項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 1477-55-0 |
名称 | メタ‐キシリレンジアミン |
物質ID | R02-B-009-MHLW, MOE |
分類実施年度 | 令和2年度(2020年度) |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 2012年度(平成24年度) 2006年度(平成18年度) |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
---|---|
分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。 |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でないため、区分に該当しない。 |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 引火点 142℃ (closed cup) (GESTIS (Access on April 2020)) より、区分に該当しない。 |
7 | 可燃性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験法が確立していないため、分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。 |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 酸素、塩素及びフッ素を含まない有機化合物であり、区分に該当しない。 |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。 |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。なお、材料としてアルミニウムは適さないという情報 (GESTIS (Access on April 2020)) がある。 |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 | P301+P312 P264 P270 P330 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分4とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 660 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)) (2) ラットのLD50: 930 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)、GESTIS (Access on April 2020)、REACH登録情報 (Access on May 2020)) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分4 |
警告 |
H312 | P302+P352 P362+P364 P280 P312 P321 P501 |
【分類根拠】 (1) より、区分4とした。 【根拠データ】 (1) ウサギのLD50: 2,000 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)、GESTIS (Access on April 2020)) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しないとした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分3 |
危険 |
H331 | P304+P340 P403+P233 P261 P271 P311 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分3とした。 なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.220 mg/L) よりも高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。 【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (4時間): 雄: > 1.42 mg/L、雌: 0.8 mg/L (SIAP (2001)) (2) ラットのLC50 (4時間、エアロゾル): 1.34 mg/L (REACH登録情報 (Access on May 2020)) (3) 本物質の蒸気圧: 0.03 mmHg (25℃) (飽和蒸気圧濃度換算値:0.220 mg/L) (HSDB (Access on April 2020)) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 |
危険 |
H314 | P301+P330+P331 P303+P361+P353 P305+P351+P338 P304+P340 P260 P264 P280 P310 P321 P363 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分1とした。 【根拠データ】 (1) 本物質の原液はモルモットの皮膚に対して腐食性を有し、アセトン/ジオキサンを用いた50%乳化液は強い刺激性を示すが、10%乳化液では殆ど刺激性を示さない。また、10%水溶液の適用は強度の紅斑と浮腫を引き起こす (ACGIH (7th, 2019))。 (2) 本物質はラットとマウスの皮膚に腐食性を示す (SIAP (2001)、REACH登録情報 (Access on May 2020)) 。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 |
危険 |
H318 | P305+P351+P338 P280 P310 |
【分類根拠】 (1) より、区分1とした 【根拠データ】 (1) 本物質は皮膚腐食性物質 (区分1) に区分されている。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1A |
警告 |
H317 | P302+P352 P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
