GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 112-30-1
名称 デカン-1-オール
物質ID H30-B-007-METI, MOE
分類実施年度 平成30年度
分類実施者 経済産業省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成20年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外
-
-
- - 引火点が108℃(closed cup)(ISCS(J)(2005))である。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点は255℃(ISCS(J)(2005))であり常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分外とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50:> 2,000 mg/kg 4件、5,000 mg/kg 1件の計5件(EPA Pesticide(2007))
(2) ラットのLD50:> 5,000 mg/kg、19,500 mg/kg、> 26,410 mg/kg の計3件(SIDS Dossier(2006))
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、件数の多い区分外(国連分類基準の区分5又は区分外に相当)とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50:> 2,000 mg/kg、> 4,000 mg/kg、5,000 mg/kgの計3件(EPA Pesticide(2007))
(2) ウサギのLD50:> 1,000 mg/kg、2,000~4,000 mg/kg の計2件(SIDS Dossier(2006))
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分4~区分外が1件、区分外が3件となり、件数の多い区分外とした。新しい情報源の追加により分類を変更した。なお本物質の飽和蒸気圧濃度は10 ppm(0.06 mg/L)であり、(1)、(2)の試験濃度はすべて飽和蒸気圧濃度よりも遥かに高い濃度であり、ミスト基準を適用した。

【根拠データ】
(1)ラットの4時間LC50:> 17.8 mg/L (> 71 mg/L(1時間)より換算)(SIDS(2006))
(2)ラットの4時間LC50:> 3.35 mg/L、> 5.07 mg/L、> 7.08 mg/L の計3件(EPA Pesticide(2007))
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1)~(3)より、区分2とした。なお、ヒトデータ(4)、(5)では刺激性を示さないとの情報も得られたが、信頼性の高い複数の動物試験で皮膚刺激性を示していることから、動物試験データに基づく結果を採用した。なお、新たな情報源を利用することによって旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404、GLP)で本物質原液を4時間、半閉塞適用したところ紅斑スコアは1.9、浮腫スコアは0であり、10日間で回復したとの報告がある(SIDS Dossier(2006))。
(2)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404、GLP)で本物質原液を4時間半閉塞適用したところ、72時間で紅斑スコア2.15、浮腫スコア1.15、PII=3.33であり、7日間では十分に回復しなかったとの報告がある(SIDS Dossier(2006))。
(3)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(EPA OPPTS 870.2500、GLP)で本物質原液を4時間、半閉塞適用したところPII=2.8が得られたとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Oct. 2018))。

【参考データ等】
(4)ヒト30人に本物質原液0.2mLを4時間適用した皮膚パッチテストで刺激性は見られなかったとの報告がある(SIDS Dossier(2006))。
(5)ボランティア25人に本物質3%含有ワセリンを適用したところ刺激性は見られなかったとの報告がある(環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート(2008))。
(6)C8、10、12の直鎖アルコールは、ウサギを用いた皮膚刺激性試験(4件)のうち、3件で刺激性なしだったが、1件で72時間後に紅斑、痂皮形成、浮腫が認められ、軽度の刺激性あり(mild irritant)と判断したとの報告がある(EPA Pesticide RED(2007))。
(7)C6~C11の直鎖アルコールは軽度の刺激性を示すが腐食性までは示さないとの報告がある(SIDS(2006)、REACH登録情報(Accessed Oct. 2018))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
【分類根拠】
(1)、(2)は、区分2A相当を示唆するが、(3)は区分2Bを示唆していることから、細区分を判断可能な情報が不足しており、区分2とした。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG405, GLP)で本物質(Kalcohl 1095:C10 95%超)原液を適用したところ、48時間後に軽度から中等度の結膜炎、ごく軽度から軽度の角膜混濁と虹彩炎が全例に見られた。4日目にも全例に軽度の結膜炎、1例にわずかな領域で角膜混濁が見られ、軽度の結膜炎は適用後15日目まで続いたとの報告がある(SIDS Dossier(2006))。
(2)本物質はウサギの眼に対して刺激性を示すことが報告されている(SIDS(2006)、Patty(12th, 2012))。
(3)ウサギを用いた眼刺激性試験(EPA OPPTS 870.2400、GLP、n=3)で本物質(Alfol 10)原液を適用したところ、結膜スコア:2、結膜浮腫スコア:1.4が得られ、7日以内で共に回復したとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Oct. 2018))。

【参考データ等】
(4)C8、10、12の直鎖アルコールは、 ウサギを用いた眼刺激性試験(EPA OPPTS 870.2400)4試験に本物質を供したところ、角膜混濁が7日後まで全例に見られ、結膜刺激が14日後まで見られ、1例で21日後にも非可逆性影響として血管新生が見られたとの報告がある(EPA Pesticide RED(2007))。
(5)C6~C11の直鎖アルコールは眼刺激性があると言われている(SIDS(2006))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(5)より、本物質は弱い感作性物質と考えられること、ヒトに対しては感作性を示さないと考えられるが、List 1の情報源において皮膚感作性を明確に否定する記述が見つからず、分類できないとした。新たな情報源を採用することにより旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1)ヒトに対する皮膚感作性試験(Kligman human maximization test、n=25)で本物質2%溶液(ワセリン)で感作反応は示さなかったとの報告がある(SIDS Dossier(2006))。
(2)モルモットを用いた皮膚感作性試験(EPA OPPTS 870.2600(Buehler test)、GLP、n=10)で本物質(Alfol 10:C10)25%溶剤(鉱油)では感作性を示す個体は見られなかったとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Oct. 2018))。
(3)モルモットを用いた皮膚感作性試験(Draize変法、n=10)で本物質原体を適用した結果、感作誘導後(1回目)の誘発では感作性を示さなかったが、2回目の感作誘導後の再誘発により感作性を示したことから、本物質は弱い感作性物質であるとの報告がある(SIDS Dossier(2006))。
(4)(3)の試験実施者によれば、当該試験方法で同定された弱い感作性物質は、香水処方の成分としてモルモット試験を行うと感作性を示さない例が良く見られるとし、また、経験を踏まえると本物質はヒトに対して、Maximization試験では感作性を示さないとしている(SIDS Dossier(2006))。
(5)モルモットを用いた皮膚感作性試験(EPA OPPTS 870.2600)4試験に本物質を供したところ、3試験で感作性を示さなかった(EPA Pesticide RED(2007))。

