項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 64-17-5 |
名称 | エタノール |
物質ID | 25B0007 |
分類実施年度 | 平成25年度 |
分類実施者 | 厚生労働省、環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成21年度 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | GHS分類ガイダンス |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分2 |
危険 |
H225 |
P303+P361+P353
P370+P378 P403+P235 P210 P233 P240 P241 P242 P243 P280 P501 |
引火点13℃(Closed cup)、沸点78.5℃(Merck(2006))に基づいて区分2とした。 なお、国連分類はUN1170、クラス3、PGIIである。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点が363℃(ICSC(2000))であり、常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 |
- |
- | - | ラットのLD50値=6,200 mg/kg、11,500 mg/kg、17,800 mg/kg、13,700 mg/kg(PATTY(6th, 2012))、15,010 mg/kg、7,000-11,000 mg/kg(SIDS(2005))はすべて区分外に該当している。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 |
- |
- | - | ウサギのLDLo= 20,000 mg/kg(SIDS(2005))に基づき区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分外 |
- |
- | - | ラットのLC50=63,000 ppmV(DFGOT vol.12(1999))、66,280 ppmV(124.7 mg/L)(SIDS(2005))のいずれも区分外に該当する。なお、被験物質の濃度は飽和蒸気圧濃度、78,026 ppmV(147.1 mg/L)の90% [70,223 ppmV(132.4 mg/L)]より低い値であることから、ppmV を単位とする基準値を用いた。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 |
- |
- | - | ウサギに4時間ばく露した試験(OECD TG 404)において、適用1および24時間後の紅斑の平均スコアが1.0、その他の時点では紅斑及び浮腫の平均スコアは全て0.0であり、「刺激性なし」の評価SIDS(2005)に基づき、区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B |
警告 |
H320 |
P305+P351+P338
P337+P313 P264 |
ウサギを用いた2つのDraize試験(OECD TG 405)において、中等度の刺激性と評価されている(SIDS(2005))。このうち、1つの試験では、所見として角膜混濁、虹彩炎、結膜発赤、結膜浮腫がみられ、第1日の平均スコアが角膜混濁で1以上、結膜発赤で2以上であり、かつほとんどの所見が7日以内に回復した(ECETOC TR 48(2)(1998))ことから、区分2Bに分類した。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、アルコールによる気管支喘息症状の誘発は血中アルデヒド濃度の増加と関係があると考えられている。一方、軽度の喘息患者2人がエタノールの吸入誘発試験で重度の気管支収縮を起こしたことが報告されている(DFGOT vol.12 vol.12(1999))が、その反応がアレルギー由来であることを示すものではないとも述べられている(DFGOT vol.12 vol.12(1999))。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | ヒトでは、アルコールに対するアレルギー反応による接触皮膚炎等の症例報告がある(DFGOT vol.12 vol.12(1999))との記述があるが、「ヒトでは他の一級または二級アルコールとの交叉反応性がみられる場合があること、動物試験で有意の皮膚感作性はみられないことにより、エタノールに皮膚感作性ありとする十分なデータがない」(SIDS(2005)、DFGOT vol.12 vol.12(1999))の記述に基づきデータ不足のため分類できないとした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | in vivo、in vitroの陰性結果あるいは陰性評価がされており、分類ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できないため、「分類できない」とした。すなわち、マウスおよびラットを用いた経口投与(マウスの場合はさらに腹腔内投与)による優性致死試験において陽性結果(SIDS(2005)、IARC(2010)、DFGOT vol.12(1999)、PATTY(6th, 2012))があるものの、試験条件の不十分性や試験結果の誤りなどが認められ信頼性は低い又は信頼性なしと評価している(SIDS(2005)、DFGOT vol.12(1999))。また、ラット、マウスの骨髄小核試験で陰性、ラット骨髄及び末梢血リンパ球の染色体異常試験で陰性(SIDS(2005)、PATTY(6th, 2012)、IARC(2010)、DFGOT vol.12(1999))、チャイニーズハムスターの骨髄染色体異常試験で陰性(SIDS(2005))である。また、マウス精子細胞の小核試験、精母細胞の染色体異常試験、ラット精原細胞の染色体異常試験、チャイニーズハムスター精原細胞の染色体異常試験(異数性)で陰性である(IARC(2010)、DFGOT vol.12(1999))。