Vol.443 12月26日号 「冬に気を付けたい事故」
本格的な冬が訪れて寒さが身にしみる今日この頃ですね。今回は冬に気を付けたい事故を紹介します。冬の定番、鍋に活躍する「カセットこんろ」、可燃性のガスが入っている「カセットボンベ」や「スプレー缶」、冷えた手指や足下などを手軽に温めることができる「電気ストーブ」を取り上げます。思わぬ被害を未然に防ぐため、事故防止のポイントを確認してください。
項目一覧
- 1.冬に気を付けたい事故
- 2.製品事故収集情報(12月3日~12月16日 受付82件)
- 3. リコール情報 3件
- 4. その他の製品安全情報
- ・「第5回 KEC製品安全フォーラム 」のご案内
- ・「製品安全やリコールハンドブックの概要の解説セミナー」のご案内
- ・事故情報収集制度における調査結果公表のお知らせ
- ・「事故情報データベース」及び「SAFE-Lite」の事故情報データ更新のお知らせ
- ・「SAFE-Lite」のご案内
- ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
- ・Instagram アカウント開設のお知らせ
1.冬に気を付けたい事故
【カセットボンベの事故】
カセットボンベを高温になる場所に放置すると、ボンベの内圧が高まり膨張して破裂し、漏れたガスに引火するおそれがあります。【事例】
飲食店で鉄板の上でカセットこんろにカセットボンベを装着して使用中、カセットボンベが破裂して腹部に当たり、3日後に死亡しました。→カセットボンベが装着されたカセットこんろを、店員が誤って加熱されたお好み焼き用テーブルの鉄板上に置いたため、カセットボンベが過熱して破裂し、射出されたカセットボンベが客を直撃したものと推定されます。 なお、カセットこんろ本体には「カセットボンベが過熱されると爆発する。」旨、記載されています。
【カセットこんろ・ボンベで気を付けるポイント】
- ○高温になる暖房器具や調理器具など火気の近く、直射日光の当たる場所に置かない。
ストーブの周囲やファンヒーターの温風吹き出し口の前などの高温になる場所にカセットボンベを置かないでください。カセットボンベが過熱されてガスが膨張して破裂し、暖房器具や調理器具などの火気により漏れたガスに引火するおそれがあります。寒さでガスの出が悪くなった際などに暖房器具で温めるのも危険です。保管する際にも同様の危険がありますので、暖房器具や調理器具の近くや直射日光が当たる自動車内など高温になる場所に置かないでください。
カセットボンベが破裂し引火
(撮影協力:群馬県消防学校) - ○大きな鍋や鉄板を使用しない、カセットこんろを2台以上並べて使用しない、炭の火おこしに使用しない。
カセットこんろで使用する際は、大きな鍋や鉄板などカセットボンベの上を覆うような調理器具を使用したり、カセットこんろを2台以上並べたり、炭の火をおこしたりしないでください。熱がこもりカセットボンベが過熱されて破裂し、ガスに引火するおそれがあります。 - ○捨てる際は最後まで使い切る。
通常の使用方法で振って音がしなくなるまでガスを使い切ってください。無理に穴を空けると大量のガスが噴き出し、穴をあける際の火花や近くに火気があると引火するおそれがあります。中身が残っているカセットボンベの処分方法についてはお住まいの自治体にご確認ください。
【スプレー缶の事故】
可燃性ガスを含むスプレー缶を高温になる場所に放置すると、缶の内圧が高まり膨張して破裂し、漏れたガスに引火するおそれがあります。【事例】
使用中の石油ファンヒーター付近で爆発が起き、周辺を破損し、軽傷を負いました。→石油ファンヒーターに出火の痕跡は認められず、室内に置かれていたスプレー缶が運転中の事故品の温風で過熱されて破裂し、気化した可燃性ガスに石油ファンヒーターの炎が引火したと推定されます。
【スプレー缶で気を付けるポイント】
- ○高温になる暖房器具や調理器具など火気の近く、直射日光の当たる場所に置かない。
ストーブの周囲やファンヒーターの温風吹き出し口の前などの高温になる場所にスプレー缶を置かないでください。スプレー缶が過熱されてガスが膨張して破裂し、暖房器具や調理器具などの火気により漏れたガスに引火するおそれがあります。寒さでスプレーの出が悪くなった際などに暖房器具で温めるのも危険です。保管する際にも同様の危険がありますので、暖房器具や調理器具の近くや直射日光が当たる自動車内など高温になる場所に置かないでください。
スプレー缶が破裂し引火 - ○暖房器具や調理器具の近くなど火気のある場所でスプレーしない。
スプレー時に内容物と一緒に中に入っている可燃性ガスも噴射されますので、暖房器具や調理器具などの火気により噴射されたガスに引火するおそれがあります。近くに火気のない屋外等の換気の良い場所で使用してください。 - ○屋内などの換気の悪い場所で残った内容物を抜く作業をしない。
中身が残ったスプレー缶を大量に処分しようと屋内でスプレー缶に穴を空けて内容物を抜く作業を行い爆発する事故が発生しています。屋外や換気のよい場所で少量ずつガス抜きしてください。 - ○捨てる際は最後まで使い切る。
通常の使用方法で内容物を使い切ってください。ガス抜きキャップが付いている場合はそちらを使用してください。内容物を出し切れない場合は、無理に缶に穴を空けたりせず、処分方法についてお住まいの自治体にご確認ください。
【電気ストーブの事故】
洗濯物や布団など可燃物の近くで使用するとそれらが発火するおそれがあります。また、可燃性のガスが入ったカセットボンベやスプレー缶を電気ストーブの近くに置くと破裂して引火するおそれがあります。【事例】
使用中の電気ストーブ付近から出火して周辺を焼損し、やけどを負いました。→ストーブを使用したまま就寝したため、布団が接触して発火したと推定されます。なお、取扱説明書には、「就寝中は使用しない。布団等燃えやすいものの近くで使用しない。火災の原因になる。」旨、記載されています。
【電気ストーブで気を付けるポイント】
- ○洗濯物やカーテンなど可燃物の近くで使用しない。
