NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 68-12-2
名称 N,N-ジメチルホルムアミド
物質ID m-nite-68-12-2_v1
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関する原子団を含まない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
6 引火性液体 区分3


警告
H226 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
ICSC(2000)による引火点は58℃(密閉式)であり、「区分3」に該当する。国連危険物輸送勧告ではクラス3、容器等級III(国連番号2265)。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点445℃(ICSC,2000))。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - -O-O-構造を含まない有機化合物である。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データなし。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - ラットを用いた試験の LD50値が 3,000 mg/kg, 3,920 mg/kg, 4,000 mg/kg, 4,320 mg/kg, 3,200 mg/kg, 7,170 mg/kg(EHC 114(1991))より、区分外(国連分類では区分5)とした。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - ラットを用いた試験の LD50=3,500 mg/kg(環境省リスク評価第1巻(2002))、5,000 mg/kg, 11,140 mg/kg, 11,000 mg/kg(EHC 114(1991)), より区分外(国連分類では区分5)とした。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は推定されず、分類対象外とした。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3


危険
H331 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P311
P321
P405
P501
マウスを用いた試験のLC50値が9400mg/m3/2時間(換算値4.7mg/L 4時間、この値は飽和蒸気圧の90%より低く蒸気と判断される)である(HSDB, 2005)ことから区分3とした。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データなし。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1)~(6)より、本物質は刺激性を有するとの複数の証拠があることから、区分2とした。なお、新たな情報源を用いて旧区分を変更した。

【根拠データ】
(1)本物質をヒトがばく露することによる皮膚刺激性と発疹の症状を示す情報が複数あり、軽微から中等度の皮膚刺激性を示すとの報告がある(ACGIH(2018)、CICAD(2001))。
(2)本物質と偶発的接触(体の約20%)した52歳男性は、肌を洗浄後、再び着衣し、車で帰宅したところ、45分後の症状として皮膚の炎症と充血が報告されている(PATTY(6th、2012)、厚労省有害性評価書(2017))。
(3)仕事中本物質に偶発的にばく露した21歳及び28歳の男性は、手と前腕の紅斑性発疹が生じたとの報告がある((厚労省有害性評価書(2017))。
(4)マウスの皮膚に本物質500 mg/kg体重を適用したところ、2~3時間後に一過性の刺激性がみられ、2,500及び5,000 mg/kg体重では軽度の刺激性がみられたとの報告がある(EHC(1991)、NITE初期リスク評価書(2005)、厚労省有害性評価書(2017))。
(5)ラットの皮膚に本物質94, 472, 944 mg/kg体重を適用したところ、944 mg/kg体重で皮膚刺激性を示したとの報告がある(PATTY(6th、2012))。
(6)ウサギの皮膚に本物質100, 200, 400 mg/kg体重を適用したところ、400 mg/kg体重で皮膚刺激性を示したとの報告がある(PATTY(6th、2012))。
(7)本物質は、健康障害を防止するための指針に係る通達の中で、「皮膚、目、粘膜を強く刺激する物質」とされている(厚生労働省労働基準局長 基発第0614001号、平成28年3月31日基発0331第26号により廃止)。

【参考データ等】
(8)本物質は、平成8年労働省告示第33号(平成25年厚生労働省告示第316号により改正)において、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)に「ジメチルホルムアミド」として指定されており、本物質にさらされる業務による、特定の症状又は障害を主たる症状又は障害とする疾病(頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、皮膚障害、前眼部障害、気道障害、肝障害又は胃腸障害)が、業務上の疾病として定められている。
(9)本物質は、平成15年厚生労働省労働基準局長通知基発第0811001号において、労働安全衛生規則第593条に規定する有害物で保護眼鏡等の眼障害防止用保護具を備えなければならないもののうち「ジメチルホルムアミド」として指定されている。
平成30年度(2018年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
【分類根拠】
(1)~(5)より、本物質は刺激性を有すると考えられる。GLP試験(1)の証拠の重みを踏まえて区分2Bとした。なお、新たな情報源を用いて旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1)ウサギを用いた眼刺激性試験(GLP準拠、n=6)で本物質原液を適用したところ、1、4時間後に上眼瞼及び下眼瞼の内側に大きな水疱が見られたが、24時間後には縮小し、48時間後には回復したとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。
(2)ウサギを用いた眼刺激性試験(n=3)において、本物質原液、10%、50%溶液(0.9%NaCl)を適用したところ、1時間後に結膜浮腫及び紅斑が見られたが、6日後には回復したとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。
(3)ウサギの眼刺激性試験において、結膜嚢に本物質水溶液(25%)0.1mLを適用したところ影響はみられなかったが、50%水溶液で軽度の刺激性が、75%水溶液及び原液では重篤な刺激性が見られたとの報告がある(EHC(1991)、厚労省有害性評価書(2017))。
(4)ウサギの眼刺激性試験において、本物質0.1mLを適用したところ、中等度の角膜傷害と結膜の充血がみられ、2~3日後で顕著になり、14日後には軽度の結膜充血と重篤な傷害、軽度の表面歪み及び下層の血管新生を伴った中等度の角膜傷害がみられたとの報告がある(EHC(1991)、厚労省有害性評価書(2017))。
(5)本物質は、健康障害を防止するための指針に係る通達の中で、「皮膚、目、粘膜を強く刺激する物質」とされている(厚生労働省労働基準局長 基発第0614001号、平成28年3月31日基発0331第26号により廃止)。


