製品安全

Vol.23  5月19日号「調理中の死亡事故(前編)」

 ■■■◆        
 ■    ◆========= 製品安全情報マガジン(PSマガジン)========== 
 ■■■◆           PSマガジンは製品安全についての情報を
 ■   ■■■       お届けします。    (隔週金曜日発行)
 ■    ■               <等幅フォントでご覧ください>
        ■■  ・・・‥‥…………………………………‥‥・・・     
         ■ 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE・ナイト)
      ■■■        生活・福祉技術センター 製品安全企画課
                       http://www.jiko.nite.go.jp/

====================2006.5.19 Vol. 23===================
┌─────┐
│PSコラム│
└─────◆───────────────────────────┐
      │            製品事故と医療事故         │
       └───────────────────────────┘

◇医療関係者から、医薬品や医療用具に関する事故の話を聴く機会があった。
 これらの事故には、例えば、配布・投与する医薬品の種類・量を間違える事
 故、医療用具の誤使用等に起因する事故などがあるという。既にチェック態
 勢は二重三重にされているが、それでも起きてしまう場合があるとのこと。
 どのような事故も安全対策は悩ましい問題のようだ。事例を紹介したい。

◇(名称類似医薬品の事例)            
 名前が類似した薬を、医師が処方箋やカルテへ誤って記入したり、薬剤師が
 見誤って調剤したりする場合がある。名前の数文字のミスで、全く作用の異
 なる薬を患者に渡したり、治療に使用してしまう。例えばタキソール(抗が
 ん剤)とタキソテール(抗がん剤、1回の用量がタキソールの約3倍)、ア
 マリール(糖尿病用剤)とアルマール(不整脈用剤)、アレロック(アレル
 ギー用剤)とアロテック(喘息用剤)。確かに数文字しか違わない。この例
 は、口頭で薬の名前を伝える場合にも誤りが起きることがあるようだ。

◇(外観類似医薬品、規格違い・記号違いの医薬品の事例)
 薬の容器の形状が類似しているものや、濃度・量が異なるものを誤って投与
 する事故がある。外観の類似性がある場合の対策は、医薬品の情報の周知徹
 底と注意を喚起するためのシールや表示を行うようだが、注意表示が増える
 と目立たなくなるとの問題があるようだ。

◇(医療用具の誤使用の事例)
  医療用具では、点滴ラインと栄養ラインの誤接続をすることがある。点滴ラ
 インとは血液内に薬剤を投与するラインで、栄養ラインとは、口から食物を
 摂れない患者に、鼻や口から胃や腸に挿入したチューブを通じて流動食や栄
 養剤を投与するためのライン。この役割の異なる2つのラインを繋ぎ間違え
 る事故があるという。この場合の誤接続の防止策は、接続部の色を緑、赤、
 黄などに変えたり、接続部の形状を変えて物理的に接続できない構造すると
 いう。

◇医療事故は、病院や薬局におけるヒューマンエラーが絡んだ事故がほとんど
 であり、この点が消費生活用製品の事故とは異なる。名称類似の問題は消費
 生活用製品にはない。医薬品では医療関係者だけでなく消費者に対しても安
 全対策を行わなければならない。政府や自治体、医療機関などは医療事故防
 止のガイドラインや対策マニュアルなどを作成し、積極的に医療事故の防止
 に努力を行っている。そこでは、安全管理体制、いわゆるリスクマネージメ
 ントの必要性が述べられている。つまり組織全体での対応が必要であるとい
 う。これは消費生活用製品の誤使用事故防止にも当てはまることである。
                                 (編集子)
                                 
===================================
                目次 
===================================
0.お知らせ
1.事故100選
    第4回「調理中の死亡事故(前編)」
2.事故情報 
   ・消費生活用製品の事故情報収集状況(5月1日~5月12日受付80件)
   ・自転車による事故(消費者の誤使用・不注意)
   ・消費生活用製品以外の事故(2件)
3.社告情報(4件)
4.関係機関の製品安全情報
   ・東北地域における中小事業者への検査機器
      無料貸出場所の拡大について          経済産業省
   ・中国地域における中小事業者への検査機器
       無料貸出場所の変更(拡大)について      経済産業省
5.編集後記
===================================
              0.お知らせ 
===================================

 前号でご案内いたしました5月26日開催の「誤使用事故防止シンポジウム」
につきましては、定員を大幅に超えるお申し込みをいただき、大変恐縮ですが、
締め切らせていただきました。たくさんのお申し込みをいただき、ありがとう
ございました。お申し込みを受領させていただきました方には参加証(ハガキ)
を順次発送しておりますので、5月22日(月)までにお手元に届かない場合
は、お手数ですがお問い合せいただきますようお願い申しあげます。
          (TEL:06-6942-1113 誤使用事故防止シンポジウム係)

===================================
             1.事故100選
===================================

