製品安全

平成18年度事故情報収集結果

 はじめに

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE:ナイト)は、消費生活用製品等に関する事故情報の収集を行い、その事故原因を調査究明し、結果を公表することによって事故の未然・再発防止を図り、国民生活の安全・安心のために求められる種々の情報を提供しています。
事故情報の収集に当たっては、経済産業省から、製造・輸入事業者及びそれらの関係団体、地方公共団体、消費生活センター、消費者団体等に向けて、消費生活用製品に関する事故情報をNITEに通知するよう働きかけが行われています。

NITEは、これら関係機関等から通知された事故情報と自ら収集した事故情報のすべてについて、通知者、製造・輸入事業者等から事故の事実関係等について聴取を実施するほか、事故発生現場の確認及び事故品の入手等に努め、事故原因の調査究明を行うとともに、必要に応じて事故品の同等品などを用いて実施する再現テスト等を通じて、製品に関する技術的な調査及び評価、事業者が取り組む事故再発防止措置の評価等を行っています。
また、事故原因の調査究明に当たっては、学識経験者等により構成される事故動向等解析専門委員会における審議を通じて、NITEの調査結果等についての妥当性を検証しています。
事故情報に関する調査状況・調査結果は、NITEは随時、経済産業省に報告するとともに、ホームページ等を通じて公表しています。
また、調査の結果を踏まえ、必要に応じて、経済産業省から事業者や業界に対して行政上の措置が講じられます。

本報告書は、平成18年度(平成18年4月~平成19年3月)に収集された事故情報の収集状況、平成18年度に調査・評価が終了し公表された事故情報に関する各種データ、事故情報調査結果の分析・評価と事故動向等について取りまとめ平成18年度版報告書として公表するものです。
製品に起因して発生したと判断された製品事故については、本報告書の中で製品の銘柄、型式、製造・輸入事業者名等の情報も併せて公表しています。これは同種事故の未然・再発防止を図るために行っているものです。
また、調査の結果、製品に起因しない誤使用や不注意による事故と判明したものについてもその内容を公表しています。これは消費者へ向けた注意喚起を行うとともに、製品の使用実態や事故の発生状況を製造・輸入・販売事業者に提供することにより、可能な限り誤使用や不注意とされる事故を技術的に防ぐ方法が採られることを期待するものです。

本報告書が、第一に、事業者に対する設計、製造、供給またはアフターサービスにおける望ましい対応を促すこと、第二に、消費者が安全に製品を使用するための注意喚起の情報を提供することを通じて、製品事故の減少に役立てていただければ幸いです。

平成19年12月4日
独立行政法人製品評価技術基盤機構

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1.事故情報収集制度において収集する事故情報

事故情報収集制度では、消費生活用製品等(家庭用電気製品、燃焼器具、乗物、レジャー用品、乳幼児用品等)が関係して発生した事故で、1.人的被害が生じた事故、2.人的被害が発生する可能性の高い物損事故、3.人的被害が発生する可能性の高い製品の不具合に関する情報の3種類についての事故情報を収集しています。

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2.事故情報の収集体制と事故情報収集結果

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)では、消費者をはじめ全国の消費生活センター、行政機関、製造・輸入事業者等から事故情報の通知を受けるとともに、新聞、インターネットに掲載された事故情報を全国から日々入手する体制(事故情報収集モニターの配置)を確立し事故情報を網羅的に収集することに努めています。
平成18年度における情報源別事故情報収集件数は、4,084件(表1)で、 前年度比約38%の増加となりました。
収集件数が最も多い情報源は「新聞情報等」で、全体の約45%を占めていますが、前年度比では約5%減でした。
次に、「製造事業者等」が約30%を占め、前年度比では115%増でした。この要因は、ガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故やシュレッダーによる幼児の指切断事故など私たちの身の回りで使用されている製品の事故が次々に明らかになり、社会問題として大きく取り上げられたことから、製造事業者等からの事故報告が多数寄せられることに至ったためと考えられます。これは、後に消費生活用製品安全法の改正・施行されることにつながりました。
以下、「消費生活センター等」の約9%、消防機関を含む「自治体等」の約7%、「国の機関」の約5%、「消費者」が約3%となっています。これら4機関からの事故情報提供は、いずれも前年度比180%増、37%増、376%増、145%増と大幅に増加しています。
表1 情報源別事故情報収集件数
  平成17年度 平成18年度 件数
前年費
構成比増減
情報源 件数 構成比 件数 構成比 ポイント数
製造事業者等 575件 19.5% 1235件 30.2% 115% 10.7
自治体(消防機関含む) 196件 6.6% 268件 6.6% 37% 0.0
消費生活センター等 135件 4.6% 379件 9.3% 180% 4.7
国の機関 46件 1.6% 219件 5.4% 376% 3.8
消費者 42件 1.4% 103件 2.5% 145% 1.1
その他 42件 1.4% 60件 1.4% 43% 0.0
小計 1036件 35.1% 2264件 55.5% 118% 20.4
新聞情報等 1916件 64.9% 1820件 44.5% ▲5% ▲20.4
合計 2952件 100.0% 4084件 100.0% 38%
(注)新聞情報では同一事故を複数紙が報道した場合でも1件とカウントしています。
収集された事故情報のうち、同一の製品事故に対して複数の情報源から通知されたもの、調査の結果、製品が事故発生に関係していないことが判明したもの及び事故品が経済産業省所管製品以外の製品であるものを除いた正味の事故情報は3,382件(平成19年6月11日現在。事故原因調査中のものを含む。)でした。
次に、製品区分別事故情報収集件数は表2のとおりです。
収集件数が最も多い製品区分は、「燃焼器具」で全体の約39%を占め、前年度比では54%増でした。これは、平成17年度の石油温風暖房機の事故に関する消費生活用製品安全法第82条に基づく緊急命令発動、 また、平成18年度のガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故等、燃焼器具の事故に関する新聞報道等が増えたことに伴い、製品安全に関する社会的関心が高まったことで事業者からの報告が増えたことが要因と考えられます。
次いで、「家庭用電気製品」の約38%(前年度比71%増)、「身のまわり品」の約7%(前年度比178%増)の順となっています。
表2 製品区分別事故情報収集件数
  平成17年度 平成18年度 件数
前年比
構成比増減
製品区分 件数 構成比 件数 構成比 (ポイント差)
燃焼器具 855件 41.4% 1314件 38.9% 54% ▲2.5
家庭用電気製品 759件 36.7% 1295件 38.3% 71% 1.6
身のまわり品 82件 4.0% 228件 6.7% 178% 2.7
乗物・乗物用品 187件 9.0% 208件 6.2% 11% ▲2.8
家具・住宅用品 74件 3.6% 160件 4.7% 116% 1.1
台所・食卓用品 22件 1.1% 72件 2.1% 227% 1.0
レジャー用品 58件 2.8% 34件 1.0% ▲41% ▲1.8
保健衛生用品 17件 0.8% 28件 0.8% 65% 0.0
繊維製品 7件 0.3% 22件 0.7% 214% 0.4
乳幼児用品 6件 0.3% 20件 0.6% 233% 0.3
その他 0件 0.0% 1件 0.0% 0.0
合計 2067件 100.0% 3382件 100.0% 64%
※:
本表の件数は、調査の結果、重複情報や収集対象外情報であることが判明したものを除いたものです。

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3.事故情報の調査

(1) 事故調査状況

NITEでは、収集した事故情報のすべてに対して、事故通知者等の関係者から事故の状況や事故に関係したと考えられる製品の詳細確認等の事故調査を行っています。 平成18年度では、電磁ノイズを原因とした電気こんろによる火災事故、食器洗い乾燥機からの出火事故等の計84件の事故について、現場調査を実施しました。
また、事故品や同等品が入手可能なものについては積極的にその入手に努め、原因究明のための調査を行っています。平成18年度では、石油給湯器の焼損事故、シュレッダーによる幼児指切断事故、温水洗浄便座からの発煙事故、電気ストーブによる発煙・発火事故、デスクマットによる皮膚炎発症事故、経年劣化による扇風機の発火事故等の計461件の事故について事故品を確認しました。(表3)
これらの調査の結果、製品の製造事業者名、型式等が判明した場合は、事故の再発防止を図るために、事故発生の情報を当該製造事業者等に通知し、事故再発防止措置等について報告書の提出を求め、その内容を確認、検討を行っています。 (表4)
また、必要に応じて事故原因及びその再発防止措置について製造事業者と意見交換を行い、適切な事故の未然・再発防止が図られるように努めています。
表3 NITEにおける事故調査状況(現場調査、事故品確認)
現場調査及び事故品確認状況 現場調査を実施したもの 84件
事故品を確認したもの 461件
表4 NITEにおける事故調査状況(製造事業者等の特定)
事故品の製造事業者等の特定状況 製造事業者等からの通知により判明したもの 899件
NITEの事故調査により判明したもの 777件

