製品安全

Vol.47  4月20日号「熱帯魚などの飼育用水槽の事故」

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 ■   ◆========= 製品安全情報マガジン(PSマガジン)========== 
 ■■■◆           PSマガジンは製品安全についての情報を
 ■   ■■■       お届けします。    (隔週金曜日発行)
 ■   ■               <等幅フォントでご覧ください>
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        ■ 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE・ナイト)
     ■■■        生活・福祉技術センター 製品安全企画課
                     http://www.jiko.nite.go.jp/
 
===================2007.4.20 Vol. 47=====================
 
 熱帯魚などを飼育する水槽に関連した火災事故は、NITEの事故情報でも
少なくありません。今回は、熱帯魚などの飼育用水槽の事故をご紹介していま
す。お知らせでは、前回お伝えでなかった、4月9日から開始した「最新の製
品事故情報の公表」のホームページアドレスをご案内しています。事故100
選では、「自転車のフレームに亀裂が入った事故」の後編です。自転車のパイ
プに亀裂が入った原因を究明しています。

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                 目次 
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1.製品事故収集情報 
  ・熱帯魚などの飼育用水槽の事故
  ・消費生活用製品の事故情報収集状況(4月5日~4月18日受付192件)
2.社告・リコール情報(9件)
3.NITEからのお知らせ
  ・「最新の製品事故情報の公表」ホームページアドレスについて
4.関係機関の製品安全情報
  ・改正消費生活用製品安全法の説明会開催について    経済産業省
  ・東芝コンシューママーケティング株式会社が販売した
電気乾燥機のリコールにかかる社告について      経済産業省
  ・公開講座「安全学概論2-社会の中に安全を創る」
                     明治大学リバティ・アカデミー
5.事故100選
   第16回「自転車のフレームに亀裂が入った事故」(後編)
6.編集後記
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              0.お知らせ
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 次号のPSマガジンは5月11日(金)に配信いたします。

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            1.製品事故収集情報
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      ◆◆◇ 熱帯魚などの飼育用水槽の事故 ◇◆◆

◇今回収集した事故情報の中に、水槽用ヒーターから出火したと思われる事故
 がありました。原因ついては現在調査中ですが、今回は、熱帯魚などを飼育
 する水槽に関連した事故のうち、消費者の不注意、誤使用による事例をご紹
 介いたします。
 
 (事例1)
   カウンターの上に置いてあった水槽付近から出火し、約20平方メー
   トルを焼きました。
  ----------------------------------------------------------------
  →トリプルタップに差し込まれていた、水槽の電源プラグの両刃に放電
   による溶融が確認されました。このことから、プラグ刃の異極間に、
   長期間の水分や埃等の堆積によってトラッキングが発生し、発熱、発
   火したと推定されます。

 (事例2)
   住宅から出火し、玄関部分の壁などを焼きました。
  ----------------------------------------------------------------
  →下駄箱の上に置いていた水槽の照明器具の電源コードに溶融痕が認め
   られ、その箇所は、水槽と壁の間に挟みこまれていた部分でした。こ
   のことから、この部分に機械的ストレスが加わって半断線となって発
   熱し、被膜が溶融したと推定されます。そのため芯線の接触が起こっ
   てスパークが発生し、周囲の可燃物に着火して延焼したと推定されま
   す。
  
◇事例1のように、水槽のそばにあるテーブルタップやコンセントに、水槽
 の水がかかったり、埃がたまるとトラッキング現象の原因になって危険で
 す。水槽はコンセントから離れたところに設置し、そばにテーブルタップ
 を置かないようにしてください。事例2のように、電源コードが水槽の下
 敷きになっていて、半断線になった事例もあります。

◇その他には、循環ポンプのフィルターにゴミが詰まって水を吸い上げなく
 なり、モーターが過熱し出火した事例や、水槽の掃除の際、ヒーターの電
 源を切らずに水を抜いたまま放置し、ヒーターが過熱して出火した事例も
 あります。

      ◆◆◇ 消費生活用製品の事故情報収集状況 ◇◆◆ 
           (4月5日~4月18日受付192件)

 NITEに通知のあった事故の傾向を見るために、上記期間内で、収集件数
 の多い5製品を掲載しています。なお、事故原因については現在調査中です。
                  
     製品名(事故状況と件数)       [前号比(件数±)]
   ==========================================================
     1.ガスこんろ      (火災等   22件)[+ 4]
     2.電気式床暖房器    (発煙等   13件)[+13]
      .ガスふろがま     (焼損等   13件)[+ 9]
     4.電気ストーブ     (火災等    8件)[-31]
     5.ガス給湯器      (焼損等    7件)[+ 4]

