製品安全

事故情報収集制度における事故情報の調査結果及び収集状況について(平成15年度第1四半期)

平成15年 9 月30日
独立行政法人製品評価技術基盤機構

はじめに

経済産業省が所管する消費生活用製品等に関する事故情報の収集については、経済産業省から、製造・輸入事業者、地方公共団体、消費生活センター、消費者団体等に対して、事故情報を独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下「機構」という。)に通知するよう協力を求めているところです。
機構は、これによって通知された事故情報と自ら収集した事故情報のすべてについて、通知者、製造・輸入事業者、関係者からの聴取を行うほか、事故発生現場の確認や事故品の入手等に努めるとともに、必要に応じてテスト等を実施して技術的な調査及び評価を行い、事故原因の究明と事業者の再発防止措置の評価を行っています。これらの事故情報やその調査状況・調査結果は、随時経済産業省に報告され、必要な場合には経済産業省により事業者や業界に対して行政措置が講じられることとなります。
本書は、こうした事故情報収集制度に基づき、平成15年度第1四半期(平成15年4月~6月)において、機構が事故情報に関し調査、確認、評価を行った上で、専門家により構成される事故動向等解析専門委員会による検討を経た結果及び機構が収集した事故情報の収集状況について取りまとめて公表するものです。

ページトップへ

Ⅰ.事故情報調査結果

1.製品区分別事故原因

平成15年度第1四半期中に事故原因等の調査が終了し、事故動向等解析専門委員会の審議を終えたものは368件でした。その内訳は平成13年度収集分12件、平成14年度収集分356件です。
この期間中に調査が終了した事故情報を年度ごとに製品区分別、事故原因区分別に示したものが表1-1及び表1-2です。
 表1-1 製品区分別、事故原因別の事故件数           (平成15年度第1四半期分) 
   製品区分
年度
件数(件)  合計
事故原因区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因不明のもの
設計、製造又は表示等に問題があったもの 製品及び使い方に問題があったもの 経年劣化よるもの 施工、修理又は輸送等に問題があったもの 誤使用や不注意によるもの その他製品に起因しないもの
平成
13
年度
家庭用電気製品
台所・食卓用品
燃焼器具
家具・住宅用品
乗物・乗物用品
合計 12
表1-2 製品区分別、事故原因別の事故件数           (平成15年度第1四半期分)
   製品区分
年度
件数(件)  合計
事故原因区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因不明のもの
設計、製造又は表示等に問題があったもの 製品及び使い方に問題があったもの 経年劣化よるもの 施工、修理又は輸送等に問題があったもの 誤使用や不注意によるもの その他製品に起因しないもの
平成
14
年度
家庭用電気製品 74 22 28 134
台所・食卓用品
燃焼器具 119 13 137
家具・住宅用品 11 18
乗物・乗物用品 14 12 36
身のまわり品 15
保健衛生用品
レジャー用品
乳幼児用品
繊維製品
その他
合計 101 10 171 57 356

2.事故原因別被害状況

調査が終了したものについて、事故原因別に被害状況を整理したものが表2です。
表2 事故原因別被害状況                (平成15年度第1四半期分)
  被害状況

件数(件)  合計
事故原因区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因不明のもの
設計、製造又は表示等に問題があったもの 製品及び使い方問題のあったもの 経年劣化によるもの 施工、修理又は輸送等に問題があったもの 誤使用や不注意によるもの その他製品に起因しないもの


13

人的
被害
死亡
重傷
軽傷
物的
被害
拡大被害
製品破損
被害なし
合計 12


14

人的
被害
死亡 24 31
重傷 13 23
軽傷 19 45 15 79
物的
被害
拡大被害 37 77 23 148
製品破損 43 66
被害なし
合計 101 10 171 57 356

