製品安全

平成13年度事故情報収集制度報告書概要

平  成 14年 10月 15日
独立行政法人製品評価技術基盤機構
経済産業大臣の指示を受けて独立行政法人製品評価技術基盤機構が運用している事故情報収集制度に基づき、平成13年度に収集した製品事故に係る情報を取りまとめた。

Ⅰ 事故情報収集制度において収集する事故情報

事故情報収集制度によって収集する事故情報は、経済産業省が所管している消費生活用製品(家庭用電気製品、燃焼器具、乗物、レジャー用品、乳幼児用品等)が関係して発生した事故で、①人的被害が生じた事故、②人的被害が発生する可能性の高い物損事故及び③人的被害が発生する可能性の高い製品の欠陥を対象としている。

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Ⅱ 事故情報の収集体制と事故情報収集件数

平成13年度に収集した製品事故情報は、1,569件です。
製品区分別の収集件数の割合は、「家庭用電気製品」が約44%、「燃焼器具」が約28%となっています。

事故情報は、消費者、全国の消費生活センター、行政機関、製造事業者等からの通知情報、新聞、インターネットに掲載された事故情報について、全国から積極的に収集している。
平成13年度、事故情報の総収集件数は1,852件で、調査の結果、製品が事故発生に関係していないもの、経済産業省の所管製品以外で本制度の対象外のもの及び重複して収集されたもの
を除く収集件数は1,569件(平成14年8月10日現在、調査中を含む。)である。
表1 製品区分別事故情報収集件数
番号 製品区分 事故件数
1 家庭用電気製品    692件 44.1%
2 燃焼器具       443件 28.2%
3 乗物・乗物用品   187件 12.0%
4 身のまわり品    94件 6.0%
5 家具・住宅用品   62件 4.0%
6 保健衛生用品    33件 2.1%
7 レジャー用品    28件 1.8%
8 台所・食卓用品   17件 1.0%
9 乳幼児用品     8件 0.5%
10 繊維製品      5件 0.3%
11 その他       0件 0.0%
  合計    1,569件 100.0%

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Ⅲ 平成13年度の事故調査結果と事故動向

1.事故原因

事故原因が判明した事故情報は、850件です。
「製品に起因する事故」422件のうち、製品の設計、製造又は表示に問題があると判断される事故が約93%を占めています。
「製品に起因しない事故」428件のうち、約83%が専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられる事故です。

収集した事故情報のうち、平成14年8月10日現在で調査が終了し、事故原因が判明したものは850件である。
「製品に起因する事故」で、製品の設計、製造又は表示に問題があると判断される事故は「製品に起因する事故」の約93%を占めている。
「製品に起因しない事故」では、消費者の「誤使用や不注意による事故」が「製品に起因しない事故」の約83%を占めている。
表2  事故原因別の事故件数      (平成14年8月10日現在)
事故原因区分 件数(件)
製品に起因する事故                                      422
  A: 専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの   391
B: 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの    13
C: 製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの    18
製品に起因しない事故                                     428
  D: 業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの    31
E: 専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの   355
F: その他製品に起因しないと考えられるもの    42
事故原因が判明しないもの                                   719
  G: 原因不明のもの   269
H: 調査中のもの   450
合計 1,569

2.被害状況

製品に起因する事故のうち、死亡、重傷、軽傷の人的被害のあったものは78件、物的被害に拡大したものは344件です。
製品に起因しない事故のうち、死亡、重傷、軽傷の人的被害のあったものは
165件、物的被害に拡大したものは264件です。

「製品に起因する事故」のうち、死亡事故1件は、いわゆる「省エネ五徳」を使用中の一酸化炭素中毒による事故である。
重傷事故5件は、「自転車」、「乳母車」、「乗車用ヘルメット」、「ゆたんぽ(電子レンジ用)」、「ふろがま」の製品で発生している。
「製品に起因しない事故」のうち「誤使用や不注意による事故」の死亡事故、重傷事故の例をみると、電気ストーブをつけたまま就寝して寝返り等により布団が電気ストーブに触れたために発生した火災で死亡したもの、使用中のガスこんろの横にカセットこんろを置いていたためにカセットこんろの燃料ボンベが過熱して爆発し、けが(重傷)を負ったもの等がある。
表3 事故原因別被害状況(調査が終了し、事故原因が確定したもの。)
  事故原因区分
被害状況
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 
小計 小計
死亡 33 35
重傷 20 23
軽傷 66 72 78 23 107
拡大被害 237 249 10 190 10 210
製品破損 82 93 13 31 49
被害無し
合計 391 13 18 422 31 355 42 428
(事故原因区分)
  • A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  • B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  • C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  • D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  • E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  • F:その他製品に起因しないと考えられるもの。

3.再発防止措置

製品に起因する事故のうち、製造事業者の再発防止措置が必要と考えられる事故に対しては、すべて措置が講じられています。

「製品に起因する事故」のうち、約96%の事故に対して製造事業者の再発防止措置が講じられている。残りの約4%は、火災等で製品の製造事業者等が特定できず対応が不可能であったもの、経年劣化で発生した事故で、当該製品の残存も少なく同種事故の収集もないことから、措置が取られていないもの等であり、再発防止措置が必要と考えられるものについては100%対応されている。
再発防止措置が講じられた事故については、製造事業者等により新聞、ホームページ等に社告等が掲載され、製品の回収・交換等が実施されている。表示や使用方法の問題で発生した事故等は、ダイレクトメール、事業者ホームページ等で消費者に注意喚起を行ったり、製造工程の改善、品質管理の徹底・強化又は取扱説明書や表示の改善等の再発防止措置をとっている。

