NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 110-54-3
名称 ヘキサン
物質ID m-nite-110-54-3_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 引火性液体 区分2


危険
H225 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点-22℃(Closed cup)、沸点が69℃(ICSC (2021))に基づき区分2とした。なお、UNRTDGにおいてUN 1208、クラス3、PG IIに分類されている。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点が225℃(ICSC (2021))であり、常温で発火しないと考えられる。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験法が確立していない。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 酸素、フッ素または塩素原子を含んでいない。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
16 金属腐食性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 鋼、ステンレス鋼、アルミニウムと大部分の通常の材料は容器として耐久性があるとの情報(ホンメル (1996))により、区分に該当しない。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:28,710 mg/kg(EHC 122 (1991)、ATSDR (1999)、DFG MAK (2000)、CEPA (2009))
(2)ラットのLD50:32,340 mg/kg(EHC 122 (1991)、ATSDR (1999)、DFG MAK (2000)、CEPA (2009))
(3)ラットのLD50:15,840 mg/kg(EHC 122 (1991)、ATSDR (1999)、DFG MAK (2000)、CEPA (2009))

令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)からは区分を特定できず、データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)ウサギのLD50(45%溶液、4時間):> 3,000 mg/kg(100%原液換算:> 1,350 mg/kg)(EHC 122 (1991)、DFG MAK (2000))
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない。なお被験空気は、飽和蒸気圧濃度(198,020 ppm)の90%を下回ることから、ミストをほとんど含まない蒸気と考えられ、ppmVを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間):48,000 ppm(US AEGL (2013)、EFSA (2012))
(2)ラットのLC50(1時間):77,000(76,900)ppm(4時間換算:38,500 ppm)(EHC 122 (1991)、DFG MAK (2000)、US AEGL (2013))
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1)~(3)より、区分2とした。

【根拠データ】
(1)ヒトの皮膚に本物質が短時間接触したところ、一過性の紅斑がみられた。本物質(テクニカルグレード)に5時間閉塞適用後にはより重度の影響(紅斑、水疱形成)がみられたの報告がある(EHC 122 (1991)、DFG MAK (2000))。
(2)ヒトが本物質を急性ばく露したところ、皮膚腐食性/刺激性がみられた(ATSDR (1999))。
(3)ウサギを用いた皮膚腐食性/刺激性試験において、22及び24時間後に軽度の刺激性がみられたとの報告がある(DFG MAK (1992))。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。なお、用いる知見を精査し、分類結果を見直した(2023年度)。

【参考データ等】
(1)ボランティアに500 ppmの本物質蒸気を3~5分間ばく露した試験では、眼刺激性影響はみられなかったとの報告がある(EHC 122 (1999)、DFGMAK(2000)、US AEGL (2013))。
(2)本物質(テクニカルグレード、45%含有)0.1mLをウサギに適用したところ、結膜発赤がみられ、軽微な刺激性(Slight irritation)であったとの報告がある(DFG MAK (1992)、DFG MAK (2000))。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 皮膚感作性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)マウスを用いたLLNA試験において、最大濃度(原液)まで塗布したが、結果は陰性(SI値<3.0)であった(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023))。

【参考データ等】
(2)25名のボランティアによるMaximisation試験において、原液で惹起し、25%溶液で誘導したところ、皮膚感作性反応はみられなかったとの報告がある(EHC 122 (1991))。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)In vivoでは、マウスを用いた8週間吸入ばく露(最大400 ppm、6時間/日、5日/週)による優性致死試験で陰性、ラットの骨髄細胞を用いた市販品(本物質約52%含有)の5日間吸入ばく露(最大9,000 ppm、6時間/日)による染色体異常試験(OECD TG475)で陰性の報告がある(EU REACH CoRAP (2017)、DFG MAK (2000))。この他、マウスの赤血球を用いた13週間吸入ばく露による小核試験、マウスの骨髄細胞を用いた腹腔内投与による染色体異常試験、マウスを用いた吸入ばく露(最大396 ppm、最大5,000 ppm)による2つの優性致死試験で、陰性の報告がある(EFSA (2012)、ATSDR (1999))。
(2)In vitroでは、細菌を用いた3つの復帰突然変異試験(OECD TG471)、マウスリンパ腫L5178Y細胞を用いた2つの遺伝子変異試験(OECD TG476)でいずれも陰性、ほ乳類培養細胞(CHL、CHO)を用いた染色体異常試験で陽性又は陰性の報告がある(EFSA (2012)、ATSDR (1999))。