(2) 注目事故等の調査状況

NITEでは、死亡又は重傷の人的被害並びに火災等の拡大被害等の事故、同一型式製品で同種事故が多発した事故、法令の技術基準違反に係わる事故並びに事故の未然・再発防止の必要性の高い事故について、必要な措置が適宜実施可能となるように調査の進捗を確認する体制を取っています。
平成18年度において調査を行った注目・多発事故の代表的な事例としては、石油給湯器による出火事故、ガス衣類乾燥機による火災事故、デスクマットによるアレルギー性接触皮膚炎事故、電気こんろ(タッチスイッチ式)による出火事故等がありました。(表5)
表5  注目・多発事故事例
製品名 NITEの調査概要 講じられた再発防止措置
石油給湯器
【注目事故】
台所で湯を出して洗い物をしていたところ煙の臭いがし、その後、停電したので、屋外に出て確認したところ、屋外にある石油給湯器から出火していた。
石油給湯器を焼いたほか、周囲の波板も焼いたとの通知があった。
調査を行った結果、電磁ポンプユニットにある電磁弁のコイル巻き線が絶縁劣化し、抵抗値減少に伴う過熱状態となり、電磁弁内のOリングが溶融して変形したために漏れた灯油に引火し、出火に至ったものと推定した。
事業者は、過去の修理データに基づくユーザーリストによる点検を実施し、さらに同形式品の修理受付時に電磁ポンプユニットを無償交換することとした。
ガス衣類乾燥機
【注目事故】
【多発事故】
ガス衣類乾燥機を使用して5分位で異臭がしたのでドアを開けたところ内部で火災が発生し、室内を汚損したとの通知があった。
調査を行った結果、被洗物から出たリント(綿埃)がバックパネル、機内底面、排気筒に堆積し、バックパネルに堆積したリントがバーナーの熱をドラムに送る温風通気ダクト付近で着火して落下、機内底面に堆積したリントが燃え広がり、モルトプレーン及びブロアハウジングに延焼して火災に至ったものと推定した。
事業者は、平成15年12月15日けで新聞社告を行い、事故原因が判明するまで既販品への対策として機器の清掃点検と本体注意表示を実施し、同日にNITEも特記ニュースを発行した。
また、平成17年11月より顧客名簿を基に、ガス消費量を減少させるためノズル(オリフィス)の交換を行うほか、排気経路のシール材(モルトプレーン)を難燃性部材に交換する対策を実施した。
デスクマット
【多発事故】
デスクマットを使用したことにより、両前腕にアレルギー性接触皮膚炎を発症したとの通知があった。
調査を行った結果、当該デスクマットの表面には皮膚感作性物質であるピリジン系有機抗菌剤(2,3,5,6-テトラクロロ-4-〔メチルスルホニル〕ピリジン)が含有されていることから、この有機系抗菌剤との断続的な接触により、アレルギー性接触皮膚炎を発症したものと推定した。
事業者は平成18年10月11日から平成19年5月29日の間に新聞及びホームページに計8回の社告を掲載し、注意喚起、製品の回収・交換を実施している。
また、同様の事例について、平成17年8月~平成18年7月の間に13件の通知があったことから、NITEでは、平成18年12月13日付けの「特記ニュース」により、注意喚起を行った。
電気こんろ(タッチスイッチ式)
【多発事故】
長時間留守宅の電気こんろ付近より出火し、こんろの上に載せていた水切りかごや木製の茶碗を焼き、壁の一部も焼いた。なお、電気こんろの電源は切っていたとの通知があった。
調査を行った結果、電源から入る電磁ノイズによる再現試験(ファーストトランジェント・バーストイミュニティ試験)で、疑似ノイズを受けた際に電源スイッチが入通電状態に至ることが認められたため、他の電気製品のリレー等の入切時に発生した電源コードを伝わる電磁ノイズにより、電気こんろの制御基板のコントロールICが誤作動して電源スイッチが入り、こんろ上に置かれた可燃物を加熱・焼損させたものと推定した。
事業者は、当該機種は特定アパートに納入・設置されており、ユーザーが把握できているため、入居者への告知文のチラシを配布し、代替品への交換及び制御基板(改良品)の修理・交換を行っている。
電気ストーブ
【多発事故】
ハロゲンヒーターが突然破裂してランプがカーペットと床の上に飛散した。カーペットが燃え上がり床が焦げたためあわてて消し止めたとの通知があった。
破壊したガラス片を調査した結果、破損はガラスヒーター管の封止部に封止されている金属箔との境界から破壊が進行していること、複数のガラス片に曲げ加工で生じた残留ひずみが観察されたことから、封止部の加工処理が不十分であったため金属箔が酸化し体積が増加したため、金属箔との境界から破壊が進行し、残留ひずみの開放とハロゲンガスの内圧によって破損に至ったものと推定した。
事業者は平成18年3月6日付け新聞紙上に社告を掲載し、製品の点検・交換を実施している。
また、電気ストーブに関する発煙・発火事故が平成17年度で138件発生しており、16社においてリコールが実施されているが、回収や交換が必ずしも進んでいない状況にあることから、NITEでは、平成18年12月22日付け「特記ニュース」により、注意喚起を行った。
自転車用ハンドル錠
【注目事故】
【多発事故】
自転車で走行中、ハンドルが重くなって転倒し、男性が打撲と擦過傷を負ったとの通知があった。
調査を行った結果、ハンドルステムと一体となった錠付き自転車の安全機構として、走行中に誤ってハンドルロックした場合に錠内部の本体ギアが割れる設計になっていたものが、ギアの材質不良によりギアの歯の一部が欠けたことから、その金属片が回転部にかみ込み、ハンドル操作ができなくなり転倒したものと推定した。
事業者は、ハンドル錠のギア方式を変更し、平成17年8月12日付け及び平成18年5月24日付けのホームページに社告を掲載するとともに、顧客リストをもとにダイレクトメールを郵送して、製品点検とハンドル錠の無償交換を実施することとした。
電気乾燥洗濯機
【多発事故】
洗濯機を使用していたところ、発火に気付き消防へ通報した。洗濯機の一部と、洗面所、廊下の壁や天井の一部を焼損したとの通知があった。
調査を行った結果、当該機内ふたの上部にこぼれた洗剤に水が掛かり、洗剤液となって外曹部に流れ込み、ヒーターのリード線に付着し、毛細管現象によって吸い上げられた洗剤液がリード線の芯線を腐食させるとともに、脱水時の振動により、リード線が断線・スパークして近傍のプラスチック樹脂に着火し、焼損したものと推定した。
事業者は平成17年12月21日付けの新聞及びホームページに社告を掲載し、無償でヒーターリード線を毛細管現象が生じないテフロン線に変更し、ハーネス部組品にして交換を行っている。
配線コード(延長コード)
【多発事故】
事務所の机上で使用していたマルチタップから発火し、上に載せていた紙袋が燃え、液晶ディスプレイ筐体が熱で変形し、パーテーションの一部が焦げたとの通知があった。
調査を行った結果、サージ防止用のセラミックバリスターの取付部の焼損が著しく、はんだ付け不良もみられたことから、セラミックバリスターが絶縁破壊し、電極板が短絡して火災に至ったものと推定した。
事業者は平成18年1月13日からホームページで製品回収の告知を行い、平成18年2月6日付の新聞に社告を掲載し、製品の回収を実施している。  
草刈機
【注目事故】
草刈機の刈刃が回転した状態で、支えていた両手ハンドルを離したところ、同時に肩掛けバンドの樹脂製バックル部が外れ、回転している刈刃が地面に接触してバウンドし、草刈機本体が回転して刈刃が男性の左足太股外側にあたり、重傷を負ったとの通知があった。
肩掛けバンドのバックルはめあい部の爪部の引っかかりが少なかったためバックルが外れてしまい、また被害者が刈刃を回転させたまま両手ハンドルを離したことが重なり負傷したものと推定した。
事業者は平成18年2月9日付けの新聞及びホームページに社告を掲載し、無償で肩掛けバンドの交換を行っている。
なお、平成16年7月からバックルはめあい部のバリ取りを止めるとともに、同年11月からはバリをなくすため金型を変更した。
テーブル(ガラス製)
【多発事故】
テーブルのガラス製天板を固定している金具の接着部分が天板から外れ、これが床に落下し、子供の足に当たり、打撲を負ったとの通知があった。
調査を行った結果、天板と金具を固定するための接着剤の保管時の温度が高く、開栓したまま放置していたことに加え、塗布面にほこりが付着し、接着剤の塗布面積が50~70%であり、接着時間にばらつきもあったことから、十分な接着力が得られない製品が一部混在していたものと推定した。
事業者は、平成18年2月13日付けのホームページに社告を掲載し、無償で製品の回収・代替製品との交換を実施し、輸入及び販売を中止した。
なお、接着剤の管理を徹底し、接着条件を作業標準に明記・検査項目に追加した。また、接着工程の作業環境を整備することとした。
照明器具
(天井つり下げ型)
【多発事故】
居間で使用していたペンダントライトの吊り下げフック部分が折れて落下し、テーブル上の食器などを破損したとの通知があった。
調査を行った結果、当該品のL字型吊り下げフック部の長期耐久性が劣っていたため器具の自重に耐えられず、フックが伸びた(または破断した)ことにより器具が落下したものと推定した。
事業者は平成18年1月16日より当該品の販売を停止し、2月11日にはホームページ等で自主回収を実施し、更に5月17日付の新聞に社告を掲載し、製品の回収を行っている。
なお、吊り下げフックをL字型からO型に変更することとした。
電気湯沸器
【多発事故】
調乳ポットの取っ手とガラス容器をつなぐ取り付け部分が破損したとの通知があった。
調査を行った結果、ポリカーボネート製の取っ手のネジ穴部分が破損しており、この破面は最大応力の負荷されている部分からクラックが発生し繰り返しの応力で破壊に至る典型的な疲労破壊の破面であった。また、回収した商品のトルクを調べたところ、基準値を超えたものがあったことから、ネジを強く締め付けすぎたため金属バンド側からクラックが発生しはじめ、繰り返しの使用により破損に至ったものと推定した。
事業者は平成17年3月31日付けの新聞及びホームページに社告を掲載し商品の回収を行い、取っ手の樹脂をポリカーボネート製からメラミン樹脂製に変更した。
電気ストーブ
【注目事故】
木造2階建て住宅のトイレ付近から出火し、約90平方メートルを焼いたとの通知があった。調査を行った結果、ヒーターのリード線の圧着端子とリード線の圧着不良により、接触不良となり発熱し、発火したものと推定した。 事業者は平成17年12月8日付けの新聞に社告を掲載し、無償で点検・修理を行っている。 また、リード線の線径を太くすることで許容電流を大きくするとともに、圧着端子も小型から大型へ変更し、本体ケースの難燃性を強化することとした。
なお、NITEではホームページ上の事業者からのお知らせで、消費者への注意喚起を行った。
エアコン
【多発事故】
運転中のエアコン室内機から発煙したので、水及び消火器で消火したとの通知があった。
調査を行った結果、当該機内部のファンモーター電源コネクター部にトラッキング現象が発生したとみられる焼損が確認され、使用者がクリーニング業者に依頼して電気部品類を取り付けた状態でクリーニングを実施していることから、エアコン洗浄液やそれに類似する電気を通しやすい電解物質がコネクター部に付着・残留し、さらに内部で発生した結露でトラッキング現象を誘発したものと推定した。
事業者は平成16年8月20日付け新聞及びホームページに社告を掲載し、無料で点検・修理を行っている。
また、ファンモーター電源コネクター部のトラッキングを誘発した原因と見られるエアコンクリーニング時における洗浄液及びこれに類似する電解物質の侵入防止策としてファンモーター電源コネクター部にカバーを取付け、さらにコネクターカバーの中に絶縁シリコン剤を注入して、水分及び洗浄液等の浸入を防止する対策を実施した。
電動車いす
【多発事故】
駐車場で輪止めに乗り上げた後、着地した際に左前輪タイヤが横を向き、アッパーアームを取り付けているブラケット溶接が外れたとの通知があった。
調査を行った結果、電動車いすのアッパーアームが取り付くブラケットの溶接加工において、当該作業の習熟不足であったため、ベース側(パイプ)の溶け込みが不足していたため、走行時や輪止め等の段差乗り越えで前輪に負荷が加わり、ブランケットからアッパーアームが外れたものと推定した。
事業者は平成18年2月23日付けのホームページに社告を掲載し、ダイレクトメールでの注意喚起を実施し、当該フレームを点検し、アッパーアーム取り付けブランケットの溶接不良品を交換することとした。
なお、溶接方法を手溶接部品からロボット溶接部品へ変更することとした。
いす
(ガス昇降式、
学習用)
【多発事故】
いすのプラスチック製(ポリプロピレン)の脚が折れ、子供が転倒し、打撲を負ったとの通知があった。
調査を行った結果、事故品の断面には気泡及び銀白色現象(シルバーストリーク)が見られることから、樹脂材料の温度管理が不十分であったこと等が考えられるが、発生時期及び発生数が限定的であることから、成形工程において樹脂温度及び金型温度が安定するまでに製造された強度の低い不良品(捨て打ち品)が混入し、出荷されたことから強度不足で折れたものと推定した。
事業者は当該品の輸入・販売を中止するとともに、平成18年1月23日付のホームページに社告を掲載し、製品の回収を実施している
なお、製造工程で発生する捨て打ち品等の不良品は、良品と明確に区別して管理し、混入を防止することとした。

