ヒトマイクロバイオーム研究の信頼性を高める「推奨分析手法」と「ものさし」を確立
~ 腸内細菌等の微生物を利用した新たな医薬品や食品等の研究開発を加速へ ~
公表日
令和4年3月7日
本件の概要
報道発表資料
- 発表日:
- 令和4年3月7日 (月曜日)
- タイトル:
- ヒトマイクロバイオーム研究の信頼性を高める「推奨分析手法」と「ものさし」を確立
~ 腸内細菌等の微生物を利用した新たな医薬品や食品等の研究開発を加速へ ~ - 発表者名:
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター
- 資料の概要:
- 独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原)は、本年1月13日より提供を開始した「NBRCヒト常在微生物カクテル」1)が、5つの研究機関との共同研究4)により、ヒトマイクロバイオーム(ヒトの体に生息する微生物の集団「微生物叢(そう)」のこと。)解析により取得した試験データの妥当性を評価するための「ものさし」となる参照用サンプルとして、高精度、高品質であることを実証しました。
本成果を記した論文は、令和4年3月2日(米国東部標準時)に国際学術誌「Microbiology Spectrum」にオンライン掲載されました5)。
近年、ヒトマイクロバイオームの活用に期待が集まる一方で、試験データの信頼性や相互比較性の課題も指摘されていました。このため、NITEは関係機関と連携し、ヒトマイクロバイオーム解析のための推奨分析手法(SOP)2,3)の開発、参照用サンプル「NBRCヒト常在微生物カクテル」の提供を通じ、ヒトマイクロバイオーム解析の標準化とデータの信頼性向上に取り組んできました。
この度の論文掲載により、SOPと参照サンプルを組み合わせて試験を行うことで、ヒトマイクロバイオーム研究を高い精度と信頼性をもって実施できる環境が整いました。
本成果は、医薬品業界、食品業界等でのヒトマイクロバイオームを活用した研究開発の加速に貢献すると同時に、わが国の産業競争力強化に寄与するものです。
- ・ 近年、ヒトヒトマイクロバイオーム解析を基にした新たな医薬品や食品等の創出が期待される一方で、解析手法や作業者の違いにより、得られたデータの信頼性や相互比較性が乏しいことが課題となっています。
NITEではこの課題を解決するため、ヒトマイクロバイオーム解析の標準的な“方法”として「推奨分析手法」(SOP)2,3)を、また解析の手順や結果が妥当かどうかを確認するための“ものさし”として参照用サンプル「NBRCヒト常在微生物カクテル」1)を開発してきました。 - ・ この度、5つの研究機関との共同研究4)により、「NBRCヒト常在微生物カクテル」が参照用サンプルとして高精度、高品質であることが実証されました。
具体的には、SOPを用いて「NBRCヒト常在微生物カクテル」の特性値が精密に検証されたほか、5機関がそれぞれの試験所で「NBRCヒト常在微生物カクテル」を用いた試験を実施し、“各機関がSOPを正しく実践できているか”、“他の分析手法がSOPと同程度の精度を示す方法であるか”を判別できることが証明されました。この研究成果は、令和4年3月2日(米国東部標準時)に国際学術誌「Microbiology Spectrum」にオンライン掲載されました。 - ・ 「NBRCヒト常在微生物カクテル」の品質が実証されたことにより、ヒトマイクロバイオーム解析の信頼性、相互比較性を確保するために必要な“方法”と高品質な“ものさし”を確立したことになります。
「NBRCヒト常在微生物カクテル」は、日本人のヒトマイクロバイオームを模しており、日本における新たな医薬品開発や食品開発に貢献すると同時に、ヒトマイクロバイオーム解析の基盤技術開発から標準化、実用化に至る一連の研究を加速し、わが国の産業競争力のさらなる強化に寄与します。 - ○出典・説明
1) プレスリリース:「国産初 研究用「ヒト常在微生物カクテル」の提供開始」
https://www.nite.go.jp/nbrc/information/release/2011320113.html
2) プレスリリース:「マイクロバイオーム解析のための推奨分析手法を開発」
https://www.nite.go.jp/nbrc/information/release/20210428.html
3) プレスリリース:「マイクロバイオーム解析のための推奨プロトコルを公開しました」
http://www.jmbc.life/news/images/2021.06.30.pdf
4) 本研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「NEDO先導研究プログラム/新産業創出新技術先導研究プログラム/ヒトマイクロバイオームの産業利用に向けた、解析技術および革新的制御技術の開発」(2018年度~2020年度)による支援を受け、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)、一般社団法人日本マイクロバイオームコンソーシアム(JMBC)、国立大学法人九州大学、東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)および国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)の共同で実施された。
5) Tourlousse D. M. et al., Microbiology Spectrum, 10: e01915-21 (2022)
DOI: 10.1128/spectrum.01915-21
発表資料
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- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター バイオ技術評価・開発課(かずさ)
-
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