製品安全

事故情報特記ニュースNo.79

2007.2.6

電子レンジ加熱式湯たんぽによる加熱時の
火傷事故の再発防止について(注意喚起)

電子レンジ加熱式湯たんぽ注1については、近年その便利さから多用される傾向があるものの、加熱し過ぎによる火傷事故など製品事故の例が見受けられるようになってきました。このため、このたびniteにおいて市場に流通している同製品を購入し、加熱性能等の試験を行ったところ注2、いくつかの製品において、加熱をし過ぎると容器の破裂や内容物の漏れ出し等により火傷の可能性があることがわかりましたので、次のとおり使用方法について注意喚起します。

  1. 注1:樹脂フィルム製の袋、樹脂製ケース等に保温剤を入れたもので、電子レンジで温めて、湯たんぽ等の保温用具として使用するもの。
  2. 注2:電子レンジメーカーは、電子レンジで食品以外のものを加熱しないよう、取扱説明書に記載しておりますが、今回のテスト結果では、食品以外のものを電子レンジで加熱することの是非を述べたものではありません。

注意喚起事項

  1. (1)取扱い表示にあるレンジ出力及び加熱時間を必ず守って使用してください。表示よりも過剰な加熱を行うと、袋やケースが破損又は破裂し、高温の内容物が漏れ出たり、飛び散ったりして火傷の恐れがあります。
  2. (2)袋が膨張した場合や内容物(ジェル又は液体)が漏れ出た場合には、直ちに電子レンジのスイッチを切り、その後十分時間を置き冷却したことを確認したうえでレンジ扉を開ける等してください。
  3. (3)温かいうちの再加熱は、これを行わないか又は再加熱の際の取扱い表示がある場合はそれに従ってください。
  4. (4)あたためボタンなど電子レンジの自動モードを使用すると、過剰加熱となる恐れがありますので、これを行わないでください。
  5. (5)長期間の使用により、袋の強度が低下する可能性がありますので、袋に弾力性低下、き裂などが見られた場合には使用を中止してください。
  6. (6)取扱い表示どおり行っても、袋(又はケース)表面が、部分的に高温(100℃)になる場 合がありますので、電子レンジから取り出す際には注意してください。

1.経緯

電子レンジ加熱式湯たんぽについては、「電子レンジで加熱後、取り出し時に内容物が漏れて火傷した。」、「電子レンジで加熱後、取り出し時にケースが破裂、内容物が飛散し火傷した。」との事故情報が寄せられています。また、平成18年10月2日、経済産業省は、電子レンジ加熱式湯たんぽを使用中に容器が破損、高温の内容物が飛散し、重傷の火傷を負うとの事故を受け、当該事故品の製造事業者及び販売業者に対し消費生活用製品安全法第83条に基づく報告徴収を行うとともに、消費者への注意喚起を行ったところです。また、当該事故品の他にも同様の製品が数多く販売されていることから、niteでは、これらの製品の安全性を確認するため試買テストを実施しました。

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2.テスト結果の概要

2.1 テスト対象製品

試買に当たっては、市場から広く購入し、ジェル状タイプ9銘柄、固形タイプ(温めると液状となる)4銘柄及び液状タイプ1銘柄の合計14銘柄をテスト対象製品としました。
対象製品は、平成18年11月2日~13日の間に、店舗又は通信販売により購入したものです。
なお、購入時点以降に販売された後継品等に対して改良があったものもありますが、これらは本テスト上で考慮していません。

2.2 テスト方法

実際の使用パターンを念頭に置いて、次の4通りのケースで全試料のテストを実施しました。併せて落下による破損の可能性も調べました。

  1. (1)取扱い表示どおりの加熱を行った場合
  2. (2)取扱い表示よりも過剰な加熱を行った場合として、
    • ① 温かいうちの再加熱
    • ② 表示より高いレンジ出力を使用しての加熱(加熱時間は表示された最大許容時間)
    • ③ 試料が破損するまで連続した加熱(連続加熱)
    また、①のテストのあとに落下試験を行い、破損しないかどうかを確認しました。