(3) 製品等の調査

NITEでは、「事故原因が不明の事故」、「多発の可能性がある事故」及び「事業者等の事故調査結果に疑義がある事故」等については、収集した事故情報の調査の一環として、事故品、同等品等を用いたテストを実施し、事故原因の究明を行っています。(表6)
また、事故原因を究明する手法が未整備のもの、事故原因の究明やテスト結果を評価するために必要な基礎データが不足しているものについては、原因究明手法開発調査を実施し、事故原因究明に必要な手法の整備や必要なデータの取得・蓄積をして事故の原因究明を迅速に行う環境を構築することに努めています。(表7)
さらに、収集した事故情報については、収集状況及び調査結果等に基づく事故動向の解析を行うとともに製品安全に関する調査を行っています。原因究明手法開発調査の結果及び製品安全に関する調査の結果などは、NITEの事故原因究明に活用するとともに、関係機関等へ提供しています。
平成18年度では、平成17年に石油温風暖房機から漏れた一酸化炭素による中毒事故が立て続けに4件発生し、2名が死亡、7名が重軽傷の通知があり、この4件の事故がいずれも特定の事業者のFF式の石油温風暖房機で発生していることから、事故発生についての原因究明を行った結果、
  • 1.FF式石油温風暖房機の2次エアホースに、オゾン等の酸化物質の影響により劣化しやすいNBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)が使用されていたこと。
  • 2.2次エアホースの設置位置の関係から取り付け時にストレスが残留したこと。
  • 3.長期の使用中に2次エアホースに生じた孔と給排気筒異常、送風機異常、熱交換器異常という複数の異常を併発していたこと。
    が判明しました。
以上の結果について、平成18年5月に経済産業省に報告を行うとともに、一酸化炭素中毒防止の観点から、再発防止のための提言を行いました。
表6  平成18年度の原因究明テスト・調査の例
件名 事故内容とテスト目的 テスト結果の概要
FF式石油温風暖房機 石油温風暖房機から漏れた一酸化炭素により使用者が死亡、重体となる事故が立て続けに発生したことから、石油温風暖房機から一酸化炭素が漏れた原因を調べた。 石油温風暖房機の長期の使用によって、取り付け時にストレスが残留した2次エアホースの湾曲部の表層に大気雰囲気中に存在するオゾン等の酸化物質が作用し、さらに熱が反応を促進し酸化したために、クラックが発生・成長し、孔を生じ、燃焼室側からその孔を通じて一酸化炭素を含んだ燃焼排ガスが逆流・漏洩したものと推定。さらに、それぞれの事故ごとに(具体的な例示を上げる)ことが燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度を増加させる結果となったものと推定した。
FE式ガス瞬間湯沸器 安全装置の不正改造等により、昭和60年から平成17年の間に28件の死亡、重体・重傷等の事故が発生したことから、不正改造に至る不具合状況を調べた。 1.ガス機器の作動に極めて重要な安全装置(コントロールボックス)に比較的早期にはんだ割れが発生し、ガスが点火しない状態になることが判明した。
2.安全装置を迂回して、ガスを点火できるようにする改造が容易に可能であった。
3.他社(11社)の製品のうち、1社13件(平成18年9月30日現在)を除き、改造事例がなかった。
ゆたんぽ(電子レンジ加熱式) 電子レンジ加熱式ゆたんぽを電子レンジで加熱したところ、取り出した際に破裂し、蓄熱材が飛散し、女性2人が火傷を負ったとの通知があった。近年、加熱しすぎによる同様事故が散見されることから、市場から電子レンジ加熱式ゆたんぽを購入し、加熱性能等を調べた。 内容物(蓄熱材)がジェル状9銘柄、固形(温めると液状になる)4銘柄、液状1銘柄を対象とし、
1.取扱い表示通りの加熱、
2.取扱い表示より過剰な加熱(ア.温かいうちの再加熱、イ.表示より高い出力での加熱、ウ.試料が破損するまでの連続加熱)を行った結果、取扱い表示通りの加熱では問題なかったが、2.(ア~ウ)では破裂し、高温の内容物が電子レンジの庫外へ飛散するケースも見られたことから、規定時間等を超えて加熱したことにより、蓄熱材(ポリエチレングリコール)が過剰に加熱され、内部圧力が高くなるとともに、本体容器(ポリメチルペンテン)に亀裂が発生し、取り出す際に破裂・飛散したものと推定した。
電気ストーブ(カーボンヒーター) 電気ストーブの使用中に出火したためマフラーと水で消火したが、畳が焼け、エアコンと壁が煤けたとの通知があり、その出火原因を調べた。 X線観察及び残滓物溶融除去による内部配線等の分解観察等を行った結果、圧着端子で結束している内部配線に溶融痕があり亜酸化銅が認められることから、圧着端子のかしめ不良等により接触不良を生じ、酸化銅増殖現象により異常発熱し、出火に至ったものと推定した。
自転車 自転車で上り坂を走行中に、右側のクランクが折れ、足を踏み外して転倒し軽傷を負ったとの通知があった。
事故品のクランクには刻印があったことから、刻印が破断の要因になった否かも含めて原因を調べた。
破面観察、材料分析、硬さ測定、有限要素法による解析等を行った結果、クランクの材料及び組織に問題はなく、破壊の起点はクランクの刻印部にあり、起点に介在物が確認されたことから、使用時に立ちこぎや上り坂等の比較的大きな負荷が相当回数加わったたことと、応力集中部分である刻印部に製造時に混入したと思われる異物が存在していたことから亀裂が発生し、ペダリングの繰り返し応力によって亀裂が進展して破断に至ったものと推定した。
電気こんろ 長時間留守宅の電気こんろ付近より出火し、こんろの上に載せていた水切りかごや木製の茶碗を焼き、壁の一部も焼いたとの通知があった。
事故当時電気こんろの電源スイッチは切れていたことから、火災に至った原因を調べた。
事故現場調査及び分解検査の結果、本体内部からの発火痕跡は見当たらず、電源から入る電磁ノイズによる再現試験(ファーストトランジェント/バーストイミュニティ試験)を実施したところ、疑似ノイズを受けた際に電源スイッチが入り通電状態に至ることが認められた。
以上のことから、外部電源より電磁ノイズが印可されたため、電気こんろの制御基板のコントロールICが誤作動して電源スイッチが入り、こんろ上に置かれた可燃物を加熱・焼損させたものと推定した。
アルミ製踏み台 踏み台に片足を載せて力を入れたところ、バランスを崩し転落、臀部と膝を打撲したとの通知があった。 踏み台を確認すると4本の支柱のうち2本が折れ曲がっていたことから、支柱が折れ曲がった原因を調べた。 現場調査、外観観察を行った後、有限要素法を用いて支柱の座屈荷重、曲げ強度を計算し、再現試験を行った結果、踏み台の基本性能に異状はなく十分な強度があることから、踏み台に載るときに身体のバランスを崩して転落し、踏み台転倒後に支柱の上に身体が落下したものと推定した。
表7  平成18年度の原因究明手法開発調査
テーマ 調査の目的 調査の内容と結果
導体の一・二次被熱条件別解析データ蓄積 火災現場で焼残する電線(導体)には、先端や電線の途中が痩せて細くなっているものや、電線表面が荒れているもの、緑青を生じたものなど様々な特徴形状がみられることから、こうした特徴から出火原因調査に有用な情報を引き出すことを目的に調査した。 電線試料に一次条件(異常発熱条件)、二次条件(火災時の被熱条件)を与え、外観観察・電線内部分析等を行い、以下の特徴を確認して中間的にとりまとめた。
  1. 1.VVFケーブルには、局部的な導体径の減少に一・二次の差が認められた。
  2. 2.PVC被覆撚線では、素線のテーパー状の痩せに一・二次の差が認められた。素線間の隙間に銅と被覆含有元素の化合物が生じ、一・二次ではその量に差が認められた。
  3. 3.ゴム被覆撚線では、素線からの銅の拡散有無に一・二次の差が認められた。

