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チオシアネート分解

概要

チオシアネート(チオシアン酸塩 thiocyanate)は、チオシアン酸の共役塩基である [SCN]- イオンを含む化合物である。
植物中のシアン配糖体を動物が摂取すると、肝臓のロダナーゼ(EC 2.8.1.1)によってチオシアネートに変換される。 植物組織にはグルコシノレイトと呼ばれるチオシアネート配糖体が含まれ、ワサビダイコンやキャベツなどアブラナ科植物の辛味成分として知られている。 動物組織においてはシアン化物や硫化物の解毒産物と考えられている。
チオシアネートを含む食品を摂取すると、体内で遊離し、唾液や血液あるいは乳汁などから検出される。 生物系廃水や石油化学工業から出る廃水などに含まれる。
多くの微生物では 1~2mM といった比較的低濃度で生育阻害を引き起こす。

機能に関する知見

機能を示すメカニズム

微生物では硫化カルボニル (COS) を経由するものとシアネート(-OCN)を経由する経路が存在する。 本項ではCOS経路についてのみ詳述する。
チオシアネートの二つの分解経路
チオシアネートの二つの分解経路

機能を持つことが知られている生物

Thiobacillus thioparus TH1で初めて発見された。

遺伝子に関する知見

  • Thiocyanate hydrolase
α、β、γの三種類のサブユニットから形成されている。 アミノ酸配列はニトリルヒドラターゼ(アクリルアミド生産)との相同性が知られている。
チオシアネートヒドラターゼとニトリルヒドラターゼの比較。>
チオシアネートヒドラターゼとニトリルヒドラターゼの比較。>

参考文献

  • Katayama, Y. et al. (1998). Cloning of genes coding for the three subunits of thiocyanate hydrolase of Thiobacillus thioparus THI 115 and their evolutionary relationships to nitrile hydratase. J Bacteriol. 180(10):2583-2589. PMID: 9573140
  • 片山 葉子 (1999). 「Thiobacillus thioparus が生産する新規なチオシアネート分解酵素」 『バイオサイエンスとインダストリー』 57(6), 25-28.

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(更新日 2014/03/13)