NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 5421-46-5
名称 チオグリコール酸アンモニウム
物質ID m-nite-5421-46-5_v1
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 引火性液体 分類できない
-
-
- - 可燃性(Lewis (2001), HSDB in PubChem (Accessed Oct. 2022))及び不燃性 (GESTIS (Accessed Oct. 2022)) との相反する情報が得られており、分類できない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。

令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 自然発火性液体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。

令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素(N)と結合しているが、イオン結合であり酸化性に寄与しない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、区分3とした。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50(純度71%):25~200 mg/kgの間(25 mg/kgで0/10例、200 mg/kgで全例死亡、100%換算:17.75~142 mg/kg)(OECD TG 401、GLP)(SIAR (2009)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))
(2)ラットのLD50(純度71%):50~200 mg/kgの間(50 mg/kgで0/6例、200 mg/kgで全例死亡、100%換算:35.5~142 mg/kg)(OECD TG 423、GLP)(SIAR (2009)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))

【参考データ等】
(3)本物質は、非常に吸湿性が高く酸化しやすいため、71%水溶液として製造されている。(SIAR (2009))
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分を特定できず、分類できない。

【参考データ等】
(1)ラットのLD50(純度71%):> 2,000 mg/kg(100%換算値:1,420 mg/kg)(OECD TG 402、GLP)(SIAR (2009)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))
(2)ウサギのLD50(純度71%):> 200 mg/kg(100%換算値:142 mg/kg)(SIAR (2009)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)本物質71%溶液について、ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、6日間観察)において、2例で軽微な紅斑がみられたが、みられた影響は6日以内に回復した(紅斑・痂皮スコア:1/0/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。

【参考データ等】
(2)本物質71%溶液について、ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(閉塞、24時間適用)において、6例中3例が試験中に死亡した。生存例3例の無傷皮膚における24/72h後の紅斑・痂皮スコアの平均は3.0、3.0、3.0であり、浮腫スコアの平均は2.5、3.0、2.5であったとの報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
(3)ヒトの皮膚刺激性及び感作性について、本物質の14.4~18%溶液を用いた多数の研究(上腕又は背中の皮膚に対する反復侵襲パッチテスト)と本物質を4.4%含有した整髪製品を用いた研究が報告されている。これらの試験では誘導期の最初数回の適用で皮膚反応のために、多くの人が試験から脱落した。皮膚反応のほとんどは軽微であったが、視認可能な発赤又は紅斑(スコア(4段階):0~1)であった。一方、軽度の紅斑(スコア:1/4)又は中等度の紅斑(スコア:2/4)の症例もみられた(SIAR (2009))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)本物質71%溶液について、ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、72時間観察)において、全例で軽度の結膜影響がみられたが、みられた影響は72時間以内に回復した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:0.7/1/1、結膜浮腫スコア:0.7/0.7/0.7)との報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
(2)本物質71%溶液について、ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(7日間観察)において、全例で結膜発赤がみられたが、7日以内に回復した(24/48/72h後の角膜混濁スコアの平均:0、虹彩炎スコアの平均:0、結膜発赤スコアの平均:2.6、結膜浮腫スコアの平均:0)との報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 皮膚感作性 区分1A


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1)より、区分1Aとした。

【根拠データ】
(1)マウス(n=5/群)を用いた局所リンパ節試験(LLNA)(OECD TG 429、GLP)において、刺激指数(SI値)は2.7(0.5%)7.0(8%)、全例死亡のため測定不能(20%)であり、EC3値は0.65%と算出されたとの報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。

【参考データ等】
(2)メルカプト酢酸の塩、特に本物質を含む製品を用いて作業する理容師で多くの皮膚感作症例が報告されている(AICIS IMAP (2014))。
(3)ヒトの皮膚刺激性及び感作性について、本物質の14.4~18%溶液を用いた多数の研究(上腕又は背中の皮膚に対する反復侵襲パッチテスト)と本物質を4.4%含有した整髪製品を用いた研究が報告されている。誘導期及び誘発期を完了した被験者のうち、いずれかの期間に皮膚反応を生じた割合は9~47%であり、4試験のうちアレルギー性接触皮膚炎様の2症例が発生したとの報告がある(AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)In vitroでは、本物質(71%水溶液)について、細菌を用いた復帰突然変異試験(OECD TG471、GLP)、及びマウスリンパ腫L5178Y細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陰性の結果であった(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014))。
(2)In vivoでは、チオグリコール酸ナトリウム(CAS番号 367-51-1:純度99.4%)について、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(単回経口投与、最大250 mg/kg)では陰性の結果であった(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014))。
(3)チオグリコール酸(CAS番号 68-11-1)の80.2%水溶液(pH 4)について、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(2日間経皮投与、雄:最大1,000 mg/kg、雌:同500 mg/kg)では、雌雄とも最高用量まで小核誘発の増加は認められず、陰性と判断された(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014))。

