製品安全

Vol.446  2月13日号 「配線器具の事故」

Vol.446 2月13日号 「配線器具の事故」【PDF:572KB】

 テーブルタップ・延長コードなど(以下「配線器具※1」という)による事故が毎年発生しています。NITEに通知のあった製品事故情報※2によると、2019年から2023年の5年間に配線器具の火災事故は126件あり、2023年の件数は2019年の約2倍となり、近年高止まりの傾向がみられます。これはテレワークの普及・増加によって、配線器具の使用が増えたことが関係しているものと推定されます。改めて配線器具やその使用状況をチェックして、事故を未然に防ぎましょう。今回は配線器具の事故をご紹介します。
(※1)テーブルタップ、延長コード及びマルチタップなど。
(※2)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故に加え、事故情報収集制度により収集された非重大製品事故やヒヤリハット情報(被害なし)を含みます。

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項目一覧

  1. 1.配線器具の事故
  2. 2.製品事故収集情報(1月21日~2月3日 受付93件)
  3. 3. リコール情報 2件
  4. 4. その他の製品安全情報
    • ・「METI Journal 政策特集/価値を創る製品安全 連載」のお知らせ
    • ・「令和5年度PSアワード受賞企業講演会」のご案内
    • ・「電気用品安全法の初心者向け説明会の開催」のご案内
    • ・「SAFE-Lite」のご案内
    • ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
    • ・Instagram アカウント開設のお知らせ

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1.配線器具の事故

【トラッキング現象による事故】

 使用中のテーブルタップ付近から出火し、周辺を焼損しました。
→テーブルタップの電源タップに他の電気製品を長期間(製造後約23年)接続したまま放置して接続部にほこり等が蓄積したため、トラッキング現象が生じて焼損したものと考えられます。 

 

【気を付けるポイント1】

○電源プラグ及び電源タップは小まめに掃除し、水分に注意する
 電源プラグはコンセントや電源タップとの間に隙間が生じないようにしっかりと差し込み、定期的に掃除してほこりを取り除いてください。電源プラグをコンセントや電源タップとの間に隙間がある状態で差したままにすると、隙間にほこりがたまって表面に水分が付着したり、水分が内部に浸入したりしてショートやトラッキング現象が生じるおそれがあります。また、観賞魚水槽などの水気の近くは、特に注意が必要です。
 掃除の際は、必ずコンセントや電源タップから差込プラグを抜いて、“から拭き“でほこり等のよごれを取り除いてください。コンセントや電源タップの差込口にアルコールスプレー等の洗浄液が直接かかるとショートやトラッキング現象が生じるおそれがあります。
トラッキング現象による事故の再現映像

 

【トラッキング現象の仕組み】

 コンセントや電源プラグの周囲、隙間や内部にほこりや水分が付着した状態で使用すると、付着したほこりと水分によって電源プラグ栓刃の間等に微弱な電流が流れる状態となり、火花放電が繰り返されます。その結果、絶縁の役割を果たしている樹脂部分が徐々に炭化していき、トラック(電気の通り道)が形成されて異常発熱し、発火へと至ります。この現象を「トラッキング現象」といいます。
トラッキング現象の様子

 

 ※コンセント側でトラッキング現象を検知して電流を遮断する製品や水分などが内部に入りにくいようにシャッターがついた製品なども販売されています。次回購入時の参考にして下さい。
シャッター付き製品の例

 

外から強い力が加わったことによる事故

 テーブルタップに電気製品を接続していたところ、テーブルタップ及び周辺を焼損する火災が発生しました。 →使用者がテーブルタップに足を引っ掛けて可動式電源プラグに外力が加わり、栓刃可動部のカシメが緩んで接触不良が生じ、異常発熱して発火したものと考えられます。
電源プラグ栓刃可動部の例

 

【気を付けるポイント2】

○無理な力を加えない、変形したプラグは使用しない
 延長コードやテーブルタップの電源コードを折り曲げる、踏みつける、引っ張るといった、外部から電源コードに無理な力が加わる使い方をすると、電源コードの芯線が断線したり、電源プラグが変形してコンセントの刃受け金具と正常に接触できなくなったりして、異常発熱や発火に至るおそれがあります。机や椅子の脚などでコードを踏みつけたり、足に引っ掛けたりしないよう、配線器具は設置状況に注意し、電源プラグは電源コードではなくプラグ本体を持って抜き差してください。
 もし、電源プラグの栓刃が変形した場合は使用を中止し、メーカーや販売店にご相談ください。

 