 NITEや試験研究機関が事故原因究明をした事例に、その事故原因が安全
な製品を設計する上などで参考となる事例が多数存在します。これらの事例を
風化させてはならないと考え、当時の状況を事故100選としてご紹介するこ
とにしました。今回は、台所で調理中に起きた死亡事故です。

         第4回「調理中の死亡事故(前編)」

◇平成9年12月、台所で家人2名が倒れて死亡しているのが発見された。ガ
 スこんろには、フライパンがかけられ、とろ火の状態で火が付いたままであ
 った。ガスこんろの状態から、当初はガス事故とは想像されていなかったよ
 うだ。しかし、検死の結果、被害者が一酸化炭素中毒で死亡したことが判明
 した。

◇一酸化炭素中毒は一酸化炭素を吸いこむことで起こる中毒である。一酸化炭
 素は酸素よりも血液中のヘモグロビンと結合しやすく、その結果、血液の酸
 素運搬能力が落ちて酸素欠乏状態になる。症状は、一酸化炭素の濃度とその
 場にいた時間によって異なる。無色・無臭のガスなので気づかずに吸い続け、
 意識を失って死に至ってしまうケースも少なくない。一酸化炭素は、空気が
 不十分な環境で燃焼(不完全燃焼)したときなどに発生する。通常の燃焼時
 (完全燃焼)は二酸化炭素が発生するが、不完全燃焼の場合は一酸化炭素が
 発生する。反応式(例)からも、酸素量が不足すると不完全燃焼になりやす
 いことがわかる。
      「天然ガス(メタン)の場合の反応式(例)」
       (完全燃焼)  CH4+  2O2→CO2+2H2O
       (不完全燃焼) CH4+1.5O2→CO +2H2O

◇事故の状況から、ガスこんろの不完全燃焼が疑われた。ガスこんろのバーナ
 ーは、空気(一次空気)とガスを混合させて炎口から噴射して燃焼させ、さ
 らに燃焼に必要な空気(二次空気)を炎の周囲から取り入れている。これら
 の空気が不足すると不完全燃焼が起こる。つまり、今回の事故では、なんら
 かの理由で空気の不足があったと思われる。

◇なぜ、ガスこんろに不完全燃焼が起きたのか。被害者宅のガスこんろの五徳
 が別のものに付け替えられていたことが判明し、NITEに事故情報が寄せ
 られた。
                            (後編に続く)

   ☆前回までの記事はこちらです→ http://www.jiko.nite.go.jp/psm/ 

===================================
              2.事故情報
===================================

 ◆◆◇ 消費生活用製品(*)の事故情報収集状況 ◇◆◆ 
       (5月1日~5月12日受付80件)

 NITEに通知のあった事故の傾向を見るために、上記期間内で、収集件数
 の多い5製品を掲載しています。なお、事故原因については現在調査中です。
                 
    製品名(事故状況と件数)        [前号比(件数±)]
  =============================================================
  1. ガスこんろ     (火災   17件)   [± 0]
  2. 四輪自動車     (火災等  10件)   [+ 3]
  3. 屋内配線      (火災    6件)   [+ 2] 
  4. 石油ストーブ    (火災    5件)   [- 5] 
  5. カラーテレビ    (火災    3件)   [+ 3]
   . 冷蔵庫       (火災等   3件)   [+ 3]
   . 電気ストーブ    (火災    3件)   [- 2]

  (*)消費生活用製品:一般消費者が生活において使用する製品。

 ◆◆◇ 自転車による事故(消費者の誤使用・不注意) ◇◆◆
 
◇4月から自転車での通勤や通学を始めた方もいらっしゃるのではないでしょ
 うか。今回は、自転車による事故の中でも、消費者の誤使用や不注意による
 事故をご紹介いたします。NITEに平成16年度、平成17年度に通知さ
 れて調査が終了し公表している事故情報(平成17年度第3四半期報告分ま
 で)で、消費者の誤使用や不注意による自転車の事故は12件あります。

◇事例の主なものは、操作ミスによる用水路や水田への転落事故、前ホークが
 変形しているのに使用を続け、ハンドルをとられてバランスを崩した転倒事
 故などです。自転車の異常に気づいたら乗らないようにしてください。また、
 使用前に取扱説明書の注意事項をよくご確認ください。今回の件数には入っ
 ていませんが、ハンドルに傘などをかけていて、前輪にはさまってロックさ
 れた状態になり、転倒する事故もあります。梅雨時はお気をつけください。

   ・男性が自転車ごと用水路に転落し、頭や顔などを強く打って死亡した。
   ------------------------------------------------------------------
   →自転車に異常は認められず、事故現場は平坦な道であるが照明が少な
   く、午後8時頃であったことから、事故当時は暗く、被害者の運転ミス
   により転落したと推定される。

   ・自転車で下り坂を走行中、前ブレーキがきかず、塀にぶつかって軽傷
    を負った。
   ------------------------------------------------------------------
   →前ホークが変形し、塗装がはがれた部分が錆びていたことから、事故
   以前から変形していたため、ブレーキと車輪の位置関係に異常が生じ、
   ブレーキシューが極度に摩耗し、前ブレーキがきかなくなったものと推
   定される。

