製品安全

事故情報特記ニュースNo.72

2006.11.15

「リモコン付き電気ストーブ」の誤作動について(注意喚起)

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(nite)は、「リモコン付き電気ストーブのヒーターが勝手に点灯した。」という情報(注1)を受け、同様の製品について誤作動に関する試買テストを実施しました。その結果、家電製品のリモコン操作やノイズで、電気ストーブのヒーターが点灯する等の誤作動を起こすものがあることが確認されたため、火災等、事故の未然防止の観点から注意喚起を行います。

  1. (注1)
    • テレビのリモコンでテレビチャンネルの切替え操作をしたところ、リモコン付き電気ストーブが点灯した。
    • 何もしないのに、リモコン付き電気ストーブが勝手に点灯した。

1.テスト対象製品

試買に当たっては、ヒーターの点灯が付属の赤外線リモコンで行えるリモコン付き電気ストーブを市場から幅広く購入に努め、合計13銘柄をテスト対象製品としました。これらはいずれも中国などで製造された輸入品でした。(テスト対象製品の事業者名・型式等は別添のとおり)

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2.テスト内容

①テレビ等の家電製品用のリモコン操作による誤作動テスト及び②ノイズによる誤作動テスト(電気的ファストトランジェント/バーストイミュニティ試験)を行いました。(テスト内容の概要は別添のとおり)

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3.テスト結果

  1. (1) 家電製品用リモコンによる誤作動テスト
    13試料のうち2試料(№11、№12)について、他の家電製品用リモコンとの組み合わせで、誤作動が確認されました。試料No.11については、出力切替(強・弱)の誤作動、試料No.12についてはヒーター点灯等の誤作動が認められました。
    この原因は、輸入品の電気ストーブの赤外線リモコンに使われている信号(制御コード)が、他の家電製品のリモコンの制御コードと部分的に一致したため誤作動したものと考えられます。
  2. (2) ノイズによる誤作動テスト(電気的ファストトランジェント/バーストイミュニティ試験)
    13試料のうち4試料(№1、№5、№6、№7)について、ノイズによりヒーターが点灯する誤作動が確認されました。(テスト結果の概要は別添のとおり)

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4.消費者に御注意頂きたいこと

テストの結果、ヒーターの点灯が付属の赤外線リモコンで行えるリモコン付き電気ストーブは、他の家電製品用のリモコンやノイズで誤作動する場合があることが確認されたため、次の点に十分御注意ください。

  1. (1)リモコン付き電気ストーブを新たに購入される場合は、付属のリモコンでヒーターを点灯(ON)する機能が付いていないかどうかを確認するようにしてください。
    (電気製品等の試験・検査を行い安全性を確認している製品認証機関(JET、JQA、UL APEX、TUV Rheinland)では、任意に実施している製品認証制度(Sマーク制度)において、付属のリモコンによってヒーターの点灯を行うタイプの電気ストーブについては、認証を行わない方向で検討しています。)
  2. (2)電気ストーブを使用しない時は、電源プラグをコンセントから抜いてください。
    (電源プラグをコンセントから抜いておけば、他の家電製品用のリモコンやノイズによる誤作動で、意図しないヒーターの点灯を防止することができます。)
  3. (3)カーテン等の可燃物の近くに電気ストーブを置かないでください。
    (消費者の知らぬ間に意図しないヒーター点灯やその状態での首振り等の誤作動が発生した場合、近くに可燃物があると、それらが加熱され火災につながる恐れがあります。)
 

(別添)

1.テスト対象製品

表1 試料一覧

備考:
試料の購入時期は平成17年1月、購入地域は大阪府内の家電量販店等

テスト結果は、テストのために購入した製品に関するものです。

試料No.1~No.13

2.家電製品用リモコンによる誤作動テスト

  1. (1) テスト内容
    国内家電メーカーの赤外線リモコン(テレビ用リモコン9社9銘柄、HDD/DVDレコーダー用リモコン9社9銘柄、ビデオレコーダー用リモコン4社4銘柄)を用いて、リモコンのすべてのボタンを押し、電気ストーブが誤作動するか確認した。
  2. (2) テスト結果
    表2のとおり、13試料のうち、2試料(№11、№12)について、他の家電製品用リモコンとの組み合わせで、誤作動を確認しました。試料No.11については出力切替(強・弱)の誤作動、試料No.12についてはヒーターが点灯したり、首振りを始める等の誤作動が確認されました。
    1. <考察>
      この原因は、輸入品の電気ストーブの赤外線リモコンに使われている信号(制御コード)が、他の家電製品の制御コードと部分的に一致したためと考えられます(国内の家電メーカー間では制御コードの相互調整が行われています。)。また、リモコンでヒーターを点灯できる電気ストーブは、日本では製造されていません。

表2 他の家電製品用リモコンによる誤作動テスト結果(誤作動したもの)

備考:
枠内の-は誤作動しなかったもの、●は誤作動したもので、「 」内は誤作動時に押したリモコンのボタン名称を示す。

3.ノイズによる誤作動テスト

  1. (1) テスト内容
    国際規格(IEC:国際電気標準会議)に対応した「JIS C 61000-4のイミュニティ試験※1規格」のうち、一般住宅の環境下での影響が懸念される、「JIS C 61000-4-4 電気的ファストトランジェント/バーストイミュニティ※2試験 」を準用し、電源を切っている電気ストーブがノイズにより点灯状態にならないかを確認した。
    1. ※1:イミュニティ試験とは、ノイズを受ける側の電気機器がどれだけ誤作動せずに耐えられるかをノイズの種類や強さに応じて確認する試験。
    2. ※2:電気的ファストトランジェント/バーストイミュニティとは、他の電気機器の電源の入り切り時等に発生する電源コードを伝わるノイズを模擬したものをいう。
  2. (2) テスト結果
    13試料のうち、4試料(№1、№5、№6、№7)について、表3のとおり、ヒーターが点灯する誤作動が確認されました。
表3 電気的ファストトランジェント/バーストイミュニティ試験結果(ヒーター点灯の誤作動したもの)
試料 試験レベル1 試験レベル2 試験レベル3 試験レベル4
No.1
(㈱日本ビネガーボトラーズ
/VG500-ABR)
No.5
(㈱アマミ/HC-318R)
No.6
(㈱千住/PH-282R)
No.7
(㈱シー・アイ・シー
/YS-F803R)
備考 :
枠内の-は誤作動しなかったもの、●は誤作動したもの。 なお、試験レベルの詳細内容は、表4に示す。
表4 電気的ファストトランジェント/バースト試験の試験レベルと試験条件
試 験
レベル
電源ポート、保護接地 設置環境とその具体例
電圧ピーク
(kV)
繰り返し率
(Hz)
0.5 5 よく保護された環境 コンピュータールーム
1 5 保護された環境 工場の管理室、端末室
2 5 典型的な工業環境 工業用自動制御装置の周囲、
電力プラント
4 2.5 厳しい工業環境 電力変電所、野外の高圧変電所
  1. 備考.表4は、JIS C 61000-4-4 5.試験レベル、および付属書A(参考)より一部抜粋。

なお、IEC(国際電気標準会議)の規格(IEC60335-1 Amd.1 2004 修正票1-家庭用及び
類似用途の電気機器-安全性-第1部:一般要求事項)では、試験レベル4を要求している。

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TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
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