NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 79-34-5
名称 1,1,2,2-テトラクロロエタン (別名:四塩化アセチレン)
物質ID m-nite-79-34-5_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 引火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2005)) 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性及び自己反応性に関する原子団を含まない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2005)) 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 自己発熱性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2005)) 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素及び酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、アルミニウムは容器として不適当である。鋼は耐久性がある (ホンメル (1991)) との情報がある。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値として、200 mg/kg (環境省リスク評価第8巻 (2010))、250 mg/kg (ATSDR (2008))、319 mg/kg (ATSDR (2008)、ACGIH (7th, 2001))、330 mg/kg (ATSDR (2008))、800 mg/kg (ATSDR (2008))、1,000 mg/kg (CICAD 3 (1998))、250-330 mg/kg (CICAD 3 (1998))、200-800 mg/kg (IRIS TR (2010))、250-800 mg/kg (SIDS (2005)) の9件 (6データ) の報告がある。分類ガイダンスに基づき、最も多くのデータ (4件) が該当する区分4とした。なお、2データは区分3に該当する。新たな情報源 (環境省リスク評価第8巻 (2010)、IRIS TR (2010)、ATSDR (2008)、SIDS (2005)) を追加して区分を見直した。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - ウサギのLD50値として、3,990-8,200 mg/kg の範囲で複数件の報告 (ATSDR (2008)、SIDS (2005)、ACGIH (7th, 2001)、CICAD 3 (1998)) に基づき、区分外とした。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3


危険
H331 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P311
P321
P405
P501
ラットのLC50値 (4時間) として、640 ppm (SIDS (2005))、1,000 ppm (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2001))、1,200 ppm (IRIS TR (2010)、ATSDR (2008)、SIDS (2005)) との報告に基づき、区分3とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (6,078 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
ウサギの皮膚に本物質の原液0.01 mLを24時間開放適用した結果、皮膚一次刺激指数6 (最大値8) で強い刺激性を示したとの報告がある (SIDS (2005))。また、ウサギを用いた別の試験では、充血、浮腫、重度の水疱形成がみられたとの報告 (ATSDR (2008)) や、紅斑がみられ皮膚一次刺激指数2.6 (最大値8) であることから中等度の刺激性ありとの報告 (IUCLID (2000)) がある。以上の結果から区分2とした。
平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
ウサギの眼に本物質の原液0.1 mLを適用した試験において眼刺激性スコアは42.5/110で「刺激性あり」 との報告 (SIDS (2005)) や、モルモットに対する蒸気ばく露で「刺激性あり」との報告 (ACGIH (7th, 2001)、CICAD 3 (1998)、ATSDR (2008)) がある。また、ヒトにおいて刺激性が認められる (ATSDR (2008))。以上の結果から区分2Aとした。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
