項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 100-41-4 |
名称 | エチルベンゼン |
物質ID | m-nite-100-41-4_v2 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
6 | 引火性液体 | 区分2 |
危険 |
H225 | P303+P361+P353 P370+P378 P403+P235 P210 P233 P240 P241 P242 P243 P280 P501 |
引火点18 ℃(closed cup)、沸点136 ℃(ICSC (2018))に基づいて区分2とした。 なお、UNRTDG分類はUN.1175、クラス 3、PGⅡである。 |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
7 | 可燃性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 発火点が432 ℃ (ICSC (2018)) であり、常温では発火しないと考えられる。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 | 令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分5)。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:3,500~4,700 mg/kgの間(SIAR (2002)、NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (2011)、産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、MOE初期評価 (2015)、AICIS IMAP (2020)、EHC 186 (1996)) |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(3)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギのLD50:15,400 mg/kg(SIAR (2002)、NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (2011)) (2)ウサギのLD50:17,800 mg/kg(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、AICIS IMAP (2020)) (3)ウサギのLD50:77,400 mg/kg(EHC 186 (1996)) |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分4 |
警告 |
H332 | P304+P340 P261 P271 P312 |
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分4とした。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度の90%(7,994 ppm)より低いため、蒸気と判断し、ppmVを単位とする基準値より判断した。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間):4,000 ppm(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、厚労省リスク評価書 (2011)、AICIS IMAP (2020)、EHC 186 (1996)、SIAR (2002)、NITE初期リスク評価書 (2007)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021)) (2)ラットのLC50(2時間):13,367 ppm (4時間換算:9451.9 ppm)(厚労省リスク評価書 (2011)、AICIS IMAP (2020)) |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度(38.55 mg/L)より高いため、ミストと判断した。新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(2時間):55 mg/L (4時間換算:27.5 mg/L)(MOE初期評価 (2015)) |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、(1)の知見は適用時間が長く、(2)の知見は適用回数が多いため分類には用いなかった。 【参考データ等】 (1)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(原液0.01 mLを24時間閉塞適用)において、軽度の皮膚刺激性がみられたとの報告がある(NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 186 (1996)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2021))。 (2)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(原液を4週間にわたり計20回適用)において、明確な紅斑及び浮腫と表皮の壊死がみられ、本物質は中等度の皮膚累積刺激性がみられたとの報告がある(NITE初期リスク評価書 (2007)、厚労省 リスク評価書 (2011)、ACGIH (7th, 2011)、EHC 186 (1996)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2021))。 |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B |
警告 |
H320 | P305+P351+P338 P337+P313 P264 |
