項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 532-32-1 |
名称 | ナトリウム=ベンゾアート(別名:安息香酸ナトリウム) |
物質ID | m-nite-532-32-1_v1 |
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項目 | 情報 |
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危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。なお、分解点は 450~475 ℃(GESTIS (Accessed Oct 2022))、分解後の引火点が >100 ℃(closed cup)(OECD (2001))、分解時に有毒の Na2O ヒュームを発生(SAX (2000))との情報がある。また、粉状では粉じん爆発の可能性がある(ICSC (2021))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 発火点は>500℃(ICSC (2021))であり、常温で発火しないと考えられる。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 金属(Na)を含むが、水溶解度は約 556 g/L(20℃)(GESTIS (Accessed Oct 2022))との測定データが得られており、水と急激な反応をしないと考えられる。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素(Na)と結合しているが、イオン結合であり酸化性に寄与しない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。なお、防食剤として利用されている との情報(Chapman (2009))がある。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(5)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分5)。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:2,100 mg/kg(OECD SIAR (2001)、ACGIH (2021)、SCCP (2005)) (2)ラットのLD50:3,140 mg/kg(OECD SIAR (2001)、ACGIH (2021)、SCCP (2005)) (3)ラットのLD50:3,450 mg/kg(OECD SIAR (2001)、ACGIH (2021)、SCCP (2005)) (4)ラットのLD50:4,070 mg/kg(OECD SIAR (2001)、ACGIH (2021)、SCCP (2005)) (5)ラット(雄)のLD50:> 5,000 mg/kg (REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023)) |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)安息香酸(CAS番号:65-85-0)におけるウサギのLD50:> 2,000 mg/kg(ACGIH (2021)) |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)安息香酸(CAS番号:65-85-0)におけるラットのLC50(6時間、ダスト):> 1.8 mg/L(ACGIH (2021)) (2)安息香酸(CAS番号:65-85-0)におけるラットのLC50(4時間、ダスト):> 12.2 mg/L(ACGIH (2021)) |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、1例で適用1時間後に軽微な紅斑がみられたが、24時間以内には回復した(紅斑・痂皮スコア:0/0/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。 (2)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP)において、非刺激性であったとの報告がある(SIAR (2001))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A |
警告 |
H319 | P305+P351+P338 P337+P313 P264 P280 |
【分類根拠】 (1)より、区分2Aとした。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、14日観察)において、みられた結膜影響は14日以内に回復した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:2.7/2.7/2、結膜浮腫スコア:0.7/0.7/0.7)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。 【参考データ等】 (2)ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP)において、Draizスコアは9.3であり、軽微な刺激性がみられたとの報告がある(SIAR (2001))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)2045名の皮膚科患者に対して、パッチテスト(5%溶液)を実施したところ、5名で陽性反応がみられたとの報告がある(SIAR (2001))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(3)より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(単回又は5日間連続強制経口投与、最大5,000 mg/kg)、ラットを用いた優性致死試験(単回又は5日間連続強制経口投与、最大5,000 mg/kg)、及びマウスの複数臓器(肝臓、腎臓、肺など)を標的としたコメット試験(単回強制経口投与、1,000 mg/kg)で、いずれも陰性であった(食安委 評価書 (2021)、ACGIH (2021)、EFSA (2016)、SCCP (2005)、SIAR (2001) 、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。 (2)In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験では代謝活性化の有無に関わらず陰性であったが、チャイニーズハムスター肺由来細胞を用いた染色体異常試験、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験及び小核試験では陽性であった。一方、ヒト胎児性肺由来細胞株を用いた染色体異常試験(分裂後期)では、陰性の報告がある(食安委 評価書 (2021)、SCCP (2005)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022)、EFSA (2016)、SCCP (2005))。 (3)ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験、小核試験及びコメット試験では陽性を示したが、これらの試験は処理時間がテストガイドラインの基準を満たさない等、方法論的に問題があり、EFSA はそれらの試験はいずれもリスク評価には適切なものではないとし、食品安全委員会も同様の判断をしている(食安委 評価書 (2021))。 【参考データ等】 (4)In vitroの染色体及び染色分体試験では、陽性反応が多く示されたが、これらの影響は in vivoでは確認されなかった。したがって、安息香酸とそのナトリウム塩(本物質)について変異原性、染色体異常誘発性の懸念は低いとされた(ACGIH (2021))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
6 | 発がん性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(5)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)マウス(n= 50匹/性/群)を用いた生涯飲水投与試験では、2%(雄/雌:5,960/6,200 mg/kg/day)で生存率、腫瘍発生頻度ともに影響はみられなかった。本試験では主要臓器と肉眼的異常のみられる臓器についてのみ病理組織学的検査が実施され、現行ガイドラインの基準を満たす試験ではなく、評価に利用するには制限がある(ACGIH (2021)、食安委 評価書 (2021)、EFSA (2016)、SCCP (2005)、SIAR (2001))。 (2)ラット(n= 50匹/群(雌)、52匹/群(雌))を用いた2年間混餌投与試験では、1及び2%(500及び1,000 mg/kg/day相当)の用量で試験された。本試験は感染症(主にマイコプラズマ)と中間と殺のため最長期間暴露した動物数が減少し、評価の利用には制限があるが、全身症状、死亡率、体重、又は腫瘍発生頻度に投与による影響はみられなかった(ACGIH (2021)、食安委 評価書 (2021)、EFSA (2016)、SCCP (2005)、SIAR (2001))。 (3)安息香酸(CAS番号 65-85-0)とその塩に関する利用可能な発がん性試験は現行のガイドラインに準拠したものではなく、試験デザインも報告の記述も不十分であるが、評価した試験結果からは発がん性の性質は示されなかった(EFSA (2016))。 (4)本物質(安息香酸ナトリウム)と安息香酸について、(1)、(2)を含めげっ歯類を用いた経口及び経皮暴露による慢性毒性と発がん性が6試験で検討され、これら試験には制限があるものの、重大な毒性や発がん性影響の証拠は示されなかった。両物質について、実験動物で発がん性がないことはin vivo遺伝毒性がないことからも支持される(ACGIH (2021))。 (5)国内外の評価機関による既存分類では、安息香酸及びそのナトリウム塩(本物質)とカリウム塩についてACGIHでA5に (ACGIH (2021))、安息香酸についてEPAでグループD(発がん性物質には分類されない)に分類されている(IRIS (1998)、EPA (2005))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
7 | 生殖毒性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(7)に示された本物質の発生毒性データと(8)、(9)の遊離酸(安息香酸)の繁殖能に関するデータから、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(1.75~175 mg/kg/day)において、最高用量まで、母動物、胎児ともに異常はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021)、ACGIH (2021)、EFSA (2016)、SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。 (2)マウスを用いた強制経口投与による発生毒性試験(1.75~175 mg/kg/day)において、最高用量まで、母動物、胎児ともに異常はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021)、ACGIH (2021)、EFSA (2016)、SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。 (3)ハムスターを用いた強制経口投与による発生毒性試験(3~300 mg/kg/day)において、最高用量まで、母動物、胎児ともに異常はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021)、ACGIH (2021)、EFSA (2016)、SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。 (4)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(2.5~250 mg/kg/day)において、最高用量まで、母動物、胎児ともに異常はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021)、ACGIH (2021)、EFSA (2016)、SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。 (5)ラットを用いた混餌投与による発生毒性試験(700~1,875 mg/kg/day)において、母動物に強い一般毒性影響(死亡、痙攣、自発運動減少、体重増加抑制、摂餌量減少)がみられる高用量2群(965 及び1,875 mg/kg/day)で、出生率低下とともに顕著な発生毒性(死亡胎児数・吸収胚数の増加、外表及び内臓奇形の発生増加)がみられたが、試験者らは母動物毒性による二次的影響(飼料摂取量の著しい減少に伴う低栄養)と判断し、EFSA もこの判断に同意している。中用量以下の2用量群(700及び1,310 mg/kg/day)では、母動物、胎児ともに異常はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021)、ACGIH (2021)、EFSA (2016)、SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。 (6)ラットを用いた混餌投与による発生毒性試験(90、450 mg/kg/day相当)において、母動物毒性(摂餌量減少、肝酵素レベルの増加)がみられる高用量(450 mg/kg/day)まで児動物には用量相関のない低体重がみられたとの報告がある(ACGIH (2021))。 (7)ラットを用いた混餌投与による発達神経毒性試験(50~500 mg/kg/day相当)において、最高用量まで、母動物、児動物に有害影響はみられなかったとの報告がある(ACGIH (2021))。 (8)安息香酸(CAS番号 65-85-0)について、ラットを用いた混餌投与による4世代生殖毒性試験(250、500 m/kg/day)において、最高用量まで、各世代の親動物、児動物に生殖発生毒性、一般毒性影響ともにみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021)、EFSA (2016)、SCCP (2005)、SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。 (9)安息香酸(CAS番号 65-85-0)について、ラットを用いた混餌投与による拡張一世代試験(500~1,000 mg/kg/day)において、最高用量まで、F0、F1親動物の一般毒性及び生殖毒性影響、F1児動物の発生影響はみられず、サブコホートにおけるF1の生殖影響及びF2の発達神経毒性及び発達免疫毒性影響も検出されなかったとの報告がある(ACGIH (2021))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)、(2)より、ヒトにおける経口経路での知見において消化管への影響がみられたが刺激と考えられるほか、(3)より、動物知見において区分に該当しない範囲で重大な影響がみられなかったことから、経口経路では区分に該当しない。(4)より、その他の経路では、症状について詳細な情報は得られていないものの、毒性が低いと考えられることから区分に該当しないと判断した。以上より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)安息香酸又は安息香酸ナトリウム投与により、中毒症状がみられた事例としては、12 g/人/日で5日間投与された事例の30%で胃の灼熱感及び食欲不振を生じた事例及び遺伝性尿素サイクル異常症への治療のため250 mg/kg/dayの用量での強制胃内投与後に嘔吐がみられた事例の報告がある。一方、10 gの安息香酸の単回投与でも異常はみられなかった事例もある(食安委 評価書 (2021)、WHO CICAD 26 (2000))。 (2)安息香酸1~1.5 g、安息香酸ナトリウム2~33 gの単回経口摂取後に、胃の不調、悪心、嘔吐、頭痛、脱力感、食道の灼熱感及び刺激、蒼白又は弱弱しさ、不規則な脈拍の症例報告がある(ACGIH (2021))。 (3)ラットを用いた単回経口投与試験において、5,000 mg/kg(区分に該当しない範囲)で重大な影響はみられなかったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。 (4)安息香酸(CAS番号:65-85-0)のウサギを用いた単回経皮投与試験において、LD50は> 2,000 mg/kgとされ、ラットを用いた単回吸入ばく露試験(4時間、ダスト)において、LC50は> 12.2 mg/Lとの報告がある。(ACGIH (2021)) |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)、(2)より、経口経路及び経皮経路では区分に該当しない。ただし、(3)より、吸入経路については安息香酸(CAS番号:65-85-0)のデータを用いることはできないと判断し、データ不足のため分類できないとした。