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4.事故情報調査結果の分析と事故動向

(1) 事故情報調査結果の分析体制

事故情報の調査結果は、NITEが自ら専門的な分析を行った後、後述する「事故原因技術解析ワーキンググループ」で技術的観点からの解析・評価をした上で、「事故動向等解析専門委員会」において検討し、最終調査結果としてとりまとめています。
また、平成18年度には特定事項の審議を行うための特定の技術事項を検討評価するガス燃焼器具事故に関する検討グループを設置しました。

1事故動向等解析専門委員会

事故調査の結果を公正、中立な立場で検討を行うために設置した学識経験者、消費者代表等で構成する委員会。
当委員会では、事故原因や再発防止措置等の調査結果、別途必要に応じて当委員会のもとに設置する事故原因技術解析ワーキンググループによる技術的な解析、評価結果等の妥当性等についての審議を行うとともに、事故の動向解析を行っています。

2事故原因技術解析ワーキンググループ

電気、機械、化学・生体障害の技術分野ごとに設置した学識経験者や有識者等の第三者から構成するワーキンググループで、それぞれの技術分野に該当する製品事故について技術的な解析、評価を行っています。(表8)
表8  事故原因技術解析ワーキンググループ
グループ名 ワーキンググループの作業内容等
電気技術解析
ワーキンググループ
カラーテレビ、エアコン、冷蔵庫、配線器具等の電気製品による発煙・発火事故等の解析、製造事業者の調査結果や再発防止措置の評価を行っています。また、NITEが行うテストへの助言、テスト結果の評価等を行っています。
機械技術解析
ワーキンググループ
自転車等の破損による事故、石油ストーブ、ふろがま等による火災事故等の解析、製造事業者の調査結果や再発防止措置の評価を行っています。また、NITEが行うテストへの助言、テスト結果の評価等を行っています。
化学・生体障害技術解析
ワーキンググループ
簡易ガスライター等の身の回り品による事故、ゴム手袋、ブラウス等に含まれる化学物質による皮膚障害(アレルギー)等の解析、製造事業者の調査結果や再発防止措置の評価を行っています。また、NITEが行うテストへの助言、テスト結果の評価等を行っています。

3.検討グループ

平成18年度では、新たに特定の事故について詳細な原因究明を行うため、事故原因技術解析ワーキンググループの下部組織として「誤使用・不注意事故に係る検討グループ」を設置し、燃焼器具における誤使用や不注意と判断する際の基準やそれら事象が発生するメカニズム等、人間工学的見地からの製品安全に関する検証の検討を行いました。

(2) 平成18年度の事故調査結果

1.事故原因別事故情報件数

平成18年度中に事故原因等の調査が終了し、事故動向等解析専門委員会の審議を終えたものは2,181件で、内訳は、平成15年度までの収集分48件、平成16年度収集分31件、平成17年度収集分1,041件、平成18年度収集分1,061件でした。(表9、表10、表11、表12)
表9 事故原因別の事故情報件数  (平成15年度収集分)
事故原因区分 件数(件)
製品に起因する事故                                 1
  A: 専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの
B: 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの
C: 製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの
製品に起因しない事故                             26
  D: 業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの
E: 専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの 25
F: その他製品に起因しないと考えられるもの
事故原因が判明しないもの                           21
  G: 原因不明のもの 21
合計 48
※:
表に示す件数は平成15年度までに収集した事故情報のうち、平成18年度に調査が終了した48件に関するものです。
表10 事故原因別の事故情報件数  (平成16年度収集分)
事故原因区分 件数(件)
製品に起因する事故                          10
  A: 専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの
B: 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの
C: 製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの
製品に起因しない事故                          7
  D: 業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの
E: 専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの
F: その他製品に起因しないと考えられるもの
事故原因が判明しないもの                       14
  G: 原因不明のもの 14
合計 31
※:
表に示す件数は平成16年度に収集した事故情報2,121件のうち、平成18年度に調査が終了した31件に関するものです。
表11  事故原因別の事故情報件数 (平成17年度収集分)
事故原因区分 件数(件)
製品に起因する事故                            192
  A: 専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの 142
B: 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの 17
C: 製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの 33
製品に起因しない事故                          632
  D: 業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの 27
E: 専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの 586
F: その他製品に起因しないと考えられるもの 19
事故原因が判明しないもの                      217
  G: 原因不明のもの 217
合計 1041
※:
表に示す件数は平成17年度に収集した事故情報2,067件のうち、平成18年度に調査が終了した1,041件に関するものです。
表12 事故原因別の事故情報件数 (平成18年度収集分)
事故原因区分 件数(件)
製品に起因する事故                              327
  A: 専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの 257
B: 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの 25
C: 製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの 45
製品に起因しない事故                            542
  D: 業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの 29
E: 専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの 488
F: その他製品に起因しないと考えられるもの 25
事故原因が判明しないもの                          192
  G: 原因不明のもの 192
合計 1061
※:
表に示す件数は平成18年度に収集した事故情報3,382件のうち、平成18年度に調査が終了した1,061件に関するものです。

2.製品区分別事故原因

平成18年度に収集した事故情報のうち平成19年6月11日現在で調査の終了しているものについての製品区分事故原因は以下のとおりです。(表13)

結果の判明したものが最も多かった「燃焼器具」(497件)についてみると、「製品に起因する事故」は98件で燃焼器具全体の約20%を占め、「製品に起因しない事故」は371件で燃焼器具全体の約75%を占めました。「製品に起因しない事故」のうち「誤使用や不注意による事故」と判定された事故は361件で、「製品に起因しない事故」の中で約97%とそのほとんどを占めています。

次に判明したものが多かった「家庭用電気製品」(320件)についてみると、「製品に起因する事故」は131件で家庭用電気製品全体の約41%を占め、「製品に起因しない事故」は91件で同じく約28%を占めています。「製品に起因しない事故」のうち最も多かったのは「誤使用や不注意による事故」で68件 となっており、「製品に起因しない事故」中で約75%を占めており、家庭用電気製品全体の事故(320件)の約21%を占めています。事故時の詳細な状況や製品に関する情報が得られず、原因を特定するに至らなかった等の「原因不明」は98件で家庭用電気製品全体(320件)の約31%を占めています。

その他、「家具・住宅用品」(81件)についてみると、「製品に起因する事故」は60件で家具・住宅用品全体の約74%を占め、「製品に起因しない事故」は12件で同じく約15%を占めています。「乗物・乗物用品」(83件)についみると、「原因不明」が41件で全体の49%を占め、「製品に起因しない事故」は35件で約42%を占めています。

表13  製品区分別事故原因 (平成18年度収集分)
  事故原因
    区分
製品区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因不明のもの 合計
小計 小計
家庭用電気製品 83 24 24 131 14 68 91 98 320
台所・食卓用品 14
燃焼器具 79 19 98 361 371 28 497
家具・住宅用品 60 60 12 81
乗物・乗物用品 26 35 41 83
身のまわり品 10 20
保健衛生用品 11
レジャー用品 15
乳幼児用品
繊維製品 14
合計 257 25 45 327 29 488 25 542 192 1061
※:
表に示す件数は平成18年度に収集した事故情報3,382件のうち、平成18年度に調査が終了し、
事故原因が確定した1,061件に関するものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。

