製品安全

Vol.424  3月14日号 「製品による建物火災」

冬から春にかけては空気が乾燥し、風の強い日が多くなることから、火災が
発生しやすくなっています。小さなうっかりが大きな火災に繋がってしまい
ますので、日頃から事故を防ぐ行動を習慣づけましょう。今回は製品による
建物火災をご紹介します。

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項目一覧

  • 1.製品による建物火災
  • 2.製品事故収集情報(2月19日~3月4日 受付 77件)
  • 3.リコール情報(2件)
  • 4.その他の製品安全情報
    ・「SAFE-Lite」のご案内
    ・iPod nanoの製品事故に係る定期報告
    ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について

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1.製品による建物火災

 3月1日から7日まで実施される「春季全国火災予防運動」に合わせて、製品
 による建物火災※1の原因トップ3と事故を防ぐためのポイントをお知らせ
 いたします。
 2017年度から2021年度までの5年間にNITEに通知された製品事故情報※2 
 では、建物火災の件数は312件ありました。原因のトップ3は、暖房器具※3
 によるもので、1位「可燃物が接触して着火」(20件)、2位 「灯油が漏れ
 て引火」(19件)、3位「ガソリンを誤給油して出火」(14件)で、全て誤
 使用や不注意等※4による事故でした。

 (※1)住宅や店舗などの建物が半焼または全焼した火災を「建物火災」と
      しています。
 (※2)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故に加え、事
            故情報収集制度により収集された非重大製品事故やヒヤリハット
              情報(被害なし)を含みます。
   (※3) 「暖房器具」は、石油ストーブ・石油ファンヒーター・電気ストー
            ブを指します。 
 (※4)製品の誤使用・不注意によると判明したものに加えて、原因不明だ
            が誤使用・不注意が疑われるもの及び製品に起因しないものを「誤
              使用・不注意等」としています。

■「製品による建物火災」原因トップ3 
 〇1位「可燃物が接触して着火」 ストーブのそばに可燃物を置いてしまっ
    たことで、可燃物が ストーブの熱源に接触して着火する事故が多
    く発生しています。 
 ○2位「灯油が漏れて引火」 給油作業時にカートリッジタンクから漏れた
          灯油にストーブの 火が引火する事故が多く発生しています。 
 ○3位「ガソリンを誤給油して出火」 ガソリンと灯油を同じ容器や同じ場
          所で保管することで、特に高齢者が作業する際に誤給油する事故
          が多く発生しています。

【事例1】
 電気ストーブに布団を掛けて他の部屋に移動したところ、約5分後に出火
 したことから、布団が電気ストーブの熱源に接触したことが原因と推定
 される事故で、建物1棟を全焼する火災に至っています。

→「暖房器具」の使用時に気をつけるポイント
 ○暖房器具の周囲に可燃物などを置かない。特に、近くで衣類などを乾か
  さない。
  ストーブ、ファンヒーターなどの暖房器具の周囲に布団や衣類などを置
  いたり、カーテンの近くに暖房器具を置いたりすると、高温部への接触
  によって、火災になるおそれがあります。
  また、暖房器具の上で衣類を乾燥させると、乾燥して軽くなった衣類が
  あおられて落下し、高温部に接触することがあります。特に石油ストー
  ブでは製品上部において上昇気流が発生するため、注意が必要です。

 ○その場を離れる時や外出時などには消す。 
  使用中にその場を離れている間に、可燃物が暖房器具に接触したことに
  よる火災事故が多く発生しています。発見が遅れ、ストーブ、ファンヒ
  ーターのみならず周辺を焼損するおそれがあるため、別の部屋に移動す
  るときや外出時など、その場から離れる際は消してください。

【事例2】
 給油作業時にカートリッジタンクの口金が外れて漏れた灯油に石油スト
 ーブの火が引火したものと推定される事故で、石油ストーブ及び建物を
 全焼、9棟を類焼する火災に至っています。

→「石油ストーブ・石油ファンヒーター」の給油時に気を付けるポイント 
 ○給油する前に必ず消火する。給油後は、給油口キャップをしっかりと締
  め、灯油が漏れていないことを確認してから本体にセットする。 
  給油する際は、必ず消火してください。また、カートリッジタンクへの
  給油後は、給油口キャップを閉め、しっかり締まっていることを必ず確
  認してから本体にセットしてください。漏れた灯油がストーブ、ファン
  ヒーターにかかった際は、機器内部に浸入しているおそれがありますの
  で、使用を中止し、販売事業者や製造事業者に相談してください。

 ○安全機能が付いた製品への買い換えを検討する。 
  石油ストーブをはじめとする石油燃焼機器は、2009年に消費生活用製品
  安全法の「特定製品」に指定され、2011年からは PSCマークの無い製品
  は販売することができなくなりました。
  PSCマークの付いた製品は、下記の安全機能を有しています。

