008年5月現在)

ページトップへ

6.農薬取締法との関係

農薬取締法は、「農薬」について登録制度を設け、販売及び使用の規制等を行うことにより、農薬の品質の適正化と安全かつ適正な使用の確保を図り、農業生産の安定と国民の健康の保護及び生活環境の保全に寄与することを目的としています。
申請・登録制度では、個々の製品ごとに有効成分およびその他の成分、使用方法、効能・効果などについて審査され、登録されます。
しかし法律の中で「農薬」とは、
「農作物(樹木及び農林産物を含む。以下「農作物等」という。)を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物又はウイルス(以下「病害虫」と総称する。)の防除に用いられる殺菌剤、防除剤、その他の薬剤(その薬剤を原料又は材料として使用した資材で当該防除に用いられるもののうち政令で定めるものを含む。)及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう。」とあり、農作物以外に対して使われる薬剤はこの法律の上では農薬ではありません。そのため、この冊子の家庭用防除剤は、農薬取締法の対象にはなりません。

農薬取締法との関係
関係法令 対象害虫
農薬取締法 農作物につく害虫等 イネにつくイナゴ類キュウリにつくコナジラミなど
家庭用防除剤 薬事法 衛生害虫 (人に害を与える)蚊、ハエ、ゴキブリ、ノミ、シラミ、トコジラミ(ナンキンムシ)、イエダニ、家内塵性ダニ類
毒劇法や化審法 不快害虫 クロアリ、ハチ、クモ、ケムシ、ムカデ、ブユ、ユスリカなど
衣類害虫 ヒメカツオブシムシ、イガ、コイガの幼虫など
建築害虫 シロアリ、キクイムシなど

しかし、農薬と家庭用防除剤には共通の有効成分が多数有ります。そこで、生活害虫防除剤協議会等の自主基準では農薬登録時のデータを有効性及び安定性を評価するための根拠としています。

ページトップへ

7.工業会等の自主基準

家庭用の生活害虫に使用される薬剤に対する工業会等の自主基準

生活害虫防除剤協議会*は「家庭用生活害虫防除剤の自主基準」で基準を定め設け製品の安全性等の品質の確保をしています。

「家庭用生活害虫防除剤の自主基準」より

  • 製品が薬事法の毒物・劇物であってはいけない。
    また、毒物及び劇物取締法の毒物・劇物であってはいけない。
  • 製品は、その安全性、有効性及び安定性等の品質が評価されたものでなければならない。

容器などへの表示

生活害虫防除剤に関する事項
  • 製造業者等の氏名又は名称及び住所
  • 製品名
  • 製造番号又は記号
  • 内容量
  • 有効成分の名称
  • 使用方法
  • 適用害虫
  • 使用、取扱及び保管等に関する注意事項
  • 法令に基づく注意事項
  • 予見される事故等に関する適切な指示又は警告
  • 製品登録マーク

*生活害虫防除剤協議会:一般消費者の生活の用に供される家庭用生活害虫防除剤(薬事法・農薬取締法の対象外製品で、木材害虫、衣類害虫なども含んだ不快害虫防除を目的とした薬剤)メーカーの協議会。

衣類の害虫に使用される薬剤に対する業会の自主基準

日本繊維製品防虫剤工業会*では、一般消費者の適正な商品選択に資する等の目的で「防虫剤**の表示に関する公正競争規約」を設け、表示に関する事項を定めています

「防虫剤の表示に関する公正競争規約」より

必要表示事項
事業者は、防虫剤の容器又は包装には、次の各号に掲げる事項を施行規則で定めるところにより見やすい場所に邦文で明りょうに表示しなければならない。
  1. 1、商品名
  2. 2、使用目的
  3. 3、成分名
  4. 4、用途
  5. 5、使用方法
  6. 6、使用上の注意
  7. 7、保存方法
  8. 8、使用量
  9. 9、内容量
  10. 10、事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号
  11. 11、原産国名
  12. 12、詰替用の商品がある場合は、その旨
  • *日本繊維製品防虫剤工業会:繊維製品防虫剤及び関連製品の製造、販売業者及びその関連業者の団体。
  • **防虫剤:しょう脳、ナフタリン、パラジクロルベンゼン又はピレスロイド系化合物等を使用して製造した繊維害虫の加害を防ぐ商品及び関連商品。

ページトップへ

8.ラベル例

化学物質が持つ有害性には、いろいろな種類が有り、体に取り込むとすぐ変化が出るもの(急性毒性)もあれば、少量でも毎日飲み続けると長い月日のうちに変化が出るもの(慢性毒性)があります。また肝臓に変化が起こるもの、胎児に変化が起こるもの、神経に影響を与えるものなど様々です。

防除剤は虫に対して影響を与えても、人に対しては安全性の高いものでなくてはいけません。しかし、安全性を考え作られた製品でも、使用の仕方が適切でなかったら防除効果を損なうだけでなく、人の健康を脅かしかねません。また、適切に使用されていたとしても、幼児・老人などや体質により強く影響の出ることがあります。

そのため、ラベルの注意書きを十分読んで理解してから使用するようにしなければいけません。

スプレーイラスト

ラベル例:エアゾール剤

エアゾール剤イラスト

ラベル例:衣類の防除剤

衣類の防除剤イラスト

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター
TEL:03-3481-1977  FAX:03-3481-2900
住所:〒151-0066 東京都渋谷区西原2-49-10 地図
お問い合わせフォームへ