製品安全

Vol.11 12月 2日号「事故の原因究明について思う」

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===================2005.12.2 Vol. 11====================
┌─────┐
│PSコラム│
└─────◆───────────────────────────┐
      │      事故の原因究明について思う        │
      └───────────────────────────┘

◇NITEでは、焼損した電気製品、破損した金属・機械製品などの事故品を
 入手すると、どのようなプロセスで事故に至ったのかを究明している。最近
 実際に発生した事故事例をみても、迅速な対応を行うためには、事故原因の
 早期解明が極めて重要なものと考えている。

◇事故発生には、設計・製造上に生じた何らかの不具合、使われ方(誤使用や
 不注意)、使用環境などの要因がある。わずかな残骸から(必ずしも事故品
 が原型をとどめているとは限らない)、なぜ焼損したか、破壊が進んだか、
 折損したかなど、事業者が製品を設計する場合に用いるリスクアセスメント
 と同じ考え方により、実際の使われ方を想定しながら、断片的に得られる結
 果をもとに、事故が起こったプロセスを完成させていく。

◇事故品の同等品を入手した場合には、考えられるプロセスで事故が発生する
 かどうか、事故の再現実験を行い最後の検証をする(ここまで到達するまで
 に相当な試行錯誤がある)。NITEだけでなく事業者や試験研究機関で、
 同様の苦労をした経験を持っている方々もおられるのではないか。

◇しかし、事故の原因究明については、地道で水面下で行われる作業であるが
 ゆえに、技術や事例が共有されることも少なく、あまりスポットがあたって
 こなかったように思う。いかに、最新の技術によって分析・解析装置が進化
 したとしても、優れた科学的知見があったとしても、この原因究明の試行錯
 誤的なやり方については変えようがない。科学的推論を無駄なく組み立て、
 客観的事実に最短距離でたどり着くには、技術者の長年の経験とノウハウに
 負うところが大きい。

◇原因究明をスピーディ・合理的に行うにはどうしたらよいだろうか。
 こうした問題の解決手段として多数の原因究明の検証例を集め、製品の分野
 別、業種・業態別に事例集を作るのも1つの方法と考えている。NITEの
 みならず、事業者、試験研究機関などで行われた膨大な検証例を収集するこ
 とを提案したいがいかがだろうか。
                              (編集子)

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                目次 
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1.消費生活用製品の事故防止について
    第11回「誤使用事故防止の考え方のポイント」
2.事故情報 
   ・消費生活用製品の事故情報収集状況(11月14日~11月25日受付77件)
   ・除雪機の事故
   ・昨年度1月に発生した事故の傾向
3.社告情報(4件)
4.関係機関の製品安全情報
   ・歩行型除雪機の安全な使用のために 
            社団法人日本農業機械工業会 除雪機安全協議会
5.編集後記
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        1.消費生活用製品の事故防止について
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       第11回 「誤使用事故防止の考え方のポイント」

◇(15)「意図した誤使用の防止策」
 ・誤使用事故には消費者が意図して(故意に)行ったことにより発生するも
  のがある。例えば、消費者の「慣れ」や「手抜き」、「良かれとおもって
  行う行動」や「いたずら」などから生じるものである。これらについても
  予見可能なのであれば、それが非常識でない限りは、メーカーは対策を講
  じる責任が生じる。具体策を次に示す。

  a.チャイルド・プルーフ
   子供には、基本的に操作出来ないようにする以下のような設計をチャイ
  ルド・プルーフと呼ぶ。同様の概念に、認知障害を伴った高齢者の誤使用
  事故防止に対応させた場合にはシニア・プルーフ設計と呼ぶ。
  (子供が乗車した乗用車のドア)→子供自身が内側から開けられないよう
   にする。
  (医薬品の容器の蓋)→子供に開けられない構造にする。
 
  b.エキスパート・プルーフ
   ベテランの慣れや慢心による誤使用を防ぐための以下のような設計。
  (自動車の速度)→走行中に一定の速度を超えると燃料供給を低減する。

  c.タンパー・プルーフ
   消費者が意図的に行おうとした作業により事故が起こることを防止する
  以下のような設計をタンパー・プルーフと呼ぶ。また、オネスト・プルー
  フとも呼ばれ、改造や素人修理といった故意に基づく使用(本ハンドブッ
  クでは誤使用に含む)への対策の側面も持つ。
  (製品が不調になった場合の危険な部位)→消費者が自由にさわれないよ
   う、特殊工具がなければ開かないようにする。
                                                     < S.N > 

        ※「消費生活用製品の誤使用事故防止ハンドブック」より
                          (第12回に続く)
    ☆前回までの記事はこちらです→ http://www.jiko.nite.go.jp/psm/ 

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              2.事故情報
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◆◆◇ 消費生活用製品(*)の事故情報収集状況
                (11月14日~11月25日受付77件) ◇◆◆

 NITEに通知のあった事故情報を傾向として集計しています。
(件数の多い順に5製品)なお、事故原因については現在調査中です。
                 
    製品名(事故状況と件数)        [前号比(件数±)]
  =============================================================
  1. ガスこんろ       (火災 11件)   [+ 2]
  2. 石油ストーブ      (火災  8件)   [+ 7]
  3. ストーブ        (火災  5件)    [+ 3]
   3. 四輪自動車       (火災等 5件)   [+ 1]
  5. 電気ストーブ      (火災等 4件)   [+ 3]
 
