GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 75-21-8
名称 エチレンオキシド
物質ID 23B5506
分類実施年度 平成23年度
分類実施者 厚生労働省、環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分1


危険
H220 P210
P377
P381
P403
爆発限界下限値3vol%(ICSC(2001))は区分1に該当する。また、UNRTDG(UN1040)でクラス2.3および副次危険2.1である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外
-
-
- - 引火性ガスとして分類されている。なお、UNRTDG(UN1040)はクラス2.3副次危険2.1である。
5 高圧ガス 低圧液化ガス


警告
H280 P410+P403 臨界温度が196℃(ホンメル(1996))であり、臨界温度が+65℃を超えるガスである。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
11 自己発熱性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。なお、鋼、ステンレス鋼およびテフロンは容器として恒久性がある。(ホンメル(1996))という情報がある。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
ラットのLD50値は72mg/kg(i環境省リスク評価第2巻(2003))および330 mg/kg(NTP TR 326(1997))は、それぞれ区分3および区分4に該当するが、ガイダンスに従い危険性が高い方の区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分3


危険
H331 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P311
P321
P405
ラットのLC50値として3件[4000 ppm/4h、1460 ppm/4h(以上、ACGIH(2001))、800 ppm/4h(環境省リスク評価第2巻(2003))]のうち、2件が区分3、1件が区分4に該当することから、該当数の多い区分3とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P264
P280
P321
P362
当該物質の水溶液を用いて、ウサギ皮膚に10%と50%溶液を含ませた脱脂綿を1~60分間貼付した刺激性試験で、炎症性浮腫を生じた(NITE初期リスク評価書 36(2005))との報告がある。ヒトではばく露後1-5 時間で現れる浮腫と紅斑を特徴とし、その後小水疱を生じ、傷害の程度は接触時間と濃度に依存する。また、手術着などに付着したエチレンオキシド殺菌剤との接触による皮膚刺激性も報告されている(NITE初期リスク評価書 36(2005))。以上の知見に基づき、区分2とした。なお、EU分類はXi: R36/37/38(EC-JRC(ESIS)(Access on Sept. 2011))である。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
ウサギの眼に当該物質0.1~20%以上が溶解している生理食塩水を6時間にわたり反復適用した試験で、角膜上皮と粘膜の刺激性として、鬱血、腫張、虹彩炎、角膜混濁が濃度依存的に増強したとの報告(ACGIH(2001))、ヒトでの液体の当該物質によるばく露事故で眼に重度の熱傷を生じた、あるいは眼に入り直ちに大量の水で洗浄したが、1日だけ結膜に軽度の刺激が持続したとの報告(ECETOC 5(1984))がある。以上より刺激性は軽度とは言えず区分2Aとした。なお、EU分類はXi:R36/37/38(EC-JRC(ESIS)(Access on Sept. 2011))である。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。なお、エチレンオキシド暴露に起因した職業喘息の症例が報告されている(NITE初期リスク評価書(2005))。
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P261
P272
P280
P321
P363
P501
本物質は触接アレルギー物質としてContact Dermatitis(4th, 2006)に掲載されている(Contact Dermatitis(4th, 2006)、List1相当)こと、および産衛学会で感作性物質として、「皮膚 第2群」に分類されている(産衛学会勧告(2010))ことから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分1B


危険
H340 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
マウスに吸入ばく露による優性致死試験(生殖細胞in vivo 経世代変異原性試験)で、陽性の結果(NITE初期リスク評価書 36(2005))に基づき、区分1Bとした。また、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験と小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)でも陽性の報告(NITE初期リスク評価書 36(2005))があり、ヒトでは当該物質の取扱作業者の末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験、小核試験あるいは姉妹染色分体交換試験で陽性結果が報告されている(NITE初期リスク評価書 36(2005))。なお、in vitro 試験では、エームス試験(NITE初期リスク評価書 36(2005))、チャイニーハムスターV9細胞を用いた小核試験(IARC 60(1994))、ヒト肺線維芽細胞を用いた染色体異常試験(IARC 60(1994))でいずれも陽性(NITE初期リスク評価書(2005))の報告がある。
6 発がん性 区分1A


