製品安全

Vol.420  1月10日号 「除雪機の事故」

除雪機の事故は毎年発生しており、2012年度から2021年度※1の10年間に
NITEに通知された製品事故情報※2では、除雪機によりけがを負った事故は
36件あり、死亡事故は25件(大人が使用し、こどもが巻き込まれた事故を
含む)でした。また、死亡事故のうち18件(約7割)で、安全機能を無効化
する誤った使用方法や、足を滑らせて転倒するなど、使用者による誤使用や
不注意による事故が発生しています。今年の冬は日本海側を中心に降雪量
が平均並みか多いと予想されており、除雪機を使用する機会が増えるため、
より一層の注意が必要です。今回は除雪機の事故をご紹介します。

(※1)2012年4月1日~2022年3月31日の事故を対象とします。
(※2)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故に加え、事
           故情報収集制度により収集された非重大製品事故やヒヤリハット情
           報(被害なし)を含みます。

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項目一覧

  • 1.除雪機の事故
  • 2.製品事故収集情報(12月18日~12月31日 受付 91件)
  • 3.リコール情報(2件)
  • 4.その他の製品安全情報
    ・「第4回 KEC製品安全フォーラム」のご案内 -DX時代の製品安全の取組み-
    ・NBRC設立20周年記念シンポジウム「微生物が拓く未来 ~社会課題解決と経済成長の実現に向けて~」のご案内
    ・「SAFE-Pro」のご案内(エアコンの事故データ142件追加)
    ・「SAFE-Lite」のご案内
    ・iPod nanoの製品事故に係る定期報告
    ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について

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1.除雪機の事故

○除雪機の下敷きになった事故
【事例1】
 使用中の除雪機の下敷きになり、病院に搬送後、死亡が確認された。

→使用者がデッドマンクラッチ機構を無効化しており、その状態で除雪機
 を後進中に転倒したため、除雪機が使用者に乗り上げて下敷きとなった
 ものと考えられます。

○エンジンを掛けたまま置かれていた除雪機に巻き込まれた事故 
【事例2】
 除雪機を使用中、こどもが回転部(オーガ)に巻き込まれ、病院に搬送
 後、死亡が確認された。

→除雪作業の途中、使用者が除雪機のエンジンを切らずにオーガが回転し
 たままその場を離れたため、周囲で遊んでいたこどもがオーガに接触し
 たものと考えられます。

○オーガに巻き込まれた事故 
【事例3】
 除雪機のオーガに巻き込まれた状態で発見され、病院に搬送後、死亡し
 た。

→使用者が緊急停止クリップを装着しない状態で、除雪機のエンジンを掛
 けたまま回転しているオーガに近づいたため、誤ってオーガに下半身を
 巻き込まれたものと考えられます。

○詰まった雪を取り除こうとしてけがを負った事故 
【事例4】
 除雪機の排雪口(ブロワ)に詰まった雪を取り除こうとしたところ、右
 手指を負傷した。

→使用者が除雪機のブロワに詰まった雪をブロワ内部の回転部が停止しな
 いうちに、付属の雪かき棒を使用せずに直接手で除去したため、回転部
 に触れ、事故に至ったものと考えられます。

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【除雪機の気を付けるポイント】
○デッドマンクラッチ機構などの安全機能を無効化しない。 
 安全機能を無効化することで、使用者が転倒などした際に除雪機が停止
 せず、除雪機にひかれたり、巻き込まれたりするおそれがあります。
 デッドマンクラッチ機構のクラッチレバーを固定して無効化したり、緊
 急停止クリップを装着しない状態で使用したりすることは非常に危険な
 ため、絶対にしないでください。
 また、2004 年 4 月以前に発売された古い除雪機には、デッドマンクラ
 ッチ機構などの安全機能が装備されていない機種があります。これらの
 機種についてはより一層の注意を払って使用する必要があります。緊急
 停止バー、緊急停止ボタンなどの安全機能がついているものを使用する
 とより安全です。

○後進する際には、転倒したり、挟まれたりしないよう、周囲の状況に十
 分注意する。 
 雪上での作業は、足元が非常に滑りやすいため、より一層の注意が必要
 です。転倒しないように十分に注意してください。特に、後方へ移動す
 る際は障害物がないかどうか確認してください。障害物があると、転倒
 して除雪機にひかれたり、障害物に挟まれたりするおそれがあります。 

○周囲に人がいない状況で作業する。
 除雪作業をする場所の安全を確保し、周囲に人がいないことを確認して
 ください。特にこどもを近づけないよう、気を付けてください。雪を飛
 ばす先にも人がいないことを必ず確認してください。

○その場を離れるときは、エンジンを切る。
 除雪機のエンジンを掛けたままその場を離れると、こどものいたずらな
 ど、思わぬ事故につながるおそれがあります。一時的にその場を離れる
 ときでも、必ずエンジンを切ってください。

○雪詰まりを取り除く際は、エンジン及び回転部の停止を確認し、雪かき
 棒を使用する。 
 エンジンを掛けたまま、シュータ部やオーガに手を近づけないようにし
 ましょう。エンジンを掛けたまま雪を取り除く作業を行うと、手を負傷
 するおそれがあります。雪が詰まった場合は、直接手で行わず、必ず備
 え付けの雪かき棒を使用して取り除いてください。