In vivoでは、ラットの優性致死試験で陰性、ラットの骨髄細胞の染色体異常試験で弱陽性 (雌)、陰性 (雄)、マウス (雌雄) の末梢血の小核試験で陽性、マウス肝細胞の不定期DNA合成試験で陽性、陰性、マウス及びラットの肝臓、腎臓、肺、胃のDNA結合試験で陽性である (環境省リスク評価第8巻 (2010)、ATSDR (2008)、SIDS (2005)、NTP DB (Access on September 2014)、IARC 71 (1999))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験で陰性、姉妹染色分体交換試験で陽性である (環境省リスク評価第8巻 (2010)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1984)、SIDS (2005)、ATSDR (2008)、CICAD 3 (1998)、NTP DB (Access on September 2014))である。以上より、ガイダンスに従い、区分2とした。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)より、動物種1種(マウス)であるが適正な試験で雌雄両性に肝細胞がんの増加傾向と発生頻度の増加がみられたことから、動物実験において発がん性の十分な証拠があると判断し、区分1Bとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。旧分類から健康障害防止指針(がん原性指針)の対象物質に追加されたため、発がん性項目のみ見直した(2021年)。

【根拠データ】
(1)ラット及びマウスを用いた78週間強制経口投与(投与期間終了後ラットは32週間、マウスは12週間観察後にと殺)による発がん性試験において、マウスの試験(雌雄:0、142、282 mg/kg/day)では雌雄ともに肝細胞がんの増加傾向と発生頻度の増加がみられた。ラットの試験(雄:0、62、108 mg/kg/day、雌:0、43、76 mg/kg/day)では雄の高用量群で肝臓腫瘍(肝細胞腺腫と肝細胞がんの組合せ)の発生率に有意な増加はみられなかったが、背景データを上回った。また、2/49例に認められた肝細胞がんはこの系統(Osborne-Mendel)のラットでは稀な腫瘍であった(IARC 106 (2014)、IRIS (2010)、MOE 初期評価 (2010)、ACGIH (7th, 2001))。
(2)本物質は厚生労働省化学物質による健康障害防止指針(がん原性指針)の対象物質である。なお、IARCでグループ2Bに追加されていることががん原生指針の対象物質の指定根拠である(令和2年2月7日付け健康障害を防止するための指針公示第27号)。
(3)国内外の評価機関による既存分類結果として、IARCではグループ2Bに(IARC 106 (2014))、日本産業衛生学会では第2群Bに(産衛学会許容濃度等の勧告 (2021):2015年提案)、EPAではL(Likely to be carcinogenic to humans)に(IRIS (2010))、ACGIHではA3に(ACGIH (7th, 2001))、DFGではCategory 4に(List of MAK and BAT values (2020))、それぞれ分類している。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - ラットを用いた吸入経路での生殖毒性試験 (投与群の雄と無処置の雌の交配) において、雄の生殖能、児に影響がみられていない (環境省リスク評価第8巻 (2010)、ATSDR (2008)、SIDS (2005)、ACGIH (7th, 2001))。しかし、この試験は1用量 (0及び2 ppm) の試験であり、信頼性に乏しい。
ラット、マウスを用いた経口経路 (混餌) での催奇形性試験 (用量設定試験) において、母動物毒性 (体重増加抑制、死亡) がみられる用量で胎児の体重減少、胚吸収の報告がある (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2005)、NTP (1991))。SIDS (2005) には、限られたデータから発生毒性を正しく評価することはできないとの記載がある。
ラット、マウスを用いた経口経路での反復投与毒性試験において、精巣、精巣上体の重量減少、精巣の萎縮、精子の活動性低下、性周期の異常の報告がある (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2005)、CICAD 3 (1998))。しかし、体重抑制との関連性の指摘 (NTP TOX 49 (2004)) や、より長期 (78週) のラットとマウスの試験では生殖器官への影響は認められていない (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2005)、CICAD 3 (1998))。
一方、生殖機能や生殖能力に関するデータがほとんどない。
したがって、データ不足により分類できないとした。
平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、肝臓、腎臓)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用)



危険
警告
H370
H335
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
本物質は、気道刺激性及び麻酔作用がある (SIDS (2005)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2008)、CICAD 3 (1998))。本物質の主要な影響は、中枢神経系、肝臓、腎臓との記載がある (環境省リスク評価第8巻 (2010)、ACGIH (7th, 2001)、CICAD 3 (1998)、PATTY (6th, 2012))。ヒトにおいては、吸入ばく露で、腹痛、咳、咽頭痛、頭痛、吐き気、嘔吐、眩暈、嗜眠、錯乱、振戦、痙攣、経口摂取では腹痛や吐き気、嘔吐が認められている。また、経路不明ながら、自殺、事故、作業者、ボランティアのばく露などの報告で、混迷、平衡感覚喪失、眠気、痙攣、昏睡、振戦、眩暈、中枢神経系機能低下、意識喪失、協調運動障害、知覚麻痺、傾眠など中枢神経系への影響、肝細胞崩壊、肝変性、肝うっ血、肝壊死、肝脂肪変性、重度の肝障害、黄疸、肝肥大などの肝臓への影響、尿細管損傷など腎臓への影響、肺のうっ血、肺水腫、心外・内膜の出血、食道、胃粘膜のうっ血、死亡が報告されている (環境省リスク評価第8巻 (2010)、ACGIH (7th, 2001)、CICAD 3 (1998)、PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on August 2014)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1984)、SIDS (2005)、ATSDR (2008))。