さらに、取扱説明書等に安全上必要と考えられる注意事項が記載されているかどうかについても調査を行いました。

2.3 テスト結果

  1. (1) 取扱い表示どおりの加熱試験
    14試料とも、内容物を入れた樹脂フイルム製袋(又は樹脂製ケース)が膨張、溶融、破裂するなどの異状はなく問題はありませんでした。ただし、表面温度が高温(100℃)に達するもの(湯たロン、レンジヒートパッド)がありました。
  2. (2) 取扱い表示よりも過剰な加熱を行った場合
    1. ① 温かいうちの再加熱
      袋等が膨張するもの(アロマフットウォーマー、エコポカ、レンジヒートパッド)が見られました。これらは、膨張、収縮の繰り返しにより、長期的には袋等の強度低下が懸念されます。
      また、表面温度については、100℃から140℃程度まで上昇したもの(アロマフットウォーマー、湯たロン、エコポカ、レンジヒートパッド)がありました。
    2. ② 表示より高いレンジ出力を使用しての加熱
      加熱中に樹脂製のソフトケースが破裂してレンジの扉を押し開け、液状の内容物(99℃)が庫外へ飛散したもの(ゆぽん)がありました。
      また、破裂寸前となるもの(アロマフットウォーマー)もありました。
    3. ③ 破損するまでの連続加熱
      破損するまで加熱させたテストでは、内容物の流出状態に差異が生じました。樹脂フィルム製の袋のものは比較的早く(数分程度)破損しジェルが流出し、中には2分弱で破損したもの(お昼寝ポカタンたいやき)がありました。一方、樹脂製ケースに入った製品は、破損に至るまでの時間が長く(15~20分程度)なりました。 全体的に取扱説明書の加熱時間の短い製品の方が、破損に至る時間が短い傾向にあることがわかりました。また、流出した内容物の温度は、ジェル状及び液状のものは約100℃、固形のものは200℃以上となりました。
      なお、破裂の衝撃で電子レンジの扉が開き、内容物が庫外に飛び出たもの(ホット&クール、ゆぽん)や、内容物が電子レンジの扉の下等から流れ出すもの(湯たロン、レンジでチンしてぽっかぽか、エコポカ、レンジヒートパッド)もありました。
    4. ④ 落下による破損テスト
      再加熱後の試料すべてについて、落下テストを行いましたが、すべて異状はありませんでした。
  3. (3) 取扱説明書の記載内容の比較
    安全な取扱い上必要と思われる項目、①加熱出力・加熱時間の本体表示、②加熱出力・時間を誤ると容器が破損・破裂する旨、③内容物が漏れ出した場合の取扱い及び火傷への注意、④袋が膨張した場合の加熱の中止、⑤袋が膨張した場合レンジ扉は直ぐに開かないこと、⑥追加加熱の方法、及び⑦オート加熱等は行わないことについて調べたところ、すべての項目が表示されていたのは、1銘柄(レンジでチンしてぽっかぽか)のみでした。
<本ニュースの問い合わせ先>
独立行政法人製品評価技術基盤機構 生活・福祉技術センター
製品安全企画課  TEL 06-6942-1113
製品安全技術課  TEL 06-6942-1114

別添

1.テスト対象製品

当該製品には、保温剤がビーズタイプ、ジェルタイプ、固形タイプ※1等のものがあるが、今回のテストでは、事故の発生が報告されているジェルタイプのもの、固形タイプのもの及び液状タイプのもの14銘柄を市場から購入※2し、テスト対象製品とした。

  1. ※1:常温で固体であるが、加熱により液化する
  2. ※2:平成18年11月に店舗又は通信販売により購入

表1 テスト対象製品一覧

テスト対象製品No.1~No.14

2.テスト項目と方法及び結果

テストは、実際の使用状況を勘案し、取扱い表示どおりの加熱を行った場合、取扱い表示よりも過剰な加熱を行った場合について、膨張、破裂等の異状及び表面温度(上下面の中央、端から1/4の6点)又は漏れた内容物の温度を調べた。
テスト条件は、試験室温度は20±2℃とし、試料は室温から恒温槽に4時間入れ20±0.5℃に調整した後、各テストを行った。
使用する電子レンジは、レンジ出力が500W、600W、700W及び1000Wの切り替え可能なもので、庫内容積が30リットル、庫内底部から電波を放出し加熱する方式のものとした。

2.1 取説加熱試験(取扱い表示どおりの加熱試験)

  1. (1) テスト方法
    取扱い表示どおりのレンジ出力、加熱時間により試料を加熱し、レンジ出力と加熱時間が複数表示されているものは、すべての条件で加熱を行った。
  2. (2) テスト結果
    全試料とも膨張、破裂等の異状はなかったが、表2のとおり、試料NO.10及び試料NO.14の表面温度が部分的に高温(100℃)になるものがあった。

表2 取説加熱試験結果(表面が高温となった飲料)

