製品安全

事故情報収集制度における事故情報の調査結果及び収集状況について(平成18年度第3四半期)

平成19年3月30日
独立行政法人製品評価技術基盤機構

はじめに

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE:ナイト)は、消費生活用製品等に関する事故情報の収集を行い、その事故原因を調査究明し、さらにその結果を公表することによって、事故の未然・再発防止を図り、国民生活の安全・安心の実現に貢献しています。
情報収集に当たっては、経済産業省が、製造・輸入事業者、地方公共団体、消費生活センター、消費者団体等に対して、事故情報をNITEに通知するよう働きかけています。
また、NITEは独自に地域関係機関から情報収集を行うとともに、関連する新聞情報を日々収集しています。
NITEは、これら関係機関等から通知された事故情報と自ら収集した事故情報のすべてについて、通知者、製造・輸入事業者等から事実関係等を聴取するほか、事故発生現場の確認や事故品の入手等に努めるとともに、必要に応じて事故の再現テスト等を実施して技術的な調査及び評価を行い、事故原因の究明と事業者の再発防止措置の評価を行っています。
これらの事故情報やその調査状況・調査結果は、NITEから随時経済産業省に報告するとともに、ホームページ等を通じて公表しています。また、必要な場合には経済産業省から事業者や業界に対して行政上の措置が講じられます。
本書は、こうした事故情報収集制度に基づき、①NITEがこれまでに収集した事故情報に関し調査、確認、評価を行った上で、専門家からなる事故動向等解析専門委員会による検討を踏まえ、第3四半期中に結論を得たものと、②第3四半期中に新たに収集した事故情報の概要をとりまとめたものです。

ページトップへ

Ⅰ.第3四半期中の事故情報調査終了結果

平成18年度第3四半期中に事故原因等の調査が終了し、事故動向等解析専門委員会の審議を終えたものは479件ありました。その内訳は、平成15年度までの収集分15件、平成16年度収集分4件、平成17年度収集分71件、平成18年度収集分389件です。

1.製品区分別事故原因

期間中に調査が終了した事故情報を年度ごとに製品区分別、事故原因区分別に示したものが表1です。
「E.誤使用や不注意によるもの」が178件と最も多く、このうち燃焼器具が126件を占めています。またこの期間の特徴としては、設計不良等による事故が椅子などの家具・住宅用品に多く(18年度55件)見られたことにあげられます。

表1 製品区分別事故原因                   (平成18年度第3四半期分)
年度 製品区分 件数(件) 合計
事故原因区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 G.原因不明のもの
A.設計、製造又は表示等に問題があったもの B.製品及び使い方に問題があったもの C.経年劣化よるもの D.施工、修理又は輸送等に問題があったもの E.誤使用や不注意によるもの F.その他製品に起因しないもの
平成
15
年度
まで
家庭用電気製品
燃焼器具
家具住宅用品
乗物・乗物用品
身のまわり品
乳幼児用品
合計 15
平成
16
年度
家庭用電気製品
乗物・乗物用品
合計
平成
17
年度
家庭用電気製品 10 23
台所・食卓用品
燃焼器具 13
家具・住宅用品
乗物・乗物用品 16
身のまわり品 12 13
レジャー用品
合計 32 14 20 71
平成
18
年度
家庭用電気製品 26 13 12 20 37 120
台所・食卓用品
燃焼器具 115 133
家具・住宅用品 55 64
乗物・乗物用品 16 24 49
身のまわり品
保健衛生用品
レジャー用品
乳幼児用品
繊維製品
合計 100 15 14 18 159 74 389
合計               479

2.事故原因別被害状況

期間中に調査が終了した事故情報を年度ごとに事故原因別に被害状況を整理したものが表2です。製品事故の拡大の懸念のある「拡大被害」が、216件で最も多く、単品破損(製品破損)105件がこれに続きます。人的被害は軽傷事故107件、死亡・重傷事故も45件にのぼっています。

表2 事故原因別被害状況                 (平成18年度第3四半期分)
被害状況
事故原因区分
人的被害 物的被害 合計
死亡 重傷 軽傷 拡大
被害
製品
破 損
被害
なし
平成15年度まで 製品に起因する事故 A.設計、製造又は表示等に問題があったもの
B.製品及び使い方に問題のあったもの
C.経年劣化によるもの
製品に起因しない事故 D.施工、修理又は輸送等に問題があったもの
E.誤使用や不注意によるもの
F.その他製品に起因しないもの
G.原因不明のもの
合計 15
平成16年度 製品に起因する事故 A.設計、製造又は表示等に問題があったもの
B.製品及び使い方に問題のあったもの
C.経年劣化によるもの
製品に起因しない事故 D.施工、修理又は輸送等に問題があったもの
E.誤使用や不注意によるもの
F.その他製品に起因しないもの
G.原因不明のもの
合計
平成17年度 製品に起因する事故 A.設計、製造又は表示等に問題があったもの 16 14 32
B.製品及び使い方に問題のあったもの
C.経年劣化によるもの
製品に起因しない事故 D.施工、修理又は輸送等に問題があったもの
E.誤使用や不注意によるもの 14
F.その他製品に起因しないもの
G.原因不明のもの 20
合計 28 17 22 71
平成18年度 製品に起因する事故 A.設計、製造又は表示等に問題があったもの 24 40 31 100
B.製品及び使い方に問題のあったもの 15
C.経年劣化によるもの 14
製品に起因しない事故 D.施工、修理又は輸送等に問題があったもの 18
E.誤使用や不注意によるもの 10 36 94 159
F.その他製品に起因しないもの
G.原因不明のもの 35 19 74
合計 18 21 74 195 75 389