  (*)消費生活用製品:一般消費者が生活において使用する製品。

◆◆◇ 除雪機の事故 ◇◆◆

◇いよいよ冬も本格化しています。今回は、除雪機による事故を取り上げます。
 NITEに平成15年度、16年度に通知され、調査が終了し、公表してい
 る除雪機による事故は、平成15年度2件、平成16年度10件です。これ
 らの事故全てに人的被害が発生し、重傷事故の割合が高い傾向(約67%)
 にあります。重傷事故は、手指の切断・骨折が目立ちます。両年度の合算件
 数(12件)における人的被害別、事故発生月別、発生場所別の内訳は以下
 になります。

   【人的被害別】    【事故発生月別】   【発生場所別】
   死亡 2件 17%    12月 1件     北海道 1件
   重傷 8件 67%      1月 4件     青森県 4件
   軽傷 2件 17%      2月 5件     山形県 2件
                3月 2件     新潟県 4件
                          山梨県 1件
◇事故事例

 ・除雪作業をしていた男性が、除雪機の下敷きになり死亡した。
  ------------------------------------------------------------------
  →除雪機を後退時に誤って転倒した際、非常停止装置(除雪機の下部にあ
  り、物が接触するとクラッチを切って停止させるもの)を取り外して使用
  していたため、除雪機が停止せずに事故に至ったものと推定。

 ・除雪作業をしていた男性が、ロータリー部分で右手中指の先を切断した。
  ------------------------------------------------------------------
  →ロータリー部分に雪が詰まって停止したところ、エンジンをかけたまま
  雪を取り除いたため、再び回転したロータリー部分に右手を巻き込まれた
  ものと推定。

 ・除雪作業中の女性が、男性が操作していた除雪機に巻き込まれ、ひざを負
  傷した。
  ------------------------------------------------------------------
  →女性が除雪機の近くに転倒した際、着ていたコートの裾が除雪機に絡ま
  り巻き込まれたものと推定。

◇NITEでは、除雪機の事故防止のため、以下の事故情報特記ニュースを発
 行していますのでご覧下さい。 

【参考】事故情報特記ニュース
    No.65「除雪機の事故について(注意喚起)」
        http://www.jiko.nite.go.jp/news/065/news65.html

・・・‥‥…………………………………………………………………‥‥・・・
◆◆◇ 昨年度1月に発生した事故の傾向 ◇◆◆ 

 平成17年1月発生の事故は、190件中、95件(50%)が『燃焼器具』
の事故でした。その次に、『家庭用電気製品』70件(約37%)、『家具・
住宅用品』11件(約6%)でした。家具・住宅用品が『乗物・乗物用品』と
順位が入れ替わった要因は、「除雪機」の事故が8件通知されたことにありま
す。品名別では、石油ストーブが35件、ガスこんろ23件、電気ストーブ
14件、配線器具10件と、多く報告されています。

■━━事故情報の検索━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
 
  NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
  http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/index.html

■━━製品の事故情報をお寄せください━━━━━━━━━━━━━━━━■

  NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
 その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
 
 【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
 【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
 【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
  【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp

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              3.社告情報
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◇平成17年10月26日
 株式会社ソフト99コーポレーション「自動車用非金属タイヤチェーン」
 製品接合部の不具合があり、使用中にチェーンが外れてしまう可能性がある。
 (平成17年1月8日に行った社告の再社告)(製品回収)

◇平成17年11月29日 グンゼ株式会社 「肌着」
 加工薬剤が過剰に付着したことが原因で、体質、体調などによっては着用後、
発疹が発生することが分かった。(製品回収)

◇平成17年11月29日 株式会社東芝 「ビデオテープレコーダー」
 テープ挿入口の扉が何らかの原因で破損し、その扉についているバネが外れ
て特定の回路基板上に落下した場合、きわめてまれに、発煙、発火に至る可能
性があることが判明した。(無償で点検・修理)

◇平成17年11月30日 松下電器産業株式会社 「石油温風暖房機」
 平成17年4月21日「謹告」にて部品交換等の実施に関わるお知らせを行
っていたが、未点検品において新たな一酸化炭素中毒事故が発生した。当該対
象製品を未点検のまま使用すると、一酸化炭素を含む排気ガスが、室内に漏れ
出し、場合によっては死亡事故に至るおそれがある。
(平成17年4月21日に行った社告の再社告)(無償で部品交換(エアホース))


■━━━NITE社告情報のページ━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

 【過去半年間の社告】 http://www.jiko.nite.go.jp/index4.html
 【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php

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           4.関係機関の製品安全情報
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 ◆◆◇ 歩行型除雪機の安全な使用のために ◇◆◆

 除雪機安全協議会では、歩行型除雪機による事故防止のため、ポスター、パ
ンフレットを作成し、市町村の関係窓口、販売店等を通じて、ユーザに対する
安全で正しい使用の注意喚起を行っています。
 詳細は、下記ホームページをご覧ください。

【詳細】社団法人日本農業機械工業会 除雪機安全協議会
    http://www.jfmma.or.jp/

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              5.編集後記
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 あっという間に師走ですね。今週は、特別号2回と今号、計3回PSマガジ
ンを配信いたしました。(また来た!と思われた方も多かったと思います。)
配信を開始して半年近く、時々、お問い合わせ、ご意見等メールでいただくこ
とがありますが、欲が出てきてしまい、製品安全のために皆さんのご意見をお
聞きしたいと思うことがよくあります。今号のPSコラムで、事故の原因究明
の検証例を集めた事例集の作成を提案させていただいています。原因究明に携
わっていてご興味がおありの方、宜しければご一報いただきましたら幸いです。

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          【編集・発行】 独立行政法人製品評価技術基盤機構
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お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  リスク評価広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図