令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3)より、分類できない。

【根拠データ】
(1)本物質市販品(本物質約52%含有品)について、ラットを用いた2年間吸入ばく露(蒸気、900~9,000 ppm、6時間/日、5日/週)による発がん性試験(OECD TG451、GLP)では、低濃度(900 ppm)から鼻甲介に刺激性変化、最高濃度で喉に刺激性変化がみられたが、ばく露に関連した腫瘍性病変はいずれの群にも認められなかった(IRIS (2005))。
(2)マウスを用いた2年間吸入ばく露(蒸気、900~9,000 ppm、6時間/日、5日/週)による発がん性試験(OECD TG451、GLP)では、最高濃度(9,000 ppm)群の雌で肝臓腫瘍(肝細胞腺腫、肝細胞がん)の発生頻度の軽度増加(統計的有意)が認められた(DFG MAK (2000))。
(3)(2)について、EPAは本物質市販品に含まれる他の炭化水素化合物の影響を無視できず、本物質の真の発がん評価に市販品の結果を適用するのは必ずしも適切とは言えず、結論を導けないとした(IRIS (2005))。

【参考データ等】
(4)国内外の評価機関による既存分類では、EPAでI(Inadequate information to assess the carcinogenic potential)(IRIS (2005))に分類されているだけである。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)より、母動物毒性のない用量から、脳神経系発達の影響がみられたが、試験の詳細が不明のため、区分2とした。

【根拠データ】
(1)妊娠ラットを用いた吸入ばく露による神経発生毒性試験(500~1,000 ppm)において、800 ppm群の6/8匹及び1,000 ppm群の4/8匹の母動物が全期間を通して妊娠を維持した。分娩に至らなかった母動物では、胚の吸収又は後期胎児期における胎児死亡が確認された。妊娠期のみばく露した母体では神経障害はみられなかったが、分娩後に800 ppm以上の2群において、後肢の顕著な虚弱が認められた。1,000 ppm群の母動物では分娩30日後にランビエ絞輪軸索の腫脹が認められた。出生児では全濃度群とも低体重で推移し、500 ppm群は生後25日まで持続した。妊娠期のみのばく露群からの出生児では、脳絶対重量低値と脳相対重量高値を示し、この影響は妊娠期と生後も継続ばく露した群ではより顕著にみられた。母動物毒性がみられない低用量(500 ppm)から小脳皮質の発達遅延(小脳虫部第一裂、外顆粒細胞層の移行遅延及びプルキンエ細胞の持続性)がみられた。妊娠期のみのばく露群の出生児では生後30日までに回復性を示す。この他、成長及び発達の遅延、被毛の不規則化、活動性低下がみられた。回復にはばく露終了後2週間を要したとの報告がある。(Stoltenburg-Didinger et al. (1990)、US AEGL (2013)、ATSDR (1999))。
(2)妊娠ラット又は妊娠マウスの器官形成期に本物質(純度99%以上)を吸入ばく露した発生毒性試験では、母動物毒性(体重増加抑制)がみられる用量において、胎児に低体重や吸収の増加がみられたが、分類根拠とすべき重大な発生影響は認められなかった(EU REACH CoRAP (2017))。

【参考データ等】
(3)ATSDRは(1)の試験結果について、調査した子動物の数が不明であり、この報告の意義を評価することは困難であると評価している。また、US  AEGLも試験詳細が不明であると評価している。(ATSDR (1999)、US AEGL (2013))。
(4)ラットを用いた本物質市販品(本物質52%)の吸入ばく露による二世代生殖毒性試験(OECD TG416、GLP)では、親世代に一般毒性影響のみられた9,000 ppmで出生児に低体重がみられた以外に生殖発生影響は検出されなかった(EU REACH CoRAP (2017))。
(5)雄ラットを用いた吸入ばく露試験において、5,000 ppmで24時間、又は8日間吸入ばく露(16時間/日)後に、精巣・精巣上体障害(精母細胞の一部変性、伸びた精子細胞の剥離、生殖細胞の変性)がみられ、さらに6週間吸入ばく露(16時間/日)後には生殖細胞形成不全及び精細管の完全萎縮がみられたとの報告がある(EU REACH CoRAP (2017))。
(6)ラットを用いた吸入ばく露試験において、1,000 ppmで61日間吸入ばく露後、2週間、10ヵ月及び14ヵ月後に精巣の組織検査を行った結果、精巣傷害のあるラットは全例ともに後肢の筋肉に重度の萎縮を認めた。各観察時期の精巣には精細管の萎縮が認められ、数例では生殖細胞の完全な破壊と傷害を受けたセルトリ細胞のみが精細管に残存していた。アンドロゲン産生及び血清中テストステロンレベルには影響はみられなかったとの報告がある(DFG MAK (2000))。
(7)EU CLPではRepr. 2に分類されている(CLP分類結果 (Accessed Nov. 2023))。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用、気道刺激性)


警告
H336
H335
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
(1)より、ヒトの急性ばく露影響は中枢神経系影響(めまい、嗜眠)と眼、喉への刺激性が主な影響と考えられる。よって、区分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。