 今回の特徴としては、電気式床暖房器の事故が13件ありました。前年に起
きた事故もまとめて報告があったもので、床暖房器が高温になってフロア材と
下地材が焦げた事故です。ガスふろがま13件は、本体内部を焼損した事故が
多くを占めていました。

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            2.社告・リコール情報
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◇東陶機器株式会社「温水洗浄便座一体形便器の無料点検・修理に関するお知
 らせ」(H19/04/16)
◇株式会社トーカイ「コンパクトハンドドライヤー(手指温風乾燥機)の交換
 について」(H19/03/30) 

詳細はこちらからご覧ください→ http://www.nite.go.jp/jiko/index4.html

◇株式会社幸和製作所 「歩行補助車」(製品回収(無償修理または交換))
 (H19/04/05)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070405b.html

◇株式会社バッファロー「スイッチングハブ」(無償でACアダプタ交換)
 (H19/04/04)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070404.html

◇ベネリック株式会社「トレーナー」(製品回収)(H19/03/29)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070329c.html

◇ヨネックス株式会社「バドミントンシューズ」(無償回収・交換)
 (H19/03/29)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070329a.html

◇株式会社デンソー「遠赤外線ヒーター」
 (製品回収(一台2万円で引き取り))(H19/03/28)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070328.html

◇東芝コンシューママーケティング株式会社「全自動洗濯機/二槽式洗濯機」
 (注意喚起)(H19/03/27)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070327.html

◇ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社/
 ブエナビスタインターナショナルジャパン/株式会社ユウロード「玩具」
(販売一時中止、商品回収)(H19/03/24)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070324b.html

◇YKK AP株式会社 「フラワーボックス(花台)」
(無償点検・修理)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070324a.html

■━━━NITE社告・リコール情報のページ━━━━━━━━━━━━━■

 【過去1年間の社告】 http://www.nite.go.jp/jiko/index4.html
 【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/index5.html

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            3.NITEからのお知らせ
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◆◆◇「最新の製品事故情報の公表」ホームページアドレスについて ◇◆◆
 
 前号でお知らせいたしました「最新の製品事故情報の公表」を4月9日より、
開始し、最近1週間に受付をした事故情報について毎週月曜日に以下のホーム
ページアドレスで公表しています。同ページにあるオレンジ色の「最新事故情
報」のアイコンからご覧ください。

【詳細】 http://www.nite.go.jp/index.html

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           4.関係機関の製品安全情報
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   ◆◆◇ 改正消費生活用製品安全法の説明会開催について  ◇◆◆

 消費生活用製品による事故報告を製造事業者等に義務付ける、消費生活用製
品安全法の改正法が、5月14日から施行されることになりました。
経済産業省は、改正法の円滑な施行に向けて、以下のとおり説明会を開催しま
す。参加の申込み方法は、以下のURLアドレスから「改正消費生活用製品安全
法の説明会開催について」(PDF)をご参照ください(申込みは4月25日まで)。

  【日 時】 平成19年5月9日(水)
        1)10:30~11:30(受付開始10:00~)
        2)14:00~15:00(受付開始13:30~)
       (各回内容は同じ)
  【場 所】 経済産業省 講堂(本館地下2階)
  【議 題】 改正消費生活用製品安全法について
  【説明者】 商務情報政策局 製品安全課 田中哲也課長補佐
  【対象者】 事業者、事業者団体、経済産業省職員等
  【問合せ】 経済産業省商務情報政策局製品安全課 藤澤、東瀬
        TEL:03-3501-4707 FAX:03-3501-6201
  【詳 細】 http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/index.htm

   ◆◆◇  東芝コンシューママーケティング株式会社が  ◇◆◆
      販売した電気乾燥機のリコールにかかる社告について

 東芝コンシューママーケティング株式会社は、本年2月9日、株式会社東芝
(当時)が製造した電気乾燥機において、製品発火、製品焼損が発生したこと
から、無料点検・改修の社告を行うこととしました。また、類似の5機種につ
いても、建家焼損を含む事故が発生していることから、併せて社告を行うこと
としています。経済産業省は、消費者に対し、事故防止の観点から、該当機種
の電気乾燥機の使用の中止と、早急に事業者が設けるフリーダイヤルに連絡す
るよう呼びかけています。

 【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20070409004/20070409004.html