【参考データ等】
(6)直鎖アルコールのカテゴリーは、モルモットに対して皮膚感作性を示さないとの言及がある(SIDS(2006))。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
In vivoのデータは(1)のみで、データ不足のため分類できない。

【根拠データ】
(1)In vivoでは、信頼性が無効(3, Invalid)であるが、ほ乳類の姉妹染色分体交換(SCE)試験で陰性であった(SIDS Dossier(2006))。
(2) In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性であった(SIDS(2006))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
発がん性に関して、利用可能なヒトを対象とした報告はない。
動物試験結果は(1)に限られ、データ不足のため分類できない。

【根拠データ】
(1)マウスにイニシエーター(7,12-dimethylbenz[a]anthracene)を単回処置後、本物質を3回/週で60週間経皮投与した結果、6/30例に皮膚腫瘍(2例に扁平上皮がん)の発生がみられた。著者は本物質は腫瘍プロモーター作用があるとしたが、SIDSは本物質の皮膚腫瘍の発生増加は不明瞭(ambiguous)と判断した(SIDS Dossier(2006))。
(2)国内外の分類機関による既存分類はない。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)のように発生影響がみられなかったとの報告があるが、繁殖能に関する試験データがないことから、データ不足のため分類できない。
なお、(2)は胎児毒性として奇形や骨格変異の発生が疑われるが、試験データの信頼性がないと結論付けられている(SIDS Dossier(2006))。旧分類では(2)に基づき区分2としていたが、List1の情報源において不採用となったデータであることを踏まえ、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)妊娠ラットに対し本物質100 mg/m3を妊娠1~19日に吸入ばく露したが、母動物、胎児ともに有害影響はみられなかった(SIDS Dossier(2006))。
(2)妊娠ラットに対し本物質40%溶液を妊娠1~15日に経口投与した試験で、胎児毒性がみられた(PATTY(6th, 2012))。この胎児毒性に関して、SIDSには本物質も含めたC1~C10のアルコール投与でみられた胎児毒性(内臓及び骨格への影響)は水頭症、水腎症、骨化遅延であるが、各々のアルコールについて発生頻度の記載はないと指摘されている。この試験は、母動物の例数が少ない(10例)、妊娠腹当たりでのデータ解析を行っていない、母動物の状態について記載がないなど方法論的に問題があり、不確かなデータ(invalid:reliability 3)に区分されている(SIDS Dossier(2006))。

【参考データ等】
(3)本物質を含む脂肪族アルコール(C6-22)は、ラットに対して繁殖能への影響を示さないとの言及がある(SIDS Dossier(2006))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性)


警告
H335 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
(1)のデータから区分3(気道刺激性)とした。

【根拠データ】
(1)本物質を吸入すると咳、咽頭痛を生じる(環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート(2008))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)のデータは、区分2の用量であるが、刺激症状が見られた部位が特定できないため、分類できない。

【根拠データ】
(1)ラット、又はウサギを用いた2ヵ月間吸入ばく露試験で、区分2の範囲である200 mg/m3(ガイダンス値換算:0.09~0.13 mg/L)以上で血清コリンエステラーゼ活性の低下、600 mg/m3で限局的な刺激症状がみられた(環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート(2008))
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
ヒトでの知見がなく、データ不足のため分類できない。なお、3 以上13 を超えない炭素原子で構成された一級のノルマルアルコールであること、(1)~(3)より、実験動物への吸引性呼吸器有害性が示されていることから、国連分類基準の区分2に相当する。

【根拠データ】
(1)ラットに本物質0.2 mLを口内に投与し、吸引(aspiration)させた結果、9匹中9匹が死亡した(PATTY(6th, 2012))。
(2)ラットでは少量の本物質が炭化水素溶媒のように振舞い、肺水腫による死亡を生じる(HSDB(2015))。
(3)本物質の粘性率10.9 mPa(25℃)、及び密度0.83 g/cm3(20℃)((HSDB(2015))から算出した動粘性率は13.1 mm2/s であり、40℃では14 mm2/s 以下になると予想される。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
藻類 (ムレミカズキモ) 72時間EC50 (生長速度) = 0.56 mg/L(環境省生態影響試験: 2018)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2


-
H411 P273
P391
P501
急速分解性があり(良分解、類似化学物質の分解性との比較により判定(化審法DB:2012)、藻類(ムレミカズキモ)の72時間NOEC(生長速度)= 0.028 mg/L(環境省生態影響試験: 2018)であることから、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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