APAC相互承認取決め
概要
APAC(アジア太平洋認定協力機構)は、アジア太平洋地域の認定機関間の相互承認取決め(MRA)により、アジア太平洋地域全体および他の地域との適合性評価結果(試験報告書、検査報告書、認証書など)の受け入れを容易にすることを目的とし設立されました。ILAC、IAFに対して完全に独立した存在という訳ではなく、各種ツールや相互承認の在り方はILAC、IAFと共同歩調を取っています。
APACと同様の地域認定協力組織は、5つ存在します。これらの地域認定協力組織において実施された相互評価の結果は、ILAC又はIAFでも受け入れられる仕組みとなっています。
また、APACは、アジア太平洋経済協力(APEC)によって、APECの「基準と適合性に関する小委員会」の活動を支援する4つのAPECスペシャリスト地域組織(Specialist Regional Bodies)の1つとして認められています。
APAC MRA の認定対象スコープ
APAC MRA認定対象分野は以下のとおりです。IAJapanは、校正、試験、標準物質生産、製品認証についてAPAC MRAに署名しています。
なお、日本からは、IAJapanのほか、JAB、VLAC、ISMS-ACがAPAC MRAに署名しています(2022年6月現在)。
- バイオバンキング ISO 20387
- 校正 ISO/IEC 17025
- 認証 マネジメントシステム ISO/IEC 17021-1
- ◦贈収賄防止マネジメントシステム (ABMS)
- ◦事業継続マネジメントシステム (BCMS)
- ◦エネルギーマネジメントシステム (EnMS)
- ◦環境マネジメントシステム (EMS)
- ◦飼料添加物製造の品質安全管理システム (FAMI-QS)
- ◦食品安全マネジメントシステム (FSMS)
- ◦食品安全システム認証 22000 (FSSC 22000)
- ◦情報セキュリティマネジメントシステム (ISMS)
- ◦医療機器品質マネジメントシステム (MDQMS)
- ◦労働安全衛生マネジメントシステム (OHSMS)
- ◦品質マネジメントシステム (QMS)
- 認証 – 要員 ISO/IEC 17024
- ◦ IPCマネジメントシステム監査員
- 認証 – 製品、プロセス及びサービス ISO/IEC 17065
- ◦グローバルギャップ(GLOBAL G.A.P.)
- 検査 ISO/IEC 17020
- 臨床検査 ISO 15189
- 技能試験 ISO/IEC 17043
- 標準物質生産 ISO 17034
- 試験 ISO/IEC 17025
- 妥当性確認及び検証
- ◦ISO/IEC 17029
- ▪環境情報 ISO 14065:2020
- ◦温室効果ガスに関する妥当性確認び検証 ISO 14065:2013
- ▪ICAO-CORSIA
- ◦ISO/IEC 17029
APAC設立の経緯
APACは、2019年1月1日、「アジア太平洋試験所認定協力機構(APLAC)」と「太平洋認定協力機構(PAC)」が統合され、新たな単一の地域認定協力機構として発足しました。
2021年9月現在、APAC MRA署名認定機関によって認定された適合性評価機関の数は以下のとおりです。
- 62,507 (校正機関、試験所、臨床検査室、検査機関、標準物質生産者、技能試験提供者、バイオバンク)
- 4,993 (製品認証機関、マネジメントシステム認証機関、要員認証機関、妥当性確認/検証機関)
参考1)APLACの歴史
1992年のILAC香港会議において、アジア太平洋域内の試験所/校正機関認定機関代表者がAPLACの設立について表明しました。その後、1995年、ジャカルタにおける会合で域内の試験所/校正機関認定機関の相互承認(MRA)の締結等を目的とした正式な機関として活動することが合意され、MoU(覚書き)の署名をもって、APLACが正式に発足しました。1997年には東京会議でILACに先駆けて7機関(豪州NATA、ニュージーランドIANZ、香港HKAS、シンガポールSAC、台湾CNLA、米国NVLAP、A2LA)で試験、校正の認定分野の相互承認の署名を行われています。これが前述した2000年のILAC MRA(Mutual Recognition Arrangement)(発効2001年1月31日、36機関が署名)に発展しました。2003年に検査機関、2007年に臨床検査室、2007年に標準物質生産者、2014年に技能試験提供者がAPLAC MRAの対象となり、2018年には38の認定機関がAPLAC MRAに署名していました。参考2)PACの歴史
PACは1995年に設立され、1997年に4つの認定機関が相互承認取決め(MLA)に署名しました。(日本ではJAB署名)。1998年に5つの認定機関が品質管理システム(QMS)認証についてMLAに署名しました。その後、数年間で、他のマネジメントシステム認証(環境管理システム、食品安全管理システムなど)、製品認証、要員認証などが、MLAの認定対象範囲として追加されました。2018年の終わりには、26の認定機関がPAC MLAに署名しました。
APAC組織構成
メンバーシップは正会員、準会員及び関係機関に分かれており、最高意志決定機関としての総会(年1回)、日常的な重要案件を処理する執行委員会、相互承認加盟の審議を行う相互承認評議会及びその他の委員会から成り、個別案件を検討する必要がある場合には更に各委員会の下に作業グループ(WG)が設置されています。
詳細は、APACの組織構成をご覧下さい。
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