3.被害状況

平成18年度に収集した事故情報のうち、平成19年6月11日現在で、調査の終了しているものについての事故原因別被害状況は以下のとおりです。(表14)

「製品に起因する事故」で人的被害(死亡、重傷及び軽傷)が発生したものは59件で、死亡事故は1件、重傷事故は4件でした。死亡事故は、入院中の女性がベッド脇の柵の間に体を挟んだための胸部圧迫による呼吸困難で死亡したもので、重傷事故は、折り畳み用会議用テーブルのレバーを操作した際、テーブルを押さえていた左手を挟み、左手小指を骨折して左手の平に裂傷を負った事故や洗濯機で脱水中に運転音が静かになったので、上ぶたを開けて手を入れたところ、洗濯物が指に絡みつき取れなくなり、右手薬指にけがをした事故等です。物的被害(拡大被害及び製品破損)のみが発生したものは239件でした。

「製品に起因しない事故」で人的被害(死亡、重傷及び軽傷)が発生したものは203件で、死亡又は重傷の人的被害が発生したものは64件、物的被害(拡大被害及び製品破損)のみが発生したものは335件でした。人的被害の状況をみると「誤使用や不注意による事故」を主因として発生しており、死亡事故28件、重傷事故26件となっています。

死亡事故の内容は、主に「電気ストーブ」「石油ストーブ」等暖房器具の使用による火災、「ガス湯沸器」使用による一酸化炭素中毒、「ガスこんろ」等の火源から衣服への着火、「まきストーブ」「まきふろがま」等による火災で発生しています。

重傷事故は、「ガスこんろ」で、調理中に発生した火災、「(制汗剤及び冷却剤)スプレー缶」使用による引火・爆発、「着火剤」のつぎ足しによる火傷などにより発生しています。

表14  事故原因別被害状況(平成18年度収集分)
被害状況
事故原因
人的被害 物的被害 被害
無し
合計
死亡 重傷 軽傷 小計 拡大
被害
製品
破損
小計
製品に起因する事故 50 54 82 92 174 29 257
19 24 25
16 25 41 45
小計 54 59 117 122 239 29 327
製品に起因しない事故 10 10 20 29
27 26 129 182 282 21 303 488
12 11 12 25
小計 34 29 140 203 303 32 335 542
原因不明 25 12 26 63 91 35 126 192
合計 60 45 220 325 511 189 700 36 1061
※:
表に示す件数は平成18年度に収集した事故情報3,382件のうち、平成18年度に調査が終了し、
事故原因が確定した1061件に関するものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。

同様に、製品区分別被害状況は以下のとおりです。(表15)

製品区分別の人的被害は、「レジャー用品」でシュノーケルに関する事故が減ったことから前年度比約38%減となりましたが、その他の製品区分では前年度に比べ増加しています。全体に占める割合の高い「家庭用電気製品」や「燃焼器具」は、それぞれ前年度比85%増、33%増となっています。

死亡事故は、「家庭用電気製品」で、電気ストーブ、電気こたつ等による火災、「燃焼器具」で、ガスこんろ、石油ストーブ等による火災、「家具・住宅用品」で、はしごによる転落等の事故が多数発生しています。
重傷事故は、「家庭用電気製品」でシュレッダーによる指切断等、「燃焼器具」でガスこんろ、石油ストーブ等による火災等が多数発生しています。
人的被害以外の拡大被害や製品破損では、「乗物・乗物用品」及び「レジャー用品」で製品破損の件数が減少していることを除き、ほとんどの製品区分で事故件数が増加しています。

表15  製品区分別被害状況(平成18年度収集分)
    被害状況
製品区分
人的被害の発生した事故 人的被害の発生しなかった事故 合計
(前年度比)
死亡
(前年度比)
重傷
(前年度比)
軽傷
(前年度比)
合計
(前年度比)
拡大被害
(前年度比)
製品破損
(前年度比)
被害なし
(前年度比)
家庭用電気製品 82
(74%)
43
(105%)
156
(86%)
281
(85%)
654
(36%)
321
(155%)
39
(1850%)
1295
(71%)
台所・食卓用品 
(500%)
40
(400%)
46
(411%)

(20%)
15
(114%)

(400%)
72
(227%)
燃焼器具 121
(41%)
59
(79%)
268
(24%)
448
(33%)
648
(33%)
152
(533%)
66
(843%)
1314
(54%)
家具・住宅用品  10
(25%)
22
(▲39%)
42
(162%)
74
(23%)
41
(583%)
41
(412%)

160
(116%)
乗物・乗物用品 16
(129%)
15
(88%)
41
(▲7%)
72
(22%)
35
(46%)
99
(▲5%)

208
(11%)
身のまわり品
(500%)
19
(280%)
91
(107%)
116
(132%)
68
(325%)
37
(131%)

228
(178%)
保健衛生用品

(50%)
11
(38%)
17
(70%)

(0%)


28
(65%)
レジャー用品
(▲25%)

(▲25%)
13
(▲48%)
28
(▲38%)

(0%)

(▲56%)

(▲100%)
34
(▲41%)
乳幼児用品

(0%)
10
(400%)
11
(267%)

(▲100%)

(500%)

(200%)
20
(233%)
繊維製品

14
(133%)
20
(233%)


(▲100%)

-
22
(214%)
その他



(0%)



合計 251
(56%)
176
(53%)
686
(51%)
1113
(52%)
1463
(42%)
677
(129%)
129
(892%)
3382
(64%)
※:
表に示す件数は平成18年度に収集した事故情報3,382件に関するものです。
重傷とは、全治1か月以上のけが等をいいます。
拡大被害は、製品以外に他の物的被害に及んだものをいいます。

4.再発防止措置

平成18年度中に調査が終了した事故情報2,181件のうち、事故原因が「製品に起因する事故」(事故原因区分:A、B、C)であったものについての再発防止措置等の実施件数は、以下のとおりです。(表16)

「製品に起因する事故」530件のうち、約89%にあたる474件の事故では、製造事業者等により再発防止措置が講じられていることが確認されました。残りの56件の事故では、火災等で製品の製造事業者等が特定できなかったもの又は製造事業者等が倒産し対応が不可能であったもの(注)、経年劣化で発生した事故で、販売後長期間が経過し、市場や家庭における当該製品の残存数も少なく、同種の事故情報が収集されていないことから特段の再発防止措置がとられなかったもの等です。

再発防止措置の内容としては、製造事業者等により新聞、ホームページ等に社告等が掲載され、製品の回収・交換等が実施されています。その他の単品不良と考えられる事故、表示や使用方法の問題で発生した事故等については、事業者によるホームページへの掲載、販売店におけるポスター掲示により告知等で消費者に注意喚起を行うことに加え、製造工程の改善、品質管理の徹底・強化、取扱説明書や表示の改善等が再発防止措置として行われています。

(注)NITEが特記ニュースで注意喚起を行っています。

表16 製品に起因する事故における年度別再発防止措置の実施状況)
事故情報
収集年度
18年度に調査が
終了した件数
製品に起因する
事故情報件数
再発防止措置
実施件数
平成15年度 48
平成16年度 31 10
平成17年度 1041 192 161
平成18年度 1061 327 304
合計 2181 530 474

※:事故による被害者対応のみを実施した事故を除く

(3) 最近3年間の事故動向

1.事故情報の情報源別収集件数

NITEによる最近3年間の、事故情報収集件数の推移は、平成16年度が2,721件、平成17年度が2,952件、平成18年度が4,084件でした。(表17)
情報源別事故情報収集件数の推移をみると、全体の事故情報収集件数は年々増加しており、平成18年度では、「新聞情報等」を除くすべての情報源で増加しました。 特に「製造事業者等」からの収集件数は、575件から1,235件に660件増加し、前年度比約115%増加となりました。

次いで、「消費生活センター等」からの収集件数が、135件から379件に、前年度比約181%増加。「消費者」からの収集件数が、42件から103件に、前年度比145%増加、「自治体等(消防機関を含む)」からの収集件数が、196件から268件に、前年度比約37%増加となっています。
また、「製造事業者等」については、ガス瞬間湯沸器による一酸化炭素中毒事故やシュレッダーによる幼児指切断事故等の報道により、製品安全への社会的関心の高まりから、平成18年度は事業者からの事故報告が大幅に増加したと考えられます。なお、平成16年度は、特定の事業者の製品不具合による事故が多発し、報告件数が多くなっています。
また、「消費生活センター等」や「消費者」からの情報が大幅に増加した要因は、新聞やテレビ等で事故や事故情報収集制度が取り上げられたことにより製品安全についての関心が高くなり、情報提供が増加したと考えられます。

