政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 330-55-2
名称 3-(3,4-ジクロロフェニル)-1-メトキシ-1-メチル尿素  (別名:リニュロン)
物質ID R02-B-067-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、可燃性 (ICSC (1998)) という情報がある。
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - フッ素を含まず、酸素及び塩素を含む有機化合物であり、このうちの酸素が炭素及び水素以外の元素 (N) と結合しているが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 1,146 mg/kg (HSDB (Access on May 2020))
(2) ラットのLD50: 1,150 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020))
(3) ラットのLD50: 雌: 1,196 mg/kg、雄: 1,254 mg/kg (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第10号 (1992))
(4) ラットのLD50: 2,600 mg/kg (EPA Pesticides RED (1995))
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (EPA Pesticides RED (1995)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第10号 (1992))
(2) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より区分4~区分外に該当するが、これらの情報のみでは区分を特定できないため、分類できないとした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (1.9E-005 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): > 1.7 mg/L (EPA Pesticides RED (1995))
(2) ラットのLC50 (4時間): > 4.06 mg/L (HSDB (Access on May 2020))
(3) ラットのLC50 (4時間): 6.15 mg/L (GESTIS (Access on May 2020)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第10号 (1992))
(4) 本物質の蒸気圧: 1.43E-006 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 1.9E-005 mg/L)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質 (97.4%) のEPA OPP 81-5に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で、刺激性はみられなかった (EPA Pesticides RED (1995))。
(2) 本物質の7.5%及び75%ジメチルフタレート懸濁液のウサギを用いた皮膚刺激性試験で、刺激性はみられなかった (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第10号 (1992))。

【参考データ等】
(3) 本物質は皮膚と眼を刺激する可能性がある (HSDB (Access on May 2020))。
(4) 本物質の10%水懸濁液はモルモットの皮膚に軽度から中等度の刺激性を示す (HSDB (Access on May 2020))。
(5) 本物質のドライフロアブル剤 (50%) の5%及び50%ジメチルフタレート懸濁液のウサギを用いた皮膚刺激性試験で、5%では刺激性はみられず、50%では軽度の刺激性がみられた (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第10号 (1992))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質 (97.4%) のEPA OPP 81-4に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で、24時間後に軽度の結膜発赤がみられたが、72時間後までに消失した (EPA Pesticides RED (1995))。

【参考データ等】
(2) 本物質は皮膚と眼を刺激する可能性がある (HSDB (Access on May 2020))。
(3) 本物質のドライフロアブル剤 (50%) のウサギを用いた眼刺激性試験で、ごく軽度の刺激性がみられた (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第10号 (1992))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質 (97.4%) のEPA OPP 81-6に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験で、陰性と判定された (EPA Pesticides RED (1995))。
(2) 本物質のモルモットを用いた皮内投与による皮膚感作性試験で、感作性はみられなかった (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第10号 (1992))。

【参考データ等】
(3) 本物質のドライフロアブル剤 (50%) のモルモットを用いた皮内投与による皮膚感作性試験で、感作性はみられなかった (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第10号 (1992))。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラット経口投与の骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性 (EPA Pesticides RED (1995)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第10号 (1992))、マウス飲水投与の骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性の報告がある (HSDB (Access on May 2020))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性の報告 (EPA Pesticides RED (1995)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第10号 (1992))、哺乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陰性の報告がある (EPA Pesticides RED (1995))。
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より区分2とした。なお、旧ガイダンスではEPAの分類Cを区分外と評価していたが、最新のガイダンスではEPAの分類Cを区分2と評価するようになったため、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでC (possible human carcinogen) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on August 2020):2001年分類)、EU CLP分類でCarc.2 (EU CLP分類 (Access on May 2020)) に分類されている。
(2) 雌雄のラット及びマウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、ラットで精巣間細胞腺腫の有意な増加、マウスの雌で肝細胞腺腫の有意な増加が認められた (EPA Pesticides RED (1995))。
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3)より、親毒物毒性、生殖毒性の程度を検討し、奇形はみられないものの重篤な胚、胎児毒性、児動物毒性がみられていることから区分1Bとした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による3世代繁殖毒性試験 (25、125、625 ppm (1.25、6.25、31.25 mg/kg/day相当)) において、親動物毒性 (体重減少、体重増加抑制、脱毛) のみられる用量 (31.25 mg/kg/day) で、妊娠率及び同腹児数の減少、哺育児の生存率低下及び体重減少、F2b離乳児の肝臓及び腎臓重量減少、肝細胞萎縮がみられた (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第10号 (1992)、EPA Pesticides RED (1995))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に混餌投与した発生毒性試験 (50、125、625 ppm (5.0、12.1、49.8 mg/kg/day相当)) において、母動物毒性 (摂餌量減少、体重増加抑制) がみられる用量 (49.8 mg/kg/day) で着床後胚吸収増加、同腹児及び胎児の吸収率の増加がみられた (EPA Pesticides RED (1995))。
(3) 雌ウサギの妊娠7~19日に強制経口投与した発生毒性試験 (0、5、25、100 mg/kg/day) において、母動物毒性 (体重減少、摂餌量減少、肝臓の絶対及び相対重量減少) がみられる用量 (100 mg/kg/day) で、発生影響として流産数の増加 (5/25例) 、一腹当たりの平均胎児数の減少、胎児体重の減少、頭蓋骨の骨格変異を有する胎児の発生率の増加がみられたる (EPA Pesticides RED (1995))。