【根拠データ】
(1)ヒトでは、ボランティアに本物質2,000 ppmを10分間吸入した場合に無症状であったが、5,000 ppmのばく露ではめまいと立ちくらみを生じたとの報告(ACGIH (2001)、DFG MAK (1992)、EHC 122 (1992))、1,400~1,500 ppmのばく露後に軽度の悪心、頭痛及び眼と喉の刺激がみられたとの報告がある(ACGIH (2001))。また、本物質への職業ばく露では1,000~25,500 ppmの30~60分間のばく露で嗜眠を生じたとの報告がある(EHC 122 (1992))。

【参考データ等】
(2)マウスに本物質(99%)を64,000 ppmの濃度で吸入ばく露したマウスは1分以内に麻酔状態に陥り、4.5分以内に呼吸不全を生じた(EHC 122 (1991))。
(3)ラットに本物質を86,000~90,000 ppmの濃度で25~30分間ばく露後に運動失調と自発運動減少がみられたとの報告、2,000~8,000 ppmで 8時間ばく露後に鎮静、低体温及び眼瞼下垂がみられたとの報告がある(EHC 122 (1991))。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(4)より、区分1(神経系)とした。

【根拠データ】
(1)16の工場で少なくとも2ヵ月間雇用された59人のプレス校正作業者(男57人、女2人、平均年齢25.8歳)を対象とした職業ばく露研究において、n-ヘキサンを10~65%の濃度で含む洗浄剤にばく露によって、15人に多発性ニューロパチーの発症、2人にMCV(運動神経伝導速度)の低下が報告されたが、本物質以外に多発性ニューロパチーを誘発することが既知の成分は有意な量では存在しなかった。個人用エアサンプラーを用いて、14/16工場の2人の異なる労働者を対象に2回の気中濃度測定が行われた。最高0.67mg/LのN-ヘキサン空気濃度が測定された。長時間のばく露は時間外労働によるものであった(EU CLP CLH (2022)、EPA Tox Review (2005))。
(2)(1)のように、本物質を扱う作業場において、末梢神経障害の発生率がn-ヘキサンへの長期間の職業ばく露に起因する可能性があることが多数の報告がある。影響の重篤度は、運動・感覚神経伝導速度の低下から重度の四肢麻痺までと幅広い。本物質誘発性の疑いのあるニューロパチー患者の83.3%がばく露中止後12ヵ月以内に完全に回復したことを確認したとの報告がある(EU CLP CLH (2022))。
(3)本物質の代謝物である2,5-ヘキサンジオン(CAS登録番号:110-13-4)はヒトでの既知の神経毒性物質であり、ヒトの症例研究で2,5-ヘキサンジオンが多発性ニューロパチーの誘発作用を示すことが報告されている。また、ヒトとげっ歯類では主代謝物が異なり、ヒトでは尿中に2,5-ヘキサンジオンがマイナー代謝物の2-ヘキサノールの20~30倍高濃度で検出されるのに対し、実験動物では2-ヘキサノールが主代謝物であり、尿中濃度は2,5-ヘキサンジオンの3倍存在する。このため、本物質の神経毒性はげっ歯類に比べて、ヒトは感受性が高いと考えられている(EU CLP CLH (2022))。
(4)ラット又はマウス(1試験のみ)を用いた本物質(純度99%又は純品)の13週間~6ヵ月間(24週間)の5つの吸入ばく露試験において、区分2超の高濃度(500~3,000 ppm)で、症状として歩行異常、がみられ、末梢神経障害(運動神経伝導速度(MCV)の低下、有髄神経線維のランビエ絞輪腫脹、脱ミエリン、ミエリン再生、神経組織における神経傷害マーカータンパク(β-S100)の減少等)、重度の障害例では筋肉の萎縮、筋線維の形状と大きさの不規則化も認められた(EU CLP CLH (2022))。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 誤えん有害性 区分1


危険
H304 P301+P310
P331
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、区分1とした。

【根拠データ】
(1)本物質は炭化水素であり、動粘性率(20℃)は0.47~0.55 mm2/s である(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023))。
(2)本物質(液体)を経口投与したラットでは、誤嚥により痙攣と数秒以内の突然死が生じた。剖検では肺重量の顕著な増加がみられ、化学性肺炎による肺浮腫による影響と考えられた。(DFG MAK (1992))。

令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
魚類(ファットヘッドミノー)96時間LC50 =2.5 mg/L(HSDB (2013))、甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 =3.9 mg/L(環境リスク評価第1巻 (2002)、EHC 122 (1991))。以上の結果から、区分2に該当するとした。 令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分2


-
H411 P273
P391
P501
3種の栄養段階の全てで、慢性水性毒性の十分なデータが得られていない。
急性毒性データより、魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50 =2.5 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)の48h EC50 =3.9 mg/L、急速分解性(BODによる28日間分解度(OECD TG301C、GLP):100%(METI既存点検結果 (1996))であるが、生物蓄積性が高いと推定される(log Kow =4(EU REACH CoRAP (2017))、log Kow=3.9 - 4.11(環境リスク評価第1巻 (2002)))ため、区分2に該当するとした。
新たな情報を入手し、採用したので、旧分類から分類結果を変更した。
令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和5年度(2023年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
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  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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