バイオテクノロジー

日本初、遺伝資源の「国内取得書」発給業務を開始

公表日

平成29年9月8日

本件の概要

報道発表資料

発表日:
平成29年9月8日(金)
タイトル:
日本初、遺伝資源の「国内取得書」発給業務を開始
発表者名:
独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター
資料の概要:

 NITE(ナイト)[独立行政法人 製品評価技術基盤機構 理事長:辰巳 敬、本所:東京都渋谷区西原二丁目49番10号]は、生物多様性条約名古屋議定書に対応する国内指針に基づき、事業者が微生物などの遺伝資源を日本国内で取得したことを示す書類「国内取得書」の発給業務を9月25日より開始します。事業者がこの「国内取得書」を提示することで、日本の遺伝資源を海外拠点などで産業利用する際の手続きが円滑になることが期待できます。

  1. 1.生物多様性条約では、微生物などの遺伝資源を利用した際に生じる利益をその遺伝資源を提供した国に公正・衡平に配分するためのルール(遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS:Access and Benefit Sharing)という)が定められています。さらに、ABSを具体的に実施するためのルールを定めた名古屋議定書(※)が採択されました。
  2. 2.遺伝資源の取得や利用の条件については、各国で具体的に定めることとなっており、ABSを適切に実施するための法令の整備が各国で進められています。他国では、遺伝資源を自国内で利用する際に、その遺伝資源がどこの国で取得されたかという情報を法令で求めている例もあります。
  3. 3.事業者が日本由来の遺伝資源を海外拠点などへ輸出し産業利用する際に、その遺伝資源が日本国内で取得されたという情報を輸出先の国から求められる場合があります。その際には、輸出先の国の法令に沿って日本由来であることを記録した実験ノートなどを準備することが必要になり、多くの時間と作業が必要です。
  4. 4.日本では、平成29年5月18日に名古屋議定書を締結し、「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針(ABS指針)」が8月20日に施行され、遺伝資源が日本国内で取得されたことを示す書類「国内取得書」を発給できることになりました。NITEは、9月7日付けで経済産業大臣から認定を受け、日本で最初の「国内取得書」発給機関となりました。
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  6. 5.NITEは、平成29年9月25日より、試薬製造や物質生産といった産業に利用(経済産業省所掌の利用の範囲)する遺伝資源について、「国内取得書」の発給業務を開始します。事業者が「国内取得書」を利用することで、書類の準備等に多くの時間や手間をかける必要がなくなり、遺伝資源の輸出先の国で円滑に手続きを行えると期待されます。
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  8. 6.NITEは、これまで事業者が他国の遺伝資源にアクセスできる体制の整備や、ABS関連の法令情報の提供などを通じて、日本の事業者が他国の遺伝資源を利用可能にする支援を行ってまいりました。今後も、日本の事業者が国内外の遺伝資源を用いて、円滑に事業が実施できるようサポートを行ってまいります。
  1. (※) 名古屋議定書
    「生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書」のこと。生物多様性条約の重要な課題の一つである「遺伝資源の取得の機会とその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(ABS)」の着実な実施を確保するための手続きを定める国際文書として、平成22年10月29日に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議において採択されました。平成29年8月20日から我が国において効力が発生しています。

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