製品安全

Vol.408  7月12日号 「エアコンの事故」

今回はエアコンに関する事故をご紹介します。近年、コロナ禍の影響もあり、
インターネットでもDIY※1情報があふれるなど、DIYの人気が上昇しています。
しかし、エアコンに関する手入れや工事の中には、専門の知識や電気工事士
の資格が必要な作業があり、専門の知識などを持たない一般の消費者が「無
謀なDIY」※2による作業を行うと、破裂や発火などの事故に至るおそれがあ
ります。今一度、エアコンの気を付けるポイントを確認しましょう。

(※1  「Do It Yourself」の略語。専門業者に任せず、自分で何かを作ったり、
設置、修理、整備、移設、撤去などを行ったりすること。
(※2)本資料では、消費者自らが、取扱説明書や施工説明書で禁止している又
は専門の資格を持たないとできない製品の設置、修理、整備、移設、撤
去などを行うことを指します。

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項目一覧

  • 1.エアコンの事故
  • 2.製品事故収集情報(6月19日~7月2日 受付 89件)
  • 3.リコール情報(5件)
  • 4.その他の製品安全情報
    ・「2022年度 製品安全基本教育講座 第1講」のご案内
    ・PSアワード2022募集開始のご案内
    ・「SAFE-Lite」のご案内
    ・iPod nanoの製品事故に係る定期報告
    ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について

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1.エアコンの事故

【事例1】
  使用者がエアコンを取り外していたところ、エアコン室外機が破裂し、負傷
した。

→使用者が配管等に残った冷媒を室外機に集める作業を誤った手順により実
施したため、コンプレッサー内部に空気が混入して、異常な高温・高圧状
態となり、破裂したものと考えられます。
なお、取扱説明書及びエアコン本体には、「お客様自身で工事作業をしな
い。冷凍サイクル内に空気を混入させない。破裂する危険がある。」旨、
記載されています。
     
【事例2】
  エアコンを使用中、エアコン及び周辺を焼損する火災が発生した。

  →エアコンの電源コードが途中でねじり接続されていたため、ねじり接続部
で接触不良が生じて異常発熱し、火災に至ったものと考えられます。
なお、取扱説明書及び据付説明書には、「電源コードの加工、途中接続は
しない。火災の原因になる。」旨、記載されています。

【事例3】
  使用中のエアコン付近から出火し、壁の一部が焼損した。

  →使用者の知人が室内機と室外機を接続する連絡線を途中接続したため、接
続部で接触不良が生じて異常発熱し、出火したものと考えられます。
なお、据付工事説明書には、「配線は途中接続しない。感電、火災の原因
になる。」旨、記載されています。

【事例4】
  エアコンを使用中、エアコン内部及び周辺を焼損する火災が発生した。

  →使用者がエアコンの内部洗浄をした際、エアコン内部配線端子部に洗浄液
が付着したことにより、端子間でトラッキング現象※3が発生して出火に至
ったものと考えられます。
なお、取扱説明書には、「洗浄は自身で実施せず、販売店又は事業者修理
相談窓口に相談する。誤った使用方法で内部洗浄を行うと、発煙、発火す
る恐れがある。」旨、記載されています。

  (※3)付着した洗浄液などにより電気の通り道(トラック)が生成され、
異常発熱する現象。

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【エアコンの気を付けるポイント】
○エアコンの設置、修理、整備、移設、撤去の工事は、専門の知識や資格を
持った業者に依頼する。 

エアコンの設置、修理、整備、移設、撤去の工事には、専門の知識や資格が
必要な作業があります。十分な知識を持たずに「無謀なDIY」による作業を
行うと以下のような重大な事故に至るおそれがあります。
 
・冷媒を集める作業(ポンプダウン)で室外機が破裂するおそれ 
エアコンの移設などの工事の際は、配管や室内機内に残留している冷媒ガ
スを全て室外機に集めて一時的に保管する作業(ポンプダウン)を行いま
す。十分な知識を持たずにポンプダウン作業を行うと、本来は入らないは
ずの空気が室外機内のコンプレッサーに大量に混入して異常な高温・高圧
となり、室外機が破裂するおそれがあります。さらに空気(酸素)が混ざ
ったコンプレッサー内の潤滑油が発火(爆発)するおそれもあります。

