製品安全

事故情報収集制度における事故情報の調査結果及び収集状況について(平成15年度第2四半期)

平成15年 12 月 5 日
独立行政法人製品評価技術基盤機構

はじめに

経済産業省が所管する消費生活用製品等に関する事故情報の収集については、経済産業省から、製造・輸入事業者、地方公共団体、消費生活センター、消費者団体等に対して、事故情報を独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下「機構」という。)に通知するよう協力を求めているところです。
機構は、これによって通知された事故情報と自ら収集した事故情報のすべてについて、通知者、製造・輸入事業者、関係者からの聴取を行うほか、事故発生現場の確認や事故品の入手等に努めるとともに、必要に応じてテスト等を実施して技術的な調査及び評価を行い、事故原因の究明と事業者の再発防止措置の評価を行っています。これらの事故情報やその調査状況・調査結果は、随時経済産業省に報告され、必要な場合には経済産業省により事業者や業界に対して行政措置が講じられることとなります。
本書は、こうした事故情報収集制度に基づき、平成15年度第2四半期(平成15年7月~9月)において、機構が事故情報に関し調査、確認、評価を行った上で、専門家により構成される事故動向等解析専門委員会による検討を経た結果及び機構が収集した事故情報の収集状況について取りまとめて公表するものです。

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Ⅰ.事故情報調査結果

1.製品区分別事故原因

平成15年度第2四半期中に事故原因等の調査が終了し、事故動向等解析専門委員会の審議を終えたものは468件でした。その内訳は平成13年度収集分22件、平成14年度収集分319件、平成15年度収集分127件です。
この期間中に調査が終了した事故情報を年度ごとに製品区分別、事故原因区分別に示したものが表1です。
表1 製品区分別、事故原因別の事故件数             (平成15年度第2四半期分)
   製品区分
年度
件数(件)  合計
事故原因区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因不明のもの
設計、製造又は表示等に問題があったもの 製品及び使い方に問題があったもの 経年劣化よるもの 施工、修理又は輸送等に問題があったもの 誤使用や不注意によるもの その他製品に起因しないもの
平成
13
年度
家庭用電気製品
台所・食卓用品
燃焼器具
家具・住宅用品
乗物・乗物用品
身のまわり品
保健衛生用品
繊維製品
合計 22
平成
14
年度
家庭用電気製品 77 26 10 41 162
台所・食卓用品
燃焼器具 96 13 117
家具・住宅用品 12
乗物・乗物用品 12
身のまわり品
保健衛生用品
レジャー用品
乳幼児用品
合計 88 136 12 70 319
平成
15
年度
家庭用電気製品 34 58
燃焼器具 29 37
家具・住宅用品
乗物・乗物用品 11
身のまわり品 13
レジャー用品
乳幼児用品
繊維製品
合計 42 47 24 127

2.事故原因別被害状況

調査が終了したものについて、事故原因別に被害状況を整理したものが表2です。
表2 事故原因別被害状況                (平成15年度第2四半期分)
  被害状況

件数(件)  合計
事故原因区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因不明のもの
設計、製造又は表示等に問題があったもの 製品及び使い方問題のあったもの 経年劣化によるもの 施工、修理又は輸送等に問題があったもの 誤使用や不注意によるもの その他製品に起因しないもの


13

人的
被害
死亡
重傷
軽傷
物的
被害
拡大被害 10
製品破損
被害なし
合計 22


14

人的
被害
死亡 16 24
重傷
軽傷 11 35 11 62
物的
被害
拡大被害 58 71 39 182
製品破損 14 12 34
被害なし 10
合計 88 136 12 70 319


15

人的
被害
死亡
重傷
軽傷 16 26
物的
被害
拡大被害 27 21 12 66
製品破損 10 18
被害なし
合計 42 47 24 127

3.製品区分別再発防止措置等の実施状況

製品に起因する事故(平成13年度:4件、平成14年度:95件、平成15年度:48件)について、製造を終了して長期間が経過している製品などで既に廃棄されるか又は残存数がわずかと考えられるものを除き、製造事業者などによる事故の再発防止措置が行われたものは、平成13年度4件、平成14年度91件で、平成15年度45件でした。
事故の再発防止のために実施された措置は、事故の原因により複数の措置が実施されており、実施された再発防止措置をその措置内容と製品区分別に整理したものが表3です。
表3 製品区分別再発防止措置等の実施状況 (注)        (平成15年度第2四半期分)
    製品区分
年度