【最大消費電力を超える電気製品を接続したことによる事故】

 使用中のコードリール付近から出火し、建物を半焼しました。
→コードリールはほとんど巻き取られた状態であり、巻き取り時の定格電流値を超える電気製品(布団乾燥機2台及び電気除湿器2台)を接続して使用したため、コードが異常発熱してショート・スパークが生じ、焼損したものと考えられます。

 

【気を付けるポイント3】

○接続可能な最大消費電力を超えて使用しない
 テーブルタップやコードリールには接続可能な最大消費電力または定格電流(何アンペアまで接続できるか)が定められています。接続可能な最大消費電力や定格電流を超えると発熱を生じ、コンセント部の刃受け金具と電源プラグの栓刃の接触が緩い箇所で異常発熱したり、電源コードの絶縁被覆が破損してショートしたりして発火するなどの事故につながります。
 電気製品を接続する際は、接続可能な最大消費電力を超えないように注意してください。接続可能な最大消費電力又は定格電流は、テーブルタップ本体やパッケージに記載されています。
接続可能な最大消費電力の表示例 (テーブルタップ)
電気製品の消費電力の表示例

 

【コードリール】

 特にコードリールの場合は、電源コードを全て引き出した状態と収納した状態とで接続可能な最大消費電力が異なるものや、電源コードを全て引き出した状態でのみ使用できるものがあるため、使用する際は取扱説明書や本体表示を確認してください。
 異常発熱や接続可能な最大消費電力を超えたことを検知して電流を遮断する製品なども販売されています。次回購入時の参考にして下さい。
持続可能な最大消費電力の表示例(コードリール)

株式会社畑屋製作所と連携し、注意喚起動画を作成いたしました。 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/20240125.html

 

【コンセント】

 コンセントにも定格があります、一般住宅の壁に設置してあるコンセントは二口のものが一般的ですが、その場合、二口の合計で1500Wまでが接続可能な最大消費電力となっています。例えばコンセントの片方に1000W分の電気製品を接続した場合、もう片方には500Wまでしか接続できません。
 配線に一定以上の電気が流れた場合の安全装置として、配線用遮断器(ブレーカー)が設置されていますが、配線用遮断器が作動するまでに時間を要する場合があるため注意が必要です。

■その他の情報も併せてご参照ください。
(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)

  1.  (1)コンセント「1.トラッキング現象によるコンセントの発火」
     https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2022022401.html
  2.  (2)コンセント「2.消費電力の超過による発熱」
     https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2022022402.html
  3.  (3)テーブルタップ・延長コード「5.たこ足配線で異常発熱」
     https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/191216.html
  4.  (4)テーブルタップ・延長コード「6.変形したプラグを使用して発火」
     https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2020122401.html
  5.  (5)テーブルタップ・延長コード「7.洗浄液の浸入でトラッキング現象」
     https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2020122402.html
  6.  (6)電源コード「8.半断線で発火」
     https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/1511.html
  7.  (7)電源プラグ「2.トラックが成長する過程」
     https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/015012903.html
  8.  (8)電源プラグ「3.変形した電源プラグを使用して異常発熱」
     https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/1181.html

(注意喚起ミニポスター)

  1.  (1)消費電力オーバーに注意
     https://www.nite.go.jp/data/000152808.pdf

■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「配線器具」等をキーワードに検索していただけます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/

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2.製品事故収集情報

◆◆◇     消費生活用製品の事故情報収集状況     ◇◆◆

        (1月21日~2月3日 受付93件)
  NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
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製品名 (事故状況と件数)
  1. 1.ACアダプター(楽器用)( 破損等 17件 )
  2. 2.ACアダプター(インターホン用)( 破損等 9件 )
  3. 3.エアコン(火災等 6件 )
  4. 4.ガストーチ( 軽傷等 3件 )
  5. 4.ノートパソコン( 火災等 3件 )

 ACアダプター(楽器用)はDCプラグ付近が溶融したという17件の同種事故、ACアダプター(インターホン用)は発熱し、内部部品が焦げたという9件の同種事故です。

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◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html

■事故情報の提供をお願いいたします。
 事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html

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3.リコール情報

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4.その他の製品安全情報

◆◆◇「METI Journal 政策特集/価値を創る製品安全 連載」のお知らせ◇◆◆

 経済産業省が運営するウェブマガジン METI Journalにて、「価値を創る製品安全」と題し、全5回の特集記事を掲載しておりますので、是非ご一読ください。

 特集ページはこちらから:https://journal.meti.go.jp/policy/202401/

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◆◆◇「令和5年度PSアワード受賞企業講演会」のご案内◇◆◆

                 

                              経済産業省 製品安全課

 

 経済産業省 製品安全課では、今年度の製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)の受賞企業による講演会を開催いたします。
 当日は、受賞企業4社による製品安全の優れた取組についての講演と、事務局によるPSアワード応募案内を予定しております。