平成30年度(2018年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3)より、感作性陰性を示す複数の証拠はあるが、感作性の有無を判断する十分な情報が得られず、分類できないとした。

【参考データ等】
(1)マウスを用いたLLNA試験(OECD TG406、n=6)で本物質溶液(アセトン/オリーブ油(4:1 v/v))を適用したところ、感作性を示す明らかな兆候は見られなかったとの報告がある(SIAR(2001)、ACGIH(2018)、REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。
(2)マウスを用いたLLNA試験で本物質を適用したところ、対照群と処置群で差は見られなかったとの報告がある(CICAD(2001)、ACGIH(2018))。
(3)モルモットを用いたMaximization試験で本物質を適用したところ、感作性を示さなかったとの報告がある(EHC(1991)、SIAR(2001)、REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。
平成30年度(2018年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
CERI・NITE有害性評価書 No.8(2005)の記述から、経世代変異原性試験で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験がなく、体細胞in vivo変異原性試験で陽性の結果があり、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験がないことによる。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
吸入によるがん原性試験の結果、ラットの雌雄に肝臓の肝細胞腺腫と肝細胞癌の発生増加が認められ、マウスの雌雄に肝臓の肝細胞腺腫、肝細胞癌の発生増加が最低用量の200 ppmから、さらにマウスの雄に特に悪性度の高い肝芽腫が認められ、ラット、マウスの雌雄とも明らかな癌原性が示された(厚生労働省委託癌原性試験,2000)。肝臓腫瘍の発生に種差、性差がなく悪性度も高い腫瘍が発生している。この結果に基づき厚生労働省より「N,N-ジメチルホルムアミドによる労働者の健康障害を防止するための指針」(厚労省指針, 2005)が出されている。以上より区分1Bとした。
なお、日本産業衛生学会(1991)は第2群B、IARC 71(1999)がグループ3、ACGIH-TLV(2001)がA4に分類しているが、これらの評価にはこの試験結果は含まれていない。
平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
CERI・NITE有害性評価書 No.8(2005)から、親動物に一般毒性影響のみられない濃度で、次世代に奇形(口蓋裂、外脳症、水頭症、蝶形骨欠損、癒合肋骨、尾欠損)などがみられていることによる。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(肝臓)、区分2(呼吸器)


危険
警告
H370
H371
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
ヒトについては「摂食障害、嘔吐、腹部、腰部、大腿部の痛みがみられ、症状が消えた後でも肝臓で線維化、組織球の集簇」(CERI・NITE有害性評価書No.8(2005))の記述があり、実験動物では「肺胞壁の肥厚」(CERI・NITE有害性評価書No.8(2005))等の記述があることから、肝臓、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲で見られた。
以上より分類は区分1(肝臓)、区分2(呼吸器)とした。
平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトについては「肝機能障害」、「アルコール不耐性の兆候が見られた.」(IRIS(1990))、「肝障害の増加ASTまたはALTの上昇」、「限局性肝細胞壊死、滑面小胞体の微小胞の脂肪変性」の記述があり、実験動物では「小葉中心性の肝細胞肥大」(NTP TOX22(1992))、「急性肝細胞傷害を示唆する」、「SGPT 及び SGOT 活性の上昇、幼若動物の肝臓に病理組織学的な変化」(IRIS(1990))、「100 ppm 以上: ALP 活性上昇200 ppm 以上: ALT 活性上昇」、「200 ppm 以上: 肝臓の単細胞壊死」(CERI・NITE有害性評価書No.8(2005))等の記述がある。なお実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲で見られた。
以上より分類は区分1(肝臓)とした。
平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - データなし。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分に該当しない
-
-
- - 魚類(ヒメダカ)の96時間LC50>100mg/L(環境省生態影響試験、1995)他から、区分外とした。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分に該当しない
-
-
- - 難水溶性でなく(水溶解度=1.00×106mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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