項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 532-27-4 |
名称 | オメガ-クロロアセトフェノン |
物質ID | R02-B-070-MHLW, MOE |
分類実施年度 | 令和2年度(2020年度) |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 2006年度(平成18年度) |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
---|---|
分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。 |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でないため、区分に該当しない。 |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。なお、可燃性 (ICSC (2002)) という情報がある。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。 |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | フッ素を含まず、酸素及び塩素を含む有機化合物であるが、この酸素及び塩素が炭素及び水素以外の元素と結合していないため、区分に該当しない。 |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。 |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分3 |
危険 |
H301 | P301+P310 P264 P270 P321 P330 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分3とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 71~258 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) (2) ラットのLD50: 127 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、NTP TR379 (1990)、HSDB (Access on May 2020)) |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 LC50値の情報はないが、マウスのLDLo値として、0.417 mg/Lとの報告 (MOE初期評価第6巻 (2008)) があり、LD50値はこの値よりも大きいと考えられる。しかしながら、区分が特定できないので、分類できないとした。 【参考データ等】 (1) マウスのLDLo: 0.417 mg/L (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
警告 |
H315 | P302+P352 P332+P313 P362+P364 P264 P280 P321 |
【分類根拠】 (1)~(5) より、区分2とした。 【根拠データ】 (1) 本物質は動物種にかかわらず、本物質の接触による一次刺激性皮膚炎は顕著であり、持続する。また、顕著な紅斑、浮腫及び落屑を生じ、さらに炎症は適用部位から周囲に広がった (ACGIH (7th, 2001))。 (2) 本物質は皮膚刺激性があり、重度 (2~3度) の化学熱傷を引き起こす可能性がある (IRIS (1991))。 (3) 本物質はヒトにおいて皮膚、気道を刺激し、皮膚に付くと発赤、痛みを生じる (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。 (4) 皮膚に対し、中等度~重度の刺激性及び皮膚感作性を有する (GESTIS (Access on May 2020))。 (5) 7人のボランティアに対するパッチテストの用量設定試験の高濃度において一次刺激性皮膚炎が観察され、反応は1週間以内に消失したが、適用局所には色素沈着が認められた (HSDB (Access on May 2020))。 【参考データ等】 (6) 本物質のリン酸トリオクチル溶液 (0.5 mL) をウサギ (2匹) の皮膚に30分間塗布した際の平均一次刺激スコアは 1%溶液で4.0 (未洗浄)、4%溶液で5.5 (未洗浄)、5.2 (洗浄)、または2.9 (水と石鹸で洗浄)であった (HSDB (Access on May 2020))。 (7) 本物質の12.5%アセトン溶液またはコーン油溶液をウサギ、モルモット、ラットの皮膚に6時間した結果、種によって軽度から中程度の紅斑、および最後に軽度から顕著な浮腫が認められたが、7-14日後に完全に消失した。ラットとモルモットでは適用4~7日後に、軽度から著しい落屑が観察され、ウサギでは適用1~7日後に斑状出血と散在する壊死が観察され、瘢痕が形成された。 すべての種において、病変は適用領域を超えて認められた (HSDB (Access on May 2020))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 |
危険 |
H318 | P305+P351+P338 P280 P310 |
【分類根拠】 (1)~(5) より、区分1とした。 【根拠データ】 (1) 本物質のポリエチレングリコール300 溶液 のウサギを用いた眼刺激性試験で、流涙、眼瞼炎、浮腫、結膜炎、虹彩炎、角膜炎、血管新生等がみられ、重篤な角膜損傷は5 mg以上の用量で顕著であった (ACGIH (7th, 2001))。 (2) 本物質の10%メチルクロロホルム溶液 はウサギの角膜の永久的損傷を引き起こす (ACGIH (7th, 2001))。 (3) 本物質の噴霧によりウサギ及びサルにおいて重度、時に永久的角膜損傷を引き起こす (ACGIH (7th, 2001))。 (4) 本物質はヒトにおいて眼を著しく刺激し、皮膚、気道を刺激する。眼に入ると発赤、痛み、かすみ眼、回復不能な部分的視力喪失、皮膚に付くと発赤、痛みを生じる (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。 (5) 眼や気道の粘膜に対し、重度の刺激性~腐食性を示す (GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 |
