化学物質管理

(2)建材用接着剤・シーリング材の種類

接着剤には非常に多くの種類があり、それらの分類方法は、形態、主成分、接着機構および機能などによって分類されます。

「建築用接着剤」イメージイラスト

1.接着剤の種類

1-1.形態による分類

接着剤を、供給される見かけ上の形態により分類するもので、接着剤を用いる作業での接着作業性に関係のある分類です。

  1. 1.液体
    • 水溶液形
    • 溶剤形(溶剤溶液形)
    • 水分散形(エマルション、ラテックス)
    • 無溶剤形(モノマー、オリゴマー)
  2. 2.固体
    • 固形状(塊状、粉末状)
    • フィルム・シート状

1-2.主成分による分類

接着剤の性能を決める主体となっている主成分に基づいて分類されるもので、最も一般的な分類です。接着剤の主成分は、有機系高分子化合物ですが、その中でも合成系高分子化合物の占める比率が高くなっています。

接着剤の主成分による分類-上

接着剤の主成分による分類-中

接着剤の主成分による分類-下

図2 主成分による接着剤の分類

1-3.固化・硬化方法による分類

液状の状態で塗布された接着剤は、固化・硬化することにより接着が完了しその機能を発揮することになりますが、その固化・硬化する際の条件によって分類するものです。

  • 室温硬化形(溶剤揮散形、触媒添加形、湿気硬化形、嫌気硬化形)
  • 熱硬化形
  • 熱溶融形(ホットメルト形)
  • 感圧形
  • 再湿形

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2.シーリング材の種類

シーリング材は、水密(防水)気密を必要とする構成部材間の間隙に使用されますが、ペースト状の不定形シーリング材とゴムガスケットなどの定形シーリング材に大別され、ここでは不定形シーリング材について説明します。

2-1.硬化機構・形態による分類

シーリング材には、ペースト状で施工されてそのままで役目を果たすものと、硬化してゴム状となり性能を発揮するものがあります。

  1. 1.一成分系
    • 溶剤形、エマルション系(乾燥硬化形)
    • 無溶剤形(非硬化形、硬化形、湿気・酸素硬化形)
  2. 2.二成分系
    • 反応硬化形

2-2.主成分による分類

シーリング材の性能を決める主体となっている主成分に基づいて分類する方法です。

  • シリコーン系
  • 変成シリコーン系
  • アクリルウレタン系
  • ポリウレタン系
  • ポリサルファイド系
  • アクリル系
  • ブチルゴム系
  • 油性コーキング
  • その他

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3.建築材料・住宅内装施工用接着剤、シーリング材の種類

ここでは用途別に分類してその用途に使用される接着剤、シーリング材について述べます。

3-1.建築材料

建築材料として接着剤やシーリング材を使用するものとして、合板、木質ボード、集成材、単板積層材、フラッシュパネル、窓ガラスがあります。

これらには、主としてユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、水性高分子-イソシアネート系接着剤、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤、シリコーン系シーリング材、ポリサルファイド系シーリング剤が使用されています。

これらの接着剤の中でユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂にはホルムアルデヒドが反応原料として使用されており、それらの接着剤に残存する微量のホルムアルデヒドが合板などから放散されます。

3-1-1.合板用

合板は、木材を削って0.5~5mm程度の薄い板(単板)としたものを交互に繊維方向を変えて何枚かを接着剤で貼り合わせたもので、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系の接着剤が使用されています。

3-1-2.木質ボード用

木質ボードは、木材およびその他の植物性繊維、木材の小片、短冊状木片などを接着剤を用いて成形・加熱状態で圧力をかけて板状にしたもので、パーティクルボード、繊維板、ハードボードなどの種類があり、合板用と同じ種類の接着剤が使用されています。

3-1-3.集成材用

集成材は、ひき板または小角などを接着剤で貼り合わせて、柱、梁、板状に集成したもの、合板用と同じ種類の接着剤が使用されています。

3-1-4.単板積層材用

単板積層材は、単板を繊維方向を平行にして接着剤で貼り合わせたもので、合板用と同じ種類の接着剤が使用されています。

3-1-5.フラッシュパネル用

フラッシュパネルは、木枠(芯材)をはさんで表裏両面に合板、繊維板を貼り合わせた中空構造のパネルで、合板用と同じ種類の接着剤が使用されています。

3-1-6.窓用ガラス用

ガラスの留めつけ用には、シリコーン系シーリング材が、積層ガラス用にはポリサルファイド系シーリング剤が使用されています。

3-2.内装施工

住宅の内装施工としては、下地工事、床工事、床仕上げ工事、天井・壁仕上げ工事、陶磁器質タイル貼り・石貼りなどがあります。

それぞれの施工対象の材質、機能に応じた接着剤・シーリング材が使用されますが、シックハウス問題に関連する有機溶剤(揮発性有機化合物(VOC))を用いない接着剤に移行する傾向が出てきています。

3-2-1.下地工事用

コンクリート下地(壁・床)に木材を接着する時に、酢酸ビニル樹脂系溶剤形、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系エマルション形、変成シリコーン系接着剤などが使用されています。

3-2-2.床工事用

建築物の床根太と床下張り材とを釘との併用で張り付ける時に、酢酸ビニル樹脂系エマルション形、ビニル共重合樹脂系エマルション形、アクリル樹脂系エマルション形、ゴム系溶剤形、ウレタン樹脂系、変成シリコーン系接着剤が使用されます。

3-2-3.床仕上げ工事用

最近は畳敷き床仕上げよりも、木質床(フローリング)仕上げが多くなってきており、接着剤としては酢酸ビニル樹脂系エマルション形、酢酸ビニル樹脂溶剤形、ビニル共重合樹脂系エマルション形、アクリル樹脂系エマルション形、ゴム系ラテックス形、ゴム系溶剤形、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、変成シリコーン樹脂系接着剤などが使用されています。

3-2-4.天井・壁仕上げ工事用

天井のボード貼りは、釘と酢酸ビニル樹脂系エマルション形接着剤、両面粘着テープと1液反応性接着剤の併用で多く行われています。

木質の接着には酢酸ビニル溶剤系接着剤が、合板や石膏ボードの上に壁紙・クロスを貼る場合は、でんぷん水溶液と酢酸ビニル樹脂エマルジョンの混合接着剤が使用されています。

壁下地に断熱材付き化粧材料を直接貼り付ける時は、酢酸ビニル樹脂系溶剤形、酢酸ビニル樹脂系エマルション形、合成ゴム系溶剤形、ゴム系ラテックス形、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、変成シリコーン系接着剤が使用されています。

3-2-5.陶磁器質タイルの仕上げ用

従来はセメントモルタルで行われていましたが、建物の内壁面に陶磁器質タイルを施工する時には、合成樹脂系エマルション形、合成ゴム系ラテックス形、エポキシ変成合成ゴム系ラテックス形、エポキシ樹脂系反応硬化形、ウレタン樹脂系、変成シリコーン系接着剤による貼り付けが主流となってきています。

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