実験動物では、致死量を超えない濃度のばく露で主要標的臓器は中枢神経系であり、遅延性の麻酔作用様症状及び肝細胞変性 (2週間観察期間の終わりに観察されている) の報告がある (SIDS (2005))。また、マウスの1,091 ppm (7.49 mg/L) 吸入ばく露 (30分) で、反射反応低下、ラットの200 ppm (1.37 mg/L) 吸入ばく露 (6時間) で、自発運動減少 (ACGIH (7th, 2001))、その他、運動失調、衰弱、麻酔作用の報告がある (ATSDR (2008))。
以上より、ヒトにおける中枢神経系、肝臓、腎臓への影響、気道刺激性、麻酔作用を影響とみなし、区分1 (中枢神経系、肝臓、腎臓)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。なお、肺への影響 (肺のうっ血、肺水腫)は二次的変化とみなし、区分の対象としなかった。
平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (中枢神経系、肝臓)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
本物質に63-686 mg/m3の濃度で職業ばく露を受けたインドの作業者380名の疫学調査で、中枢神経症状 (振戦、頭痛、めまい)、消化器症状 (食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛) がみられた (ATSDR (2008)、SIDS (2005)、ACGIH (7th, 2001)、CICAD 3 (1998)、環境省リスク評価第8巻 (2010)) との記述、本物質に10-1,700 mg/m3の濃度でばく露を受けたハンガリーの作業者の疫学調査で、触診と肝機能検査により約半数例が肝炎と診断され、一部は肝機能異常、肝臓の肥大もみられ、また食欲不振、頭痛、胃痛などの症状もみられた (ATSDR (2008)、CICAD 3 (1998)、環境省リスク評価第8巻 (2010))との記述より、中枢神経系、肝臓、消化管が標的臓器と考えられた。ただし、消化器症状については、特定の症状とばく露濃度との間に相関がなく、ばく露中止により早期に消失する (ATSDR (2008)) との記述があり、消化器を特定標的臓器とするには質的に客観的な証拠を欠いているものと考えた。
実験動物ではラット及びマウスに14週間混餌投与した試験において、ラットでは区分2の用量範囲 (20-80 mg/kg/day) で肝臓への影響 (肝細胞空胞化、肝細胞肥大、壊死、色素沈着、血清ALT、SDH (sorbitol dehydrogenase) の上昇) がみられ、マウスでも肝臓相対重量の増加、血清SDHの上昇が80 mg/kg/dayでみられた (IRIS (2010)、ATSDR (2008)、PATTY (6th, 2012)) との記述より、肝臓が標的臓器である。さらに、ラットに3週間混餌投与した試験で、区分2相当用量 (104-208 mg/kg/day (90日換算: 24-48 mg/kg/day相当)) で、肝臓への影響 (肝細胞の肥大、空胞化) に加え、中枢神経症状として嗜眠がみられた (SIDS (2005)、ATSDR (2008))。この他、1濃度のみの試験であるが、ラット15週間吸入ばく露試験でも、560 ppm (3,850 mg/m3: 区分外相当) のばく露で初期に中枢抑制症状がみられた (SIDS (2005)) との記述がある。
以上、ヒト及び実験動物での有害性知見から、区分1 (中枢神経系、肝臓) に分類した。
平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、20℃での動粘性率は1.11 mm2/sec (計算値: HSDB (Access on August 2014)) であるが、「炭化水素」ではなく、分類の判定基準に該当しない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=9.3mg/L(SIDS、2005)他から、区分2とした。 平成22年度(2010年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分に該当しない
-
-
- - 急性毒性が区分2であるものの、甲殻類(オオミジンコ)の28日間NOEC=6.9mg/L(SIDS、2005)他から判断して、区分外とした。 平成22年度(2010年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 平成22年度(2010年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)


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  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
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