製品安全

Vol.441  11月28日号 「低温火傷による事故」

Vol.441 11月28日号 「低温火傷による事故」【PDF:1.03MB】

 夜、寝るときにふとんの中が薄ら寒いと心寂しくなります。そんなときは、電気あんかに、ゆたんぽです。でも身体に長時間接触させたまま寝てしまうと大変なことになります。後悔先に立たずです。適切に使って、さわやかな朝を。

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項目一覧

  • 1.低温火傷による事故
  • 2.製品事故収集情報(11月5日~11月18日 受付72件)
  • 3. リコール情報 3件
  • 4. その他の製品安全情報
  •  ・プレスリリースのお知らせ
  •  ・「NITE講座2023・バイオテクノロジー(オンラインセミナー)」参加者募集のお知らせ
  •  ・「SAFE-Lite」のご案内
  •  ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
  •  ・Instagram アカウント開設のお知らせ

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1.低温火傷による事故

ひょっとすると、「低温」という文字が人を油断させているのかもしれません。
熱湯がかかれば、瞬間的に「あつっ!」と反応し、すぐに回避するため、皮膚の奥まで被害が及ぶことは少ない場合が多いと思いますが、体温より少し高く、触れていて「暖かくて気持ちが良い(低温だ~)」位の温度がひとの気持ちに隙をあたえてしまうのではないかと思います。
火傷の深さは大きく分けるとⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度の3段階に分類され、Ⅰ度は表皮まで、Ⅱ度は真皮まで、Ⅲ度は皮下組織まで傷害が及んだものです。低温火傷は、熱くないと感じるためじっくりと皮膚の内部までダメージを与え、Ⅱ度、Ⅲ度の被害に至ります。
これまで、NITEに事故の通知のあった製品は、電気あんか、ゆたんぽ、暖房便座(温水洗浄便座)、電気毛布、使い捨てカイロ、携帯電話(スマホ)などです。
低温火傷を発症する温度と時間の関係は、50℃の場合2~3分、47℃の場合45分位、46℃の場合30分~1時間位、45℃の場合1~3時間、44℃の場合3~4時間以上(※)などといわれています。
しかし、下に取り上げた温水洗浄便座の事例は、便座の表面温度が37℃~38℃程度でも熱傷と診断されています。数時間身体を押しつけていることや皮膚の個人差などが影響していることも考えられます。
※「製品と安全」第72号(製品安全協会)より引用。
 
【事例①】電気あんかを使用中
電気あんかを使用して就寝したところ、翌朝に右足の脛に火傷を負った。後日、植皮手術を受け、全治2ヶ月と診断された。
⇒ この電気あんかは、「強・中・弱」で温度設定できるもので、温度測定の結果、異常は認められませんでした。(「強」60℃±5℃規格、試験結果65℃)
事故発生時の就寝時間、温度設定等について詳しく分かりませんでしたが、使用中に身体に接触していたために低温火傷を負ったものと推定されました。
なお、取扱説明書には、「低温火傷のおそれがあるため、長時間使用する場合は、身体から離して使用する。温度を低めに設定する。」旨、記載されていました。
 
【事例②】湯たんぽを使用中
湯を入れて専用カバーで包んだゆたんぽを、布団の中に入れたまま就寝し、左足に低温火傷を負った。Ⅲ度の熱傷、全治2ヶ月以上と診断された。
⇒ ゆたんぽを布団の中に入れたまま就寝していたため、足が触れ、低温火傷を負ったものと推定されました。
なお、本体のお湯を注ぐ注口キャップの上面と取扱説明書、さらに専用カバーやラベルには、「低温火傷防止のため、就寝前に必ず布団から出す。」旨、記載されていました。
 
 
電気あんかやゆたんぽは、就寝前に必ず、電源を切るか布団から出してください。
 
 
【事例③】温水洗浄便座を使用中
約2時間、温水洗浄便座に座っていたところ、太もも裏等に低温火傷を負った。
 便座の表面温度は、製品の仕様範囲内(36±3℃)で異常は認められなかったことから、通電状態の便座に長時間着座していたため低温火傷を負ったものと推定されました。
便座の蓋裏や取扱説明書には、「長時間使用する時は便座温度を切にする。切以外の設定で長時間使用すると低温火傷のおそれがある。」旨、記載されていました。


一般社団法人日本レストルーム工業会 WEBSITE
  
【事例④】携帯電話(スマートフォン)を枕元に置いていて
スマートフォンに充電を行いながら枕元に置いて就寝したところ、手に低温火傷を負った。
⇒ スリープモードを解除した状態で充電させ温度測定を行ったところ、最高温度は37℃でしたが、当該製品を寝具で覆って測定した場合、約1時間後に51℃まで上昇しました。スマートフォンを枕元に置いたまま就寝したため、長時間手が触れて低温火傷を負ったものと推定されました。
なお、ユーザーズガイドには、「高温の表面に長時間触れていると、不快な症状が出たり、負傷したりするおそれがあり、例えば、(略)電源に接続されているときに、その上で眠ったり、毛布、枕、又は体の下に置いたりしない。」旨、記載されていました。
 