■NITEでは2022年12月22日に除雪機の事故に関する注意喚起
 『「除雪機の死亡事故」7割が誤使用・不注意 ~“安全機能ONとエン
 ジンOFF”が生死の分かれ目~』をプレスリリースしました。
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2022fy/prs221222.html

■その他の除雪機の事故の事故情報も併せてご参照ください。
(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)
 (1)除雪機「6.誤使用によりオーガに巻き込まれる事故」
   https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2021122302.html
   (2)除雪機「7.誤使用により下敷きになる事故」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2021122303.html
 (3)除雪機「8.使用時は周囲を確認」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2021122304.html
 (4)除雪機「9.雪づまりを取り除く際の注意点」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2021122305.html
 
(注意喚起ミニポスター)   
 (1)除雪機は正しく使おう
 https://www.nite.go.jp/data/000130292.pdf
    
■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「除雪機」等をキーワード
 に検索していただけます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/

 

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2.製品事故収集情報

消費生活用製品の事故情報収集状況
(12月18日~12月31日 受付 91件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。

製品名         ( 事故状況と件数 )

1.洗面化粧台      ( 軽傷等 10件)
2.電動アシスト自転車  ( 重傷等 8件 )
3.バッテリー              ( 火災等 7件 )
4.ガストーチ                ( 火災等 4件 )
5.石油ストーブ           ( 重傷等 3件 )


最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html

事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
 

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3.リコール情報

  • ナカバヤシ株式会社(法人番号:4120001086023)
          「オフィスチェアー」2022/10/17(HP)
        【詳細】https://www.nakabayashi.co.jp/news/2022/info/958
  • イケア・ジャパン株式会社(法人番号:1040001021866)
          「椅子」2022/12/21(HP)
        【詳細】https://www.ikea.com/jp/ja/customer-service/product-support/recalls/20221221-odger-pub5509a820-pub1dcd2f30

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4.その他の製品安全情報

・「第4回 KEC製品安全フォーラム」のご案内 -DX時代の製品安全の取組み-
 
               一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
 
 近年、ネットワーク化、ソフトウェアによる自動化、モバイル化等の技術
 革新に伴い、製品カテゴリが多種多様になってきています。このような製
 品の多様化に伴い安全を確保する取組みも様々な視点から対応が求められ
 ます。特に、DX時代を迎え、これまでハードウェア単体での製品安全の確
 保が中心でしたが、ソフトウェアの介在や、自動運転やロボット機器に関
 係する人間との協調による安全確保など、新たな視点で考えていく必要が
 あります。本フォーラムでは製品安全の確保のための原点を再認識しつつ
 新たな潮流の中での製品安全に対する取組みを議論していただきます。今
 後の製品安全の確保をどのように実現すればよいか、本フォーラムを通じ
 て共有するとともに、ご参加いただいた皆様の技術力向上と製品安全に対
 する活動の啓発に貢献します。

 【開催日】 2023年2月20日(月)
 【会 場】   Zoom ウェビナーによるオンライン
 【参加費】 会員 5,000円/非会員 7,000円

 【内 容】

 [基調講演]「DX時代の製品安全と未然防止 -TQMと信頼性工学の視点より-」
      電気通信大学 名誉教授・特任教授 鈴木 和幸 氏 

 [講演2] 「Safety-IとSafety-IIからみた製品安全」
    早稲田大学理工学術院 創造理工学部 教授 小松原 明哲 氏 

 [講演3] 「コンクリート構造物の維持管理へのAI活用」
  山口大学大学院 創成科学研究科 教授 中村 秀明 氏

 [講演4] 「大型蓄電池の安全性に関する国際標準化とその動向」
      一般財団法人電気安全環境研究所 技師長 本多 啓三 氏

 【詳細】    https://www.kec.jp/wp/img/committee/2022/psf22.pdf
 【申込先】 https://www.kec.jp/seminar/psf22/

 問合せ先: 一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
 専門委員会推進部 事務局 藤田 泰男
 TEL:0774-29-9041 E-mail:publication01@kec.jp
 
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・NBRC設立20周年記念シンポジウム「微生物が拓く未来 ~社会課題解決と経済成長の実現に向けて~」のご案内
 
 NBRCは、2002年に生物資源機関としての業務を開始して今年で20周年を迎
 えることができました。皆様のご支援に感謝の意を表し、2023年1月26日
 (木)に、NBRC設立20周年記念シンポジウムを開催いたします。

 本シンポジウムでは、NBRCのこれまでの歩みを振り返りつつ、「微生物が
 拓く未来 ~社会課題解決と経済成長の実現に向けて~」をテーマに、各
 界有識者の皆様(※)にバイオ産業の将来像についてご講演をいただきま
 すとともに、NBRCの新たな挑戦と産業貢献のあるべき姿についてお示しし
 たいと思います。NBRCを日頃よりご支援いただいている皆様、これから微
 生物を使ってみようとお考えの皆様のご参加をお待ちしております。

