English site


ジベンゾチオフェン分解

概要

ジベンゾチオフェン(dibenzothiophene: DBT)はチオフェン環を持つ有機硫黄化合物の一種である。
原油中に含まれる難分解性物質のひとつで、その毒性から環境汚染が大きな問題となっている。
近年では、微生物等を活用した汚染環境の浄化技術(バイオレメディエーション)の研究開発が注目されている。

機能に関する知見

機能を示すメカニズム

ジベンゾチオフェンの分解経路
ジベンゾチオフェンの分解経路 --NITE 「石油汚染とバイオレメディエーション」(3)レジン・アスファルテンの分解
細菌によるジベンゾチオフェンを含むチオフェン系化合物の好気的分解経路は、主に以下の3つである。
[1] 炭素骨格攻撃型経路(C-C結合切断、Kodama pathway)(上図A)
ベンゼン環の酸化、開裂、さらに何段階かの反応を経て、3-ヒドロキシ-2-ホルミルベンゾチオフェン(3-hydroxy-2-formylbenzothiophene: HFTB)へと変換される。 この反応に関わる酵素群は、ナフタレン分解と共通である。
HFTB はさらに分解されるが、その詳細(中間体・産物等)は不明である。
[2] 硫黄攻撃型経路(C-S結合切断、desulfurization pathway、4S pathway)(上図B)
チオフェン環の硫黄原子をモノオキシゲナーゼが酸化、ジベンゾチオフェン-5-スルホキシド(dibenzothiophene sulphoxide: DBTO)を経てジベンゾチオフェンスルホン(dibenzothiophene sulphone: DBTO2)となり、 さらにヒドロキシベンゼンスルホン酸(hydroxyphenyl benzene sulphonate: HPBS)へと酸化される。 その後、脱硫酵素によって脱硫され、最終的には2-ヒドロキシビフェニル(2-hydroxybiphenyl)と硫酸塩(sulfite)に変換される。
ヒドロキシビフェニルの分解経路は、芳香族炭化水素分解を参照。
[3] Van afferden pathway
DBTO を酸化し、安息香酸(benzoate)と硫酸塩へと変換する、脱硫と炭素骨格開裂の両方を行う経路。

機能を持つことが知られている生物

Pseudomonas属、Rhodococcus属、Brevibacterium属等で研究されている。

Rule/Function 作成に関する特記事項

MiFuPでは、[2] desulfurization pathway についてルール化を行った(NFUNC_0029)。
[1] Kodama pathway に関しては、ナフタレン分解を参照。

参考文献

  • Ohshiro, T. and Izumi, Y. (1999). Microbial desulfurization of organic sulfur compounds in petroleum. Biosci Biotechnol Biochem. 63(1):1-9. PMID: 10052116
  • Seo, J.S. et al. (2009). Bacterial degradation of aromatic compounds. Int J Environ Res Public Health. 6(1):278-309. PMID: 19440284

関連外部リンク

MiFuPへのリンク

(更新日 2015/07/16)