政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 91-23-6
名称 オルト-ニトロアニソール
物質ID R03-B-014-MHLW
分類実施年度 令和3年度(2021年度)
分類実施者 厚生労働省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2010年度(平成22年度)   2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない
-
-
- - 爆発性に関連する原子団(N-O)を含むが、UNRTDGにおいて、UN 2730、Class 6.1、PGⅢに分類されており、優先評価項目の爆発物には該当しないと考えられるため、区分に該当しない。なお、酸素収支の計算値は-152である。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 引火点は142℃(Closed cup)(HSDB in PubChem (Accessed Oct 2021))である。
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 タイプG
-
-
- - 分子内に爆発性の原子団(N-O)を含むが、UNRTDGにおいて、UN 2730、Class 6.1、PGⅢに分類されており、優先評価項目の自己反応性化学品には該当しないと考えられるため、タイプGと判断した。
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点は464℃(ICSC(2004)、HSDB in PubChem (Accessed Oct 2021))であり常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 区分に該当しない
-
-
- - フッ素を含まず、酸素及び塩素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素(N)と結合しているが、UNRTDGにおいて、UN 2730、Class 6.1、PGⅢに分類されており、上位の酸化性液体には該当しないと考えられるため、区分に該当しない。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない
-
-
- - 爆発性に関連する原子団(N-O)を含むが、UNRTDGにおいて、UN 2730、Class 6.1、PGⅢに分類されており、優先評価項目の爆発物には該当しないと考えられるため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
【分類根拠】
(1)~(8)より区分4とした。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:740~1,000 mg/kgの間(厚労省 リスク評価書 (2011))
(2)ラットのLD50:740 mg/kg(Patty (6th, 2012))
(3)ラット(雄)のLD50:760 mg/kg(DFG MAK (1998))
(4)ラット(雌)のLD50:740 mg/kg(DFG MAK (1998))
(5)ラットのLD50:874 mg/kg(DFG MAK (1998))
(6)ラット(雄)のLD50:1,000 mg/kg(DFG MAK (1998))
(7)ラット(雌)のLD50:890 mg/kg(DFG MAK (1998))
(8)ラットのLD50:1,980 mg/kg(DFG MAK (1998))
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(厚労省 リスク評価書 (2011)、DFG MAK (1998))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n= 6)を用いた皮膚刺激性試験(半閉塞、4時間適用)において、刺激性変化はみられなかったとの報告がある(厚労省 リスク評価書 (2011)、DFG MAK (1998))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(4日観察)において、1時間後に結膜の腫脹とびまん性発赤、軽度の流涙がみられたが、24時間後には影響は消失したとの報告がある(厚労省 リスク評価書 (2011)、DFG MAK (1998))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より区分2とした。新たな情報源を利用し分類した。

【根拠データ】
(1)In vivo では、ラットの骨髄細胞を用いた小核試験では陰性であったが、ラットの複数の標的臓器に対する付加体形成試験(腹腔内投与、5日間、0.15 mg/kg/day)では、肝臓、腎臓、脾臓、膀胱に対して陽性、肺、心臓、脳に対して陰性、ラットの腎臓、膀胱及び肝細胞を対象としたコメットアッセイ(DNA鎖切断:強制経口投与、2日間(2回)、最大750 mg/kg/day)では腎臓に対して陽性(250 mg/kg/day以上)、その他は陰性、また別の膀胱細胞を対象としたコメットアッセイ(及びhOGG1を用いる変法)(強制経口投与、3日間(3回))では陰性又は陽性の結果がある(IARC 127 (2021))。
(2)In vitroでは、複数の細菌復帰突然変異原性試験で陽性、マウスリンフォーマ試験で陽性、チャイニーズハムスター肺由来(V79)細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陰性、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、同肺細胞(CHL)及びV79細胞を用いた染色体異常試験で陽性(主に+S9)の結果がある(IARC 127 (2021)、DFG MAK (1998)、厚労省 リスク評価書 (2011)、安衛法変異原性試験 (Accessed Nov. 2021))。
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より動物種2種で悪性腫瘍の発生増加が認められ、動物実験において発がん性の十分な証拠があることから区分1Bとした。新たな情報源も利用し区分を変更した。

【根拠データ】
(1)ラット及びマウスを用いた2年間(103週間)混餌投与による発がん性試験(GLP、ラット:222~2,000 ppm、マウス:666~6,000 ppm)においてラットの試験では雌雄ともに単核細胞白血病の発生頻度に増加傾向と対照群と比べて有意な増加が認められた。マウスの試験では、雄に肝細胞腺腫、肝細胞がんおよび肝芽腫、雌に肝細胞腺腫の発生増加が認められた(IARC 127 (2021)、厚労省 リスク評価書 (2011)、DFG MAK (1998)、NTP TR416(1993))。
(2)ラットに27週間混餌投与(6,000、18,000 ppm)した後、基礎飼料に切り替え給餌し試験開始後28週、40週、65週及び103週目に剖検と殺した発がん性試験(Stop-exposure study)において、雌雄に膀胱の良性と悪性腫瘍、腎臓の移行上皮腫瘍、大腸の良性と悪性腫瘍の増加認められた(IARC 127 (2021)、NTP TR416(1993))。
(3)国内外の評価機関における既存分類結果として、IARCではグループ2Aに(IARC 127 (2021))、NTPでRに(NTP RoC 14th. (2016))、日本産業衛生学会で第2群Bに(産衛学会 許容濃度等の勧告 (2021))、EUでCarc. 1Bに(CLP分類結果 (Accessed November 2021))、DFGでCategory 2に(List of MAK and BAT values 2020 (Accessed November 2021))、それぞれ分類されている。