 【開催概要】
  シンポジウム名:NBRC設立20周年記念シンポジウム
  「微生物が拓く未来 ~社会課題解決と経済成長の実現に向けて~」
  開催日時:2023年1月26日(木)13:15~16:30
  開催形態:Zoomウェビナーによるオンラインセミナー
  定員:500名
  参加費:無料(参加登録が必要です)
  受付期間:2023年1月26日(木)シンポジウム開始時刻(13:15)まで
       ※定員になり次第受付を終了します。
  参加登録:https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_kCNWf_uhQ96jshxLS0lLwQ
  NBRC設立20周年記念サイト:https://www.nite.go.jp/nbrc/information/nbrc20th_top.html

 (※)記念講演では、天野エンザイム株式会社常務取締役 イノベーション
    本部長 最高技術責任者 山口 庄太郎 氏、地方独立行政法人京都市
    産業技術研究所 理事・研究室長 山本 佳宏 氏、Spiber株式会社 
    取締役兼代表執行役 関山 和秀 氏、千葉大学大学院工学研究院 
    教授 NEDO事業「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品
    生産技術の開発」プロジェクトリーダー 関 実 氏、一般財団法人バ
    イオインダストリー協会 専務理事 日本バイオ産業人会議(JABEX)
    事務局長 塚本 芳昭 氏 にご登壇いただきます。

 【シンポジウムに関するお問い合わせ先】
  独立行政法人製品評価技術基盤機構
  バイオテクノロジーセンター計画課 NBRC設立20周年記念シンポジウム事務局
  Eメール:nbrc20th_sympo【アットマーク】nite.go.jp
  (メールを送信される際は【アットマーク】を@に変えてご送信ください。)

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・「SAFE-Pro」のご案内(エアコンの事故データ142件追加)

 NITEでは、主に製造事業者やその関係者の皆様に対してSAFE-Proという
 サービスを提供しております。
 SAFE-Proは、製品のリスクアセスメントに有効な信頼性解析手法である
 FMEA・FTAの考え方を利用して、NITEが保有する製品事故情報を事故発生
 シナリオとして参照・検索できる無料のツールです。
 製造事業者やその関係者の皆様が安全性の高い製品を製造・提供するため
 に実施するリスクアセスメントに活用できます。

 この度、SAFE-Proにエアコンの事故データ142件を追加しました。
 今回の追加により、SAFE-Proの提供データは、24製品、3,523件になりました。
 対象製品やデータの更新履歴は、SAFE-ProのWebページでご確認ください。
 なお、SAFE-Proをご利用になられていない方は、この機会にSAFE-Proの
 Webページからご利用申請いただけると幸いです。
 FAQページもありますので、そちらもご覧ください。

 【SAFE-Pro】
  https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/safe-pro.html

 製造事業者やその関係者の皆様がSAFE-Proを活用し、安全な製品が市場に
 流通することで、皆様の安全で豊かな暮らしが創出されることを期待して
 おります。

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・「SAFE-Lite」のご案内      
        
 NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する
 情報を発信してきました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベー
 ス、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。その
 中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、
 「SAFE-Lite」というサービスを提供しております。

 「SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。
 スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、
 6万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使
 いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。

 「SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、
 よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故とな
 る危険性やその場合の被害状況などを調べられることで、事故の未然防止
 につながることを期待しています。

【SAFE-Lite】
   https://safe-lite.nite.go.jp/
 
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・iPod nanoの製品事故に係る定期報告
                          経済産業省
 
 令和4年12月26日付、Apple Japan合同会社(旧 アップル ジャパン株式
 会社)の経済産業省へのiPod nano(第一世代)の製品事故に係わる定
 期報告がありました。令和4年11月1日から30日までの本体・バッテリー
 交換件数は35件となっています。同社が対策を開始した平成22年8月11
 日以降の本体・バッテリー交換件数の累計は307,890件となっています。
 
 https://www.meti.go.jp/product_safety/download/kouhyou221129_2.pdf
 
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・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について 
                           消費者庁
 
  消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告の
  あった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
 
         12/27     12件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_221227_01.pdf

         1/6         37件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230106_01.pdf

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編集後記

PSマガジンご愛読の皆様、あけましておめでとうございます。本年も、お引
き回しのほどよろしくお願い申し上げます。さて、2023年新春第1号は除雪機
の事故に着目した記事を掲載いたしました。積雪地帯では大助かりの除雪機、
正しく安全にお使い頂ければと切に願います。除雪機のみならず、イマドキは
樹脂製のスコップやダンプなど、軽くて便利でカラフルな除雪グッズが充実の
ラインナップ!わたしが子どもの時分は、家には鋼鉄のスコップしかありませ
んで、もちろん子ども用なんて気の利いたものがあるはずもありません。自分
の身長と同じくらいのヘビー級が相手では、スコップを振るうどころか振り回
される始末。それはもう、スコップ相手にワルツを踊ってるようなもんでした
(^。^;)くいっく くいっく すろー すろー・・・(ひ)

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図