再発防止措置
製品交換、部品交換、安全点検等 製品の製造、販売又は輸入を中止 製品改良、製造工程改善、品質管理強化等 表示改善、取扱説明書見直し 消費者への注意喚起 被害者への個別措置
平成13
年度
家庭用電気製品
合計
平成14
年度
家庭用電気製品 80 70 77 67 75
台所・食卓用品
燃焼器具
家具・住宅用品
乗物・乗物用品
レジャー用品
乳幼児用品
合計 91 74 85 71 84
平成15
年度
家庭用電気製品 36 33 34 33 35
家具・住宅用品
身のまわり品
乳幼児用品
繊維製品
合計 45 37 42 34 44
注:
事故の発生に対して取られた複数の再発防止措置をそれぞれの措置ごとに集計。

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Ⅱ.事故情報収集状況

1.事故情報収集件数

平成15年度第2四半期中に収集した製品事故の情報は、同一の製品事故に対して複数の通知者から通知(報告)された重複情報を除き424件でした。

2.製品区分別事故情報収集件数

事故情報の通知者別の収集件数は、表4のとおりです。
製品区分別の事故情報収集件数は、表5に示すとおりで「家庭用電気製品」の収集件数が最も多く、次いで「燃焼器具」、「乗物・乗物用品」の順に収集件数が多くなっています。
上位3製品区分に係る事故情報の合計は348件で、収集した事故情報に占める割合は約82%となっています。
表4 通知(報告)者別事故情報収集件数
(平成15年度第2四半期分)
事故情報通知(報告)者 件数及び割合
当機構(新聞情報) 189件  44.6%
製造事業者等 140件  33.0%
自治体(消防機関含む)   19件   4.5%
消費生活センター等   48件  11.3%
国の機関   20件   4.7%
消費者    8件   1.9%
その他    0件   0.0%
合計 424件 100.0%
表5 製品区分別事故情報収集件数 
(平成15年度第2四半期分)
順位 製品区分 件数及び割合
  1 家庭用電気製品  176件  41.5%
  2 燃焼器具 114件  26.9%
  3 乗物・乗物用品   58件  13.7%
  4 身のまわり品   19件   4.5%
  5 家具・住宅用品   17件   4.0%
  6 保健衛生用品   16件   3.8%
  7 レジャー用品   14件   3.3%
  8 台所・食卓用品    6件   1.4%
  9 乳幼児用品    4件   0.9%
 10 繊維製品    0件    0%
 10 その他    0件    0%
合計 424件 100.0%

3.品目別事故情報収集件数

事故情報を品目別に分け、収集件数の多い順に示したものが表6です。
「直流電源装置」(発煙・発火)、「ガスこんろ」(火災)、「四輪自動車」(車両火災)、「エアコン」(発火)、「自転車」(部品破損・転倒等)の順に収集件数が多くなっています。
「直流電源装置」(シェーバー用充電器)の事故情報は、製造事業者から報告されたもので、社告が行われている製品に係るものです。
表6 事故情報収集上位5品目
平成15年度第2四半期
(事故情報収集件数424件)
順位 品目名 件数 割合%
1 直流電源装置 60 14.2
2 ガスこんろ(*) 56 13.2
3 四輪自動車 26 6.1
4 エアコン(室外機を含む) 17 4.0
4 自転車 17 4.0
合計 176 41.5
*:ガス種別内訳は次のとおり
LPガス用
22件
都市ガス用
4件
不明
30件

