NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 69-72-7
名称 サリチル酸
物質ID m-nite-69-72-7_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点は540℃であり(HSDB(2009))、常温で発火しないと考えられる。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - フッ素および塩素を含まず酸素を含む有機化合物であるが、この元素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - -O-O-構造を有していない有機化合物である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値として5件のデータ(1500-2000 mg/kg(JECFA WHO 228(1962))、1100 mg/kg(JECFA 7742(2002))、891 mg/kg、1580 mg/kg、1280 mg/kg(NTP TR524(2007)))があり、いずれも区分4に該当する。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - ラットのLD50は>2000 mg/kgで死亡例なしとの報告(NTP TR524(2007))に基づき、区分外とした。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - ラットのLC50値は粉塵ばく露で >0.9 mg/L/1h(>0.225 mg/L/4h)(IUCLID(2000))と報告されているが、区分を特定できないので分類できない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
ヒトに0.2%または1.5%のサリチル酸溶液を21日間の閉塞または半閉塞貼付した試験では、本物質は非刺激性(nonirritating)と結論され(NTP TR524(2007))、また、ウサギを用いた試験で刺激性スコアは0.16/8.0で軽度の刺激性(slightly irritating)と報告されている(IUCLID(2000))が、ヒトのボランティアによる試験で刺激性あり(irritating)との結果(IUCLID(2000))、13人の患者でサリチル酸塩使用と関連する中毒性の表皮壊死発生の報告(PIM 642(1998)、List1相当)、さらにサリチル酸は高濃度(20%以上)で焼灼作用があるとの記載(IUCLID(2000))により、区分2とした。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
【分類根拠】
(1)より、区分1とした。新たな情報源を利用し分類結果を変更した。ECHA RACでGHS区分1相当の知見が得られたため、旧分類から眼損傷性/刺激性項目のみ見直した(2021年)。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n = 3)を用いた眼刺激性試験(21日間観察)では、角膜と結膜に顕著な刺激影響がみられ、Draize の判定スコアによる角膜及び結膜炎の平均スコアはそれぞれ50.1(フルスコア:80)及び10.3(同:20)で影響は21日間の観察期間内には完全回復しなかったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2016)、CLH Report (2014)、SCCS (2019)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。

【参考データ等】
(2)ウサギ(n = 6)を用いた眼刺激性試験(72時間観察)では、本物質は24時間後に重度の刺激性を生じた(眼刺激性平均スコア:51.5/110)。48時間後には軽減した(同スコア:40.3/110)が、72時間後にも影響はみられたとの報告がある(同スコア:38.7/110)(ECHA RAC Opinion (2016)、CLH Report (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。
(3)ウシ角膜を用いたin vitro眼刺激性試験(BCOP法)において、混濁度は本物質の0.1%、1%及び10%濃度でそれぞれ7.2%、70.4%及び98.7%を示し、重度と判断されたとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2016)、CLH Report (2014)、SCCS (2019)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。なお、喘息のヒトは特にサリチル酸塩に対し著しい感受性を示し、蕁麻疹、発疹、血管性神経症、鼻炎、および重度で時に致死性とも言える発作性気管支痙攣、呼吸困難、ショック、失神など、種ーの反応を引き起こす(PIM 642(1998))と述べられている。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
マウスのLLNA法による皮膚感作性試験で陽性(positive)の報告(NTP TR524(2007))に基づき、区分1とした。なお、本物質は局所使用でアレルギー性接触皮膚炎を起こすおそれがあるとの記述(PIM 642(1998))の一方、マウス耳介腫脹試験では感作性なし(not sensitizing)との報告(IUCLID(2000))もある。

平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - マウスに腹腔内または経口投与による染色体異常試験(in vivo変異原性試験)で、両経路とも染色体異常の有意な増加は見られず陰性(HSDB(2009))であったことから、区分外とした。なお、マウスの経口投与による精巣DNAへのトリチウムチミジン取り込み試験(生殖細胞in vivo変異原性試験)では、トリチウムチミジン取り込みが有意に減少した(HSDB(2009))と報告されている。また、in vitro試験として、エームス試験で陰性の結果(HSDB(2009)、安衛法 変異原性試験データ集 補遺2版(2000))が報告されている。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
6 発がん性 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
ラットの妊娠20および21日目に経口投与(10 mg/kg)により、分娩開始時間の有意な促進(HSDB(2009))、ラットの妊娠8~14日に混餌投与により、母動物の体重低下に加え、新生仔死亡の増加、同腹仔数の減少が見られ、仔の外表異常および骨格異常の発生率が増加した(HSDB(2009))。以上より、母動物に一般毒性が発現している用量で生殖への影響が認められることから区分2とした。なお、サリチル酸塩はヒトで医薬品として使用され、出生前死亡率の増加、分娩前後の出血、妊娠期間の延長、分娩異常などが見られるため、妊娠3期(妊娠後期)の使用は避けるべきとされ(PIM 642(1998))、特に静注剤のサリチル酸ナトリウムについては、妊娠または妊娠している可能性のある婦人には投与禁忌とされている(医療用医薬品集(2010)、List1相当)。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
本物質を含有する局所クリーム剤で治療された乾癬の患者が脳症を発症、さらに治療不応性低血糖あるいは酸・塩基平衡障害を呈し、救急血液透析により回復したとの症例報告(HSDB(2009))を初め、同様の症例が複数報告されている(HSDB(2009))。また、帯状魚鱗癬の5歳の子供に軟膏剤として使用後、発熱、呼吸亢進、呼吸性アルカローシス、昏睡状態、注視発作を起こしたと報告されている(HSDB(2009))。本物質は毒性用量で呼吸中枢を刺激し、呼吸性アルカローシスを生じ、重度の中毒では代謝性アシドーシスを起こす。さらに、標的臓器の一つに中枢神経系が記載されている(PIM 642(1998))ことから、区分1(中枢神経系)とした。なお、アスピリン(アセチルサリチル酸)を摂取した子供に肝性脳症が報告されている(PIM 642(1998))ように、サリチル酸塩では肝臓や肺など中枢神経以外の器官に対する影響が報告されているが、当該物質自体についてヒトでの具体的な報告はない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
10%軟膏で4週間以上治療された尋常性魚鱗癬の7歳の子供が、ぜん鳴、嘔吐、めまいに続き、呼吸亢進によると思われる深い傾眠状態となり、入院に至った症例報告(PIM 642(1998))がある。また、クリーム剤を5日間使用していた乾癬の患者が脳症を発症し、集中治療室に入院した報告(HSDB(2009))もある。一方、急性的過剰摂取よりも慢性中毒による方が死亡率が高く、死亡は突然の心停止、または時には重度の脳障害に続く多発性の合併症に因る(PIM 642(1998))と述べられている。本物質ばく露による標的臓器の一つとして中枢神経系の記載((PIM 642(1998)))もあり、区分1(中枢神経系)とした。
平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
10 誤えん有害性 分類できない
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- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分3
-
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H402 P273
P501
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の96時間EC50 = 65mg/L(環境省生態影響試験, 2000)から区分3とした。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分に該当しない
-
-
- - 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(BODによる分解度:88.1%(既存点検, 1976))、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC=31mg/L(環境省生態影響試験, 2000)であることから区分外となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、魚類(メダカ)の96時間LC50=>100mg/Lであり(環境省生態影響試験, 2000)、急速分解性があり(BODによる分解度:88.1%(既存点検, 1976))、生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=2.26(PHYSPROP Database, 2012))ことから、区分外となる。
以上の結果から、区分外とした。
平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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