【参考データ等】
(4)チオグリコール酸ナトリウム(純度99%)について、マウスの末梢血を用いた小核試験(13週間経皮投与、最大360 mg/kg)では、雄は陰性であったが、雌は最高投与群で小核を有する正染性赤血球の比率の有意な増加がみられ陽性と判断された。なお、チオグリコール酸はin vitroで染色体異常を誘発せず、チオグリコール酸ナトリウムは最大耐用量まで経皮および経口経路で急性投与した場合、染色体異常誘発性の証拠を示さなかったため、この結果は疑わしいと報告されている。(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)チオグリコール酸ナトリウム(CAS番号 367-51-1)について、マウスを用いた経皮投与による発がん性試験において、投与群(1.0 %(6.6 mg/kg/day)、2.0%(13.3 mg/kg/day))、対照群ともに様々な臓器に腫瘍発生がみられたが、投与群と対照群との間で腫瘍発生頻度に有意な差はみられなかった。表皮の腫瘍はみられなかったと報告されている(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、本物質はナトリウム塩のデータを使用して分類を行った。(2)、(3)より、ナトリウム塩を用いた経口投与による生殖毒性試験では、雌親動物に約24~40%の高死亡率が生じた高用量群で二次的影響として生殖発生影響がみられたものの、中用量群では親動物、児動物ともに明瞭な毒性影響はみられなかった。(4)~(6)より、本物質又はナトリウム塩を用いた経口及び経皮投与による発生毒性試験では、母動物の致死用量でも胎児には無影響か軽微な影響に限られた。以上より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1)本物質を含むメルカプト酸の塩は溶液中で解離し、メルカプト酢酸アニオンと毒性の低い金属カチオン(カルシウム、アンモニウム、カリウム、ストロンチウム、ナトリウム)を生成するとの報告がある(AICIS IMAP (2014))。
(2)チオグリコール酸ナトリウム(CAS番号 367-51-1)について、ラットを用いた強制経口投与による二世代生殖毒性試験(OECD TG416、10~40 mg/kg/day)において、最高用量(40 mg/kg/day)ではF0親動物に著しい一般毒性影響として、死亡(雌:4/25例)、肝門脈域の空胞化(雄:2/25例、雌:6/25例)、血中脂肪酸濃度の低下(雌)がみられたが、生殖能には有害影響はみられなかったとの報告がある。同群のF1及びF2児動物には親動物毒性の二次的影響とみられる生存率低下がみられた以外に発生影響はみられなかったとの報告がある。なお、母毒性のNOAELは20mg/kg/day、生殖毒性のNOAELは20mg/kg/dayとされたとの報告がある(AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。
(3)チオグリコール酸ナトリウム(CAS番号 367-51-1:純度98.9%)について、ラットを用いた強制経口投与による生殖発生毒性スクリーニング試験(OECD TG421、GLP、20~80 mg/kg/day)では、中用量(40 mg/kg/day)以上で親動物に流涎がみられ、死亡例が中用量で雌1/12例に、高用量(80 mg/kg/day)で雄2/12例、雌5/12例にみられたとの報告がある。生殖発生影響として、妊娠期間の延長、着床数・産児数の減少、黄体数の低値傾向、全胚吸収雌(1例)、精嚢相対重量低値が高用量群でみられたとの報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。
(4)本物質(71%水溶液)について、ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、3~75 mg/kg bw/d)において、最高用量(75 mg/kg/day)で母動物毒性(死亡2/25例、営巣行動増加)がみられたが、胎児に発生影響はみられなかったとの報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。
(5)チオグリコール酸ナトリウムについて、ラットを用いた経皮投与による発生毒性試験(OECD TG414、6時間/日、50~200 mg/kg bw/d)において、母動物で局所影響以外に死亡(1/25例)及び体重増加抑制がみられた高用量(200 mg/kg/day)で、胎児に低体重がみられたのみであったとの報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。
(6)チオグリコール酸ナトリウムについて、ウサギを用いた経皮投与による発生毒性試験(OECD TG414、6時間/日、10~65 mg/kg bw/d)において、最高用量(65 mg/kg/day)まで母動物に局所影響(紅斑)のみがみられ、胎児にも影響はみられなかったとの報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(全身毒性)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)より、経口経路において区分1の用量範囲で標的臓器を特定できない影響がみられることから、区分1(全身毒性)とした。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた2つの単回経口投与試験(純度71%)において、200 mg/kg(区分1の範囲)で全例が死亡し、死亡前に活動性低下、握力・四肢・体幹の緊張低下、呼吸数低下、呼吸困難等がみられ、剖検で消化管刺激の所見、肺気腫等がみられたとの報告がある(SIAR & SIDS Dossier (2009)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。