【参考データ等】
(4)本物質は芳香族アミンのo-アニジジン(CAS番号 90-04-0)に代謝されるという観点から、本物質はいくつかのメンバー化合物がヒトの発がん性物質に分類されている芳香族アミンのクラスに属するという作用機序の面における強い証拠がある。本物質は共通するDNA反応性部分の形成、遺伝毒性、慢性動物試験で発がん性の標的器官について、芳香族アミンと一致性を示す(IARC 127 (2021))。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、発生影響を示唆する報告があることから、区分2とした。

【根拠データ】
(1)雌ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(20~320 mg/kg/day、妊娠6~15日)において、母動物への影響(症状、摂餌量減少)がみられる高用量で吸収胚の軽度増加(対照群の5.0%に対し8.5%)と胎児に内臓変異と癒合の軽度増加がみられた(DFG MAK (1989)、厚労省 リスク評価書 (2011))。
(2)厚生労働省は、(1)の影響より「生殖・発生毒性:あり」と結論している。(厚労省 リスク評価書 (2011))

【参考データ等】
(3)ラットを用いた13週間混餌投与試験(200~18,000 ppm)において、最高用量(18,000 ppm:約900 mg/kg/day)で精巣における精子形成細胞の著減を伴う精細管上皮の変性及び精子数の減少、雌に子宮の萎縮が認められた(NTP TR416 (1993)、DFG MAK (1998)、厚労省 リスク評価書 (2011))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(全身毒性)


警告
H371 P308+P311
P260
P264
P270
P405
P501
【分類根拠】
(1)より、標的臓器を特定できない毒性症状がみられ、区分2の用量範囲で死亡例が生じたことから、区分2(全身毒性)とした。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた単回経口投与試験において、投与後に非特異的な毒性症状(腹臥、衰弱、不安定歩行、不規則呼吸、被毛粗剛、部分閉眼、自発運動減少、ぼんやりした様子、反射低下、流涙等)がみられ、LD50値は875 mg/kg(区分2の範囲)であった。また死亡例の剖検では、胃や消化管粘膜の軽度発赤、数例で蒼白腎、副腎の暗色化、肺の赤褐色変色がみられたとの報告がある(DFG MAK (1998))。

【参考データ等】
(2)工場における2-ニトロアニソールの流出事故があり、汚染地域の清掃に伴う作業者50人についてメトヘモグロビンレベルを測定したが、全ての値は正常範囲であったとの報告がある(厚労省 リスク評価書 (2011)、DFG MAK (1998))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(腎臓)


警告
H373 P260
P314
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より区分2(腎臓)とした。なお(3)、(4)でみられる血液系影響は、長期の試験結果から区分2を上回る用量での影響と判断し、分類に採用しなかった。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた混餌投与による13週間反復経口投与試験において、200~2,000 ppm(10~100 mg/kg/day、区分2の範囲)で肝臓絶対重量増加(雌)及び腎臓絶対重量増加(雄)、腎臓影響(単核炎症性細胞浸潤を伴う腎尿細管上皮の多巣性変性及び壊死(雄))がみられ、6,000 ppm(300 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で膀胱(良性/悪性腫瘍、移行上皮過形成)への影響がみられ、18,000 ppm(900 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で血液(メトヘモグロビン増加)、脾臓(うっ血、ヘモジデリン沈着)、生殖器(精巣における精子形成細胞の著減を伴う精細管上皮の変性及び精子数の減少、子宮の萎縮)への影響がみられたとの報告がある(DFG MAK (1998)、厚労省 リスク評価書 (2011)、NTP TR416 (1993))。
(2)ラットを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、222~2,000 ppm(10~80 mg/kg/day(雄)、10~90 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で、前胃の過形成、腎尿細管の過形成(雄)、腎症の重篤度の増加(雄)がみられたとの報告がある。(NTP TR416 (1993))。

【参考データ等】
(3)ラットを用いた強制経口投与による28日間反復経口投与試験において、200 mg/kg/day(90日換算値:62.2 mg/kg/day、区分2の範囲)で、軽度の溶血性貧血を示す血液学的変化、脾臓重量増加がみられたとの報告がある(DFG MAK (1998)、厚労省 リスク評価書 (2011))。
(4)ラット(雄)に1用量(150 mg/kg)のみを30回経口投与した試験において、軽度の溶血性貧血、肝臓・腎臓・脾臓相対重量増加がみられたとの報告がある(DFG MAK (1998)、厚労省 リスク評価書 (2011))。
(5)マウスを用いた混餌投与による13週間反復経口投与試験において、60~2,000 ppm(9~90 mg/kg/day、区分2の範囲)で肝細胞肥大の例数増加(雄)、肝臓の絶対・相対重量の増加(雌)がみられ、2,000および6,000 ppm(300および900 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で、血液影響(ヘモグロビン・ヘマトクリットの減少)がみられたとの報告がある(DFG MAK (1998)、厚労省 リスク評価書 (2011))。
(6)マウスを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、6,000 ppm(830 mg/kg/day(雄)、1,200 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で、非腫瘍性変化はみられなかったとの報告がある(NTP TR416 (1993))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) -
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11 水生環境有害性 長期(慢性) -
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12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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