3.製品区分別再発防止措置等の実施状況

製品に起因する事故(平成15年度まで:1件、平成16年:3件、平成17年度:34件、平成18年:129件)について、製造事業者等による事故の再発防止措置が行われたものは、平成15年度まで1件、平成16年度3件、平成17年度34件、平成18年度121件となっています。
事故の再発防止については、既に製造を終了しており、他に同種事故が発生していないものなどを除き、再発防止措置が必要と考えられるすべての事故について事業者による措置がとられています。
事故の再発防止のために実施された措置は、いくつかの措置の組み合わせで行われるのが一般的であり、実施された再発防止措置をその措置内容と製品区分別に整理したものが表3です。

表3 製品区分別再発防止措置等の実施状況          (平成18年第3四半期分)
年度 製品区分 実施件数 再発防止措置
製品交換、部品交換、安全点検等 製品の製造、販売又は輸入を中止 製品改良、製造工程改善、品質管理強化等 表示改善、取扱説明書見直し 消費者への注意喚起 被害者への個別措置
平成
15
年度
まで
乳幼児用品
合計
平成
16
年度
家庭用電気製品
合計
平成
17
年度
家庭用電気製品
台所・食卓用品
燃焼器具
家具・住宅用品
乗物・乗物用品
身のまわり品 12 12 12 12
レジャー用品
合計 34 31 19 28 28
平成
18
年度
家庭用電気製品 45 31 35 41 42
台所・食卓用品
燃焼器具
家具・住宅用品 56 54 52 56 38 39
乗物・乗物用品
身のまわり品
レジャー用品
乳幼児用品
繊維製品
合計 121 97 57 105 92 96
注:
事故の発生に対して取られた複数の再発防止措置をそれぞれの措置ごとに集計。
個別措置のみのものを除く。

ページトップへ

Ⅱ.第3四半期中に収集された事故情報の概要

1.事故情報収集件数

平成18年度第3四半期中に収集した製品事故の情報のうち、同一の製品事故に対して複数の情報源から通知(報告)された重複情報を除いた事故情報収集件数は1027件でした。

2.製品区分別事故情報収集件数

事故情報の情報源別の収集件数は、表4のとおりです。新聞情報(419件)と製造事業者等からの通知(335件)が主な情報源ですが、今期は消費生活センター等からの情報が増加(108件)しました。
製品区分別の事故情報収集件数は、表5に示すとおり「燃焼器具」の収集件数が最も多く、次いで「家庭用電気製品」「身のまわり品」の順に収集件数が多くなっています。
上位3製品区分に係る事故情報の合計は901件で、収集した事故情報に占める割合は、約88%となっています。

表4情報源別事故情報収集件数
(平成18年度第3四半期分)
情報源 件数及び割合
当機構(新聞情報) 419 40.8%
製造事業者等 335 32.7%
自治体(消防機関含む) 75 7.3%
消費生活センター等 108 10.5%
国の機関 52 5.0%
消費者 26 2.5%
その他 12 1.2%
合計 1027 100.0%
表5 製品区分別事故情報収集件数
(平成18年度第3四半期分)
順位 製品区分 件数及び割合
燃焼器具 436 42.5%
家庭用電気製品 348 33.8%
身のまわり品 117 11.4%
乗物・乗物用品 61 5.9%
家具・住宅用品 22 2.1%
台所・食卓用品 16 1.6%
レジャー用品 13 1.3%
保健衛生用品 7 0.7%
乳幼児用品 5 0.5%
10 繊維製品 2 0.2%
合計 1027 100.0%

3.品目別事故情報収集件数

事故情報を品目別に分け、収集件数の多い順に示したものが表6です。
「ガスこんろ」(すべて火災につながった)の収集件数が最も多く全体(1027件)の約14%を占めています。
「ゆたんぽ(電子レンジ加熱式)」については、加熱のし過ぎにより容器が破損して中の高温の液体が漏れだし火傷(重傷)を負った事故が発生したことから、経済産業省が過去の事例を調査した結果、今期の5件に過去の68件が加わっているものです。