2.2 再加熱試験

  1. (1) テスト方法
    試料が温かいうちに再び加熱したときの安全性を調査するため、「2.1取説加熱試験」と同様に加熱し、その後、表面温度が加熱により上昇した温度※9の約1/2低下した後、再び「2.1取説加熱試験」と同様に加熱を行った。また、再加熱後に、レンジ庫内から取り出す際のテーブル等への落下を想定して破裂するかどうかを調査するため、落下試験(30㎝の高さから木板上に落下させる。)を行った。
    1. ※9:上昇した温度とは、電子レンジによる加熱後の温度から加熱前の温度を差し引いた温度のこと。
  2. (2) テスト結果
    異状のあったものは表3のとおりで、試料NO.5、試料NO.13及び試料NO.14に袋又はハードケースに膨張が見られ、また、試料NO.5、試料NO.10、試料NO.13、及び試料NO.14の表面温度が約100℃に達し、中でも試料NO.10及び試料NO.14は140℃まで上昇した。
    なお、落下試験の結果は、すべて異状はなかった。

表3 再加熱試験結果(異状が生じた試料)

2.3 過剰出力による加熱試験

  1. (1) テスト方法
    レンジの出力を誤って高いレンジ出力で使用した場合を想定して、レンジ出力700W(単機能電子レンジの高い出力)及び1000W(家庭用電子レンジの最高出力)で加熱を行った。
    なお、加熱時間は、各試料の取扱い表示における最長加熱時間とした。
  2. (2) テスト結果
    膨張、破裂等の異状のあったものは表4のとおりであり、試料NO.5は、700W加熱で約半分の部分が膨張し、1000W加熱では高さ10㎝程度まで大きく膨張した。試料NO.11は、1000W加熱で大きく膨張後破裂し、破裂の衝撃によってレンジ扉が一瞬開き、内容物がレンジ庫外へ飛散した。また、そのときの内容物の温度は99℃であった。
    試料NO.11の容器は、塩化ビニル樹脂製のソフトケース(厚さ2.7㎜)であり、ケースの強度が高いため内圧が高くなったものと思われる。
    なお、試料NO.10及び試料NO.14の表面温度は、100℃を超えた。
 

表4 過剰出力による加熱試験結果(異状が生じた試料)

2.4 連続加熱試験

  1. (1) テスト方法
    取扱い表示に記載された各レンジ出力で、試料の破損又は破裂が確認されるまで加熱を続け、破損又は破裂までの時間と漏れた内容物又は試料内部の温度を測定した。
  2. (2) テスト結果
    樹脂フィルム製袋のものは数分で破裂しジェルが漏れ出したが、最も短い試料NO.3は1分42秒で破損した。
    ジェル状タイプの試料NO.1~試料NO.8は、破損の際に内容物のレンジ庫外への飛散はなく、また、レンジ扉下から庫外へ流れ出ることはなかった。
    試料NO.9及び試料NO.11は、大きく膨張後破裂し、破裂の衝撃でレンジ扉が一瞬開き、多量の内容物がレンジ庫外へ飛散した。試料NO.9の外袋は、内面をゴム引きした布製のもので、試料NO.11は塩化ビニル樹脂製ソフトケースであり、ともに強度が高く破裂時の圧力が高まったためと思われる。
    樹脂製ハードケースに入った試料(固形タイプ)は、破損に至る時間が15分~22分と長く、内容物のレンジ庫外への飛散はなかったが、液化し高温になった内容物がレンジ扉下の隙間からレンジ庫外へ多量に流れ出た。 なお、全体的には、取扱い表示の加熱時間が短い製品の方が、破損又は破裂に至る時間が短く、また、内容物の温度は、ジェル状タイプ及び液状タイプのものは約100℃に、固形タイプのものは液化し200℃に達し、最も温度の高い試料NO.14は、250℃になった。

表5 連続加熱試験結果(内容物がレンジ庫外に漏れ出した試料)

2.5 内容物の成分分析

  1. (1) テスト内容
    試料から内容物を採取し、赤外分光分析法により主成分を特定した。
  2. (2) テスト結果
    ジェル状タイプの試料のうち、試料NO.1、試料NO.2、試料NO.4、試料NO.5及び試料NO.8は「ポリビニルアルコールと水」、試料NO.3、試料NO.6、試料NO.7及び試料NO.9は「カルボキシメチルセルロースナトリウムと水」であった。また、液状タイプの試料NO.11は「水」、固形タイプの試料NO.10及び試料NO.12~試料NO.14は、すべて「ポリエチレングリコール」であった。

2.6 表示内容の調査

  1. (1)調査内容
    取扱い上の注意事項について、安全な使用に際して必要な内容が表示されているかを確認した。
  2. (2)調査結果
    表示内容の調査結果は、表6のとおりであり、すべての項目が表示されていたものは試料NO.12のみで、試料NO.7及び試料NO.11は、「袋が膨張した場合、レンジ扉を直ぐに開かない」旨の表示以外は、表示されていた。

表6 加熱に係る表示内容調査結果

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お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  リスク評価広報課
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