4.被害状況

事故の被害状況は、表7のとおりです。
人的被害の発生した事故情報は144件で、その内訳は、死亡事故37件、重傷事故32件、軽傷事故75件です。
人的被害はなく、火災の発生や製品周辺に被害が広がる等の拡大被害が発生したものは201件でした。
表7 製品区分別被害状況                  (平成15年度第2四半期分)
製品区分 被害状況
収集件数
人的被害 物的被害 被害なし
死亡 重傷 軽傷 拡大被害 製品被害
家庭用電気製品 176件 6件 2件 9件 127件 31件 1件
燃焼器具 114件 14件 11件 19件 62件 6件 2件
乗物・乗物用品 58件 5件 9件 7件 3件 33件 1件
身のまわり品 19件 0件 2件 13件 3件 1件 0件
家具・住宅用品 17件 6件 2件 6件 2件 1件 0件
保健衛生用品 16件 1件 2件 10件 3件 0件 0件
レジャー用品 14件 5件 3件 4件 1件 1件 0件
台所・食卓用品 6件 0件 0件 5件 0件 0件 1件
乳幼児用品 4件 0件 1件 2件 0件 0件 1件
繊維製品 0件 0件 0件 0件 0件 0件 0件
その他 0件 0件 0件 0件 0件 0件 0件
合計 424件 37件 32件 75件 201件 73件 6件

5.社告状況

今期間中に製造事業者等から製品の欠陥や不具合による事故の発生を防止するための社告が16件、18事業者から行われ、「電子レンジ」、「食器洗い乾燥機」、「電動ベッド」、「折りたたみ自転車」、「電動アシスト自転車」などの製品について回収、交換等の措置が行われました。
また、「石油直圧式給湯器」については、4事業者から再社告が行われました。
(別添:平成15年度第2四半期報社告回収等一覧表

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おわりに

1.事故情報調査結果について

第2四半期に調査が終了した事故情報の調査結果のうち、事故原因が判明したものの約1/3が「製品に起因する事故」であり、製造事業者等による消費者への注意喚起、製品の改良、表示の改善などの再発防止措置がとられています。

また、第1四半期と同様、「製品に起因する事故」のうち、「直流電源装置」(シェーバー用充電器)に関するものが多数含まれていますが、当該製品の販売事業者は10月29日の新聞紙上に6回目の社告を行うなど回収に努めているものの、未回収品について事故が続発しているものです。

「製品に起因しない事故」のうち、誤使用や不注意によるものが8割以上を占めており、「ガスこんろ」を使用中にその場を離れ、天ぷら油やなべが過熱し火災に至ったもの、「ガスこんろ」の近くに雑巾などの可燃物を置いていたために引火したもの、「ガスこんろ」が壁に近接して置かれていたため、長期間の使用により壁の中の木材が低温発火したものなど、「ガスこんろ」を使用中の事故が多く発生しています。その他、「照明器具(白熱電球)」に布等の可燃物が接触して発火したものや「釣り竿(カーボン製)」が鉄道の架線に触れて感電したものなどの事故が発生しています。

2.事故情報収集状況について

第2四半期に収集された事故情報は、「ガスこんろ」、「四輪自動車」などが関係する火災事故や「自転車」の破損・転倒による事故が多く収集されました。

製造事業者からは「直流電源装置」(シェーバー用充電器)が発煙・発火した事故、「エアコン(室外機を含む)」が発煙・発火した事故などの情報が多く報告されました。

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備考

  • 当四半期において調査が終了した事故情報を含む、平成13年度、平成14年度、平成15年度の製品区分別被害状況、製品区分別事故原因、事故原因別被害状況、製品区分別再発防止措置等の実施状況を別表1から別表12に示しております。ご参照ください。

別表1 製品区分別被害状況

別表2 製品区分別事故原因

別表3 事故原因別被害状況

別表4 製品区分別再発防止措置等の実施状況

別表5 製品区分別被害状況

別表6 製品区分別事故原因

別表7 事故原因別被害状況

別表8 製品区分別再発防止措置等の実施状況

別表9 製品区分別被害状況

別表10 製品区分別事故原因

別表11 事故原因別被害状況

別表12 製品区分別再発防止措置等の実施状況

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図