   ◆◆◇   明治大学リバティアカデミー公開講座   ◇◆◆
      「安全学概論2-社会の中に安全を創る」(有料)

 明治大学リバティ・アカデミーでは、国際安全規格、リスク分析法などの基
礎理解から、過失による裁判事例、製品事故の事例などの具体例を通じて、安
全の概念を体系的に学ぶ公開講座(有料)を開催します。

  ◇講座日程
    5月19日 第1講 安全のルールのあり方
          第2講 安全の社会制度 ~安全の責任を中心に~
    5月26日 第3講 安全と技術
          第4講 リスクアセスメント-機械の安全を例にして
    6月 2日 第5講 製品の安全学
          第6講 リスクの分析と評価
    6月 9日 第7講 世界の中の安全
       第8講 ディスカッション
  ◇日 時
    土曜日 13:00~16:10 4日間(全8回)
  ◇会 場
    明治大学秋葉原サテライトキャンパス(秋葉原ダイビル6階)
  ◇問い合わせ
    TEL:03-3296-4423 Email:academy@mics.meiji.ac.jp
 
 【詳細】 http://academy.meiji.jp/ccs/index.html

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             5.事故100選
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       第16回「自転車用空気入れの破損事故」(後編)

◇亀裂の原因が、当初考えられたアンダーカットやピットの溶接不良ではない
 ことが判明したため、次に、溶接時の熱による影響で、溶接ビードとパイプ
 の境目付近が著しく硬化や軟化して亀裂が生じたのではないかと考え、起点
 付近の金属断面の硬さ変化を0.1mm間隔で測定しました。その結果、硬さの
 変化はなだらかで、熱影響による著しい硬化や軟化は生じていないと考えら
 れました。次に、事故品のパイプの硬さに問題があったのではないかと考え、
 溶接時の熱影響を受けていない箇所を測定して同等品と比較したところ、事
 故品のパイプが同等品と比べて硬いことが判りました。

◇そこで、事故品のパイプ材に問題がないか、パイプの化学成分を調べ、JIS 
 G 3445「機械構造用炭素鋼鋼管」のSTKM11A(*1)と比較したところ、事故品
 のパイプは、リンの含有量が0.083%と多く(*2)、STKM11A(0.040%以下)を
 満足していない結果でした(同等品は0.012%)。
 
 (*1)自転車用フレームに使用される一般的な鋼管
(*2)通常、鋼中に含まれるリンは0.06%以下であり、リンが増加した場合、
   とくに常温に置ける衝撃値を低下させ、加工の際に亀裂を生じやすく
   なります。リンは常温脆性の原因になります。

◇溶接部の内部に欠陥があるかを調べるため、破壊起点の断面を観察すると溶
 加材が溶接開先部に充分溶け込んでいない状態でした。亀裂は溶加材の端部
 で生じていました。また、溶接部に確認されたひび割れ部にも同様に溶け込
 み不足が確認できました。ひび割れの位置も溶加材の端部にあり、パイプ内
 部にひび割れが進行していました。同等品については、溶け込み不足は見ら
 れませんでした。

◇以上のことから、亀裂は、パイプ材のリンの含有率が高く、通常使用してい
 るものより脆かった上に、溶加材の溶け込み不足による応力集中が起こった
 ために発生し、破断に至ったものと推定されました。この事故を受け、製造
 事業者は生産先を変更し、パイプの材質を変更、径を太くしました。また、
 社内と公的機関での強度試験を定期的に行い、材質面についてはミルによる
 強度確認、生産ロットごとに溶接箇所を切断し、社内において目視検査を実
 施すること等の改善を行いました。

    ☆前回までの記事はこちらです→ http://www.jiko.nite.go.jp/psm/ 

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              6.編集後記
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 NITEの事故情報でも、あまり身近で見かけないような、ある地域に流通
の多い製品があります。米国消費者製品安全委員会(CPSC)など海外のリ
コール情報も、大きな庭がないと使えないような設置型のバーベキューセット
などがあって、お国柄と驚くことがあります。ご参考にCPSCのリコール情
報のアドレスをご紹介します。

 http://www.cpsc.gov/cpscpub/prerel/prerel.html

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 ◇事故情報の検索 
  NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
  http://www.jiko.nite.go.jp/index3.html

 ◇製品の事故情報をお寄せください
  NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
 その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
 
 【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
 【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
 【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp

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        【編集・発行】 独立行政法人製品評価技術基盤機構
                生活・福祉技術センター 製品安全企画課

お問い合わせ

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