   ・自転車で走行中、前輪が急に外れたため、路面に顔から落ちて鼻骨を
    骨折し、前歯2本を折った。
   ------------------------------------------------------------------
   →マウンテンバイクのクイックレリーズハブが確実に固定されていない
   状態で走行していたため、前輪が外れて被害者が落車したものと推定さ
   れる。なお、取扱説明書には、乗車前にはクイックレバーがしっかり締
   まっているか確認すること等の注意事項が記載されている。

 ・・・‥‥…………………………………………………………………‥‥・・・

 ◆◆◇ 消費生活用製品以外の事故でこんな事故がありました ◇◆◆

◇『グライダー墜落』(5/3 兵庫県)
 2人乗りのモーターグライダーが離陸直後に墜落して滑走路上で炎上、乗っ
ていた2人が死亡した。

◇『トラクターに巻き込まれ幼児が死亡』(5/3 青森県)
 畑で幼児が運転中のトラクターのロータリーに巻き込まれて死亡した。
 
■━━事故情報の検索━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
 
  NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
  http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/index.html

■━━製品の事故情報をお寄せください━━━━━━━━━━━━━━━━■

  NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
 その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
 
 【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
 【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
 【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
  【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp

===================================
              3.社告情報
===================================

◇平成18年5月2日 小林製薬株式会社 「排水パイプ用洗浄剤」
 一部ロットに容器が膨張している商品があることが判明した。容器が膨張し
ている商品は内圧が高まっており、開封すると塩素を含んだアルカリ性の内容
液が泡となってあふれ出すことがある。また、そのまま放置すると容器が破れ
て内容液が漏れ出す恐れがある。(製品回収)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060502.html

◇平成18年5月3日 
 株式会社ロフト(販売元)/株式会社インターフォルム(製造元)
  「照明器具(天井つり下げ型)」 一部のパーツの不具合により、落下等
 の事故が生じる可能性がある。(製品回収)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060503.html

◇平成18年5月9日 株式会社ハーモニープロダクツ 「婦人靴」
 一部製品の中に、ヒール部分の強度不足により、着用中にヒールが折れる可
能性のあることが判明した。(製品回収)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060509.html

◇平成18年5月10日 株式会社シマノ 「自転車用クイックレリーズ」
 前車輪用クイックレリーズの棒部が破損するものが見つかった。破損した場
合、走行中に前車輪が外れて転倒し重傷を負うおそれがある。(無償で製品交換)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060510.html

■━━━NITE社告情報のページ━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

 【過去半年間の社告】 http://www.jiko.nite.go.jp/index4.html
 【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php

===================================
           4.関係機関の製品安全情報
===================================

 ◆◆◇ 東北地域における中小事業者への検査機器   ◇◆◆
     無料貸出場所の拡大について 経済産業省  

 経済産業省では、電気用品安全法の経過措置一部終了に伴う対策の一環とし
て、東北地域において、現在既に中小事業者に対する検査機器の無料貸出を行
っているところですが、それに加えて、5月9日(火)から岩手県工業技術セ
ンターにおいても受付を開始しました。

【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20060508001/20060508001.html

 ◆◆◇  中国地域における中小事業者への検査機器    ◇◆◆
     無料貸出場所の変更(拡大)について 経済産業省

◇経済産業省では、電気用品安全法の経過措置一部終了に伴う対策の一環とし
て、中国地域において、既に検査機器の貸出を行っている中国経済産業局から、
財団法人中国電気保安協会(鳥取支部、島根支部、岡山支部、福山支部、広島
支部、山口支部)に変更(拡大)し、検査機器の無料貸出を開始することとな
りました。この6支部における検査機器の貸出申込みは平成18年5月11日
(木)から受付を開始しています。

【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20060511001/20060511001.html

=================================== 
              5.編集後記
===================================

 今回ご紹介いたしました自転車の事故、自転車のハンドルに傘をかけて前輪
に引っかかり転倒した事故は、自分の実体験でもあります。まだ学生の頃でし
たので反射神経?がよく、ヒラリと自分は転倒を免れたのですが、自転車は倒
れて少し壊れた記憶が・・・。今の年齢では・・・無理でしょうね。

・・・‥‥…………………………………………………………………‥‥・・・
※このメールマガジンは配信登録いただいたメールアドレスに配信しています。
間違えて配信されていましたら、お手数ですが、以下のメールアドレスまでご
連絡ください。( mailto:jiko@nite.go.jp )

 このメールマガジンに関するお問い合わせ、転載のご要望等は、以下のメー
ルアドレスまでお願いいたします。( mailto:jiko@nite.go.jp )

配信の登録解除・配信メールアドレスの変更はこちらから
http://www.jiko.nite.go.jp/psm/
・・・‥‥…………………………………………………………………‥‥・・・
        【編集・発行】 独立行政法人製品評価技術基盤機構
                生活・福祉技術センター 製品安全企画課

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  リスク評価広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図