項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 23564-05-8 |
名称 | ジメチル 4,4'‐(オルト‐フェニレン)ビス(3‐チオアロファナート)(別名チオファネート‐メチル) |
物質ID | R03-B-017-METI, MOE |
分類実施年度 | 令和3年度(2021年度) |
分類実施者 | 経済産業省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 2008年度(平成20年度) |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない |
- |
- | - |
165℃で分解(環境省 農薬登録保留基準評価書(2015))との情報より、165℃まで分解しないと推定でき、常温で発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属又は半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 5,000 mg/kg(JMPR (2017)、EPA Pesticides RED (2005)、CLH Report (2018)) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)、(2)より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(JMPR (2017)) (2)ウサギのLD50:> 2,000 mg/kg(EPA Pesticides RED (2005)、CLH Report (2018)) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 |
警告 |
H332 |
P304+P340
P261 P271 P312 |
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分4とした。 【根拠データ】 (1)ラット(雄)のLC50(4時間):1.7 mg/L(CLH Report (2018)、REACH登録情報 (Accessed July 2021)) (2)ラット(雄)のLC50(4時間):1.9 mg/L(CLH Report (2018)、REACH登録情報 (Accessed July 2021)) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404相当、GLP、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、全例で皮膚刺激性反応はみられなかった(紅斑・痂皮スコア:0/0/0/0/0/0、浮腫スコア:0/0/0/0/0/0)との報告がある(ECHA RAC Opinion (2019)、CLH Report (2018)、REACH登録情報 (Accessed Aug. 2021))。 (2)本物質は皮膚刺激性物質ではない(EFSA (2018)、JMPR (2017)、EPA Pesticides (2005))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)~(4)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=9)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405相当、GLP、72時間観察)において、24時間後に非洗眼群6例のうち1例で軽度の結膜発赤がみられたが、48時間後には消失したとの報告がある(CLH Report (2018)、ECHA RAC Opinion (2019)、REACH登録情報 (Accessed Aug. 2021))。 (2)本物質は眼刺激性物質ではない(EFSA (2018))。 (3)ウサギを用いた眼刺激性試験において、眼刺激性はみられなかった(JMPR (2017))。 (4)ウサギを用いた眼刺激性試験において、軽度の眼刺激性がみられた(EPA Pesticides (2005))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1B |
警告 |
H317 |
P302+P352
P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、区分1Bとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)モルモット(n=10)を用いたMaximisation試験(GLP、皮内投与:3.5%溶液)において、42%溶液を局所投与し、2回惹起したところ、感作率はともに100%(10/10例)であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2019)、CLH Report (2018))。 (2)本物質はアレルギー性皮膚反応を示すおそれがある(EFSA (2018))。 (3)本物質は皮膚感作性物質である(EPA Pesticides (2005))。 (4)モルモットを用いたMaximisation試験では皮膚感作性を示したが、ビューラー試験では皮膚感作性を示さなかった(JMPR (2017))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 |
警告 |
H341 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2)より、本物質はin vitroおよびin vivoの異数性誘発物質と考えられたため、区分2とした。新たな情報源を追加し、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、マウス(B6D2F1)の骨髄細胞を用いた小核試験(単回強制経口投与、OECD TG 474、GLP)で陽性、系統の異なるマウス(ICR)を用いた骨髄細胞使用小核試験(2回強制経口投与、OECD TG 474、GLP)及びマウス(B6D2F1)の染色体異常試験(単回強制経口投与、OECD TG 475、GLP)で陰性、マウス(ICR)の精原細胞を用いた生殖細胞変異原性試験哺乳類精原細胞を用いる染色体異常試験(OECD TG 483、GLP)、及びマウス(ICR)の精巣及び骨髄細胞を用いた小核試験(同OECD TG 474、GLP)の結果はいずれも陰性であった。以上はすべてGLP適合のガイドライン試験結果である(REACH登録情報 (REACH登録情報 (Accessed July 2021)、CLH Report (2018))。 (2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験、ほ乳類培養細胞を用いた染色体異常試験及び遺伝子突然変異試験で陰性、ヒトリンパ球を用いた小核試験で陽性(-S9)の結果が得られている。以上もすべてGLP適合のガイドライン試験結果である(REACH登録情報 (Accessed July 2021)、CLH Report (2018))。 