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
IARCによりグループ1(IARC 97(2008))、NTPによりでK(NTP ROC 12th(2011))、産衛学会により第1群(産衛誌52巻(2010))に分類されていることから、区分1Aとした。なお、ラットの2年間の吸入ばく露試験で、皮下線維腫、腹膜中皮腫、膵臓線種、下垂体線種、脳腫瘍、単核球性白血病が観察され、単核球性白血病は雌雄で用量に依存して増加し、高、中濃度のばく露群の雌で有意であった。高、中濃度ばく露群の雄で精巣原発性の腹膜中皮腫、高濃度ばく露群の雄で皮下線維腫が増加した(ACGIH(2001))。マウスの2年間の吸入試験では、肺がんおよびハーダー腺腫が有意に増加した。さらに、雌では子宮がん、乳腺がん、造血系の悪性リンパ腫が増加を示した(NTP TR 326(1987))。また、当該物質の取り扱い作業者の疫学調査で、白血病、胃がんの有意な増加や、職業ばく露を受けた労働者を対象とした多数の疫学研究で、造血系あるいはリンパ系腫瘍の増加が報告されている(環境省リスク評価 第2巻(2003))。
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
ラットまたはマウスの交配前から吸入ばく露による生殖発生毒性試験において、親動物の一般毒性が見られない用量(100~150 ppm)で、同腹仔数の減少、着床数減少、胚吸収増加、出生仔数減少など生殖への悪影響が認められている(NTP TR 326(1987)、NITE初期リスク評価書 36(2005))ことから、区分1Bとした。なお、マウスでは交配後1200 ppmのばく露により、出生仔に臍帯ヘルニア、眼球欠損(無眼球症)、胸裂、無心症、口蓋裂などを含む先天異常が報告されている(NITE初期リスク評価書 36(2005))が、ラットおよびウサギの器官形成期のばく露では催奇形性を認めなかった(NITE初期リスク評価書 36(2005))。また、ヒトでの疫学調査によれば、当該物質をばく露された妊婦は対照群の妊婦と比べ流産の比率が有意 に高かった(NITE初期リスク評価書(2005)。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性)



危険
警告
H370
H335
P307+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
吸入ばく露を受けたほとんどのヒトで神経系に対する急性影響として、吐き気、嘔吐、頭痛が現れ、低頻度ながら意識低下(昏睡)、興奮、不眠、脱力、下痢、腹部不快感が報告されている(EHC 55(1985))。さらに、マウスに吸入ばく露した試験ではLD50(660 ppm)を超えるガイダンス値区分1相当の濃度で、呼吸困難、流涙、協調不能、半意識状態が観察されていることから(NTP TR 326(1987))、区分1(中枢神経系)とした。また、気管や喉頭の炎症反応による重度の気道障害が本物質で滅菌されたチューブで気管内挿管を受けた17病院の患者で報告されている(EHC 55(1985))ことから、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系)、区分2(血液、腎臓、気道)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
滅菌装置からの漏洩により、断続的に2~8 週間ばく露を受けた青年4人中3人で頭痛、脱力、手足の反射低下、協調運動障害などを伴う可逆性の末梢神経障害、1人で脳波異常などを伴う可逆性の急性脳症がみられた(環境省リスク評価 第2巻(2003))。また、滅菌機の近くでエチレンオキシドに10年間ばく露されていた労働者に記憶力障害、集中力障害,感情障害が発生し、末梢神経のみでなく中枢神経にも毒性を有することを示す中毒事例が報告されている(産業医学32巻(1990))。動物試験では、ラットに13週間吸入ばく露で後肢運動失調、後肢神経有髄線維の軸索変性(NITE初期リスク評価書 36(2005))、マウスに10~11週間の吸入ばく露で自発運動や正向反射の抑制に見られる筋神経系への影響(ACGIH(2001))が観察されている。以上の知見から区分1(神経系)とした。また、ラットに100~500 ppmを26週間の吸入ばく露で貧血、マウスに255~600 ppmを10~13週間の吸入ばく露で赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、骨髄細胞密度、リンパ球数の減少が報告されている(NITE初期リスク評価書 36(2005))こと、マウスに100~600 ppmを14週間の吸入ばく露で腎尿細管の変性、600 ppmでは壊死の所見に加え、200 ppm以上で鼻炎、嗅上皮および呼吸上皮細胞の極性消失、上皮壊死、化膿性分泌物の蓄積を伴う炎症性細胞の遊出が気道鼻部において最も頻繁に見られたとの報告(NTP TR 326(1987))により、以上の影響はいずれもガイダンス値範囲の区分2に相当することから、区分2(血液、腎臓、気道)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50 = 84mg/L(EHC 55, 1985他)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-
-
- - 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性があり(4週間でのBODによる分解度:107%(既存点検, 1995))、急性毒性区分3であるが、生物蓄積性が低い(BCF=<0.36~0.88(2 mg/L)、<3.7~6.0(0.2 mg/L)(既存点検, 1995))ことから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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