表17 年度別情報源別事故情報収集件数(平成18年度は再掲)
  平成16年度 平成17年度 平成18年度
情報源 件数及び割合 件数及び割合 件数及び割合
製造事業者等 1084件 39.8% 575件 19.5% 1235件 30.2%
自治体(消防機関含む) 113件 4.2% 196件 6.6% 268件 6.6%
消費生活センター等 105件 3.9% 135件 4.6% 379件 9.3%
国の機関 80件 2.9% 46件 1.6% 219件 5.4%
消費者 48件 1.8% 42件 1.4% 103件 2.5%
その他 53件 1.9% 42件 1.4% 60件 1.5%
小計 1483件 54.5% 1036件 35.1% 2264件 55.5%
新聞情報等 1238件 45.5% 1916件 64.9% 1820件 44.5%
合計 2721件 100.0% 2952件 100.0% 4084件 100.0%
※:
表に示す件数は、平成19年6月11日現在の調査結果に基づき取りまとめたものです。

2.事故情報の製品別収集件数

重複情報や収集対象外の情報を除いた 事故情報収集件数の推移は、 平成16年度が2,121件、平成17年度が2,067件、平成18年度が3,382件(平成19年6月11日現在。調査中を含む。)でした。(表18)

製品区分別事故情報収集件数の推移をみると、「家庭用電気製品」は、平成16年度は、特定の事業者の製品不具合による事故が多発し、報告件数が多くなっています。平成18年度には、ガス瞬間湯沸器による一酸化炭素中毒事故やシュレッダーによる幼児指切断事故等の報道により、製品安全への社会的関心の高まりから、製造事業者等や消費生活センター等からの情報が大幅に増加したと考えられます。

「燃焼器具」については、平成17年度には、石油温風暖房機の事故で緊急命令が発動されたことにより、燃焼器具の事故情報が新聞等でも報道され増加しましたが、平成18年度においては、ガス瞬間湯沸器による一酸化中毒中毒事故で緊急命令が発動されたことから「ガスこんろ」や「ガスふろがま」等のガス燃焼器具の事故情報が新聞で取り上げられることが増えたことや、石油給湯器に関する事故が多発し、製造事業者及び国の行政機関等からの報告 により増加したと考えられます。

表18 製品区分別事故情報収集件数(平成18年度は再掲)
  平成16年度 平成17年度 平成18年度
製品区分 件数及び割合 件数及び割合 件数及び割合
家庭用電気製品 945件 44.6% 759件 36.7% 1295件 38.3%
台所・食卓用品 24件 1.1% 22件 1.1% 72件 2.1%
燃焼器具 565件 26.7% 855件 41.4% 1314件 38.9%
家具・住宅用品 54件 2.5% 74件 3.6% 160件 4.7%
乗物・乗物用品 324件 15.3% 187件 9.0% 208件 6.2%
身のまわり品 96件 4.5% 82件 4.0% 228件 6.7%
保健衛生用品 51件 2.4% 17件 0.8% 28件 0.8%
レジャー用品 39件 1.8% 58件 2.8% 34件 1.0%
乳幼児用品 19件 0.9% 6件 0.3% 20件 0.6%
繊維製品 4件 0.2% 7件 0.3% 22件 0.7%
その他 0件 0.0% 0件 0.0% 1件 0.0%
合計 2121件 100.0% 2067件 100.0% 3382件 100.0%
※:
本表の件数は、調査の結果、重複情報や収集対象外情報であることが判明したものを除いたものです。

3.事故情報の年度別事故件数上位10品目

平成16年度から平成18年度までの最近3年間において、事故情報の収集件数が多かった上位10品目は以下のとおりです。(表19)

平成16年度で最も件数の多かった「電気ストーブ」は、平成17年度では半減しました。これは、平成16年度に多くみられた特定の事業者の製品不具合による事故の多発が減少したためと考えられます。平成18年度では件数が増えており上位に位置しています。
「ガスこんろ」、「石油ストーブ」、「電気ストーブ」及び「四輪自動車」の各品目は毎年上位5品目に入っています。
「ガスこんろ」は、平成17年度比で約48%増加となりました。これは、一酸化中毒事故への社会的関心の高まりから、新聞において製品の関与について言及した記事が大幅に増加したこと、天ぷら火災などの使用者の誤使用・不注意による事故が製品事故として報告されることなどにより件数が増加したと考えられます。

表19 年度別事故上位10品目
平成16年度
(事故情報収集件数2,121件)
平成17年度
 (事故情報収集件数2,067件)
平成18年度
 (事故情報収集件数3,382件)
品目 件数 割合% 品目 件数 割合% 品目 件数 割合%
電気ストーブ 348 16.4 ガスこんろ 316 15.3 ガスこんろ 466 13.8
ガスこんろ 199 9.4 石油ストーブ 227 11.0 石油ストーブ 208 6.2
自転車 164 7.7 電気ストーブ 155 7.5 電気ストーブ 203 6.0
石油ストーブ 132 6.2 四輪自動車 108 5.2 四輪自動車 135 4.0
四輪自動車 110 5.2 配線器具 51 2.5 石油給湯器 96 2.8
小計 953 44.9 小計 857 41.5 小計 1,108 32.8
直流電源装置 65 3.1 エアコン 46 2.2 ゆたんぽ 89 2.6
エアコン 63 3.0 直流電源装置 45 2.2 ガスふろがま 79 2.3
カラーテレビ 41 1.9 まきふろがま 44 2.1 エアコン 76 2.2
簡易ガスライター 38 1.8 まきストーブ 42 2.0 石油ファンヒーター 63 1.9
配線器具 36 1.7 自転車 41 2.0 配線器具 61 1.8
小計 243 11.5 小計 218 10.5 小計 368 10.8
合計 1,196 56.4 合計 1,075 52.0 合計 1,476 43.6

4.事故情報の年度別事故上位品目の推移

年度別上位品目の最近3年間の推移は以下のとおりです。(図1)

平成18年度の「石油給湯器」は、製造事業者からの報告が増えたため、「ガスふろがま」は、製造事業者及び国の行政機関からの収集が増えたためです。「ゆたんぽ」は、大部分が電子レンジ加熱式ゆたんぽに関する情報で、製造事業者等からの報告がほとんどを占めます。「配線器具」や「エアコン」についても最近3年間の上位10品目に入っており、事故情報収集件数の多い品目です。「四輪自動車」については車両火災に関する情報がその大半を占めています。

図1 年度別事故上位品目の件数の推移

5.事故情報の原因別件数

年度別の事故原因別事故情報件数は以下のとおりです。(表20)

平成16年度から平成18年度の過去3年間に収集した事故情報(7,570件)のうち、調査の終了した5,041件についてみると、「製品に起因する事故」は1,529件で調査の終了した事故情報全体の約30%であり、「製品に起因しない事故」は2,388件で約47%です。

また、「製品に起因する事故」のうち、「専ら設計、製造及び表示の問題による事故」が1,292件で「製品に起因する事故」全体の約84%を占めています。「製品に起因しない事故」では、「誤使用や不注意による事故」が2,133件で「製品に起因しない事故」全体の約89%を占めています。
年度別の「製品に起因する事故」と「製品に起因しない事故」の割合については、平成16年度は「製品に起因しない事故」(約37%)よりも「製品に起因する事故」の割合(約40%)が高くなっていますが、平成17年度及び平成18年度では、「製品に起因する事故」よりも「製品に起因しない事故」の割合が高くなっています(平成17年度は約20%に対し約56%であり、平成18年度は約31%に対し約51%)。これは平成17年度は、平成16年度に多かった特定の事業者が製造した製品の不具合による多発事故が減ったためと考えられます。

(注)NITEが特記ニュースで注意喚起を行っています。

表20 事故原因別事故情報件数(平成18年度は再掲)                          (件)
事故原因区分 平成16年度 平成17年度 平成18年度 合計
製品に起因する事故 827 375 327 1529
A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの 749 286 257 1292
B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの 37 28 25 90
C:製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの 41 61 45 147
製品に起因しない事故 775 1071 542 2388
D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの 67 47 29 143
E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの 660 985 488 2133
F:その他製品に起因しないと考えられるもの 48 39 25 112
事故原因が判明しないもの 484 448 192 1124
G: 原因不明のもの 484 448 192 1124
小計 2,086 1894 1061 5041
調査中 35 173 2321 2529
合計 2121 2067 3382 7570
※:
平成18年度において平成19年6月11日現在で調査が終了し、事故原因が確定したものです。

6.年度別、製品区分別事故原因

平成16年度から平成18年度までの年度別、製品区分別事故原因は以下のとおりです。(表21、表22、表23)

なお、平成18年度に収集した事故情報の調査は、当該年度に収集した事故情報の約31%しか終了していないことから、平成16年度、平成17年度に収集し、調査の終了した事故情報の調査結果に基づいて製品区分別の事故原因をみることとします。
 平成18年度において収集件数が最も多かった「燃焼器具」の事故原因をみると、平成16年度、平成17年度ともに「製品に起因しない事故」(平成16年度443件、平成17年度689件)が燃焼器具全体(平成16年度559件、平成17年度832件)の約80%を占め、「製品に起因しない事故」のうち約90%前後が「誤使用や不注意による事故」(平成16年度412件、平成17年度664件)となっています。「製品に起因する事故」(平成16年度34件、平成17年度20件)は、それぞれ、6%、2%となっています。