家庭用エアコンの冷媒ガスに使用されているフロン類は、オゾン層破壊や地
球温暖化に悪影響を与えるため、家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品
化法)において、回収が義務づけられています。そのため、エアコンを移設
する際にはポンプダウン作業を行い、冷媒ガスを室外機に閉じ込める作業が
必要です。確実な回収の観点からも、購入先の販売店、メーカーのサービス
窓口などに相談し、決して「無謀なDIY」による作業を行わず、作業が専門
の業者によって行われるように依頼してください

・「無謀なDIY」による電源コードや連絡線の加工、延長で発火するおそれ 
「無謀なDIY」による電源コードや連絡線の修理、他のコードとのねじり
接続、途中で接続するような加工は行わないでください。接続不良により、
発煙・発火するおそれがあります。
また、エアコン専用に設置されているコンセントに電源プラグを差し込ん
でください。延長コードやテーブルタップなどを用いると、エアコンは大
電流が流れる場合があるため、テーブルタップや延長コードが異常発熱し、
発煙・発火するおそれがあります。
コンセントの移設などの電気工事は、専門の知識を有する有資格者(電気
工事士)による実施が求められています。必ず、有資格者によって工事が
されるよう依頼してください。また、電源コードや電源プラグに不具合が
生じた際は、必ず、電気工事業の資格を有した業者に相談してください。

・エアコンの内部洗浄で発火のおそれ 
「無謀な DIY」によるエアコンの内部洗浄※4を行うと、電気部品などに
洗浄液がかかり、破損や発火に至るおそれがあります。購入先の販売店、
メーカーのサービス窓口などに相談してください。

(※4)本資料における内部洗浄とは、洗浄液などを噴霧し機器内部の汚れな
どを洗い流すことを指します。各機器の取扱説明書に記載されている
       フィルターなどの手入れは該当しません。

  ■NITEでは2022年6月30日にエアコンと除湿機の事故に関する注意喚起
「「無謀なDIY」が招く危険 ~エアコンと除湿機の事故~」
をプレスリリースしました。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2022fy/prs22063001.html

■その他のエアコンの事故情報も併せてご参照ください。
(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)
 (1)エアコン「2.ねじり接続で発火」
  https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/1251.html
 (2)エアコン「3.途中接続で発火」
  https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/18062801.html
   (3)エアコン「4.内部に洗浄液がかかりトラッキング現象で発火」
      https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/1252.html
   (4)エアコン「8.無謀なDIYで室外機が破裂」
      https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2022063001.html

(注意喚起ミニポスター)
(1)無謀なDIYによるエアコン工事の危険性
     https://www.nite.go.jp/data/000138566.pdf

■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「エアコン」等をキーワード
に検索していただけます。
  https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/

 

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2.製品事故収集情報

消費生活用製品の事故情報収集状況
(6月19日~7月2日 受付 89件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。

製品名( 事故状況と件数 )

1.電動アシスト自転車   ( 軽傷等 9件 )
2.エアコン           ( 軽傷等  5件 )
2.電気スタンド            ( 火災等  5件 )
2.バッテリー         ( 火災等  5件 )
2.太陽光発電器      ( 破損等 5件 )

最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html

事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
 

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3.リコール情報

  • 株式会社カワダ(法人番号:4011101004868)
          「玩具」2022/06/03(HP)
        【詳細】https://www.kawada-toys.com/support/notice/monpoke_info/
  • オカダジーエージェイ株式会社(法人番号:5012401007436)
          「電気ストーブ(ヘリテイジヒーター)」2022/06/06(HP)
        【詳細】https://eureks.co.jp/infomation/8443/
  • 株式会社安芸グラス工芸(法人番号:7240001036145)
          「表札(LEDライト付)」2022/06/10(HP)
        【詳細】https://www.akig-hyo.com/img/koukokubun20220613.pdf
  • 日本トイザらス株式会社(法人番号:6020001071355)
          「自転車(子供用)」2022/06/20(HP)
        【詳細】https://www.toysrus.co.jp/corporate/pdf/2022/20220620.pdf
  • オムロンソーシアルソリューションズ株式会社(法人番号:7010401090640)
          「リチウム蓄電池」2022/06/27(HP)
        【詳細】https://socialsolution.omron.com/jp/ja/news/20220627.html