3.製品区分別再発防止措置等の実施状況

製品に起因する事故(平成13年度:3件、平成14年度:113件)について、製造を終了して長期間が経過している製品などで既に廃棄されるか又は残存数がわずかと考えられるものを除き、製造事業者などによる事故の再発防止措置が行われたものは、平成13年度3件、平成14年度
 107件でした。
事故の再発防止のために実施された措置は、事故の原因により複数の措置が実施されており、実施された再発防止措置をその措置内容と製品区分別に整理したものが表3です。
表3 製品区分別再発防止措置等の実施状況 (注)     (平成15年度第1四半期分)
    製品区分
年度



再発防止措置
製品交換、部品交換、安全点検等 製品の製造、販売又は輸入を中止 製品改良、製造工程改善、品質管理強化等 表示改善、取扱説明書見直し 消費者への注意喚起 被害者への個別措置
平成
13
年度
家庭用電気製品
台所・食卓用品
燃焼器具
家具・住宅用品
乗物・乗物用品
身のまわり品
保健衛生用品
レジャー用品
乳幼児用品
繊維製品
その他
合計
平成
14
年度
家庭用電気製品 76 68 72 67 72
台所・食卓用品
燃焼器具
家具・住宅用品 11 10 11 10
乗物・乗物用品
身のまわり品
保健衛生用品
レジャー用品
乳幼児用品
繊維製品
その他
合計 107 83 98 72 96
注:
事故の発生に対して取られた複数の再発防止措置をそれぞれの措置ごとに集計。

ページトップへ

Ⅱ.事故情報収集状況

1.事故情報収集件数

平成15年度第1四半期中に収集した製品事故の情報は462件でした。
このうち、同一の製品事故に対して複数の通知者から通知(報告)された重複情報を除いた事故情報は418件でした。

2.製品区分別事故情報収集件数

事故情報の通知者別の収集件数は、表4のとおりです。
製品区分別の事故情報収集件数は、表5に示すとおりで「燃焼器具」の収集件数が最も多く、次いで「家庭用電気製品」、「乗物・乗物用品」の順に収集件数が多くなっています。
上位3製品区分に係る事故情報の合計は370件で、収集した事故情報に占める割合は約89%となっています。
表4 通知(報告)者別事故情報収集件数
(平成15年度第1四半期分)
事故情報通知(報告)者 件数及び割合
当機構(新聞情報) 207件  49.5%
製造事業者等   78件  18.7%
自治体(消防機関含む)   42件  10.1%
消費生活センター等   59件  14.1%
国の機関   26件   6.2%
消費者    5件   1.2%
その他    1件   0.2%
合計 418件 100.0%
表5 製品区分別事故情報収集件数
(平成15年度第1四半期分)
順位 製品区分 件数及び割合
  1 燃焼器具 171件  40.9%
  2 家庭用電気製品  146件  34.9%
  3 乗物・乗物用品   53件  12.7%
  4 身のまわり品   27件   6.5%
  5 家具・住宅用品    8件   1.9%
  6 保健衛生用品    3件   0.7%
  6 レジャー用品    3件   0.7%
  6 乳幼児用品    3件   0.7%
  9 台所・食卓用品    2件   0.5%
  9 繊維製品    2件   0.5%
合計 418件 100.0%

3.品目別事故情報収集件数

事故情報を品目別に分け、収集件数の多い順に示したものが表6です。
「ガスこんろ」(火災)、「四輪自動車」(車両火災)、「直流電源装置」(発煙・発火)、「石油ストーブ」(火災)、簡易ガスライター(火傷等)の順に収集件数が多くなっています。
「直流電源装置」(シェーバー用充電器)の事故情報は、製造事業者から報告されたもので、社告が行われている製品に係るものです。
表6 事故情報収集上位5品目
平成15年度第1四半期
(事故情報収集件数418件)
順位 品目名 件数 割合%
1 ガスこんろ(*) 63 15.1
2 四輪自動車 30 7.2
3 直流電源装置 27 6.5
4 石油ストーブ 26 6.2
5 簡易ガスライター 17 4.1
合計 163 39.1
*:ガス種別内訳は次のとおり
LPガス用
23件
都市ガス用
5件
不明
35件

