NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 119-90-4
名称 3,3'-ジメトキシベンジジン (別名:ジアニシジン)
物質ID m-nite-119-90-4_v1
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
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- - エアゾール製品ではない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 可燃性固体 分類できない
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- - 可燃性 (ICSC (J) (2005)) との情報があるが、データがなく分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
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-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 自然発火性固体 分類できない
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- - データがなく分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 自己発熱性化学品 分類できない
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- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
16 金属腐食性化学品 分類できない
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- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
17 鈍性化爆発物 -
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健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値として、1,001 mg/kg 及び1,920 mg/kg (HSDB (Access on August 2017)) との報告に基づき、区分4とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
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- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
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- - データ不足のため分類できない。なお、ウサギを用いた皮膚刺激性試験で本物質9.8%とペンタエチレングリコールドデシルエーテル (CAS番号 3055-95-6) 0.2%を含む溶液0.02 mLを皮内投与しても皮膚刺激性は認められなかったとの記載 (BUA 27 (1988)) がある。また、ヒトへの影響として皮膚を刺激する可能性があるとの記載 (HSDB (Access on August 2017)) がある。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
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- - データ不足のため分類できない。なお、ウサギを用いた眼刺激性試験で本物質9.8%とペンタエチレングリコールドデシルエーテル (CAS番号 3055-95-6) 0.2%を含む溶液0.1 mLを適用しても眼刺激性は認められなかったとの記載 (BUA 27 (1988)) がある。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
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- - データ不足のため分類できない。なお、本物質を約100年間製造してきた化学工場では感作性を示した労働者の事例はないとの記載 (BUA 27 (1988)) がある。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 皮膚感作性 分類できない
-
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- - データ不足のため分類できない。なお、織物染色工場で皮膚炎を発症した労働者26名のうち1名が本物質に対して陽性反応を示し、皮膚感作性が疑われたとの記載や、本物質を約100年間製造してきた化学工場では感作性を示した労働者の事例はないとの記載 (いずれもBUA 27 (1988)) がある。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性、ラットの肝臓細胞を用いた不定期DNA合成試験で陰性 (DFGOT vol. 5 (1993)) である。また、in vivo染色体異常試験での陽性報告 (Mutat Res., 319, 19-30、1993)、マウス小核試験で弱い陽性の報告 (Mutat Res., 389, 1-122, 1997)) がある。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で陽性、陰性、姉妹染色分体交換試験で陽性である (DFGOT vol. 5 (1993)、NTP DB (Access on August 2017))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 発がん性 区分1A


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
ヒトでは本物質への特異的なばく露とヒト発がんとの関連性を評価する上で利用可能な疫学研究は不十分である。本物質にばく露された作業者の多くはヒトで膀胱がん発症と強い相関を有するベンジジンや他の関連アミン化合物にも同時にばく露されている (NTP RoC (14th, 2016))。実験動物では本物質の二塩酸塩 (CAS番号 20325-40-0) をラットに21ヵ月間飲水投与 (80~330 ppm) した発がん性試験において、低用量 (80 ppm) 以上で雌雄にジンバル腺の腫瘍、雄に皮膚の基底細胞腫又は皮脂腺の腫瘍、皮膚の扁平上皮腫瘍、口腔の腫瘍、包皮腺の腫瘍、小腸・大腸・肝臓の腫瘍、雌に陰核腺の腫瘍、乳腺の腺がん、中用量 (170 ppm) 以上で雄に中皮腫、雌に口腔の腫瘍、高用量 (330 ppm) では雌に大腸・肝臓の腫瘍など複数の臓器に腫瘍発生頻度の増加が認められ (NTP TR372 (1990)、DFGOT vol. 5 (1993)、PATTY (6th, 2012)、NTP RoC (14th, 2016))、NTPはラットの雌雄ともに明らかな発がん性の証拠があると結論した (NTP TR372 (1990))。この他、ラットに13ヵ月間強制経口投与した試験で、生存例のジンバル腺、卵巣、乳腺に腫瘍を認めたとの報告、ラットに52週間強制経口投与した試験で、膀胱、腸、皮膚、ジンバル腺に腫瘍を認めたとの報告、及びハムスターに混餌投与した試験で、膀胱がん、前胃乳頭腫を認めたとの報告がある (IARC 4 (1974)、DFGOT vol. 5 (1993))。既存分類ではIARCがグループ2Bに (IARC Suppl. 7 (1987))、NTPがRに (NTP RoC (14th, 2016))、EUがCarc. 1Bに (ECHA CL Inventory (Access on August 2017))、日本産業衛生学会が2Bに (許容濃度の勧告 (2017): 1991年提案) それぞれ分類している。
  以上、国際機関による分類結果からは区分2又は区分1Bが支持されるが、本物質 (ジアニシジン) に関しては、「ジアニシジンにさらされる業務による尿路系腫瘍を業務上の疾病として規定する」旨の労働基準法施行規則第35条の告示 (昭和63年12月3日 基発第735号: https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-29/hor1-29-56-1-0.htm) があることを踏まえて、本項は区分1Aとした。なお、旧分類の区分2からは分類区分を変更した。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 生殖毒性 分類できない
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- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
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- - データ不足のため分類できない。ヒトで本物質の吸入ばく露により、ごく少量でもくしゃみを起こし、更に鼻と上気道カタルを起こす可能性があるとの記載 (DFGOT vol. 5 (1993)、BUA 27 (1988))、イヌで本物質275 mg/kgの単回経口投与で間代性強直性痙攣を起こして3.5時間後に死亡したとの報告 ((DFGOT vol. 5 (1993)、BUA 27 (1988)) があるが、いずれも1908年の古い情報であり、イヌの実験は1例のみのため、根拠としなかった。したがって分類できないとした。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、血液系、呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
本物質に関する情報はないが、本物質の塩酸塩である 3,3-ジメトキシベンジジン二塩酸塩 (CAS番号 20325-40-0) についてNTPの飲水投与試験が実施されている。
  ラットを用いた21ヵ月間飲水投与試験において、区分1のガイダンス値の範囲である80 ppm (ガイダンス値換算: 10 mg/kg/day、本物質換算: 7.7 mg/kg/day) 以上で死亡、肝臓の嚢胞性及び小葉中心性変性及び壊死、肝臓の造血細胞増殖、脾臓の造血細胞増殖、腸間膜リンパ節細網細胞過形成、心臓の心房に血栓症の発生率増加、肺の組織球性の細胞浸潤、骨髄中の骨髄系細胞過形成がみられている (NTP TR372 (1990))。
  以上のうち、肝臓及び脾臓の造血細胞増殖、骨髄中の骨髄系細胞過形成は貧血に対する二次的変化と考えられ、血液系に影響があったと考えられる。また、心房の血栓症については、NTP TR372 (1990) に「化合物によって引き起こされる病的様態に関連して、心房における血液の循環が損なわれてつまりが生じた。」との記載があったため二次的影響とした。リンパ節細網細胞過形成については、NTP TR372 (1990) に「この影響は化合物に関連する可能性があるが、おそらく非特異的反応である。」との記載があった。したがって、区分1 (肝臓、血液系、呼吸器) とした。
  なお、新たな情報源を用いたこと、旧分類で腎臓を標的臓器としていたが重量変化のみのため分類根拠としなかったため旧分類と分類結果が異なった。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 誤えん有害性 分類できない
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- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
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- - データなし 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
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- - データなし 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - データなし 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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