【分類根拠】 (1)~(5)より、区分2Bとした。 【根拠データ】 (1)9人に対して本物質25 ppmを7.5時間ばく露させた結果、可逆性の結膜刺激と気道刺激がみられ、3人に粘膜刺激がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2020))。 (2)ボランティアに対して本物質23~85 ppmを8時間曝露させた結果、曝露後に悪影響は見られなかったが、100 ppmを超えると倦怠感、眠気、頭痛などの中枢神経症状、眼及び呼吸器粘膜の刺激症状が訴えられた(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020))。 (3)ウサギを用いた眼刺激性試験(原液を2滴適用)において、本物質は軽度の結膜刺激がみられたが、角膜に傷害はみられなかったとの報告がある(NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 186 (1996)、ACGIH (7th, 2011)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2021))。 (4)ウサギを用いた眼刺激性試験(原液を0.5mL適用)において、軽度の刺激反応がみられたとの報告がある(NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 186 (1996)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2021))。 (5)ウサギの眼に対して軽度の刺激性を示し、角膜では傷害を与えないとする報告がある一方でわずかな不可逆性傷害を引き起こすとの報告もみられる(厚労省 リスク評価書 (2011))。 【参考データ等】 (6)6人に1,000 ppmで最長5分間ばく露した結果、顕著な流涙を伴う眼刺激がみられたが、耐えることができた。2,000 ppmでは眼刺激と流涙は瞬時かつ重度に生じ、中程度の鼻の刺激、胸部締付け感とめまいを伴った。5,000 ppmでは眼と鼻に耐えられない刺激を生じたとの報告がある(ACGIH (7th, 2011))。 |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
4 | 皮膚感作性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。なお、ヒト知見で皮膚感作性がみられなかったことから、ガイダンスに従い、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ボランティア25人を対象としたヒト反復侵襲パッチテスト(HRIPT)において、本物質10%含有ワセリン混合物を適用したところ、皮膚感作性反応はみられなかった(MOE 初期評価 (2015)、AICIS IMAP (2015)、ACGIH (7th, 2011)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、SIAR (2002))。 |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。なお、ガイダンスに基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、マウス骨髄を用いた小核試験(腹腔内投与、24時間間隔で2回、650 mg/kg/回)及びマウス末梢血赤血球を用いた小核試験(吸入ばく露、13週間、最大1,000 ppm)の2つの小核試験とマウス肝細胞を用いた不定期DNA合成試験で、いずれも陰性であった(NITE初期リスク評価書 (2007)、AICS IMAP (2020)、MOE初期評価 (2015)、ACGIH (7th, 2011)、ATSDR (2010)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。 (2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験、ほ乳類培養細胞(ラット肝細胞株(RL1、RL4)及びチャイニーズハムスター卵巣細胞)を用いた染色体異常試験の結果は全て陰性であったが、マウスリンパ腫細胞(L5878Y)を用いた遺伝子突然変異試験及びシリアンハムスター胚細胞を用いた小核試験では陽性(-S9)の結果であった(NITE初期リスク評価書 (2007)、AICS IMAP (2020)、MOE初期評価 (2015)、ACGIH (7th, 2011)、ATSDR (2010)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。 【参考データ等】 (3)本物質の代謝物である1-フェニルエタノール(CAS番号 98-85-1)を被験物質としたマウス骨髄を用いた小核試験(単回経口投与、最大750 mg/kg)でも陰性の結果が得られている(AICS IMAP (2020)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。 |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)より、国外の評価機関による既存分類結果としてIARCでグループ2Bに分類されており、また、(2)~(4)でみられる腫瘍の増加の中で、明らかな証拠となるのは(2)の雄ラットの腎尿細管腺腫の発生頻度及び腎尿細管腺腫とがんの合計発生頻度の増加のみであることから、限定的な発がん性の証拠であり、区分1Bに分類するには不十分と判断し、区分2とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)国内外の評価機関による既存分類として、IARCではグループ2Bに(IARC 77 (2000))、日本産業衛生学会では第2群Bに(許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020):2001年提案)、ACGIHではA3に(ACGIH (7th, 2011))、DFGではCategory 4に(DFG MAK (2011))それぞれ分類している。一方、EPAではグループD(not classifiable as to human carcinogenicity)から変更していない(IRIS (1991))。 (2)ラットを用いた2年間吸入ばく露による発がん性試験では、最高用量の750 ppmにおいて雄に明確な証拠(clear evidence)として、腎尿細管腺腫の発生頻度及び腎尿細管腺腫とがんの合計発生頻度の増加、雌にある程度の証拠(some evidence)として、腎尿細管腺腫の発生頻度の増加がみられた。(IARC 77 (2000)、産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、AICIS IMAP (2020)、MOE初期評価 (2015)、ACGIH (7th, 2011)、NITE初期リスク評価書 (2007)、NTP TR466 (1999))。 (3)マウスを用いた2年間吸入ばく露による発がん性試験では、最高用量の750 ppmにおいてある程度の証拠(some evidence)として、雄に肺胞-細気管支腺腫の発生頻度の増加、雌に肝細胞腺腫の発生頻度、及び肝細胞腺腫とがんの合計発生頻度の増加がみられた(IARC 77 (2000)、産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、AICIS IMAP (2020)、MOE初期評価 (2015)、ACGIH (7th, 2011)、NITE初期リスク評価書 (2007)、NTP TR466 (1999))。 (4)ラットに800 mg/kg/dayで2年間強制経口投与した結果、雄3/50匹、雌1/50 匹の鼻腔に嗅神経上皮腫の発生がみられ、同系統のラットで非常に稀な腫瘍であったことから、本物質の発がん性を示す証拠とされている。ただし留意事項として、腫瘍を有する動物数、生存率、対象データ、統計分析等に関する詳細情報が欠如していると記載されている(MOE初期評価 (2015)、IARC 77 (2000))。 (5)本物質は、IARCでグループ2Bであることを根拠に、厚生労働省化学物質による健康障害防止指針(がん原性指針)の対象物質に指定されている(平成28年3月31日付け健康障害を防止するための指針公示第26号)。 |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
7 | 生殖毒性 | 区分1B |
危険 |
H360 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(5)より、産衛学会の分類結果及び女性労働基準規則の対象物質であることを踏まえ、区分1Bとした。 【根拠データ】 (1)日本産業衛生学会は本物質を生殖毒性物質第2群に分類(提案年度2014年)している(産衛学会許容濃度等の勧告 (2021))。 (2)本物質は生殖毒性を根拠に、女性労働基準規則の対象物質に指定されている(女性労働基準規則(昭和61年労働省令第3号、平成24年改正時指定))。 (3)雌ラットの妊娠6~20日に吸入ばく露した発生毒性試験では、母体重量の低下みられた1,000 ppm以上で、胎児に低体重と骨格変異を有する胎児数の増加、2,000 ppmではさらに死亡胎児数の増加と吸収胚数の増加傾向がみられた(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、ACGIH (7th, 2011)、DFG MAK (2018))。 (4)雌ウサギの妊娠1~24日(0~23日)に吸入ばく露した発生毒性試験では、高用量の1,000 ppmで母動物に肝臓重量増加、胎児に生存胎児数の減少がみられた(AICIS IMAP (2020)、産衛学会許容濃度等の勧告 (2020)、MOE初期評価 (2015)、ACGIH (7th, 2011))。 (5)雌ウサギの妊娠7~20日に吸入ばく露した発生毒性試験では、高用量の230 ppmで母動物に有害影響はみられなかったが、胎児数の減少がみられた(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、ACGIH (7th, 2011))。 【参考データ等】 (6)ラットを用いた吸入ばく露(25~500 ppm、6時間/日)による2世代生殖毒性試験(授乳1~4日は強制経口投与)では、最高用量の500 ppmでF0及びF1親動物に一過性の体重増加抑制及び肝臓重量増加(適応性変化)がみられたが、F1及びF2児動物には500 ppmまで発生影響はみられなかった。また、F2児動物をF1母動物から哺育終了後、生後60日までFOB観察、自発運動量、聴覚性驚愕反応、Biel型水迷路による記憶学習能の検査、並びに脳及び神経系の組織検査(生後21及び72日)を実施したが、500 ppmまで発達神経毒性を示唆する影響は検出されなかった(AICIS IMAP (2020)、産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、MOE初期評価 (2015)、ACGIH (7th, 2011)、DFG MAK (2018))。 (7)メキシコのゴム工場で2年以上エチルベンゼン(50.7~53.8 ppm)、ベンゼン(10.0~14.9 ppm)、トルエン(50.6~56.7 ppm)及びキシレン(10.8~13.0 ppm)の有機溶剤にばく露している男性48名と非ばく露の男性事務員42名の精液を週1回3週間集め、精液の質的な差を比較した結果、正常運動精子はばく露群17%、非ばく露群76%で、OR=16.0、95% CI:5.11~51.99だった。ばく露群では非ばく露群に比べ非特異的凝集が増加し、精子数の減少、運動性の低下がみられたが、溶剤との関連については記述されていない(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、MOE初期評価 (2015))。 |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(気道刺激性、麻酔作用) |
警告 |
H335 H336 |
P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2)より、ヒトでの知見において気道刺激性と麻酔作用の影響がみられた。(3)~(5)より、動物での知見において区分1の範囲で呼吸器への影響がみられた。なお、(4)より、モルモットでみられた呼吸器への影響は可逆的な影響であると判断した。以上より、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。 【根拠データ】 (1)ボランティア9人に対して本物質25 ppmを7.5時間ばく露した結果、可逆性の結膜刺激と気道刺激がみられ、3人に粘膜刺激がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2020))。 (2)ボランティアに本物質をばく露した結果、100 ppmでは有害影響はみられなかったが、200 ppmを超えると気道刺激、結膜炎及び傾眠が共通してみられたとの報告がある(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、ACGIH (2011))。 (3)モルモットを用いた単回吸入ばく露試験(100分間)において、44.6 mg/L(4時間換算:28.8 mg/L、区分に該当しない範囲)で中程度の肺のうっ血がみられたとの報告がある。なお、4~8日後に消失したことから、可逆的な変化であると考えられるとの報告がある(AICIS IMAP (2020))。 (4)モルモットを用いた単回吸入ばく露試験(8時間)において、8.92 mg/L(4時間換算:12.6 mg/L、区分2の範囲)で運動失調が、22.3~44.6 mg/L(4時間換算:31.5~63.1 mg/L、区分に該当しない範囲)で結膜及び鼻粘膜の強い刺激に続き、不安定歩行、よろめき歩行、明白な意識喪失、間欠的な振戦及び四肢の攣縮、呼吸の変化がみられたとの報告がある(ACGIH (2011))。 (5)マウスを用いた単回吸入ばく露試験において、流涙、呼吸数減少、中枢神経系への影響、鎮静、閉眼、知覚麻痺を生じたとの報告がある(NITE 初期リスク評価書(2007))。 |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(聴覚器、神経系) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3)より、ヒトでの知見において聴覚器及び神経系への影響がみられ、(4)より、動物での知見において聴覚器への影響がみられた。以上のことから、区分1(聴覚器、神経系)とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)聴覚毒性に関する多くの報告が得られたとの報告がある。疫学調査においては、聴力喪失を訴える人の血中エチルベンゼン濃度は訴えのない人よりも有意に高く、性・年齢等で補正後の高周波域の聴力損失のオッズ比が血中エチルベンゼン濃度と有意に関連していたとの報告がある(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020))。 (2)約30 ppmのエチルベンゼンと85 dBの騒音に同時曝露されている作業者においては、騒音単独曝露者よりも著しい聴力損失が見られたことから、比較的低濃度エチルベンゼンばく露が聴力消失に関与していることが示唆されたとの報告がある(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、MOE初期評価 (2015))。 (3)(2)の作業者における神経行動学的機能検査の結果、両工場の労働者では単純反応時間、数唱、手先の器用さ、視覚記銘力、指標追跡力の成績が事務所勤務の労働者に比べて有意に劣り、勤続年数でみると、3 年以上の労働者が有意に劣っていた。このため、両工場及び事務所労働者の神経伝達物質を調べると、両工場の労働者ではアセチルコリンエステラーゼ活性が有意に低かった。以上のことから、神経機能の抑制、神経伝達物質の乱れが示唆されたとの報告がある(MOE初期評価 (2015)、産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020))。 (4)ラットを用いた13週間反復吸入ばく露試験(蒸気、6時間/日、6日/週)において、0.893 mg/L(0.765 mg/L、区分2の範囲)でコルチ器の第3列外有毛細胞(CHC)の30%消失が、1.79 mg/L(1.53 mg/L、区分に該当しない範囲)で脳幹聴覚性誘発電位による聴覚閾値の上昇(23~7db)がみられたとの報告がある(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、MOE初期評価 (2015)、AICIS IMAP (2020))。 【参考データ等】 (5)マウスを用いた103週間反復吸入ばく露試験(蒸気、6時間/日、5日/週)において、1.12 mg/L(0.8 mg/L、区分2の範囲)で肝細胞の合胞体変化(多核化)(雄)、下垂体前葉の過形成(雌)が、3.35 mg/L(2.39 mg/L、区分に該当しない範囲)で甲状腺濾胞細胞の過形成、小葉中心性肝細胞肥大(雄)、肝細胞壊死(雄)、肺胞上皮化生(雄)、肝細胞の好酸性巣の発生増加(雌)がみられたとの報告がある(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、MOE初期評価 (2015))。 (6)ラットを用いた104週間反復吸入ばく露試験(蒸気、6時間/日、5日/週)において、0.33 mg/L(0.236 mg/L、区分2の範囲)で前立腺の炎症(雄)、体重の低値(雌)が、1.12 mg/L(0.8 mg/L、区分2の範囲)で体重の低値(雄)がみられたとの報告がある(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、MOE初期評価 (2015))。 |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
10 | 誤えん有害性 | 区分1 |
危険 |
H304 | P301+P310 P331 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3)より、区分1とした。 【根拠データ】 (1)本物質は炭化水素化合物である。 (2)本物質の40 ℃での動粘性率は0.63 mm2/sである(CLH Report (2010)、ECHA RAC Opinion (2012))。 (3)本物質又は本物質を含む混合物は誤えんした場合、化学性肺炎を生じるおそれがある(AICIS IMAP (2020)、MOE初期評価 (2015))。 |
令和3年度(2021年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
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11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 | P273 P391 P501 |
甲殻類(ベイシュリンプ)の96時間LC50 = 0.42 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2007)であることから、区分1とした。 | 平成27年度(2015年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分2 |
- |
H411 | P273 P391 P501 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(良分解性、標準法におけるBODによる分解度:0%(通産省公報, 1990))、甲殻類(ネコゼミジンコ)の7日間NOEC = 0.956 mg/L(環境省リスク評価第13巻, 2015)であることから、区分2となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく、魚類(ストライプトバス)の96時間LC50 = 3.7 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2007)であることから、区分2となる。 以上の結果から、区分2とした。 |
平成27年度(2015年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし | 平成27年度(2015年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
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