4.平成13年度の事故動向

平成13年度は、「直流電源装置」の事故が多数、収集されています。

①製品別の事故

平成13年度のワースト5をみると、「直流電源装置」(シェーバーに使われる充電器など)による事故情報の収集件数が最多である。これは特定の事業者の製品に発煙・発火の事故が200件以上多発したもので、社告、回収中のものである。
「石油ストーブ」による事故情報の収集件数は、毎年1位又は2位であり、事故情報の収集件数が多い代表的な製品となっている。「石油ストーブ」の事故は、石油ストーブで乾かしていた洗濯物がスートブ上に落下して火災になったもの、カートリッジタンクのふたの締め付けが不十分で、灯油が漏れて火災になったものが多く、事故原因のほとんどは使用者の誤使用、不注意に区分されている。
「四輪自動車」の事故情報も毎年多く収集される。その多くは車両火災であり、焼損が著しく原因不明となる場合が多いが、オイル漏れ、ガソリン漏れ、電気配線の短絡や修理作業後の可燃物の置き忘れ等、整備や修理不良によるものが散見される。
「カラーテレビ」の事故情報は、平成12年度に3事業者が「長期間使用すると発火することがある。」として社告し、回収・修理を実施したこともあり、平成13年度は平成12年度より減少している。
表4 年度別事故上位5品目
  平成11年度
(事故情報件数956件)
平成12年度
(事故情報件数1448件)
平成13年度
(事故情報件数1569件)
順位 品名 件数 割合% 品名 件数 割合% 品名 件数 割合%
1 石油ストーブ 150 16 冷蔵庫 146 10 直流電源装置 218 14
2 四輪自動車 112 12 石油ストーブ 130 9 石油ストーブ 184 12
3 ガスこんろ(LP) 42 4 四輪自動車 116 8 四輪自動車 130 8
4 簡易ガスライター 34 4 カラーテレビ 90 6 カラーテレビ 65 4
5 電気ストーブ 32 3 直流電源装置 64 4 簡易ガスライター 62 4
合計   370 39   546 37   659 42
「製品に起因する事故」のワースト5をみると、平成13年度は、電気シェーバー充電用の直流電源装置(設計不良による発煙・発火)の事故が多発したため、他の製品より目立った結果となっている。
 
表5   年度別「製品に起因する事故」上位5品目
  平成11年度(調査終了:948件) 平成12年度(調査終了:1,395件) 平成13年度(調査終了:1,119件)
順位 品名 件数 割合% 品名 件数 割合% 品名 件数 割合%
1 簡易ガスライター 16 1.7 冷蔵庫    142 10.2 直流電源装置 201 18.0
2 自転車    13 1.4 直流電源装置 64 4.6 簡易ガスライター 26 2.3
3 冷蔵庫    11 1.2 電気衣類乾燥機 52 3.7 加湿器    19 1.7
4 四輪自動車  10 1.1 カラーテレビ  50 3.6 カラーテレビ  18 1.6
5  カラーテレビ
室内灯
8
8
0.8
0.8
簡易ガスライター  23  1.6  掃除機     18  1.6 
合計    66 7.0   331 23.7   282 25.2
「誤使用や不注意による事故」のワースト5をみると、最近3年間では石油ストーブ、ガスこんろ(LPガス用)がワースト5の1位、2位を占め、燃焼器具が上位を占めている。
「誤使用や不注意による事故」の情報は、当機構のホームページや事故情報収集結果報告書等で消費者や製造事業者等に情報提供して注意を促している。
「誤使用や不注意による事故」が多い石油ストーブやガスこんろの製造事業者等では、このような事故を少なくするため、本体に目立つ注意表示を行う等の改善や消し忘れや過熱による火災事故を防止する装置を取り付ける等、安全性を向上させた製品を開発し、販売している。しかし、「誤使用や不注意による事故」が依然と発生していることから、消費者に対してより一層の注意喚起や消費者教育が重要かつ有効といえる。
表6  年度別「誤使用や不注意による事故」の上位5品目
  平成11年度(調査終了:951件) 平成12年度(調査終了:1,395件) 平成13年度(調査終了:1,119件)
順位 品名 件数 割合% 品名 件数 割合% 品名 件数 割合%
1 石油ストーブ   123 13.0 石油ストーブ   109 7.8 石油ストーブ   103 9.2
2 ガスこんろ(LPガス) 38 4.0 ガスこんろ(LPガス) 40 2.9 ガスこんろ(LPガス) 27 2.4
3 四輪自動車   28 3.0 四輪自動車   32 2.3 電気ストーブ   21 1.9
4 電気ストーブ  27 2.8 電気ストーブ   15 1.1 ガスこんろ(都市ガス) 13 1.2
5 石油ファンヒーター 13 1.4 石油ファンヒーター 14 1.0 石油ファンヒーター 11 1.0
合計   229 24.2   210 15.1   175 15.6
<本件問い合わせ先>
独立行政法人製品評価技術基盤機構
生活・福祉技術センター 業務管理課  浅井、小田
Tel
06-6942-1112(代)
Fax
06-6946-7280
ホームページアドレス:
http://www.jiko.nite.go.jp

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
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