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ソルビン酸耐性

概要

ソルビン酸
ソルビン酸
ソルビン酸 (sorbic acid) は保存料として使用される不飽和脂肪酸であり、IUPAC名は 2,4-ヘキサジエン酸 (2,4-hexadienoic acid) である。 かまぼこやソーセージなど食用練り製品などに対しては遊離酸として、ケチャップ、スープ、果実酒、乳酸菌飲料には K塩として使用される。 名前はナナカマドの一種 (Sorbus aucuparia) の未熟な果実から発見されたことによる。
ソルビン酸の防腐剤としての特徴
  • かび、酵母、好気性菌に対して静菌効果を持つ
  • 抗菌力はpHにより大きく変化し酸性側で強い
ソルビン酸などの有機酸の解離度は pH により変化するため、pH が低下して水素イオン濃度が増加すると解離は抑制され、非解離分子の割合が多くなる。 非解離分子は解離した分子よりも細胞膜透過性が大きいために強い抗菌力を示すようになる。 このため有機酸の使用技術は濃度ではなく pH が重要と言われている。
非解離状態で微生物の菌体内部に侵入した有機酸が菌体内のpHにより解離され菌体内のpHを低下させる。 これにより、酵素が不活化し、死滅する。細胞内のプロトンを排除するのにエネルギー消費し増殖が遅れる。

機能に関する知見

機能を示すメカニズム

トランスポーターによる細胞外への排出、ソルビン酸の分解などが報告されているが、現在、耐性への関与が実験で確認され、 その関連遺伝子が同定されているのは Saccharomyces cerevisiae の ATP-dependent permease PDR12 のみである。

機能を持つことが知られている生物

トランスポーターによる細胞外への排出
タンパク質: weak-acid-inducible ABC transporter Pdr12
実験生物種: Saccharomyces cerevisiae
ソルビン酸の脱炭酸 (sorbic acid → 1,3-pentadiene)
ソルビン酸の脱炭酸、および関連酵素の遺伝子が同定されているが、ソルビン酸耐性への関連は見いだせなかった、との記述。
タンパク質: Phenylacrylic acid decarboxylase
実験生物種: Saccharomyces cerevisiae
分解 (sorbic acid → trans-4-hexenoic acid)
オリーブの塩漬け液から同定したLABがソルビン酸をtrans-4-hexenoic acidに分解することを確認しているが、関与する遺伝子の同定には至っていない。
タンパク質: ??
実験生物種: Lactobacillus species
分解 (sorbic acid → 2,4-hexadien-1-ol (sorbic alcohol)
ソルビン酸を含む培地でソルビン酸を分解して sorbic alcohol を産生する菌を同定している。遺伝子の同定はされていない。
タンパク質: ??
organism: Leuconostoc, Lactobacillus, Pediococcus など。

Rule/Function 作成に関する特記事項

ソルビン酸耐性に関与する遺伝子が同定されている細菌はまだないため、MiFuPではルール未作成。

参考文献

  • Papadimitriou, M. N. et al. (2007). High Pdr12 levels in spoilage yeast (Saccharomyces cerevisiae) correlate directly with sorbic acid levels in the culture medium but are not sufficient to provide cells with acquired resistance to he food preservative. Int J Food Microbiol. 113(2):173-179. PMID: 17141908
  • Montaño, A. et al. (2011). Degradation of ascorbic acid and potassium sorbate by different Lactobacillus species isolated from packed green olives. Food Microbiol. 34(1):7-11. PMID: 23498172
(更新日 2014/02/20)