化学物質管理

化学物質のリスク評価について-よりよく理解するために-5

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発がん性の評価の仕方と閾値

NOAEL(無毒性量、No Observed Adverse Effect Levelの略)とは

ほかの症状(エンドポイント)とは違い、発がん物質が遺伝子に作用して悪性腫瘍(がん)を作る場合は、“物質の量がこれより少なければ発がんの可能性なし”ということがなく、どんなに少量でも発がんの可能性を持っていると考えられています

“これより少なければ発がんの可能性なし”という化学物質の摂取量または暴露量を「閾値[いきち]」といい、暴露量がゼロにならない限り有害な影響を生ずる可能性がある場合は「閾値がない」、これ以下では有害な影響を生じない暴露量がある場合は「閾値がある」といいます。

閾値を説明するグラフ。VSD(実質安全量)との対比

有害性に閾値がない場合には、NOAEL(無毒性量)やTDI(耐容一日摂取量)(※10)も存在しないため、リスク評価の方法もNOAELのある場合とは違うものになります。

※10 「NOAEL(無毒性量)とTDI(耐容一日摂取量)」を御参照ください。

その場合、“10万分の1の確率で発がんする量” をVSD(実質安全量、Virtually Safe Dose の略)として用い、リスク評価を行う方法などがあります。

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NEDO事業における「初期リスク評価書」では、発がん性について以下のように評価しています。(※11)

※11 発がん性の閾値の有無については諸説があり、現在も議論が行われています。

遺伝子障害のない発がん物質(閾値あり)

そのほかの毒性と同様に、MOE(暴露マージン)によるリスク評価を行います。

ただし、UF(不確実係数)として以下の2項目を追加考慮します。

  • 発がん性であるということ(×1~10)
  • がんの細胞種・部位・発現時期などの重篤性に対応(×1~10)
遺伝子障害のある発がん物質(閾値なし)

閾値がなく、MOE(暴露マージン)によるリスク評価はできないため、U.S. EPA(米国環境保護庁)やWHO(世界保健機構)などの機関による定量的評価が利用可能な場合は、発がん性の確率を表すユニットリスク(※)などを記載します。

しかし最終判断の際には、ユニットリスクなどはあくまで参考にとどめ、「詳細リスク評価の必要な物質の候補」として扱います。

用語解説
※ ユニットリスク Unit risk : 化学物質を濃度1μg/L(飲料水)または1μg/m3(空気)で生涯毎日暴露した時に予測される発がん確率。

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