【参考データ等】 (3)EU CLPでは、本物質はMuta. 2に分類されている。CLH Report (2018)による Muta. 1Bへの変更提案に対し、ECHA RACは却下しMuta. 2を維持すると結論した(ECHA RAC Opinion (2019))。 |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3)より一部の試験で認められた腫瘍の発生は良性腫瘍が主体であることから、区分2とした。新たな情報源を追加し、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ラット(Fischer 344)を用いた2年間混餌投与による発がん性試験において、最高用量の6,000 ppm(281~335 mg/kg/day)群の雄に甲状腺ろ胞細胞腺腫の発生頻度増加が認められた(CLH Report (2018)、EPA OPP Human Health Risk Assessement (2009)、JMPR (2017))。ECHAのRACは甲状腺ろ胞細胞腺腫の発生頻度は1,200 ppm(54.4~63.5 mg/kg/day)以上の高用量2群で有意に増加したとしている(ECHA RAC Opinion (2019))。 (2)マウス(CD-1)を用いた18ヵ月間混餌投与による発がん性試験において、3,000 ppm(468~558 mg/kg/day)以上の高用量2群の雌雄に肝細胞腺腫の発生頻度増加が認められた(CLH Report (2018)、EPA OPP Human Health Risk Assessement (2009)、JMPR (2017))。 (3)ラット(SD)及びマウス(ICR-SLC)を用いた2年間混餌投与(ラット:最大640 ppm(30~34 mg/kg/day)、マウス:最大640 ppm(82 mg/kg/day)) による他の発がん性試験で、腫瘍発生は認められなかったとの報告もある(CLH Report (2018)、EPA OPP Human Health Risk Assessement (2009))。 【参考データ等】 (4)国内外の評価機関による既存分類結果として、EPAではL(Likely To Be Carcinogenic To Humans)に分類されている(EPA OPP Annual Cancer Report 2020 (Accessed July 2021):1999年分類)。 (5)本物質はラットで甲状腺腺腫、マウスで肝細胞腺腫の発生頻度増加を生じる。甲状腺腫瘍発生機序に関しては、肝臓の薬物代謝酵素(チトクロムP450、UDPGT等)の誘導と甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)の阻害を介した複合的な作用機構が仮説として提唱されている(JMPR (2017)、EFSA (2018))。 (6)本物質はCLP分類としてCarc. 2への分類が提案され、ECHAのRACはこれに同意した(ECHA RAC Opinion (2019))。 (7)のラットで甲状腺腺腫、マウスで肝細胞腺腫の発生頻度増加の結果について、ヒトに発がんリスクをもたらす可能性は低いとされている。(JMPR (2017) |
7 | 生殖毒性 | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)~(5)より、区分に該当しない。なお、(5)では生存胎児数の減少がみられたが軽度な影響である。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験(OECD TG 416、GLP)において、200 ppm(14.6~18.0 mg/kg/day)から2,000 ppm(147.1~172.9 mg/kg/day)までの各投与群で、親動物に甲状腺(重量増加・肥大・過形成、TSH増加及びT4減少(2,000 ppm雄のみ))、肝臓(重量増加・肝細胞肥大)への影響、児動物に体重増加抑制がみられたが、繁殖能への影響はみられなかったとの報告がある(CLH Report (2018)、EPA OPP Human Health Risk Assessment (2009)、JMPR (2017))。 (2)ラットを用いた混餌投与による三世代生殖毒性試験(GLP)において、生殖毒性はみられなかったとの報告がある(CLH Report (2018)、EPA OPP Human Health Risk Assessment (2009))。 (3)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG 414、GLP、妊娠6~19日)において、発生毒性はみられなかったとの報告がある(CLH Report (2018)、EPA OPP Human Health Risk Assessment (2009)、JMPR (2017))。 (4)ウサギを用いた強制経口投与による2つの発生毒性試験(OECD TG 414、GLP、妊娠6~28日)のうち、1試験では親動物に体重増加抑制・摂餌量減少等が中用量(20 mg/kg/day)以上でみられたが、児動物には最高用量(40 mg/kg/day)で骨格変異(過剰胸肋骨)がみられたのみであった(CLH Report (2018)、EPA OPP Human Health Risk Assessment (2009)、JMPR (2017))。また、他の1試験でも親動物に体重増加抑制がみられる中用量以上で、児動物に骨格変異(過剰肋骨・肥厚肋骨・仙椎肋骨部の不完全/非対称性骨化及び非対称性骨盤)がみられたが、親動物には感染症に罹患した動物が含まれていたためサポートデータとされた(CLH Report (2018)、EPA OPP Human Health Risk Assessment (2009))。 (5)マウスを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG 414、GLP、妊娠1~15日)において、1,000 mg/kg/dayで軽度な同腹生存胎児数の減少(9.7匹、対照群(10.9匹))がみられたとの報告がある(CLH Report (2018))。 【参考データ等】 (6)本物質の代謝産物のカルベンダジム(CAS番号 10605-21-7)は、CLP分類でRepr. 1B(本邦GHS分類:区分1B)に分類されており、本物質の生殖毒性に関する懸念は完全には払拭されないが、本物質の生殖発生試験結果からは本物質の生殖毒性に関して分類を提案する必要はないということで合意された(EFSA (2018))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)より、吸入経路で神経系症状がみられたが、(2)より、神経毒性は否定されていることから、神経系は標的臓器として採用しない。その他の経路では、標的臓器を特定できる影響がみられなかったため、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた単回吸入ばく露試験(GLP、4時間、ミスト)において、1.0~1.9 mg/L(区分2の範囲)で1.9 mg/Lの群に死亡例(雄:5/5、雌:3/5)がみられ、症状として自発運動現象、感受性低下、筋緊張低下、腹臥、尿失禁、運動失調、眼瞼下垂、振戦、痙攣がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2021)、CLH Report (2018))。 (2)ラットを用いた急性神経毒性試験において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で症状はみられなかったとの報告があり、JMPRでは神経毒性はないと結論付けられている(JMPR (2017)、REACH登録情報 (Accessed July 2021)、 CLH Report (2018))。 (3)ラットを用いた単回経口投与試験(GLP)において、5,000 mg/kg(区分該当しない範囲)で症状はみられなかったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2021))。 (4)ウサギを用いた単回経皮投与試験(GLP)において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で適用部位の発赤がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2021))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(肝臓、甲状腺、血液系) |
警告 |
H373 |
P260
P314 P501 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、経口経路で血液及び甲状腺への影響が、(3)より、肝臓への影響がみられたことから、区分2(肝臓、甲状腺、血液系)とした。なお、(6)、(7)はガイドライン化前の試験であり、評価項目は限定的であることから、分類に用いなかった。 【根拠データ】 (1)イヌを用いた強制経口による3ヵ月間反復経口投与試験において、50 mg/kg/day(区分2の範囲)以上で、甲状腺濾胞上皮細胞の肥大が、200 mg/kg/day以上で、体重増加抑制、摂餌量減少、肝臓及び甲状腺重量増加、T3減少(雄)、血液学的変化(Hct減少、Hb減少、RBC減少)(雌)、T3及びT4減少(雌)がみられたとの報告がある(JMPR (2017)、CLH Report (2018))。 (2)イヌを用いた強制経口による1年間慢性毒性試験において、8 mg/kg/day(区分1の範囲)で甲状腺重量の増加(雌)が、200 mg/kg/dayで振戦、甲状腺の肥大及び過形成、T4の減少(雄)及び血液学的変化(RBC減少、Hb減少、Hct減少)(雄)がみられたとの報告がある(JMPR (2017)、CLH Report (2018))。 (3)マウスを用いた18ヵ月間慢性毒性/がん原性併合試験において、640 ppm(99 mg/kg/day(雄)、123 mg/day(雌)、区分2の範囲)で、肝臓及び甲状腺重量増加、小葉中心性肝細胞肥大(雌)、肝細胞腺腫(雌)が、3,000 ppm(468 mg/kg/day(雄)、558 mg/kg/day(雌))以上で、肝臓及び甲状腺重量増加、肝細胞腺腫がみられたとの報告がある(JMPR (2017)、CLH Report (2018))。 (4)ラットを用いた2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、1,200 ppm(54 mg/kg/day(雄)、64 mg/kg/day(雌) 、区分2の範囲)で肝臓、甲状腺及び腎臓重量増加、血液学的変化(RBC減少、MCV減少、MCH減少、MCHC減少)、1,200 ppm(54 mg/kg/day(雄)、64 mg/kg/day(雌) 、区分2の範囲)以上で、甲状腺の濾胞細胞の過形成及び肥大、小葉中心性肝細胞肥大、リボフスチン色素の出現、塩素及びカリウムの減少(雄)、T4及びT3の減少(雄)、TSHの増加(雄)、尿中たんぱく質(雄)、顆粒状腎臓(雄)がみられたとの報告がある(JMPR (2017)、CLH Report (2018) 、REACH登録情報(Accessed Aug. 2021))。 (5)ウサギを用いた21日間反復経皮投与試験において、100 mg/kg/day(90日換算:23.3 mg/kg/day、区分2の範囲)で症状はみられなかったとの報告がある(CLH Report (2018))。 【参考データ等】 (6)イヌを用いた2年間慢性毒性試験において、50 mg/kg/day(区分2の範囲)で甲状腺重量の増加、甲状腺の中程度の肥大がみられたとの報告がある(JMPR (2017)、CLH Report (2018))。 (7)マウスを用いた2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、640 ppm(82 mg/kg/day(雄)、84 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で体重増加抑制、精巣の病理組織変化(雄)がみられたとの報告がある(JMPR (2017))。 |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 |
P273
P391 P501 |
魚類(Ictalurus punctatus)96時間LC50 = 0.03 mg/L(HSDB (2021)、OPP Pesticide Ecotoxicity Database)であることから、区分1とした。新たな情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。 |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分1 |
警告 |
H410 |
P273
P391 P501 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性でなく(BIOWIN)、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間NOErC=4.3 mg/L(水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣が定める基準値の設定に関する資料, 2015)であることから、区分に該当しないとなる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階(甲殻類、魚類)に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく、魚類(Ictalurus punctatus)96時間LC50 = 0.03 mg/L(HSDB (2021)、OPP Pesticide Ecotoxicity Database)であることから、区分1となる。 以上の結果を比較し、区分1とした。慢性毒性の分類方法の変更及び新たな情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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