収集件数が次に多い「家庭用電気製品」の事故原因をみると、「製品に起因する事故」が家庭用電気製品全体(平成16年度928件、平成17年度666件)の平成16年度が約60% (556件)、平成17年度が約32%(216件)を占め、「製品に起因しない事故」については、平成16年度が約20%(188件)、平成17年度が約36%(243件)となっています。平成16年度において、「製品に起因する事故」の割合が高いのは、特定の事業者が製造した特定の型式の製品による事故が多発し、それらに関する事業者からの事故報告が多数寄せられたためです。
その他、「乗物・乗物用品」の事故原因をみると、「原因不明」が乗物・乗物用品全体(平成16年度323件、平成17年度174件)の約50%(平成16年度167件、平成17年度85件)を占めています。身のまわり品の事故原因をみると、「製品に起因しない事故」については、平成16年度が身のまわり品全体(平成16年度93件)の約26%(24件)、平成17年度が身のまわり品全体(平成17年度73件)の約20%(15件)ですが、「製品に起因する事故」では、平成16年度が身のまわり品全体の約52% (48件)、平成17年度が身のまわり品全体の約66%(48件)を占めています。

表21 製品区分別事故原因(平成16年度収集分)                               (件)
事故原因
区分
製品区分   
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因
不明
調査
終了
調査中 合計
小計 小計
家庭用電気製品 492 29 35 556 37 122 29 188 184 928 17 945
台所・食卓用品 22 24
燃焼器具 28 34 21 412 10 443 82 559 565
家具・住宅用品 17 18 23 25 50 54
乗物・乗物用品 97 98 47 58 167 323 324
身のまわり品 46 48 24 24 21 93 96
保健衛生用品 37 38 11 11 51 51
レジャー用品 14 15 15 18 38 39
乳幼児用品 18 19
繊維製品
合計 749 37 41 827 67 660 48 775 484 2086 35 2121
※:
表に示す件数は、平成16年度収集分のうち平成19年6月11日現在のものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。
表22 製品区分別事故原因(平成17度収集分)                                 (件)
事故原因
区分
製品区分    
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因
不明
調査
終了
調査中 合計
小計 小計
家庭用電気製品 153 21 42 216 21 196 26 243 207 666 93 759
台所・食卓用品 12 13 20 22
燃焼器具 20 21 664 689 123 832 23 855
家具・住宅用品 48 49 65 74
乗物・乗物用品 46 47 34 42 85 174 13 187
身のまわり品 46 48 14 15 10 73 82
保健衛生用品 12 12 14 17
レジャー用品 13 20 12 15 44 14 58
乳幼児用品
繊維製品
合計 286 28 61 375 47 985 39 1071 448 1894 173 2067
※:
表に示す件数は、平成17年度収集分のうち平成19年6月11日現在のものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。
表23 製品区分別事故原因(平成18年度収集分・再掲)                           (件)
事故原因
区分
製品区分    
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因
不明
調査
終了
調査中 合計
小計 小計
家庭用電気製品 83 24 24 131 14 68 91 98 320 975 1295
台所・食卓用品 14 58 72
燃焼器具 79 19 98 361 371 28 497 817 1314
家具・住宅用品 60 60 12 81 79 160
乗物・乗物用品 26 35 41 83 125 208
身のまわり品 10 20 208 228
保健衛生用品 11 17 28
レジャー用品 15 19 34
乳幼児用品 14 20
繊維製品 14 22
その他
合計 257 25 45 327 29 488 25 542 192 1061 2321 3382
※:
表に示す件数は、平成18年度収集分のうち平成19年6月11日現在のものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。 

「製品に起因する事故」が多かった上位5品目、「誤使用や不注意による事故」の上位5品目は以下のとおりです(表24、表25)。

「製品に起因する事故」の上位5品目をみると、「直流電源装置」が3年連続で入っています。これは、平成12年以降発生している特定の事業者が輸入した電気シェーバー充電用製品の事故(設計不良による発煙・発火)が延べ754件(平成19年6月11日現在)にものぼっている影響もあり、他の品目より目立った結果となっています。平成16年度の「電気ストーブ」は292件もの報告がされていますが特定の製品について事故が多発したことによるものです。また、その他の品目では、年度によって傾向が異なっており、「自転車」「靴」「石油給湯器」「いす」「ガスふろがま」等に多数の事故が発生していますが、特定の事業者の製品による事故が多くなっています。

表24  年度別「製品に起因する事故」の上位5品目
平成16年度
(827件)
平成17年度
(375件)
平成18年度
(327件)
品目名 件数 割合% 品目名 件数 割合% 品目名 件数 割合%
電気ストーブ 292 35.3 直流電源装置 45 12.0 石油給湯器 55 16.8
自転車 65 7.9 電気ストーブ 31 8.3 いす 42 12.8
直流電源装置 65 7.9 自転車 22 5.9 ガスふろがま 33 10.1
27 3.3 電気こんろ 17 4.5 直流電源装置 24 7.3
歯ブラシ 26 3.1 16 4.3 電気こんろ 17 5.2
合計 475 57.5 合計 131 35.0 合計 171 52.2

「誤使用や不注意による事故」の上位5品目をみると、最近3年間では「ガスこんろ」「石油ストーブ」が1位、2位を占めています。特に「ガスこんろ」については、天ぷら火災や機器の清掃不良などが事故として報告されることによる増加と考えられます。

表25 年度別「誤使用や不注意による事故」の上位5品目
平成16年度
(660件)
平成17年度
(985件)
平成18年度
(488件)
品目名 件数 割合% 品目名 件数 割合% 品目名 件数 割合%
ガスこんろ 180 27.3 ガスこんろ 291 29.5 ガスこんろ 221 45.3
石油ストーブ 108 16.4 石油ストーブ 178 18.1 石油ストーブ 51 10.5
電気ストーブ 35 5.3 電気ストーブ 81 8.2 四輪自動車 22 4.5
四輪自動車 28 4.2 まきふろがま 36 3.7 石油ふろがま 18 3.7
石油ふろがま 26 3.9 まきストーブ 36 3.7 配線器具 16 3.3
合計 377 57.1 合計 622 63.2 合計 328 67.3

7.事故原因別被害状況

事故原因別別被害状況は以下のとおりです。(表26、表27、表28、表28)

平成16年度から平成18年度までの最近3年間において、収集した事故情報は7,570件で、そのうち調査の終了した5,041件について、「製品に起因する事故」によって発生した死亡又は重傷の人的被害の件数は23件で調査の終了した事故情報全体の5,041件に占める割合は約0.5%でした。「製品に起因しない事故」は361件で約7.2%でした。

「製品に起因しない事故」で死亡又は重傷の人的被害のあった事故361件のうち336件は「誤使用や不注意による事故」によるもので、死亡又は重傷の人的被害の大半を占めており、各年度ごとの発生件数をみても毎年同様の傾向を示しています。

また、「製品に起因する事故」で軽傷を含めた人的被害のあった事故251件のうち222件は「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」によるもので、人的被害の大半を占めており、各年度ごとの発生件数をみても毎年同様の傾向を示しています。

表26  事故原因別被害状況(平成16年度収集分)                           (件)
被害状況
事故原因
死亡 重傷 軽傷 拡大被害 製品破損 被害無し 合計
製品に起因する事故 75 150 502 13 749
28 37
22 17 41
小計 10 82 200 521 13 827
製品に起因しない事故  33 24 67
76 37 179 330 33 660
23 11 48
小計 82 41 191 386 68 775
原因
不明
36 33 85 163 160 448
合計 119 84 358 749 749 27 2086
※:
表に示す件数は平成16年度に収集し、平成18年度までに調査の終了した事故情報2,086件に関するものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。
表27  事故原因別被害状況(平成17年度収集分)                           (件)
被害状況
事故原因
死亡 重傷 軽傷 拡大被害 製品破損 被害無し 合計
製品に起因する事故  81 109 89 286
22 28
10 26 23 61
小計 92 157 113 375
製品に起因しない事故 27 10 47
99 70 232 542 40 985
23 39
小計 103 71 247 592 55 1071
原因
不明
51 23 71 210 89 448
合計 155 100 410 959 257 13 1894
※:
表に示す件数は平成17年度に収集し、平成18年度までに調査の終了した事故情報1,894件に関するものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。
 
表28  事故原因別被害状況(平成18年度収集分・再掲)                        (件)
被害状況
事故原因
死亡 重傷 軽傷 拡大被害 製品破損 被害無し 合計
製品に起因する事故  50 82 92 29 257
19 25
16 25 45
小計 54 117 122 29 327
製品に起因しない事故  10 10 29
27 26 129 282 21 488
11 25
小計 34 29 140 303 32 542
原因
不明
25 12 26 91 35 192
合計 60 45 220 511 189 36 1061
※:
表に示す件数は平成18年度に収集し、平成18年度までに調査の終了した事故情報1,061件に関するものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。
表29  事故原因別被害状況(平成16~18年度収集分)                       (件)
被害状況
事故原因
死亡 重傷 軽傷 拡大被害 製品破損 被害無し 合計
製品に起因する事故 13 206 341 683 46 1292
69 90
14 64 65 147
小計 20 228 474 756 48 1529
製品に起因しない事故  18 70 44 143
202 133 540 1154 94 10 2133
12 20 57 17 112
小計 219 141 578 1281 155 14 2388
原因
不明
112 68 182 464 284 14 1124
合計 334 229 988 2219 1195 76 5041
※:
表に示す件数は平成16~18年度の3年間に収集し、平成18年度までに調査の終了した事故情報5,041件に関するものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。