洗濯物や布団など可燃物の近くで使用すると、可燃物が加熱されて発火するおそれがあります。特に洗濯物を電気ストーブの上に干していると、上昇気流によって洗濯物が煽られてストーブの上に落ちることがあり大変危険です。
また、カセットボンベやスプレー缶を、ヒーター部分や温風吹き出し口の前方に置くと、容器が過熱されてガスが膨張して破裂し、ガスに引火するおそれがあります。
電気ストーブに洗濯物が落下して発火 - ○電源を入れたまま就寝や外出しない、使用しない時は電源プラグを抜く。
電源を入れた状態で就寝や外出すると、寝返りによる布団の接触や風によるカーテンの揺れなど、可燃物が接触して発火することがあり大変危険です。使用しないときは電源プラグを抜きましょう。
■NITEでは2023年12月26日に冬に向けて気を付けたい事故に関する注意喚起
『一家団らんの季節、でも熱源とは遠距離で!~カセットボンベ・スプレー缶、電気ストーブの取扱いに注意~』をプレスリリースしました。
http://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2023fy/prs231226.html
■その他の冬に向けて気を付けたい事故の事故情報も併せてご参照ください。
(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)
- (1)カセットこんろ「5.カセットこんろで炭火おこし」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03320102.html - (2) カセットこんろ「7.2台並べたカセットこんろの破裂2」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/17122102.html - (3) カセットこんろ「8.ヒーターに近づけたカセットボンベの破裂」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/18060101.html - (4) ファンヒーター「2.スプレー缶の破裂」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03110201.html - (5) 電気ストーブ「3.ふとんの接触」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/02110102.html - (6) 電気ストーブ「4.落下したタオルから発火」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/17112201.html
(注意喚起ミニポスター)
- (1) 冬に気を付けたい事故
https://www.nite.go.jp/data/000152489.pdf
■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「カセットボンベ」「スプレー缶」等をキーワードに検索していただけます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/
2.製品事故収集情報
(12月3日~12月16日 受付82件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
- 1.洗面化粧台( 軽傷等 6件 )
- 2.石油ストーブ( 死亡等 5件 )
- 3.ノートパソコン( 火災等 4件 )
- 4.電気ストーブ( 火災等 3件 )
- 4.照明器具( 火災等 3件 )
デスクマットはマットとの接触部分に皮膚炎を発症したという2件の同種事故です。
◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
■事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
3.リコール情報
- ◆株式会社MonotaRO(法人番号:6140001054380)
「扇風機」 2023/11/02 2023/11/21(対象販売期間の拡大)(HP)
【詳細】https://www.monotaro.com/main/news/n/3113/ - ◆株式会社オーム電機(法人番号:6013301003037)
「照明器具(卓上型、充電式)」 2023/11/13(HP)
【詳細】https://www.ohm-electric.co.jp/info/important/878044/
https://www.ohm-electric.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/11/20231113voluntaryrecalll.pdf - ◆マスプロ電工株式会社(法人番号:1180001067276)
「映像録画装置(防犯カメラ用)」 2022/12/07(HP)
【詳細】https://www.maspro.co.jp/important/news/8022/
4.その他の製品安全情報
◆◆◇「第5回 KEC製品安全フォーラム 」のご案内◇◆◆
-製品のデジタル化に伴う製品安全確保の新たな潮流-
一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
近年、ネットワーク化、ソフトウェアによる自動化、モバイル化等の技術革新に伴い、 製品カテゴリが多種多様になってきています。このような製品の多様化に伴い安全を 確保する取組も様々な視点から対応が求められます。特に、DX時代を迎え、これまで ハードウェア単体での製品安全の確保が中心でしたが、ソフトウェアの介在や、自動 運転やロボット機器に関係する人間との協調による安全確保など、新たな視点で考え ていく必要があります。本フォーラムでは製品安全の確保のための原点を再認識しつ つ新たな潮流のなかでの製品安全に対する取組みを議論していただきます。
【開催日】2024年 2月21日(水)
【会 場】グランフロント大阪北館タワーC8階
