Vol.371 12月22日号 「廃棄に関連する事故」
年末となり大掃除をする方も多いかと思います。新年を前に不要なものを廃棄し、新たな気持ちで迎えたいものですが、廃棄の際にも注意が必要です。リチウムイオンバッテリーやガスボンベ・スプレー缶などの取扱方法や廃棄方法を間違えると、火災になるおそれがあります。廃棄する前に、正しい廃棄方法などについて再確認しましょう。今回は廃棄に関連する事故をご紹介します。
項目一覧
- 1.廃棄に関連する事故
- 2.製品事故収集情報(12月6日~12月19日 受付75件)
- 3.リコール情報(4件)
- 4.その他の製品安全情報
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
・蓄電池システムの安全性評価に関するNITE講座
1.廃棄に関連する事故
【事例1】
タブレット端末のバッテリーを焼損する火災が発生した。
→廃棄するため、タブレット端末を分解してバッテリーパック(リチウムイオンバッテリー)とを取り外そうとした際に、リチウムイオンバッテリーに外力を加えたため、内部ショートが生じて異常発熱し、焼損したものと考えられる。
なお、取扱説明書には、「内蔵バッテリーは取り外さない。」、「外力や衝撃を加えると発火の原因となる。」旨、記載されている。
【事例2】
ガスボンベのガス抜き作業をしていたところ、給湯器の火が引火して、周辺を損傷し、軽傷を負った。
→使用者が密閉した場所でガスボンベ廃棄のため、ガスボンベに穴を開けてガスを抜いていたところ、可燃性ガスに給湯器の火が引火し、周辺を損傷したものと考えられる。
なお、ガスボンベ本体と箱に「可燃性・火気厳禁・破裂注意。破裂のおそれあり容器は完全に使いきってから他のゴミと区分してすてる」旨、記載されている。
【事例3】
ボタン電池、単三電池など10個ほどを巾着袋に入れて保存し、子どもが電池を使おうとして巾着袋をテーブルにおいたところ、ボンという音がして煙りが出て、袋が焦げていた。
→ボタン電池を他の電池と一緒に袋の中に入れていたため、他の電池の金属外郭とショートし、内圧が上がり、破裂に至ったものと考えられる。
なお、パッケージに「保管、廃棄する場合、他の電池や金属製のものと接触しないよう絶縁する。」旨記載されている。
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【事例1の注意事項】
リチウムイオンバッテリー搭載製品は、容易にバッテリーパックが取り外せない構造になっているものが多くあります。タブレット端末などの外装を無理にこじ開けると、バッテリーパックにキズがつき、内部ショートし、発火に至るおそれがあります。また、廃棄する際は分別方法など含め自治体の指示に従って廃棄してください。燃えるごみなどとして廃棄されると、ごみ収集車内やごみ処理場などで押しつぶされて発火し、火災に至るおそれがあります。
【事例2の注意事項】
ガスボンベやスプレー缶は、最後まで使い切ってから廃棄してください。ガスが残っている状態(振るとシャカシャカ音がする)で廃棄することは大変危険です。また、火気の側で穴を開けるような行為は絶対に行わないでください。漏れ出た可燃性ガスに引火し爆発するおそれがあります。なお、どうしても使い切れないときは製品に表示されている販売元または製造元にお問い合わせください。廃棄方法については、自治体の指示に従ってください。
【事例3の注意事項】
ボタン電池の保管・廃棄の際は、電極にテープを貼ってください。セロハンテープやビニールテープなどには絶縁性があり、事故を防ぐのに有効です。
■NITEでは2019年10月24日に廃棄時の事故をプレスリリースしています。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2019fy/prs191024.html
■その他廃棄に関連する事故情報も併せてご参照ください。
(再現実験映像)
(1)モバイルバッテリー「2.ごみ収集車で発火・破裂」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/19102401.html
(2)カセットボンベ「1.ごみ収集車で発火」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/19102402.html
(3)電池・バッテリー「1.ショートしたボタン電池の破裂」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/01270101.html
(注意喚起ミニポスター)
(1)ごみ収集車の火災事故
https://www.nite.go.jp/data/000101062.pdf
(2)電池による事故
https://www.nite.go.jp/data/000004830.pdf
■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「廃棄」等をキーワードに検索していただけます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/
2.製品事故収集情報
消費生活用製品の事故情報収集状況
(12月6日~12月19日 受付75件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
製品名 ( 事故状況と件数 )
- 1.自転車 (重傷等 6件)
- 2.ガスふろがま (火災等 5件)
- 2.掃除機 (製品破損 5件)
- 4.エアコン (死亡等 4件)