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4.その他の製品安全情報

・「2022年度 製品安全基本教育講座 第1講」のご案内 
               一般社団法人KEC関西電子工業振興センター

本講座は製品安全の基本から個別の製品についてのIEC安全規格の具体的な
要求事項に加えて、IEC60950-1, IEC62368-1, IEC60335-1や電気用品安全
法の技術基準の性能規定化等の最新情報や製品リスクアセスメントの方法
を網羅しています。まもなく、第1講座の受講受付を7月末で締切りますの
でご希望の方はお急ぎください。

第1講座の内容
【日時】2022年8月31日(水)
【講義内容】製品安全の基本的な考え方と世界の製品安全法規・認証制度
【講師】川口 昇 氏 株式会社UL Japan
全講座共通の内容
【開催期間】2022年8月31日(水)~ 2023年2月1日(水)(通年全6回/選択受講可)
【会 場】Zoomによるオンライン
【参加費】KEC会員 7,000円 非会員 10,000円(1講座当たり)
【詳 細】https://www.kec.jp/wp/img/committee/2022/anzen22.pdf
【申し込み先】https://www.kec.jp/seminar/anzen22/

問合せ先:一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
専門委員会推進部 事務局 藤田 泰男
TEL:0774-29-9041 E-mail:publication01@kec.jp

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・令和4年度 製品安全対策優良企業表彰(PSアワード2022)募集開始

経済産業省は、製品安全に積極的に取り組む企業・団体を表彰する
「製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)」を主催しています。
このたび、令和4年度の募集を開始しました。
消費生活用製品に関わる全ての企業・団体が応募対象になりますので、
奮って御応募ください。

【募集期間】 5月9日(月)~7月29日(金)
【募集対象】・「消費生活用製品」の製造・輸入、小売販売事業を行っている企業
                  ・「消費生活用製品」に関連した事業を行っている企業・団体
                  ・ネットモール運営事業者
【応募説明会・個別相談会】 オンラインでの実施となります。
                詳しくはHPをご確認ください。
【詳 細】https://www.meti.go.jp/product_safety/ps-award/index.html

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・「SAFE-Lite」のご案内       
        
NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する
情報を発信してきました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベー
ス、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。その
中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、
「SAFE-Lite」というサービスを提供しております。

「SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。
スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、
6万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使
いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。

「SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、
よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる
危険性やその場合の被害状況などを調べられることで、事故の未然防止に
つながることを期待しています。

SAFE-Lite サイト
  https://safe-lite.nite.go.jp/
※「SAFE-Lite」及び「事故情報データベース」を更新しました。
(令和4年度第1四半期分のデータを追加)

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・iPod nanoの製品事故に係る定期報告        
                          経済産業省

令和4年6月27日付、Apple Japan合同会社(旧 アップル ジャパン株式
会社)の経済産業省へのiPod nano(第一世代)の製品事故に係わる定
期報告がありました。令和4年5月1日から31日までの本体・バッテリー
交換件数は54件となっています。同社が対策を開始した平成22年8月11
日以降の本体・バッテリー交換件数の累計は307,616件となっています。

https://www.meti.go.jp/product_safety/download/kouhyou220628_1.pdf

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・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について  

                            消費者庁

 消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告の
 あった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。

         6/28  17件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_220628_01.pdf

         7/1   26件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_220701.pdf

   7/5   19件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_220705_01.pdf

    7/8   23件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_220708_01.pdf

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編集後記

今年は早々に梅雨明けし、猛暑の日が続いていますね。家にいながら熱中症に
なってしまう「おうち熱中症」を防ぐためにも、暑いと感じたときにはエアコ
ンのご使用をお勧めします。今回ご紹介した気を付けるポイントを意識して安
心・安全に夏を乗り切りましょう!

※PSマガジンvol407の編集後記にスマホを濡らさないために、「ファスナー付
きの食料保存袋に入れるのもお勧めです。」と記載しましたが、その際は熱が
こもるので必ず電源を切っていただくようお願いいたします。

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図