【参考データ等】
(4) ラットを用いた混餌投与による2世代繁殖毒性試験において、繁殖影響はみられていない (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第10号 (1992))。
(5) 雌ラットの妊娠6~15日に混餌投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (摂餌量減少、体重増加抑制) がみられる用量でも催奇形性はみられていない (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第10号 (1992))。
(6) 雌ウサギの妊娠7~19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少、流産、肝重量増加) がみられる用量で、胎児に体重低値傾向及び不規則な形状の頭泉門 (変異) がみられたが、催奇形性はみられていない (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第10号 (1992))。
(7) EU CLP分類ではRepr. 1Bに分類されている (EU CLP分類 (Access on May 2020))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性)


警告
H335 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分3 (気道刺激性) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質の粉じんが呼吸器の粘膜に刺激を与える可能性がある (GESTIS (Access on May 2020))。
(2) 眼、鼻、喉、皮膚を刺激する可能性がある (HSDB (Access on May 2020))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2 (血液系)


警告
H373 P260
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分2 (血液系) とした。(3) では、区分1の範囲で血液毒性の兆候がみられているが、他の動物試験結果も踏まえ、区分2の範囲の用量において明らかな血液毒性が生じると判断した。

【根拠データ】
(1) ラットに本物質を90日間混餌投与した結果、400 ppm以上 (20 mg/kg/day、区分2の範囲) で赤血球数の減少、白血球数の増加が、3,000 ppm (150 m/kg/day、区分2超) で体重増加抑制 がみられた (EPA Pesticides RED (1995))。
(2) ラットに本物質を2年間混餌投与した結果、625 ppm (15.63 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄で体重増加抑制、摂餌量の低下、脾臓のヘモジデリン含有増加、雌で溶血に伴う骨髄脂肪の減少及び子宮内膜過形成がみられた (EPA Pesticides RED (1995))。
(3) ラットに本物質を2年間混餌投与した結果、125 ppm 以上 (6.25 mg/kg/day、区分1の範囲) で血球破壊と再生の兆候 (平均赤血球体積の増加、赤血球数の減少、網赤血球の増加傾向)、雄で精巣間細胞腺腫の増加がみられた (EPA Pesticides RED (1995))。
(4) マウスに本物質を2年間混餌投与した結果、50 ppm (12 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄でメトヘモグロビンの増加、雄で肝細胞腺腫の増加が、1,500 ppm (455 mg/kg/day、区分2超) の雌雄で体重減少、脾臓のヘモジデリン沈着、肝細胞腫大・細胞質変性・空胞化・壊死、出血、雌で肝細胞腺腫の増加、肝重量増加がみられた (EPA Pesticides RED (1995))。
(5) イヌに本物質を1年間混餌投与した結果、625 ppm (雄/雌: 18.6/16.1 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄で肝クッパー細胞のヘモジデリン沈着、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値の軽度減少、骨髄における赤血球新生のわずかな増加等がみられた (EPA Pesticides RED (1995))。
10 誤えん有害性 分類できない
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-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
藻類(ムレミカヅキモ)72時間ErC50 = 0.035 mg/L(水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準の設定に関する資料, 2017)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
急速分解性がなく(BODによる4週間分解度:0%(METI既存点検結果, 1982))、魚類(ニジマス)の80日間NOEC <0.042 mg/L(EPA RED, 2002)から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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