バイオテクノロジー

ラビリンチュラ類の増殖能試験結果

DHA、EPA等の高度不飽和脂肪酸を産生するラビリンチュラ類の増殖能試験結果

 ラビリンチュラ類は、DHAやEPA、スクアレンなどの有用脂質類、抗酸化能の高いアスタキサンチンなどを細胞内に蓄積する海洋微生物で、機能性食品、バイオ燃料、化粧品などの産業分野から高い注目を集めています。有用脂質類の種類や含有量はラビリンチュラの種類によって異なることから、多種多様なラビリンチュラ菌株コレクションが求められてきました。
 NBRCは、これまで系統的に多様なラビリンチュラ類を国内外より収集し、2017年6月現在、約800株をコレクションしています。各系統群を代表する菌株はNBRC株として、その他はスクリーニング用RD株として、提供しています。それぞれの菌株の入手方法は、下記のサイトをご覧ください。

  ラビリンチュラ類には、生育が早いものと遅いものがあります。各系統群を代表する91株について、増殖能を調査しましたので、ここに紹介致します。ラビリンチュラ類のご利用やNBRC株、RD株の選抜時の参考としてお使いください。

 

ラビリンチュラと菌体中の油滴、液体培養の様子

実験方法

供試菌株

 表1に示したラビリンチュラ類の91株。

増殖能試験

 二種類の液体培地(2×GPYT培地*1とGTY培地*2)を用いて、本培養7日間の後に、湿重量を測定しました。詳細は下記に示します。

  1. 1. 25 mL容細胞培養フラスコを用いて、2×GPYT液体培地(10 mL)に、3~10日間、25℃、静置にて前培養を行いました。(※ 対数増殖期の菌体培養物を本培養実験に供するために、菌株によって対数増殖期に到達するまでの日数が異なっており、様々な前培養期間を必要としました)
  2. 2. 本培養実験では、同じく25 mL容細胞培養フラスコを用いて、前培養液40 μLを液体培地(10 mL)に接種し、25℃で7日間、暗所にて静置培養を行いました。
  3. 3. 7日間の培養後、菌体を遠心分離(20,400 ×g、15分)にて集菌し、上清(培養液)を除去し、菌体ペレットの湿重量を計測しました。
  • *1 2×GPYT培地
  •   2g トリプトン、2g ポリペプトン、2g 酵母エキス、4g グルコース、
  •   19.2g マリンアートSF-1(富田製薬)、1000 mL 蒸留水
  •   コメント:基本的にラビリンチュラ類が旺盛な増殖をします。
  •  
  • *2 GTY培地(Nakazawa et al. 2014)
  •   10g トリプトン、5g 酵母エキス、20g グルコース、19.2g マリンアートSF-1、1000 mL 蒸留水
  •   コメント:比較的高いグルコース濃度を好むラビリンチュラ類用の培地です。

実験結果

 増殖能試験結果を表1に示しました。ほとんどのラビリンチュラ菌株は、2×GPYT培地(0.4%グルコース)で良好な生育を示しました。一方、グルコース濃度が高いGTY培地では、良好な生育を示す菌株が複数存在しました。一部の菌株では、培養フラスコの壁面に細胞が固着するなどして菌体の回収が困難な場合がありました(表の備考欄に示しています)。

ラビリンチュラ菌株の10 mL液体培地での7日間培養後の菌体量
表はExcel形式でダウンロードできます

表1:NBRC保有ラビリンチュラ類91株の液体培地(10 mL)での7日間培養後の菌体量
Excelダウンロード【36.5KB】
菌体の湿重量が、40 mg以上をオレンジ色、20 mg以上を黄色、15 mg未満を灰色で示す。
*菌体増殖量が少なく、遠心分離によるペレット回収ができなかったため「計測不可」とした。

参考文献

  • ・Nakazawa, A., Kokubun, Y., Matsuura, H., Yonezawa, N., Kose, R., Yoshida, M., Tanabe, Y., Kusuda, E., Thang, D. V., Ueda, M., Honda, D., Mahakhant, A., Kaya, K., Watanabe, M. M. (2014) TLC screening of thraustochytrid strains for squalene production. Journal of Applied Phycology 26: 29-41.

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