- 4.電気温水器 (製品破損 4件)
最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
- ・株式会社日直商会 (法人番号 8010001027075)
「自転車」2020/10/06(HP)
【詳細】 https://www.argon18bike.jp/archives/758 - ・株式会社エリートグリップ (法人番号 6122001012840)
「マッサージ器(充電式)」2020/10/09
【詳細】 http://www.elitegrips.com/xyz/massagegun.html - ・サントリースピリッツ株式会社 (法人番号 4010401081444)
「コースター(珪藻土プレート付)」2020/12/07(HP)
【詳細】 https://www.suntory.co.jp/note/detail/20201207.pdf - ・株式会社TRアンドK (法人番号 1011101055708)
「電熱衣類(USB電源式)」2020/12/10(HP)
【詳細】 http://trandk.co.jp/wp/service-kitkit20201218/
4.その他の製品安全情報
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について 消費者庁
消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
- 12/11 12件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_201211_01.pdf
- 12/15 13件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_201215_01.pdf
- 12/18 14件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_201218_01.pdf
- 12/22 12件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_201222_01.pdf
・蓄電池システムの安全性評価に関するNITE講座 ~最新動向・規格・安全性試験の紹介~(1/20開催)
(詳細→ https://www.nite.go.jp/gcet/nlab/nite-kouza_2020_nlab.html)
(予告動画→ https://www.youtube.com/watch?v=czHJcsFSB7E)
「蓄電池システムの安全性評価に関するNITE講座」申込受付中!
カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な蓄電池システムを今後安全に使用していくためには、蓄電池システムの安全性に関する規格に基づいた試験を適切に行い、評価していくことがとても重要です。
本講座では、企業等で蓄電池及び定置用蓄電池システム関連の業務・研究等に携わっている方、今後携わる予定の方を主な対象として、蓄電池システムの安全性評価に関する基礎的な情報を丁寧に紹介します。皆様のご参加をお待ちしています。ぜひ、お申込みください。
※オンラインによるライブ配信(Zoomウェビナーを使用予定)
≪開催概要≫
【日 時】2021年1月20日(水) 9:45-15:20 (WEBでのアクセス開始:9:35)
【内 容】東京電力エナジーパートナー株式会社の田中晃司さんには特別講演として安定性
と環境性が求められるエネルギー分野で蓄電池システムがどのように使われて
いくべきか東京電力の活用実績を踏まえ講演していただきます。また、NITEが
世界に誇る大型蓄電池評価施設(NLAB)で実施可能な安全性試験の概要
2020年4月に制定された世界初の定置用大型蓄電池システムの国際規格の概要
等をNITEの職員が紹介します。
【費 用】:無料
【定 員】:1000名(先着順。ただし、定員になり次第締め切らせていただきます)
【申込期限】:2021年1月19日(火)
【主 催】独立行政法人製品評価技術基盤機構 国際評価技術本部 NITE講座事務局
申込等詳細はこちら https://www.nite.go.jp/gcet/nlab/nite-kouza_2020_nlab.html
編集後記
ごみが大量に出る時期と言えば、年末や引越しの時が思い当たるかと思います。また、最近では断捨離などの流行もあり身の回りを整理して、廃棄される方も多いかと思います。さらに、今年は新型コロナウイルス感染症予防のため、自宅で過ごす時間が長くなり、たくさんのごみが廃棄されたようです。日本のごみ処理の体制は、とても整備されており普段生活していて、ごみがあって汚いという印象を持つことは少ないと思います。それは、ひとえにごみ収集車やごみ処理場などで働いてくださっている方々のおかげです。しかし、近年そういった場所での火災のニュースなどをよく耳にします。間違った方法で、ごみを廃棄してしまうとそういった方々が事故に遭うおそれがあります。年末の大掃除の際には、普段は見えづらい場所で頑張ってくださっている方々に感謝しつつ、廃棄した後も危険がないように、正しい廃棄方法を確認しましょう。
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- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
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