LNBの代謝に関わるラクト-N-ビオシダーゼとGNB/LNBトランスポーターは、腸内ゲノム細菌ではビフィズス菌のみに見られる。
ビフィズス菌はヒト腸管に生息する嫌気性細菌で、bifid shuntと呼ばれる特異な解糖系を持つ。 この系では乳酸や酢酸し、有害菌の増力阻害や宿主エネルギー源などとして利用される。
ビフィズス菌は分泌酵素(GLNBP)によりLNBを切り出した後、特異的トランスポーターにより菌体内に移行させ、栄養源として用いる。
このため、HMOは母乳栄養乳児の腸管内に速やかにビフィズス菌寡占状態の菌叢を形成させると考えられている。
従来の市販オリゴ糖と比較してより強いビフィズス菌増殖活性をもつLNBは、産業上有用であると考えられている。

ビフィズス菌のHMO代謝経路 http://www.naro.affrc.go.jp/nfri/introduction/chart/0902/
ヒトミルクオリゴ糖生産
概要
人乳には多量の糖質が含まれている。ヒトは牛よりも遙かに複雑な化学構造のミルクオリゴ糖を、初乳期だけでなく常乳期にも分泌することが知られている。
このヒトミルクに特徴的なオリゴ糖をヒトミルクオリゴ糖(HMO)と呼ぶ。
HMOはプレバイオティクス、感染防御因子の役割を担っていると考えられている。
このヒトミルクに特徴的なオリゴ糖をヒトミルクオリゴ糖(HMO)と呼ぶ。
HMOはプレバイオティクス、感染防御因子の役割を担っていると考えられている。
ラクトNビオース
HMOにはラクトNビオースⅠ(LNB)構造が存在するが、乳児自身はこれを栄養源とできない。LNBの代謝に関わるラクト-N-ビオシダーゼとGNB/LNBトランスポーターは、腸内ゲノム細菌ではビフィズス菌のみに見られる。
ビフィズス菌はヒト腸管に生息する嫌気性細菌で、bifid shuntと呼ばれる特異な解糖系を持つ。 この系では乳酸や酢酸し、有害菌の増力阻害や宿主エネルギー源などとして利用される。
ビフィズス菌は分泌酵素(GLNBP)によりLNBを切り出した後、特異的トランスポーターにより菌体内に移行させ、栄養源として用いる。
このため、HMOは母乳栄養乳児の腸管内に速やかにビフィズス菌寡占状態の菌叢を形成させると考えられている。
従来の市販オリゴ糖と比較してより強いビフィズス菌増殖活性をもつLNBは、産業上有用であると考えられている。


機能に関する知見
機能を示すメカニズム
Sucrose phosphorylase, Galactose-1-phosphate uridylyltransferase, UDP-glucose 4-epimerase, Lacto-N-biose phosphorylaseの四遺伝子を組み込み、生産させる。

ビフィズス増殖に効果的なミルクオリゴ糖成分の製造方法 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2006/nfri06-19.html


Protein name | uniprot | INTERPRO | MiFuP Trigger |
---|---|---|---|
(1) Sucrose phosphorylase | Q8G6U7![]() |
IPR006047![]() IPR013781 ![]() IPR017853 ![]() IPR015325 ![]() IPR016377 ![]() IPR022527 ![]() |
TIGR03852![]() |
(2) Galactose-1-phosphate uridylyltransferase (EC 2.7.7.12 ![]() |
Q8G507![]() |
IPR001937![]() IPR005850 ![]() IPR005849 ![]() IPR011146 ![]() |
TIGR00209![]() |
(3) UDP-glucose 4-epimerase | Q8G3V9![]() |
IPR025308![]() IPR001509 ![]() IPR005886 ![]() IPR016040 ![]() IPR008089 ![]() |
TIGR01179![]() |
(4) Lacto-N-biose_phosphorylase | Q8G3W2![]() |
IPR012711![]() |
TIGR02336![]() |
実用化例
現在のところ、微生物由来のLNBの生産方法としては大腸菌による組換え法のみが知られている。
参考文献
- Nishimoto, M. and Kitaoka, M. (2007). Practical preparation of lacto-N-biose I, a candidate for the bifidus factor in human milk. Biosci Biotechnol Biochem. 71(8):2101-2104. PMID: 17690443
- 齋藤 忠夫, 浦島 匡. (2011) 「ミルクオリゴ糖(乳中小糖)の比較生化学(XII)」
『The Chemical times』 2:12-17.
- 片山 高嶺 腸内細菌における新規な代謝機能の発見と解析およびその高度利用
2011年農芸化学奨励賞
関連外部リンク
- 北岡 本光 ビフィズス増殖に効果的なミルクオリゴ糖成分の製造方法
農研機構 2013年11月25日閲覧
MiFuPへのリンク
- NFUNC_0026 Artificial lacto-N-biose biosynthesis
NRULE_0109 Sucrose phosphorylase
NRULE_0110 Galactose-1-phosphate uridylyltransferase
NRULE_0111 UDP-glucose 4-epimerase
NRULE_0112 1,3-beta-galactosyl-N-acetylhexosamine phosphorylase
(更新日 2014/03/13)