警告 |
H317 | P302+P352 P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分1とした。 【根拠データ】 (1) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (局所投与: 1%又は0.5%アセトン溶液0.2 mL又は皮内投与: 10~25μg/0.5 mL) で接触感作性が認められた (ACGIH (7th, 2001))。 (2) 本物質はヒトの皮膚感作性物質であること知られており、モルモットの皮膚または皮内への適用により、感作性を示す (IRIS (1991))。 (3) 皮膚に対し、中等度~重度の刺激性及び皮膚感作性を示す (GESTIS (Access on May 2020))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足で分類できない。 【根拠データ】 (1) in vivoはデータなし。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陰性、染色体異常試験で弱陽性 (NTP TR379 (1990)、ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on May 2020)、GESTIS (Access on May 2020)、CEBS (Access on May 2020))。 |
6 | 発がん性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)、(2) より、雌ラットに乳腺線維腺腫の増加が認められているが、この結果も含めてACGIHがA4に分類していることから、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2001)) に分類されている。 (2) 雌雄のラットに本物質を2年間吸入ばく露した発がん性試験において、雌ラットで乳腺の線維腺腫の有意な増加がみられた。雄ラット及び雌雄マウスでは腫瘍発生の増加はみられなかった。これより、本物質の発がん性に関して、雌のラットには曖昧な証拠 (equivocal evidence) が、雄ラット及び雌雄マウスには発がん性の証拠なしと結論された (NTP TR379 (1990)、ACGIH (7th, 2001))。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (呼吸器)、区分3 (麻酔作用) |
危険 警告 |
H370 H336 |
P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
【分類根拠】 (1)~(4) より、 区分1 (呼吸器)、区分3 (麻酔作用) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質にばく露されたヒトへの主な症状は、鼻汁を伴う鼻のしびれ、流涙を伴う喉や目の灼熱感である。より重度の症状では、肺うっ血と浮腫が生じる (ACGIH (7th, 2001))。 (2) ボランティア4人に40~350 mg/m3の範囲で、耐えられなくなるまで、もしくは最長4分間ばく露した結果、鼻の痛み、鼻漏、咽喉の灼熱感、流涙を伴う眼の灼熱感、かすみ眼の訴えがあり、この他に眼や喉の周りの皮膚の灼熱感、呼吸困難を伴う胸部の灼熱感、軽微な吐き気、軽微で一過性の気道抵抗の増加もみられたが、これらの症状はばく露がなくなると消失した (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)、HSDB (Access on May 2020))。 (3) 刑務所で暴動を抑えるために、本物質を含む催涙剤を使用したときに、46時間後に33歳の男性1人が死亡し、催涙ガスによる急性壊死性喉頭気管支炎によるものと診断された (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。 (4) 刑務所で44人の独房に本物質を噴霧した結果、8人が喉頭気管支炎、第1度・第2度の化学熱傷、アレルギー反応 (重度の全身性の症状、嘔吐、失神など) のうち、一つ以上の症状があり、倦怠感、嗜眠、排尿困難、咳、かゆみ、結膜炎もみられ、他の20名では皮膚と眼の傷害が生じた (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)、IRIS (1991))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (呼吸器) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分1 (呼吸器) とした。旧分類で分類根拠とされたヒトの情報は、単回ばく露による影響である可能性が高いことから分類根拠としなかった。新たな情報源の情報を加えて検討を行い、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットに本物質を2年間吸入ばく露した試験で、1 mg/m3以上 (0.001 mg/L、区分1の範囲) で鼻腔の呼吸上皮の過形成、扁平上皮化生が、2 mg/m3 (0.002 mg/L、区分1の範囲) で鼻腔の化膿性炎、リンパ球数や有核赤血球数の増加がみられた。なお、ウイルス感染によって鼻粘膜に対する刺激作用が悪化した可能性があると示唆されている (IRIS (1991)、ACGIH (7th, 2001)、MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。 (2) マウスに本物質を2年間吸入ばく露した試験で、2 mg/m3 (0.002 mg/L、区分1の範囲) で浅くて速い呼吸、雌で生存率低下が、4 mg/m3 (0.004 mg/L、区分1の範囲) で鼻腔の呼吸上皮の過形成や扁平上皮化生がみられた (同上)。 |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
|