項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 75-44-5 |
名称 | ホスゲン |
物質ID | R02-B-064-MHLW, MOE |
分類実施年度 | 令和2年度(2020年度) |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 2006年度(平成18年度) |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない |
- |
- | - | 不燃性気体 (GESTIS (Access on May 2020)) という情報より、区分に該当しない。 |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でないため、区分に該当しない。 |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない |
- |
- | - | UNRTDGにおいてUN 1076、クラス2.3、副次8に分類されており、副次危険性を含めてクラス5.1には分類されていないため、区分に該当しない。 |
5 | 高圧ガス | 低圧液化ガス |
警告 |
- | - | 臨界温度182.3℃ (GESTIS (Access on May 2020)) より、低圧液化ガスとした。 |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 |
7 | 可燃性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 気体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。なお、水の存在下では塩酸を生成するので、多くの金属を侵す (ICSC (2013)) という情報がある。 |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分1 |
危険 |
H330 | P304+P340 P403+P233 P260 P271 P284 P310 P320 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分1とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (4時間): 0.0086 mg/L (2.1 ppm) (MAK (DFG) (2015)) (2) ヒトのLC50は500 ppm (1分間) であり、3 ppmの170分間ばく露と30 ppmの17分間ばく露は同等に致死的との報告がある (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on May 2020))。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
警告 |
H315 | P302+P352 P332+P313 P362+P364 P264 P280 P321 |
【分類根拠】 (1)~(5) より、区分2とした。 【根拠データ】 (1) 本物質は高濃度では皮膚刺激性を示す可能性がある (EHC 193 (1997))。 (2) 本物質は強い皮膚刺激性を示す (IPCS PIM 419 (1997))。 (3) ホスゲンによる皮膚障害及び前眼部障害は、労働基準法施行規則別表第一の二に掲げる業務上の疾病として定められている (労働省告示第三十三号 (1996))。 (4) 本物質 (液体) への接触は強い刺激性を示すとは考えられていない (GESTIS (Access on May 2020))。 (5) 本物質の皮膚への大量のばく露では火傷を生じる可能性があるが、少量では刺激を生じる (HSDB (Access on May 2020))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 |
警告 |
H319 | P305+P351+P338 P337+P313 P264 P280 |
【分類根拠】 (1)~(5) より、区分2とした。細区分の明白な根拠が得られないため、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質は非常に危険なガスであり、ばく露される初期症状として眼刺激性及び火傷を示す可能性がある (ACGIH (7th, 2001))。 (2) 本物質は非常に強い眼刺激性を示す (IPCS PIM 419 (1997))。 (3) 本物質は 4 ppm以上で眼刺激性を示し、10 ppm以上で強い眼刺激性と気道刺激性を示す (US AEGL (2002)、GESTIS (Access on May 2020))。 (4) ホスゲンによる皮膚障害及び前眼部障害は、労働基準法施行規則別表第一の二に掲げる業務上の疾病として定められている (労働省告示第三十三号 (1996))。 (5) 本物質 (液体) の眼への深刻なばく露では角膜混濁を生じる可能性がある (HSDB (Access on May 2020))。 【参考データ等】 (6) イヌにおいて致死量のばく露で眼に刺激性及び角膜浮腫が報告されている (EHC 193 (1997))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウスに本物質を6時間吸入ばく露による染色体異常誘発性、異数性誘発性、姉妹染色分体交換及び小核の誘発性は認められなかった報告がある (MAK (DFG) (2015)、IRIS Tox. Review (2006)、HSDB (Access on May 2020))。 (2) in vitroでは、本物質をガス状ばく露による細菌の復帰突然変異試験で陰性の報告の報告がある (MAK (DFG) (2015)、IRIS Tox. Review (2006)、HSDB (Access on May 2020)) |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1) より分類できないとした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでI (inadequate information to assess carcinogenic potential) (IRIS (2006)) に分類されている。 【参考データ等】 (2) 同期間に雇用された男性労働者について、本物質に毎日ばく露された労働者694人とばく露されなかった労働者9,280人を比較したコホート研究 (ばく露期間は2ヵ月~1年、フォローアップ期間は30年) では、呼吸器疾患と肺がんのSMRは対照群とばく露した労働者で有意差はみられなかった。本研究はサンプルサイズが小さく、ヒトの発がんリスクを評価するには適切でない (IRIS (2006))。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (呼吸器) |
危険 |
H370 | P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(5) より、区分1 (呼吸器) とした。 【根拠データ】 (1) ヒトの死因の多くはホスゲン無酸素症に関連しており、生存例では肺の広範な線維化、肺気腫、無気肺、気管支炎がみられた。初期症状 (咳、呼吸困難、眼刺激及び熱感) に続いて数時間後に、細気管支炎、気管支周囲浮腫及び広範な肺のうっ血がみられた (ACGIH (7th, 2001))。 (2) 本物質は吸入した場合、肺胞内で徐々に加水分解され、塩化水素と塩素を放出し、通常ばく露6~24時間後の遅延死を生じる (ACGIH (7th, 2001))。 (3) 本物質は1.6 mg/m3で臭いを感じ、12 mg/m3で眼、鼻、喉の刺激、120 mg/m3-分以上で肺の傷害、600 mg/m3-分以上で肺水腫を起こす (MOE初期評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。 (4) 国内で 1966年に起きた本物質の漏洩事故で382人がばく露され、うち12人が入院しており、頭痛、吐き気、咳、呼吸異常、疲労、咽頭痛、胸部締付感、胸の痛み、発熱の他に1人で流涙及び眼の発赤がみられた。また、48時間後のX線検査で7人が肺水腫と診断されており、眼や鼻の刺激症状がない場合でも、肺水腫の起こり得ることが示されている (MOE初期評価第3巻 (2004)、EHC 193 (1997))。 (5) ホスゲンによる頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、皮膚障害、前眼部障害又は気道・肺障害は、労働基準法施行規則別表第一の二に掲げる業務上の疾病として定められている (労働省告示第三十三号 (1996))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (呼吸器) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分1 (呼吸器) とした。 【根拠データ】 (1) 本物質は水分と接触すると、塩酸と二酸化炭素に加水分解される。体内でも同様で、吸入すると細気管支、肺胞などに侵入した後、徐々に分解され、生じた塩酸によって肺充血、肺水腫などを起こし、さらに肺炎へと進む。肺水腫では、循環血漿の30~50%までが肺に集まることさえあり、いわゆる“陸上溺死”の状態になる。このため血液は濃縮し、血流が障害され、組織は酸素不足をきたす。心臓の負担がしだいに増し、心衰弱へと進む。ときには肺膿瘍を起こす。激しい咳、褐色の痰、呼吸困難、チアノーゼ、脈の頻小などが現れ、ついには窒息と心衰弱により死に至る。また、肺障害の原因として、塩酸の他に、生体成分のアシル化反応も関与するといわれている (MOE初期評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。 (2) 少量の本物質に1.5~3.5年の間繰り返しばく露された5名の労働者を調査した結果、肺気腫が2例、換気異常が全員にみられた (HSDB (Access on May 2020))。 (3) ホスゲンによる頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、皮膚障害、前眼部障害又は気道・肺障害は、労働基準法施行規則別表第一の二に掲げる業務上の疾病として定められている (労働省告示第三十三号 (1996))。 |
10 | 誤えん有害性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義におけるガスである。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 分類できない |
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- | - | データがなく分類できない |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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