ナレッジキャピタルカンファレンスルーム タワーC Room C03+C04
ハイブリッド形式(会場とZoomオンライン併用)
【参加費】会員 5,500円 非会員 7,700円
【内 容】
[基調講演]「製品安全行政の概要と今般の動向(仮)」
経済産業省 商務情報政策局 産業保安グループ 製品安全課 神沢 吉洋氏
[講演2]「製品のIoT化に係る電気用品安全法の技術基準解釈」
一般財団法人 電気安全環境研究所 住谷 淳吉氏
[講演3]「製品事故の現状とリスクアセスメント」
独立行政法人製品評価技術基盤機構 酒井 健一氏
[講演4]「欧州デジタル規制と製品安全規格」
三菱電機株式会社 神余 浩夫氏
【詳細】 https://www.kec.jp/wp/img/committee/2023/psf23.pdf
【申込先】https://www.kec.jp/seminar/psf23/
問合せ先:一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
専門委員会推進部 事務局 藤田 泰男
TEL:0774-29-9041 E-mail:publication01@kec.jp
◆◆◇製品安全やリコールハンドブックの概要の解説セミナー◇◆◆
経済産業省 製品事故対策室
経済産業省 製品事故対策室では、リコールハンドブックの内容をコンパクトにまとめた概要版の公表にあたり、知っておくべきポイントおよび安全対策について解説するオンラインセミナーを開催いたします。
【日 時】2024年1月24日(水) 14:00~15:45
【開催形式】Zoomウェビナーにて開催(完全オンライン)
【受 講 料】無料 【参加締め切り】2024年1月19日(金)
【予定プログラム】
14:00~14:45 製品安全政策の概要、リコールハンドブック概要版の解説
(経済産業省 産業保安グループ 製品事故対策室)
14:45~14:55 質疑応答(※質問は参加申込時に受付)
14:55~15:05 休憩
15:05~15:35 リコール製品に関する安全対策、事故再現映像
(独立行政法人製品評価技術基盤機構)
15:35~15:45 質疑応答(※質問は参加申込時に受付)
【詳細の掲載ページ】 https://www.meti.go.jp/product_safety/consumer/pdf/seminar_chirashi230124.pdf
【問合せ先】 MS&ADインターリスク総研株式会社 E-mail:ps_award2022@ms-ad-hd.com
※お問い合わせはメールにてお願いいたします。
◆◆◇ 事故情報収集制度における調査結果公表のお知らせ ◇◆◆
NITEが収集した事故情報に関し、2023年度第3四半期中に結論を得たものについて、品目別に整理したものを公表しました。
https://www.nite.go.jp/jiko/report/annual/2023fy/R05_03.html
◆◆◇ 「事故情報データベース」及び
「SAFE-Lite」の事故情報データ更新のお知らせ◇◆◆
NITEが収集した事故情報の検索データベース「事故情報データベース」及び製品事故情報に特化したウェブ検索ツール「SAFE-Lite」について、2023年12月19日公表分までのデータを追加しました。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/dbupdate.htm
◆◆◇「SAFE-Lite」のご案内◇◆◆
NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信してまいりました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベース、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「SAFE-Lite」というサービスをご提供しております。
「SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
「SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。
【SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆
消費者庁
消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
- 12/15 20件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_231215_01.pdf - 12/19 11件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_231219_01.pdf - 12/22 20件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_231222_01.pdf - 12/26 24件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_231226_01.pdf
◆◆◇ Instagram アカウント開設のお知らせ ◇◆◆
NITEでは、公式アカウントを開設しております。
インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!
Instagramアカウント→@nite_japan
編集後記
冬は楽しいイベントが多いですが、火災が増える時期でもあります。今回は冬によく使用する製品をピックアップしていますので、是非気を付けるポイントを確認してください。
今年も1年間PSマガジンを購読くださりありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。よいお年をお迎えください!(ゆ)
【お知らせ】1月は第3・5火曜日発行です。
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図