【参考データ等】
(2)ラットを用いた単回経皮投与試験(純度71%)において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で死亡例も症状発現もみられなかったとの報告がある(SIAR & SIDS Dossier (2009)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
(3)チオグリコール酸(CASRN:68-11-1)を被験物質とした、ラットを用いた単回吸入ばく露試験において、LC50(蒸気、4時間)は1.98 mg/L(雄)、1.09 mg/L(雌)であり、症状として不規則・努力呼吸、被毛粗剛、運動性低下、後肢の振戦・麻痺がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2014)、SIAR (2009))。
(4)急性または反復投与毒性試験で観察された死亡及び全身毒性は、主にミトコンドリアにおける脂肪酸のβ酸化阻害によって生じた結果であると結論付けている (SIAR (2009))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液系、肝臓)


警告
H373 P260
P314
P501
【分類根拠】
本項は、チオグリコール酸ナトリウム(CASRN:367-51-1)のデータに基づき分類した。(1)、(2)より、区分2の用量範囲で血液系、肝臓への影響がみられることから区分2(血液系、肝臓)とした。

【根拠データ】
(1)チオグリコール酸ナトリウム(46.1%水溶液)を被験物質とした、ラットを用いた強制経口投与による13週間反復経口投与試験(OECD TG 408、GLP)において、60 mg/kg/day(区分2の範囲)で血液系(総白血球数・リンパ球・白血球各分画の減少、赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリットの減少、PTの増加、脾臓及び肝臓における髄外造血)及び肝臓(AST・ALT・脂肪酸の増加、小葉構造明瞭化、門脈周囲肝細胞の微細空胞化(中性脂質包含)、単細胞壊死等)、心筋(変性性心筋症(雌1例))、腎臓(血中尿素の増加、クレアチニン増加(雄のみ)、近位尿細管空胞化(雌のみ))への影響がみられたとの報告がある(SIAR & SIDS Dossier (2009)、AICIS IMAP (2014))。
(2)チオグリコール酸ナトリウム(46.1%水溶液)を被験物質とした、ラットを用いた強制経口投与による二世代生殖毒性試験(OECD TG 416、GLP、交配前10週間投与)において、40 mg/kg/day(区分2の範囲)で肝細胞の微細空胞化(雄2/25例、雌6/25例)、尿素の減少(雄)、脂肪酸の減少(雌)がみられ、肝臓の微細空胞化を生じた妊娠雌6例中の4例が死亡、残り2例も切迫と殺されたとの報告がある(AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。

【参考データ等】
(3)チオグリコール酸ナトリウム(純度99%)を被験物質とした、ラットとマウスを用いた13週間反復経皮投与試験(5日/週)において、ラットでは11.25 mg/kg/day(区分2の範囲)以上、マウスでは22.5 mg/kg/day(区分2の範囲)以上で適用部位皮膚の傷害(表皮・皮脂腺の過形成、錯角化症、過角化、炎症)がみられた。その他、肝臓、腎臓等に臓器重量変化がみられたが病理組織学的に変化は認められず、標的臓器は投与部位皮膚のみと判断されたとの報告がある(SIAR & SIDS Dossier (2009)、AICIS IMAP (2014))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分に該当しない
-
-
- - 魚類(ニジマス)96時間LC50 > 100 mg/L(REACH登録情報, 2022)であることから、区分に該当しないとなる。
なお、専門家の確認により、藻類、甲殻類の試験結果が得られていないことから、本分類は暫定的であり、新たな毒性値が入手できた場合には分類を見直すことが指摘されている。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分に該当しない
-
-
- - 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性がなく(BIOWIN)、急性毒性は区分に該当しないであり、生物蓄積性が低いと推定される(logKow = -2.85 (KOWWIN v1.68))ことから、区分に該当しないとした。
なお、専門家の確認により、藻類、甲殻類の試験結果が得られていないことから、本分類は暫定的であり、新たな毒性値が入手できた場合には分類を見直すことが指摘されている。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
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  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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