【日時】2024年2月20日(火)14:00~16:00
【開催形式】Zoomウェビナーにて開催(完全オンライン)
【受 講 料】無料
【参加締め切り】2024年2月16日(金)
【予定プログラム】
 14:00~14:05 主催者挨拶
 14:05~14:10 本日のプログラム説明
 14:10~14:30 受賞企業講演①(リンナイ株式会社)
 14:30~14:50 受賞企業講演②(株式会社オージーケーカブト)
 14:50~15:00 休憩
 15:00~15:20 受賞企業講演③(コンビ株式会社)
 15:20~15:40 受賞企業講演④(てくのハウス株式会社)
 15:40~15:55 PSアワード応募案内
 15:55~16:00 終了挨拶・事務連絡
【参加申込みURL】
 https://forms.office.com/r/ef8tyhgrH5
【講演会に関する掲載ページ】
 https://www.meti.go.jp/product_safety/ps-award/3-consumer/r5_lecture.html
【問合せ先】
 MS&ADインターリスク総研株式会社 E-mail:ps_award2022@ms-ad-hd.com
 ※お問い合わせはメールにてお願いいたします。

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◆◆◇「電気用品安全法の初心者向け説明会の開催」のご案内◇◆◆

                            中国経済産業局 産業部 消費経済課 製品安全室

 中国経済産業局ではNITE(ナイト:独立行政法人製品評価技術基盤機構)と共催で、電気用品安全法の事業届出直後やこれから届出予定の事業者、また、法律を学び直したい事業者等を対象として、電気用品安全法の初心者向け説明会を開催します。
 この説明会では、電気用品安全法の目的、電気用品の製造・輸入事業者が遵守すべき義務・責任・必要な手続き等のポイントの説明や、実際の事故事例の紹介等を予定しております。

【日時】
 2024年3月12日(火曜日) 13時30分から16時まで(受付開始は13時10分から)
【開催場所】
 広島合同庁舎3号館1階 共用第16会議室 (広島市中区上八丁堀6番30号)
 ※3号館1階は入館手続き不要です。
【対象】
 ・電気用品安全法の事業届出直後及びこれから届出予定の事業者の方
 ・社内異動等により新たに電気用品安全法の担当となる方
 ・電気用品安全法における届出事業者の義務等を学び直したい方 など
【プログラム】
 ■電気用品安全法の概要・必要な手続き等について(仮)
 ・中国経済産業局 製品安全室
 ■製品事故のリスクと事故事例について(仮)
 ・独立行政法人製品評価技術基盤機構
 ■質疑応答
【定員】
 15名(先着順)
 ※定員に達し次第、締切りとさせていただきます。
【参加費】
 無料
【参加申込方法】
 ・申込み用紙にご記入いただき、メールにて事務局にお送りください。
 申し込み用紙(word形式:23KB)
 https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.chugoku.meti.go.jp%2Fr5fy%2Fevent%2Fshoukei%2Fword%2F240201.docx&wdOrigin=BROWSELINK
 ・1社から多数のお申し込みがあった場合は、ご人数を調整させていただく場合があります。
 ・説明会では「電気用品安全法 法令業務実施手引書」を使用します。会場での配布は行いませんので、各自で印刷してお持ちください。
 電気用品安全法 法令業務実施手引書
 https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/file/06_guide/denan_guide_ver502.pdf
 ・説明会の前に予め「電気用品安全法 法令業務実施手引書」をご一読ください。
【申込期限】
 2024年3月8日(金曜日)17時まで

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◆◆◇「SAFE-Lite」のご案内◇◆◆

 NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信しており、NITEのウェブサイトで、事故情報データベース、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを提供しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「SAFE-Lite」というサービスを提供しています。
 「SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
 「SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。

【SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/

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◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆

                          消費者庁

  消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。

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◆◆◇ Instagram アカウント開設のお知らせ ◇◆◆

 NITEでは、公式アカウントを開設しております。
 インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!

 Instagramアカウント→@nite_japan

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編集後記

 配線器具の取扱いは、家電製品の陰でつい無頓着になってしまいがちですが、ほこりがたまったまま放置したり、机や椅子の脚で踏むなど繰り返し負荷を加えたり、接続可能な最大消費電力を超えて使用したりすると、火災につながるおそれがあります。配線器具の事故と一口に言っても、その原因はさまざまです。冬は特に電気ストーブなどの消費電力の高い製品の使用が多くなるので、テーブルタップなどの配線器具を使用する時は、気を付けるポイントを確認してみてください。(ゆ)

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図