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた90日間混餌投与試験において、最高用量の80,000 ppm(7,200 mg/kg/day相当)で死亡(4/8例)、体重増加抑制、肝臓及び腎臓相対重量の高値がみられたが、40,000 ppm(3,600 mg/kg/day、区分に該当しない範囲) 以下の用量では毒性変化はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021)、EFSA (2016)、SCCP (2005)、SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。 (2)安息香酸(CAS番号:65-85-0)のウサギを用いた3週間経皮投与試験(GLP:6時間/日、5日/週)において、2,500 mg/kg/day(90日換算:417 mg/kg/day、区分2の範囲)で、雌1/4例に極めて軽度の皮膚刺激がみられたが、全身性の有害影響はみられなかったとの報告がある(SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。 (3)本物質(安息香酸ナトリウム)の吸入毒性試験は実施されていない。しかし、本物質は安息香酸と異なり、眼刺激性試験で軽度な刺激性影響しか生じなかった(安息香酸の重篤な眼損傷性分類:区分1(日本政府分類)、Eye Dam. 1(EU CLP))。すなわち、被験物質との接触部位(呼吸器)の刺激性影響は、安息香酸では、その吸入ばく露試験結果から2.5 mg/m3以上の濃度で生じると推定される(安息香酸のTLV-TWA値の根拠)が、その影響は安息香酸ナトリウム又はカリウム塩の吸入ばく露影響の推測には適用できず、安息香酸ナトリウム(カリウム)のTLV-TWAは、(3)の最初の試験でみられた腎臓影響(雌の重量増加)に基づき、25 mg/m3とされた(ACGIH (2021))。 【参考データ等】 (4)安息香酸(CAS番号 65-85-0)のラットを用いた4週間吸入ばく露試験(OECD TG412、GLP、ダスト、6時間/日、5日/週)において、25 mg/m3(90日換算:0.0056 mg/L/、区分1の範囲)以上で肺の間質性細胞浸潤・線維化、250 mg/m3(90日換算:0.056 mg/L、区分2の範囲)以上で上気道の刺激(赤色鼻汁分泌)及び腎臓重量の増加(雌のみ)、1,200 mg/m3(90日換算:0.27 mg/L、区分2の範囲)で全身影響(死亡、体重増加抑制、肝臓・腎臓・肺重量減少)がみられたとの報告がある(ACGIH (2021)、SIAR (2001))。 (5)安息香酸(CAS番号 65-85-0)のラットを用いた4週間吸入ばく露試験(OECD TG412、GLP、ダスト、6時間/日、5日/週)において、12.6 mg/m3(90日換算:0.0028 mg/L/)で喉頭、咽頭の単核細胞浸潤、肺の単核細胞・好酸球浸潤がみられたが、2.5 mg/m3で無影響であったとの報告がある(ACGIH (2021))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
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11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 分類できない |
- |
- | - | 甲殻類(オオミジンコ)96時間LC50 > 100 mg/L(SIAR, 2001、REACH登録情報, 2022、HDSB, 2022)、魚類(ファットヘッドミノー)96時間LC50 = 484 mg/L(SIAR, 2001、REACH登録情報, 2022、HDSB, 2022)とのデータが得られている。藻類試験では収量に影響があったとの報告があるが、専門家より当該報告では被検物質の濃度減少がみられ手順に問題があったと推察されるとのコメントがあり、専門家判断により分類できないとした。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分に該当しない |
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- | - | 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(BODによる分解度:85%(METI既存点検結果, 1979))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 5.81 mg/L(REACH登録情報, 2022)であることから、区分に該当しないとなる。なお、藻類において、実測濃度が定量限界未満の報告があるが、データの信頼性が低いため専門家判断により不採用としている。 慢性毒性データが得られていない栄養段階(藻類、魚類)に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性があり、魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50 = 484 mg/L(SIAR, 2001、REACH登録情報, 2022、HDSB, 2022)である。藻類試験では収量に影響があったとの報告があるが、専門家より当該報告では被検物質の濃度減少がみられ手順に問題があったと推察されるとのコメントがあり、専門家判断により分類できないとした。 以上の結果から、専門家判断により、分類できないとした。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
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- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
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