なお、陽性の報告として、ラット、マウスの姉妹染色分体交換試験がある(DFGOT vol.12(1999)、PATTY(6th, 2012))が、SIDS(2005)などでは評価されていない。in vitro変異原性試験として、エームス試験、哺乳類培養細胞を用いるマウスリンフォーマ試験及び小核試験はすべて陰性と評価されており(PATTY(6th, 2012)、IARC(2010)、DFGOT vol.12(1999)、SIDS(2005)、NTP DB(Access on June 2013))、in vitro染色体異常試験でもCHO細胞を用いた試験1件の陽性結果を除き他はすべて陰性であった(SIDS(2005)、PATTY(6th, 2012)、IARC(2010))。なお、この染色体異常の陽性結果は著しく高い用量で生じており、高浸透圧のような非特異的影響に起因した染色体傷害の可能性があると記載(SIDS(2005))されている。 |
6 | 発がん性 | 区分1A |
危険 |
H350 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
エタノールはACGIHでA3に分類されている(ACGIH(7th, 2012))。また、IARC(2010)では、アルコール飲料の発がん性について多くの疫学データから十分な証拠があることなどから、アルコール飲料に含まれるエタノールの摂取により、エタノール及び主代謝物であるアセトアルデヒドが食道などに悪性腫瘍を誘発することが明らかにされているため、区分1Aに分類する。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1A |
危険 |
H360 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
ヒトでは出生前にエタノール摂取すると新生児に胎児性アルコール症候群と称される先天性の奇形を生じることが知られている。奇形には小頭症、短い眼瞼裂、関節、四肢及び心臓の異常、発達期における行動及び認知機能障害が含まれる(PATTY(6th, 2012))。これらはヒトに対するエタノールの生殖毒性を示す確かな証拠と考えられるため、区分1Aとした。なお、胎児性アルコール症候群は妊娠期に大量かつ慢性的にアルコールを飲んだアルコール依存症の女性と関連している。産業的な経口、経皮、吸入ばく露による胎児性アルコール症候群の報告はない。また、動物実験でも妊娠ラットに経口投与した試験で奇形の発生がみられている。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(気道刺激性、麻酔作用) |
警告 |
H335
H336 |
P304+P340
P403+P233 P261 P271 P312 P405 P501 |
ヒトの吸入ばく露により眼及び鼻への刺激症状が報告されている(PATTY(6th, 2012))。血中エタノール濃度の上昇に伴い、軽度の中毒(筋協調運動低下、気分、性格、行動の変化から中等度の中毒(視覚障害、感覚麻痺、反応時間遅延、言語障害)、さらに重度の中毒症状(嘔吐、嗜眠、低体温、低血糖、呼吸抑制など)を生じる。さらに、呼吸または循環不全により、あるいは咽頭反射が欠如した場合には胃内容物吸引の結果として死に至ると記述されている(PATTY(6th, 2012))。ヒトに加えて実験動物でも中枢神経系の抑制症状がみられている(SIDS(2005))。以上より、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(肝臓)、区分2(中枢神経系) |
危険 警告 |
H372
H373 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
ヒトでのアルコールの長期大量摂取はほとんど全ての臓器に悪影響を及ぼすが、最も強い影響を与える標的臓器は肝臓であり、障害は脂肪変性に始まり、壊死と線維化の段階を経て肝硬変に進行する(DFGOT vol.12(1999))との記載に基づき区分1(肝臓)とした。また、アルコール乱用及び依存症患者の治療として、米国FDAは3種類の治療薬を承認しているとの記述がある(HSDB(Access on June 2013))ことから、区分2(中枢神経系)とした。なお、動物実験では有害影響の発現はさほど顕著ではなく、ラットの90日間反復経口投与試験において、ガイダンス値範囲をかなり上回る高用量で肝臓への影響として脂肪変性が報告されている(SIDS(2005)、 PATTY(6th, 2012))。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 |
- |
- | - | 藻類(クロレラ)の96時間EC50 = 1000 mg/L(SIDS, 2005)、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 5463 mg/L(ECETOC TR 91 2003)、魚類(ニジマス)の96時間LC50 = 11200 ppm(SIDS, 2005)より、藻類、甲殻類及び魚類において100 mg/Lで急性毒性が報告されていないことから、区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 |
- |
- | - |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(BODによる分解度:89%(既存点検, 1993))、甲殻類(ニセネコゼミジンコ属の一種)の10日間NOEC = 9.6 mg/L(SIDS, 2005)であることから、区分外となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、藻類、魚類ともに急性毒性が区分外相当であり、難水溶性ではない(miscible、ICSC, 2000)ことから、区分外となる。 以上の結果から、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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