Vol.321 11月27日号 「配線器具の事故」
延長コードやテーブルタップといった配線器具はご家庭や仕事場などの様々な場所で使われているかと思います。しかし、何気なく使っている配線器具が思わぬ事故の原因となることもあります。今回は配線器具の事故を紹介します。
項目一覧
- 1. 配線器具の事故
- 2. 製品事故収集情報(10月21日~11月3日 受付 99件)
- 3. リコール情報(2件)
- 4. その他の製品安全情報
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
1.配線器具の事故
【事例1】
延長コードに接続したテーブルタップに電気ストーブをつないで使用していたところ、火災が発生し、1人がやけどを負った。
→テーブルタップの電源コードが、使用者(視覚障がい者)の動線上にあり、使用者が気づかずに繰り返し踏みつけたため、断線が生じて発火したものと考えられます。
【事例2】
照明器具付きベッドの電源プラグをテーブルタップに接続して使用していたところ、テーブルタップ付近から発火し、2階を全焼する火災が発生した。
→照明器具のテーブルプラグを電源タップに接続したまま長期間使用していたため、接続部にほこり等が蓄積し、トラッキング現象(※)が生じて焼損したと考えられる。
※電源プラグを長期間差し込んだままにしていると、コンセントや電源プラグの周囲にほこりや水分が付着します。付着したほこりや水分によって、電源プラグ栓刃の間に微弱な電流が流れる状態となり、火花放電を繰り返すことによって電源プラグの樹脂部分が徐々に炭化して、電気の通り道(トラック)が形成されて異常発熱し、発火へと至る現象を「トラッキング現象」といいます。
【事例3】
コードリール付近から出火して住宅を全焼し、1人が死亡、3人が重軽傷を負った。
→接続可能な最大消費電力を超えた電気製品をコードリールに接続し、リールからコードを全て引き出さずに巻き取ったまま使用したことから、コードが異常発熱して芯線間でショートが生じ、出火したものと考えられます。このコードリールはコード巻き取り時の接続可能な消費電力が700Wで、コード引き出し時の接続可能な消費電力が1200Wでした。
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【事例1の注意事項】
延長コードやテーブルタップの電源コードを屈曲させる、踏みつけるといった外部から大きな力が加わる使い方をすると、電源コードの芯線が断線して、異常発熱や発火の原因となるおそれがあります。特に、高齢者や視覚障がい者などのいらっしゃる家庭では、移動の際に電源コードを踏みつけることのないよう、周りの方が電源コードの配置に注意してください。また、次の注意事項に気を付けましょう。
<注意事項>
- ○電源コードをドアなどに挟み込まないように設置場所に注意する。
- ○キャスターなどが通過する場所は電源コードにカバーを付けるなどして保護しておく。
- ○電源コードを釘や絶縁の金具などで固定しない。
- ○電源プラグをコンセントから抜くときは、電源コードを引っ張らず電源プラグを持って抜く。
【事例2の注意事項】
電源プラグは、コンセントとの間に隙間が生じないようしっかりと差し込み、定期的に掃除してほこりを取り除いてください。電源プラグとコンセントとの間に隙間がある、長期間コンセントに差したままにすると、電源プラグに異物が接触したり、ほこりや水分が付着したりするなどによって、ショートやトラッキング現象が生じるおそれがあります。
【事例3の注意事項】
配線器具には接続可能な消費電力が定められてます。本体やパッケージの記載、又はメーカーのホームページなどで確認し、電気製品を接続する際は最大消費電力を越えないように注意してください。また、コードリールの場合、電源コードを全て引き出して使用しなければならないものや、電源コードを全て引き出した状態と収納した状態とでは許容電流や接続可能な最大消費電力が異なるものがあるため、使用する際は取扱説明書や本体表示の指示・警告文を確認してください。
配線器具に関する資料も併せてご参照ください。
(注意喚起ミニポスター(動画等) 「1-30」「1-37」「1-40」)
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/index.html#product1-30
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/index.html#product1-37
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/index.html#product1-40
その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「配線器具」や「延長
コード」などをキーワードに検索していただけます。
http://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/search/index.html
2.製品事故収集情報
消費生活用製品の事故情報収集状況
(10月21日~11月3日 受付99件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
製品名 ( 事故状況と件数 )
- 1.照明器具 ( 死亡等 36件)
- 2.パソコン ( 製品破損等 8件)
- 3.ガスふろがま ( 火災等 4件)
- 4.リチウム電池内蔵充電器 ( 火災等 3件)
- 4.エアコン ( 火災等 3件)
- 4.バッテリーパック
最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
①株式会社西松屋チェーン(法人番号 6140001060486)
「傘(子供用)」 11/14(HP)
【詳細】
https://www.24028.jp/news/important/6882
②株式会社ドウシシャ(法人番号 8120001039126)
「調理器具(石焼プレート)」 11/20(HP)
【詳細】
https://www.doshisha.co.jp/pdf/2018product/20181120.pdf
4.その他の製品安全情報
消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について 消費者庁
消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
- 11/16 10件 http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/2018/pdf/consumer_safety_release_181116_0001.pdf
- 11/20 4件 http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/2018/pdf/consumer_safety_release_181120_0001.pdf
- 11/22 8件 http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/2018/pdf/consumer_safety_release_181122_0003.pdf
- 11/27 7件 http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/2018/pdf/consumer_safety_release_181127_0001.pdf
編集後記
以前、引っ越しで転居先の住居をさがしていた際に、部屋の条件として家賃や駅からの距離、部屋の間取りや住居設備など、細かく条件を決めて部屋さがしをしていました。念入りに調べた甲斐もあってか、何とか自分の希望条件に合った部屋を見つけて、引っ越しをすることができたのですが部屋に家電を設置していた際に、思わぬ問題が発生しました。何個かの家電とコンセントの距離が予想外に遠く、電源コードが届かなかったのです。配置を考えなおすのも面倒だったため、近所の電器店で延長コードを購入して設置しました。お部屋探しの際には、事前にコンセントの位置を見ておくのも大切かもしれませんね。
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