【分類根拠】 (1)~(5) より、区分1Aとした。 【根拠データ】 (1) 本物質は産衛学会において皮膚第1群に指定されている (日本産業衛生学会学会誌 (2019年9月号))。 (2) 本物質はモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) において感作性を示す (SIAP (2001))。 (3) 本物質はプラスチック製造に関わる作業者における強い感作性物質と報告されている (ACGIH (7th, 2019))。 (4) 本物質は作業者に対し0.1 mg/m3以下の作業環境下で皮膚感作性を示す (SIAP (2001))。 (5) TG429に準拠したマウス局所リンパ節試験 (LLNA) において、陽性と判定された (REACH登録情報 (Accessed on October 2019))。 【参考データ等】 (6) 本物質は反復適用によりモルモットに軽度の感作性を示したが、再現性は得られなかった (ACGIH (7th, 2019))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性の報告がある (ACGIH (7th, 2019)、SIAP (2001))。 (2) in vitroでは、細菌を用いる復帰突然変異試験、ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験で陰性の報告がある (ACGIH (7th, 2019)、SIAP (2001)、既存点検結果 (Access on April 2020))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1) 、(2) より、概ね性機能・生殖能、発生影響に対する悪影響はないと判断されることから、区分に該当しないとした。なお、新たな情報が得られたことにより、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットを用いた強制経口投与による簡易生殖毒性試験 (OECD TG 421) において、親動物毒性 (死亡、体重増加抑制、摂餌量減少、前胃の病変 (潰瘍、角化亢進を伴った扁平上皮増生等)) がみられる用量においても、生殖能、児動物に影響はみられていない (既存点検結果 (Access on April 2020))。 (2) 雌ラットの妊娠6~19日に強制経口投与した発生毒性試験 (OECD TG 414) において、母動物毒性 (体重減少、切迫屠殺 (3/25例)、呼吸困難、肺の暗赤色化等) がみられる用量においても、胚/胎児に影響はみられていない (REACH登録情報 (Access on June 2020))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (呼吸器) |
危険 |
H370 | P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3) より、本物質の主な急性影響は腐食性による呼吸器への影響と考えられることから、区分1 (呼吸器) とした。旧分類で分類根拠とされたラット、マウスの急性毒性試験でみられた自発運動の低下、眼瞼下垂、死亡例での運動失調と努力呼吸については、自発運動の低下、眼瞼下垂等は回復性がみられていること、運動失調及び努力呼吸については死亡例での所見であることから、分類根拠としないこととし、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質の毒性は最初の接触部位での腐食性によるものである (SIAP (2001))。 (2) ラットに本物質のエアロゾル1.74~6.04 mg/Lを1時間 (4時間換算値: 0.44~1.51 mg/L、区分1~区分2の範囲) 吸入ばく露した結果、眼刺激、流涙、呼吸困難がみられ、剖検で肺の病変がみられた (ACGIH (7th, 2019))。 (3) ラットに本物質のエアロゾル0.74~ 5.2 mg/Lを4時間吸入ばく露した試験 (OECD TG 403) において、0.74 mg/L (区分1の範囲) で頻呼吸 (accelerated respiration)、肺の異常呼吸音 (pulmonary respiration sounds)、うずくまり、立毛、被毛の汚れがみられ、剖検では0.74 mg/L群の生存例で肺葉のびまん性の赤色化、水腫が、1.35 mg/L以上の群の死亡例で肺葉のびまん性の赤色化がみられた (REACH登録情報 (Access on May 2020))。 【参考データ等】 (4) 本物質の製造工場の作業者の症例報告で、本物質の腐食性による消化管への刺激がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2019))。 (5) ラット、マウスを用いた急性経口毒性試験で、自発運動の低下や眼瞼下垂等が投与後数時間で認められたが、これらの症状は3~7日後に回復した。観察中の死亡例では、死亡前に運動失調と努力呼吸を示した。剖検では、死亡例の胃及び腸管に激しい潰瘍または壊死が観察されたが、他の臓器に極端な変化はみられなかった (REACH登録情報 (Access on May 2020))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (呼吸器) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1) より、実験動物への吸入ばく露により、区分1の範囲で呼吸器への影響がみられていることから、区分1 (呼吸器) とした。新たな情報をもとに分類を行い、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットを用いた13週間の吸入ばく露試験において、本物質のエアロゾルを13週間 (6時間/日、5日間/週) 鼻部ばく露した結果、5 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.004 mg/L、区分1の範囲) 以上で気管支上皮の変性 (腺毛の喪失、上皮の菲薄化、細胞質の好塩基性化、核濃縮) が、30 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.022 mg/L、区分2の範囲) で気管支上皮の扁平上皮化生、肺の亜急性炎症がみられたと報告されている (REACH登録情報 (Access on May 2020))。 【参考データ等】 (2) ラットを用いた経口投与による28日間反復投与毒性試験の結果、600 mg/kg/day (90日換算: 187 mg/kg/day、区分2超) で自発運動低下などの症状発現と死亡の発生、病理学的変化として胃の主に前胃部粘膜に潰瘍の形成、重層扁平上皮の過形成、さらに血液または生化学検査では血色素量およびヘマトクリット値の減少、血清総タンパク量の減少などが報告されているが、それより低用量の150 mg/kg/day以下では毒性影響は報告されていない (既存点検結果 (Access on April 2020)、SIAP (2001))。 |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分3 |
- |
H402 | P273 P501 |
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 15 mg/L(MOE既存点検結果, 1999) であることから、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分3 |
- |
H412 | P273 P501 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BODによる4週間分解度:22%(METI既存点検結果, 1984))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 4.7 mg/L(MOE既存点検結果, 1999、SIAP, 2001)から、区分に該当しない。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BODによる4週間分解度:22%(METI既存点検結果, 1984))、魚類(ゴールデンオルフェ)の96時間LC50 = 75 mg/L(SIAP, 2001)から、区分3となる。 以上の結果を比較し、区分3とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
|