4.被害状況

事故の被害状況は、表7のとおりです。
人的被害の発生した事故情報は145件で、その内訳は、死亡事故37件、重傷事故14件、軽傷事故94件です。
人的被害はなく、火災の発生や製品周辺に被害が広がる等の拡大被害が発生したものは91件でした。
表7 製品区分別被害状況                  (平成15年度第1四半期分)
製品区分 被害状況
収集件数
人的被害 物的被害 被害なし
死亡 重傷 軽傷 拡大被害 製品被害
燃焼器具 171件 23件 6件 41件 11件 89件 1件
家庭用電気製品 146件 5件 1件 22件 41件 76件 1件
乗物・乗物用品 53件 7件 3件 7件 31件 5件 0件
身のまわり品 27件 0件 2件 16件 5件 4件 0件
家具・住宅用品 8件 2件 0件 2件 0件 4件 0件
保健衛生用品 3件 0件 0件 1件 0件 1件 1件
レジャー用品 3件 0件 2件 1件 0件 0件 0件
乳幼児用品 3件 0件 0件 2件 1件 0件 0件
台所・食卓用品 2件 0件 0件 1件 1件 0件 0件
繊維製品 2件 0件 0件 1件 1件 0件 0件
合計 418件 37件 14件 94件 91件 179件 3件

5.社告状況

今期間中に製造事業者等から製品の欠陥や不具合による事故の発生を防止するための社告が12件、16事業者から行われ、「ハロゲンヒーター」、「ベビーカー」、「掛け時計」、「電気玩具」、「24時間風呂」などの製品について回収、交換等の措置が行われました。
また、「ACアダプター(電動スクーター用)」、「石油直圧式給湯器」については、再社告が行われました。

ページトップへ

おわりに

1.事故情報調査結果について

平成14年度に収集した事故情報のうち、第1四半期に調査が終了し、事故原因が判明したものの約1/3が「製品に起因する事故」であり、製造事業者等による消費者への注意喚起、製品の改良、表示の改善などの再発防止措置がとられています。

「製品に起因する事故」のうち、「直流電源装置」(シェーバー用充電器)に関するものが多数含まれていますが、当該製品の販売事業者は新聞紙上に数回の社告を行うことなどにより、製品を回収しています。

「製品に起因しない事故」のうち、誤使用や不注意によるものが9割以上を占めており、「ガスこんろ」を使用中にその場を離れて、天ぷら油やなべが過熱し火災に至ったもの、「石油ストーブ」の火を消さずに給油タンクに給油し、ストーブにセットする際、タンクのふたが確実にしまっていないためにこぼれた灯油に引火して火災に至ったもの、「石油ストーブ」の上に干していた洗濯物が落下し、火災に至ったものなどの事故が多く発生しています。

2.事故情報収集状況について

第1四半期に収集された事故情報は、「石油ストーブ」、「電気ストーブ」などの暖房器具や「ガスこんろ」などが関係する火災事故の情報が数多く収集されました。

製造事業者からは「直流電源装置」(シェーバー用充電器)が発煙・発火した事故、「電気掃除機」のハンドルが折れ、本体が足の上に落下してけがをした事故などの情報が多く報告されました。

ページトップへ

備考

  • 当四半期において調査が終了した事故情報を含む、平成13年度、平成14年度の製品区分別被害状況、製品区分別事故原因、事故原因別被害状況、製品区分別再発防止措置等の実施状況を別表1から別表8に示しております。ご参照ください。

別表1 製品区分別被害状況

別表2 製品区分別事故原因

別表3 事故原因別被害状況

別表4 製品区分別再発防止措置等の実施状況

別表5 製品区分別被害状況

別表6 製品区分別事故原因

別表7 事故原因別被害状況

別表8 製品区分別再発防止措置等の実施状況

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図