表6 事故情報上位5品目
平成18年度第3四半期
(事故情報収集件数 1027件)
順位 品目名 件数 割合
ガスこんろ(※) 143 13.9%
ゆたんぽ(電子レンジ加熱式) 73 7.1%
石油給湯器 54 5.3%
石油ストーブ 51 5.0%
ガスふろがま 44 4.3%
電気ストーブ 44 4.3%
合計 409 39.9%
※:
ガス種別内訳は次のとおりです。
LPガス用
41件
都市ガス用
17件
不明
85件

4.被害状況

事故の被害状況は、表7のとおりです。
人的被害の発生した事故情報は332件で、その内訳は、死亡事故86件、重傷事故51件、軽傷事故195件です。
また、人的被害はなく、火災の発生や製品周辺に被害が広がる等の拡大被害が発生したものは416件でした。
いずれも燃焼器具や家庭用電気製品が大半を占めています。

表7 製品区分別被害状況                  (平成18年度第3四半期分)
製品区分 被害状況
件数
人的被害 物的被害 被害なし
死亡 重傷 軽傷 拡大被害 製品被害
燃焼器具 436 46 13 74 200 74 29
家庭用電気製品 348 21 36 168 107 10
身のまわり品 117 14 43 36 23
乗物・乗物用品 61 11 13 26
家具・住宅用品 22 10
台所・食卓用品 16
レジャー用品 13
保健衛生用品
乳幼児用品
繊維製品
合計 1027 86 51 195 416 238 41

5.社告状況

今期間中に、製造事業者等から製品の欠陥や不具合による事故の発生を防止するための社告が60件、のべ76事業者から行われ、「融雪用電熱シート」「ビデオテープレコーダー」「ラミネーター」「野球用バット」「デスクトップパソコン」などの製品について、回収、交換等の措置がとられています。
また、「ゆたんぽ(電子レンジ加熱式)」「ガス衣類乾燥機」については事業者から再社告が行われました。
(別添:平成18年度第3四半期社告回収等一覧表

ページトップへ

おわりに

製品事故に対する社会の関心の高まり、関係者のご協力により事故情報収集件数が前年同期比で拡大(前年同期702件)しています。このうち、今期の特徴は次のとおりです。

1.事故情報調査終了結果について

第3四半期に調査の終了した479件の事故情報で、原因不明を除く事故原因が判明した375件のうち、167件が「製品に起因する事故」でした。「製品に起因する事故」に関しては、再発防止措置が必要と考えられるすべてのものについて、製造事業者等による消費者への注意喚起、製品交換、製品の改良などの措置がとられています。
特に、「いす(ガス昇降式)」「デスクマット」「テーブル(ガラス製)」は、それぞれの製品の製造・販売事業者が新聞紙上に社告を行い回収に努めています。
他方、「製品に起因しない事故」208件のうち、「誤使用や不注意によるもの」が約86%、178件ありました。「ガスこんろ」を使用中にその場を離れ、天ぷら油やなべが過熱して火災に至ったもの、「石油ストーブ」の上部に干していた洗濯物が落下して火災に至ったもの、「電気ストーブ」に布団や紙など可燃物が接触して火災に至ったものなど、調理器具や暖房器具関連の事故が多く見られました。

2.収集された事故情報の概要について

第3四半期に収集した事故情報については、「ガスこんろ」「ゆたんぽ(電子レンジ加熱式)」「石油給湯器」が関係する事故が多数収集されたほか、製造事業者等からは、製品の欠陥や不具合による事故が多発した「電気こんろ」「ガスふろがま」「バッテリー(携帯電話用)」等に関して、拡大被害や人的被害が発生する可能性のある情報が報告されました。

(問い合わせ先)
独立行政法人 製品評価技術基盤機構
生活・福祉技術センター製品安全企画課
電話
06-6942-1113
http://www.jiko.nite.go.jp

◇ 当四半期において調査が終了した事故情報を含む、平成15年度、平成16年度、平成17年度、平成18年度の製品区分別被害状況、製品区分別事故原因、事故原因別被害状況、製品区分別再発防止措置等の実施状況を別表1から別表16に示しております。ご参照ください。

別表1 製品区分別被害状況

別表2 製品区分別事故原因

別表3 事故原因別被害状況

別表4 製品区分別再発防止措置等の実施状況

別表5 製品区分別被害状況

別表6 製品区分別事故原因

別表7 事故原因別被害状況

別表8 製品区分別再発棒措置等の実施状況

別表9 製品区分別被害状況

別表10 製品区分別事故原因

別表11 事故原因別被害状況

別表12 製品区分別再発防止措置等の実施状況

別表13 製品区分別被害状況

別表14 製品区分別事故原因

別表15 事故原因別被害状況

別表16 製品区分別再発防止措置等の実施状況

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図