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5.事故情報収集結果等の公表

(1) 事故情報収集結果報告書

NITEでは、収集した事故情報について、必要な調査及び分析等を行い、事故動向等解析専門委員会の審議を経た後に、四半期ごとに「事故情報収集制度における事故情報の調査結果及び収集状況について」を、さらに年度報告書として「事故情報収集制度報告書」を発行し、消費者、製造事業者、行政機関等に対して情報提供を行っています。
 また、NITEのホームページ(http://www.jiko.nite.go.jp/)にも収集した事故情報、個別事故原因及び再発防止措置等の情報を掲載して広く情報提供を行っています。

(2) 事故情報特記ニュース

事故情報の調査の結果、事故の未然・再発防止のため消費者や関係機関等に対して情報提供を速やかに行う必要があると判断した案件については、随時「事故情報特記ニュース」(特記ニュース)を発行して情報提供を行っています。
NITEでは、特記ニュースをNITEのホームページに掲載して消費者等に情報提供するとともに、消費生活センター、地方自治体、消防・警察機関、関係業界団体等(約1,200機関)に配布しています。
平成18年度は、「紙用シュレッダー」「パロマ工業(株)に対する緊急命令」「リモコン付き電気ストーブ」「デスクマット」「電子レンジ加熱式湯たんぽ」等について特記ニュースを発行して情報提供を行いました。
平成18年度に情報提供を行った事故情報特記ニュースは、別表のとおりです。

(3) 電子メールマガジン

製品安全に関する電子メールマガジン(製品安全マガジン:PSマガジン)を隔週で配信しています。製品安全の担当者等を対象に、NITEが収集した事故情報に基づく注意喚起、社告・リコール情報、関係機関情報などを製品事故の未然・再発防止の観点からタイムリーに提供しています。また、速やかな情報提供のため、事故情報特記ニュースにあわせて特別号も配信しています。平成18年度は、「パロマ工業株式会社製瞬間湯沸器による一酸化炭素中毒事故の再発防止について」「紙用シュレッダーによる幼児の指切断事故の再発防止について」「リモコン付き電気ストーブの誤作動について」「デスクマットによる皮膚障害について」等の特別号15号を配信しました。

(4) 広報誌

NITEが取り組む製品安全業務に基づく情報を提供するとともに、広く製品安全に取り組んでおられる関係機関の方々の活動や成果を紹介し、製品安全の情報を総合的に提供するための広報誌「生活安全ジャーナル」を創刊し、平成18年度中に第3号の発刊を行いました。

創刊号
「製品安全広報誌への期待」
第2号
特集「誤使用を考える」
第3号
特集「燃焼器具の事故を検証する」
事故情報「特記ニュース」トピックス
No.70 紙用シュレッダーによる幼児の指切断事故の再発防止について
平成18年3月及び7月に紙用シュレッダーによる幼児の指切断事故が発生したことから、経済産業省は、社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会及び社団法人全日本文具協会に対して、再発防止策の早急な検討を要請しました。これを受けて、NITEは、幼児がこのような事故に巻き込まれないよう、事故の再発防止の観点から、シュレッダーを幼児に触らせないこと及びシュレッダー使用時には幼児を近づけさせないよう注意喚起を行いました。
No.71 パロマ工業(株)に対する緊急命令について
パロマ工業株式会社が製造した半密閉式ガス瞬間湯沸器7機種には、ガス機器の作動に極めて重要な安全装置が容易に故障し、かつ安全装置を迂回して点火出来るような改造が容易に可能となる欠陥があることが認められることから、経済産業省は同社に対し、平成18年8月28日付けで消費生活用製品安全法第82条の規定に基づき、該当する製品の点検及び回収、消費者への注意喚起、点検及び回収状況の報告を行うよう、緊急命令を発動しました。 これを受けて、NITEは、命令の対象となった製品を持ち、パロマ工業株式会社の点検を受けていない消費者に対して、至急同社に連絡するように注意喚起を行いました。
No.72 「リモコン付き電気ストーブ」の誤作動について
NITEは、「テレビのリモコンでテレビチャンネルの切替え操作をしていたところ、リモコン付き電気ストーブのヒーターが勝手に点灯した、または、何もしないのにリモコン付き電気ストーブが勝手に点灯した。」という情報を受け、同様の製品について誤作動に関する試買テストを実施しました。その結果、家電製品のリモコン操作やノイズで、電気ストーブのヒーターが点灯する等の誤作動を起こすものがあることが確認されたため、火災等、事故の未然防止の観点から、電気ストーブを使用しない時は、電源プラグを抜くことや、カーテン等の可燃物の近くに電気ストーブを置かないこと等の注意喚起を行いました。
No.73 「デスクマット」による皮膚傷害について
NITEは、医療機関から「デスクマットを使用していたことでアレルギー性接触皮膚炎を発症した患者がいる。」との通知を受け、デスクマットに含まれる原因物質の究明を行いました。その結果、デスクマットに使用された有機系抗菌剤が原因物質(2,3,5,6-テトラクロロ-4-〔メチルスルホニル〕ピリジン)であることを突き止め、アレルギー性接触皮膚炎は、この原因物質との断続的な接触により、発症したことが確認されました。また、同様の事例が、医療機関等から当機構に平成17年8月~平成18年7月の間に13件通知されていることを考慮し、製品による事故の再発防止の観点から、使用を中止するか当該事業者の社告に従い適切な対応をとるよう注意喚起を行いました。
No.74 水泳パンツによる皮膚の挟み込み事故について
NITEは、平成18年8月、医療機関から海水浴中の6才の男児が着用していた水泳パンツ内側のメッシュ生地の孔に陰茎部の皮膚が挟まり、これを治療したとの事故情報(2件)を入手しました。本ケースについては、同種の事故の発生の恐れがあり、再発防止の観点から、当該水泳パンツを使用の際には、保護者が水泳パンツの下にメッシュ生地でない別のパンツを男児に着用させること等の注意喚起を行いました。
No.75 電気ストーブ(ハロゲンヒータ)の事故について
NITEは、(株)優が輸入・販売した電気ストーブ(ハロゲンヒーター)において、使用中に製品から発火する事故が平成15年4月に発生し、その後も同様の原因と推定される発火事故が続いていること、さらに平成18年は2件の同種事故が発生していることを受け、事故の再発防止の観点から、当該製品を持っている消費者に対して、直ちに使用を中止するよう注意喚起を行いました。
No.76 (株)優が輸入・販売した電気ストーブ(ハロゲンヒータ)について(第2報)
NITEは、(株)優が輸入・販売した電気ストーブ(ハロゲンヒーター)の事故についての注意喚起を平成18年12月No.75の事故情報特記ニュースによって事故情報を提供し、注意喚起を行いましたが、その後、当該事業者が負債を抱えている等の理由で消費者対応ができないことから、別記販売事業者が販売した製品に限り、当該販売事業者が自主的に当該電気ストーブを回収することになったため、当該販売店で購入した製品を持っている消費者は、それぞれの問い合わせ先に相談するようお知らせしました。
No.77 電気ストーブのリコール情報と使用上の注意について
NITEの調査結果では、電気ストーブに関する発煙・発火等の事故が138件(平成17年度)発生しており、現在、同製品のリコールが、16社(39機種)において実施されているものの、改修や交換等が必ずしも進んでいない状況にあることがわかりました。このことを受け、事故の再発防止の観点から、同様のストーブを使用している消費者に対し、リコール製品を一覧にしたので、現在使用中の電気ストーブがリコール製品に該当するか確認し、該当する場合は、至急、使用を中止するとともに、連絡先(フリーダイヤル)があるものについては連絡先に連絡するよう注意喚起を行いました。併せて、毎年、電気ストーブによる発火等の事故が多発していることから、事故の未然防止のため、電気ストーブの使用上の注意についてもお知らせしました。
No.78 (株)大旺インターナショナルジャパンが輸入・販売した電気ストーブ(ハロゲンヒータ-)に係る注意喚起について
(株)大旺インターナショナルジャパンが輸入・販売した電気ストーブ(ハロゲンヒーター)において、ガラス管が破裂し畳を焦がす事故や使用者がガラス破片で火傷を負った事故等が最近連続して発生したことから、経済産業省及びNITEが事業者の所在を調査したところ、電話が不通で登記された住所にも所在が確認できませんでした。このため経済産業省及び内閣府沖縄総合事務局は、今後、同様事故の発生する危険性が否定できないとして、平成19年1月18日、当該製品を使用している消費者に対し、直ちに使用を中止する旨の注意喚起を行いました。これを受けて、NITEにおいても、同様事故の再発防止の観点から、当該製品については使用中にガラス管が破裂し、火災や火傷につながる恐れがあることから直ちに使用を中止するよう注意喚起を行いました。
No.79 電子レンジ加熱式湯たんぽによる加熱時の火傷事故の再発防止について
NITEは、電子レンジ加熱式湯たんぽについて、近年その便利さから多用される傾向があるものの、加熱し過ぎによる火傷事故など製品事故の例が見受けられるようになってきたことを受け、市場に流通している同製品を購入し、加熱性能等の試験を行いました。その結果、いくつかの製品において、加熱をし過ぎると容器の破裂や内容物の漏れ出し等により火傷の可能性があることが確認されたため、事故の再発防止の観点から、取扱い表示にあるレンジ出力及び加熱時間を必ず守って使用すること等使用方法に関する注意喚起を行いました。

(別添:平成18年度社告回収等一覧

(付属資料:表1~5 平成18年度事故情報収集結果の統計

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