製品安全

Vol.324  1月15日号 「スプレー缶の事故」

制汗、消臭、防水、殺虫や塗装などスプレー缶を使用した製品は様々な種類があります。生活に根付いているスプレー缶ですが、使い方を誤ると大きな事故に繋がる場合があり、実際に最近、スプレー缶の誤った使い方によるものと思われる事故が報道されています。今回はスプレー缶の事故を紹介します。正しい使い方を把握し、事故を未然に防ぎましょう。

  ※今月は第3・5火曜日発行です。

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項目一覧

  • 1. スプレー缶の事故
  • 2. 製品事故収集情報(12月2日~12月15日 受付 76件)
  • 3. リコール情報(3件)
  • 4. その他の製品安全情報
    ・「安全安心な商品開発のための信頼性技術」
    ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について

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1.スプレー缶の事故

【事例1】
スプレー式の洗浄剤をガスこんろに使用後、ガスこんろを点火したところ、爆発して周辺を破損し、衣類が焦げて火傷を負った。

→ガスこんろを清掃した際にスプレー缶から噴霧された可燃性ガスの一部がガスこんろ内に滞留し、ガスこんろ点火時の火が可燃性ガスに引火し、事故に至ったものと考えられる。
 なお、本体には、「高圧ガスを使用した可燃性の製品であり危険なため、炎や火気の近くで使用しない。必ず換気をする」旨、記載されている。

【事例2】
ふろがまを使用中、浴室内で可燃性の殺虫スプレーを噴射したところ、爆発し、周辺を破損した。

→ふろがまの種火が点いている状態で殺虫剤を噴霧したことにより、噴射剤に使用されている可燃性のLPガスにふろがまの種火が引火して、事故に至ったものと考えられる。
 なお、ふろがまの取扱説明書には、「機器や給排気筒トップの周囲には、引火しやすいもの(ガソリン、ベンジン、灯油など)やスプレーを置いたり、使用したりしない」旨、記載されている。

【事例3】
石油ファンヒーターを使用中、スプレー缶が破裂して、周辺が破損し、カーペットなどを焼損した。

→石油ファンヒーターの温風出口付近にスプレー缶が入った買い物袋を置いていたため、スプレー缶が過熱され、破裂し事故に至ったと考えられる。
 なお、本体には、「スプレー缶を温風のあたるところに放置しない。熱でスプレー缶が爆発し危険である」旨、記載されている。

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【事例1の注意事項】
可燃性ガスを含むスプレー缶の使用時はガスが滞留しないように気を付けてください。換気が終わるまでは、ライターや火花が発生する機器(ガスこんろ、換気扇、掃除機など)を使用しないでください。

【事例2の注意事項】
可燃性ガスを含むスプレー缶を火気のある場所の近くで使用すると、ガスに引火して急激に燃え広がるおそれがあるため危険です。「使用上の注意」や「警告表示」に従って、火気のある場所の近くでは使用しないでください。

【事例3の注意事項】
冬の寒いこの時期は特に石油ファンヒーターやガスファンヒーターなどの暖房器具の近くにヘアスプレーなどのスプレー缶を置かないでください。缶が熱せられると、内部のガスが膨張して内圧が上がり、缶が破裂するおそれがあります。

【その他注意事項】
スプレー缶は最後まで出し切ってから廃棄してください。中身を使い切ってスプレー缶を捨てるときは、屋外の風通しのよい場所で、スプ
レーボタンを押すなどして、中身を出し切ってください。スプレー缶を振って、「シャカシャカ」などと音がする場合は中身が残っていま
す。スプレー缶に中身が残っている状態で穴を開けると漏れ出た可燃性ガスに引火するおそれがあります。
なお、廃棄方法については、自治体の指示に従ってください。
 

スプレー缶に関する資料も併せてご参照ください。
(注意喚起ミニポスター(動画等))

  • https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03250102.html
  • https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03250104.html
  • https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03110201.html

その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「スプレー缶」をキーワードに検索していただけます。

  • http://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/search/index.html

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2.製品事故収集情報

消費生活用製品の事故情報収集状況
(12月2日~12月15日 受付76件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。

製品名       ( 事故状況と件数 )

  • 1.ガスこんろ  ( 死亡等     7件)
  • 2.ガス給湯器 ( 火災等     5件)
  • 2.パソコン   ( 製品破損等     5件)
  • 4.石油温風暖房機 ( 火災等 4件)
  • 5.太陽光発電器   ( 火災等     3件)
  • 5.配線器具   ( 死亡等 3件)
  •  
最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html

事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
 

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3.リコール情報

①株式会社CAST JAPAN (法人番号:6010501024854 )
「玩具」 12/21(HP)
【詳細】
https://www.cast-japan.com/news/olicarol_recall/

➁株式会社大創産業 (法人番号:7240001022681 )
「湯たんぽ」 1/9(HP)
【詳細】
https://www.daiso-sangyo.co.jp/application/files/7915/4693/9717/7401b17809d3dde7e8c16805bc34194f.pdf

③株式会社オーム電機 (法人番号:6013301003037 )
「電気こたつ用コード」 1/10(HP)
【詳細】
http://www.ohm-electric.co.jp/wp/wp-content/uploads/2019/01/20190109kotatsucode.pdf

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4.その他の製品安全情報

「安全安心な商品開発のための信頼性技術」  一般社団法人KEC関西電子工業振興センター

 開発の初期段階において、信頼性/耐久性の科学的な知見を元に、品質をつくり込むことが以前にもまして重要になってきております。
 長年にわたって製品の市場問題に対して豊富な経験を持ち、信頼性の切り口から科学的に取組んで来られた講師から、製品安全を実現するために商品開発に必要な信頼性の知識とその活かし方について、繰り返されてきた製品事故、製品安全のために重要なこと等について、さまざまな事例を示しつつ、ご説明いただきます。

  【開催日】 2019年 2月15日(金)  13:00~17:00
  【会 場】 電子会館 (大阪市 北区西天満 6-8-7) 
  【講 師】 伊藤 貞則 氏 日本信頼性学会関西支部顧問 
  【参加費】 KEC会員5,000円(非会員7,000円)(税込み)
  【詳 細】 http://www.kec.jp/seminar/rsspd2018/

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消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について  消費者庁

消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
  • 12/26 10件 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/2018/pdf/consumer_safety_release_181226_0001.pdf
  • 12/28 10件 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/2018/pdf/consumer_safety_release_181228_0003.pdf
  • 1/8 24件   https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/2018/pdf/consumer_safety_release_190108_0001.pdf
  • 1/11 11件  https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/2018/pdf/consumer_safety_release_190111_0001.pdf

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編集後記

何年か前の大掃除の際、家にあるスプレー缶を整理しようとして集めてみたところ、結構な数のスプレー缶が集まりました。台所に殺虫スプレー、洗面台には整髪スプレーと制汗スプレー、靴箱には防水スプレーと消臭スプレーがあり、自転車用の塗装スプレーに金属パーツの汚れ落としスプレー及びシリコンスプレーがありました。中身が少ないものや長らく使っていなかったものもあったので、使い切って廃棄をしようかと考えましたが、寒空の下余ったガスを処理する手間を想像し、そっと、元あった場所に戻しました。

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独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
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