【低温火傷事故を防ぐポイント】
◆同じ部位を長時間温めないでください。違和感や熱いと感じたら直ちに使用を中止してください。
◆ゆたんぽや電気あんかを、厚手のタオルや専用のカバーなどで包んでも低温火傷を負うことがあります。就寝前に布団の中に入れ、温まったらゆたんぽは布団から出し、電気あんかはスイッチを切ってください。
◆使いすて式の一般用カイロや靴・靴下用カイロは、目的以外の部位では使用しないでください。
◆暖房便座(温水洗浄便座)に長時間着座しないでください。80 歳以上の高齢者など、皮膚感覚が弱くなった方が、温度調節「高」の状態で便座に長い時間触れると、低温火傷を負うおそれがあります。暖房便座を使用するときは、便座の温度調節を「低」にするか、または使用直前まで温めて、使用中は「切」にするようにしてください。
 この事故は病院や施設でも発生しています。設定温度には十分注意してください。また、介助する際に温度調節を確認する、普段より使用に時間がかかっている等の異常に気を配るなど、家族や周囲の人も気にかけるようにしてください。
◆携帯電話を枕元や寝具の中に置いて就寝しないでください。
◆取扱説明書をよく読み、また、製品に関する情報を把握し、正しく使用してください。
 
 ■その他の情報も併せてご参照ください。
  (映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧ください)
   〇ゆたんぽ「3. ゆたんぽによる低温火傷」
    https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03200402.html
 
  (注意喚起ミニポスター)  
   〇ゆたんぽの事故
    https://www.nite.go.jp/data/000004840.pdf
 

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2.製品事故収集情報

◆◆◇     消費生活用製品の事故情報収集状況     ◇◆◆
                     (11月5日~11月18日 受付72件)
     NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
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製品名             (事故状況と件数)
        
1.洗面化粧台              ( 軽傷等   10件 )
2.バッテリーパック       ( 破損等       6件 )
3.電子レンジ        ( 火災等       4件 )
4.ガス栓              ( 軽傷等       3件 )
4.ガスこんろ      ( 火災等       3件 )
4.石油ストーブ             ( 火災等       3件 )
 
洗面化粧台はキャビネットが落下したという9件の同種事故を含みます。
 
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  ◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
   https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
             
  ■事故情報の提供をお願いいたします。
   事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
         https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html

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3.リコール情報

◆アンカー・ジャパン株式会社(法人番号:8010001151445)
「携帯型電気冷蔵庫(充電式)」 2023/10/16(HP)
【詳細】https://www.ankerjapan.com/blogs/news/435
 
◆EcoFlow Technology Japan株式会社(法人番号:1010401145409)
「ポータブル電源(リチウムイオン)」 2023/10/20(HP)
【詳細】https://jp.ecoflow.com/pages/efdelta1300-jp-information
 
◆マテル・インターナショナル株式会社(法人番号:2010001146806)
「玩具」 2023/10/20(HP)
【詳細】https://mattel.co.jp/2023/10/20/post-17706

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4.その他の製品安全情報

◆◆◇  プレスリリースのお知らせ   ◇◆◆
 
製品事故を防止するため、一般の方々向けのプレスリリース(記者説明会)を毎月1回、開催して、誤使用・不注意による事故事例を中心に、事故の状況や未然防止のポイントを説明しています。また、よりわかりやすく注意喚起を行うため、事故の再現実験映像の提供も行っています。
今月は、11月30日(木)に、年末の大掃除に向けて懸念される事故について紹介します。
発表資料は、下記のURLで公表します。
 
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2023fy/index.html
 
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◆◆◇「NITE講座2023・バイオテクノロジー(オンラインセミナー)」◇◆◆
参加者募集のお知らせ
 
12月15日に「バイオ基礎講座2023~近年、注目を集める微生物!まずは知っておきたい微生物利用の基礎知識~」をオンラインセミナーにて、無料開催します。
今年は、NITEが保有する微生物の多様性や入手方法、皆様が保有する微生物の寄託やバックアップについての紹介に加え、微生物の保存、培養、分析に関する技術、遺伝子組換え生物の鉱工業利用に関する法令対応について解説します。また、微生物に関する情報取得を目的として、公的データベースとNITEが提供するDBRP(生物資源データプラットフォーム)の利活用方法を紹介します。ご参加をお待ちしております!
 
講座名:バイオ基礎講座2023
      ~近年、注目を集める微生物!まずは知っておきたい微生物利用の基礎知識~
開催日時:2023年12月15日(金)13:00~17:10(一部受講も可能)
開催形態:オンライン(Webexウェビナー)
定員:450名 (定員になり次第受付を終了します) 
対象者:こんな方々にオススメです。
・企業/大学等において微生物やその情報・技術の利用に携わっている方
 ・これから微生物の利用を考えている方
・微生物研究開発事業のマネジメント、安全管理、法務知財に関わる業務に従事している方 等
参加費:無料(受講登録が必要です)
詳細・参加登録: https://www.nite.go.jp/nbrc/kouhou/nite_lectureship_2023.html
 
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◆◆◇      「SAFE-Lite」のご案内        ◇◆◆
 
 NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信してまいりました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベース、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「SAFE-Lite」というサービスをご提供しております。
 「SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
 「SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。
 
 【SAFE-Lite】
 https://safe-lite.nite.go.jp/
 
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◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆
                          消費者庁
 
  消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告
  のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
 
11/14    5件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_231114_01.pdf
11/17   12件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_231117_01.pdf
11/21   11件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_231121_01.pdf
11/24   21件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_231124_01.pdf
 
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       ◆◆◇ Instagram アカウント開設のお知らせ ◇◆◆
 
 NITEでは、公式アカウントを開設しております。
 インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!
 
 Instagramアカウント→@nite_japan

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編集後記

寒くなり、電子レンジでチンして繰り返し使えるゆたんぽが重宝しています。低温火傷は知っていましたが、まさか自分はならないだろうと油断していました。温かく心地よいと感じても、長時間接触させないように、意識して温める部位を変えようと思います。(ゆ)

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図