 【PSCマークの付いた製品の安全機能】 
 ・燃焼中であっても、給油時、機器からカートリッジタンクを抜いた場合
  90秒以内に消火します。(給油時消火機能) 
 ・閉止音や目視又は感触などで給油口キャップが閉まっていることが確認
  できます。(給油口キャップの閉め忘れ防止機能)
 ・酸素不足により不完全燃焼になる前に、自動的に運転を停止します。
  ※石油ファンヒーターのみ(不完全燃焼防止機能)

【事例3】
 使用者が石油ストーブに誤ってガソリンを給油したことが原因と推定さ
 れる事故で、製品が異常燃焼を起こし、建物を全焼、3棟を類焼する火災
 に至っています。

→ガソリンを誤給油しないためのポイント 
 ○灯油とガソリンはラベル表示のある専用の容器に入れ、別々の場所で保
  管しましょう。 
  ガソリンを誤って給油した場合、たとえ少量の混入であっても火災が発
  生するおそれがあるため、注意が必要です。灯油は「灯油用ポリタンク」
  などの専用容器に入れ、ガソリンは消防法に適合した「ガソリン用携行
  缶」に入れてラベル表示で区別して保管してください。また、灯油とガ
  ソリンは同じ場所で保管せずに、別々の場所で保管してください。

■NITEでは2023年2月22日に製品による建物火災に関する注意喚起
 『小さなうっかりが大きな火災に~「製品による建物火災」 原因トップ3~』
 をプレスリリースしました。
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2022fy/prs230222.html

■その他の製品による建物火災の事故情報も併せてご参照ください。
(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)
 (1)石油ストーブ「11.洗濯物の落下」
   https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/2020112602.html
 (2)電気ストーブ「2.洗濯物の接触」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/01180102.html
 (3)電気ストーブ「3.ふとんの接触」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/02110102.html
 (4)石油ストーブ「7.カートリッジタンクのふたを締め忘れて漏れた灯油が発火」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/1171.html
 (5)石油ストーブ「1.ガソリンの誤給油」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/02040101.html
 
(注意喚起ミニポスター)   
 (1)製品による建物火災原因TOP3
 https://www.nite.go.jp/data/000143166.pdf
    
■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「建物」「全焼」等をキー
 ワードに検索していただけます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/

 

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2.製品事故収集情報

消費生活用製品の事故情報収集状況
(2月19日~3月4日 受付 77件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。

製品名         ( 事故状況と件数 )

 1.洗面化粧台      ( 破損等 6件 )
 2.モバイルバッテリー  ( 火災等 5件 )
 3.電気ストーブ     ( 火災等 4件 )
 3.ガスふろがま     ( 拡大被害等 4件 )
 5.石油ストーブ     ( 軽傷等 3件 ) 


最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html

事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
 

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3.リコール情報

  • アークランズ株式会社(法人番号:4110001013829)
      「自転車用リム(自転車用車輪のステンレス製リムです)」2023/2/6(HP)
        【詳細】https://www.vivahome.co.jp/kbn/category_info/2022/63234/
  • アンカー・ジャパン株式会社(法人番号:8010001151445)
      「リチウム電池内蔵充電器」2023/2/7(HP)
        【詳細】https://www.ankerjapan.com/blogs/news/395

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4.その他の製品安全情報

・「SAFE-Lite」のご案内      
        
 NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する
 情報を発信してきました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベー
 ス、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。その
 中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、
 「SAFE-Lite」というサービスを提供しております。

 「SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。
 スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、
 6万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使
 いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。

 「SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、
 よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故とな
 る危険性やその場合の被害状況などを調べられることで、事故の未然防止
 につながることを期待しています。

 【SAFE-Lite】
 https://safe-lite.nite.go.jp/

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・iPod nanoの製品事故に係る定期報告
                          経済産業省

 令和5年1月30日付、Apple Japan合同会社(旧 アップル ジャパン株式
 会社)の経済産業省へのiPod nano(第一世代)の製品事故に係わる定
 期報告がありました。令和5年1月1日から31日までの本体・バッテリー
 交換件数は47件となっています。同社が対策を開始した平成22年8月11
 日以降の本体・バッテリー交換件数の累計は307,959件となっています。

 https://www.meti.go.jp/product_safety/download/kouhyou230228_2.pdf

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・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について 
                           消費者庁
 
  消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告の
  あった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
 
         2/28     14件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230228_01.pdf

         3/3       22件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230303_01.pdf

         3/7         8件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230307_01.pdf

         3/10     16件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230310_01.pdf

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編集後記

最近よく火災のニュースを目にします。火災の原因は日々のちょっとした気の
緩みから起こってしまうことがありますので、本当に気をつけたいと思いまし
た。外出時に暖房器具を消すのはもちろん、電気代の高騰も続いているので、
待機電力の消費を節約するためにも電気製品の電源プラグをこまめに抜くよう
意識して電気代の節約と火災予防に努めています。早く冬が終わってほしいで
す(泣)(ゆ)

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図