Vol.490 12月9日号「踏み台・足場台の事故」
Vol.490 12月9日号 「踏み台・足場台の事故」 【PDF:1,843KB】
今年も残りわずかとなり、大掃除での窓ふきや高い場所の掃除、洗車などで、踏み台や足場台を使う機会が増える季節です。しかし、こうした作業中には、本人も気づかぬうちに身を乗り出し、バランスを崩して転倒・転落する事故が発生しています。また、踏み台や足場台を背にして昇り降りする、開き止め金具(止め金具)をロックせずに使用するなどといった、誤った使用方法による事故も目立ちます。こうした使い方は非常に危険で、事故につながるおそれがあります。
そこで今回は踏み台・足場台について事故の事例と併せて、私たちが注意すべきポイントをご紹介します。大掃除の前に踏み台・足場台の正しい使い方を確認し、安全に作業を終え、気持ちよく新年を踏み出しましょう。

項目一覧
1.踏み台・足場台の事故
2. 製品事故収集情報(11月2日~ 11月15日 受付77件)
3. リコール情報 2件
4. その他の製品安全情報
・NITE 講座「事業者等における製品安全対策の基礎知識」YouTube動画公開のお知らせ
・製品安全4法一部改正に関する解説動画作成及び英語版サイトの更新
・「第7回 KEC製品安全フォーラム 」のご案内
・「NITE SAFE-Lite」のご案内
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
・NITE公式X アカウントのご案内
1.踏み台・足場台の事故
◆事故事例
〇屋外設置ガス給湯器
【事故事例.1】
踏み台を使用中、バランスを崩して転倒し、負傷しました。(2021年 埼玉県 50歳代男性 重傷)
→使用者が作業中にバランスを崩して転倒したものと考えられます。

【事故事例.2】
踏み台から降りようとしたところ、バランスを崩して転倒し、負傷しました。(2016年 大阪府 40歳代男性 重傷)
→踏み台の昇降面を背にして降りる際にバランスを崩し、踏み台とともに転倒したものと考えられます。

【事故事例.3】
足場台を使用中、転倒し、側腹部を負傷しました。(2024年 東京都 40歳代男性 軽傷)
→片側脚面の止め金具をロックしていなかったため、作業中の体重移動等により脚面が内側に折りたたまれてしまい、バランスを崩して転倒したものと考えられます。

(参考)今回ご紹介する踏み台・足場台とその仲間(製品と用途)

「はしご」は、壁や柱に立てかけて使う長い直線状の道具で、屋根など高所に昇るために使用します。「脚立」は、A字型に自立できる構造で、照明器具の交換など昇降や高さを補う作業に適しています。「踏み台」と「足場台(※1)」は「脚立」に含まれます。「踏み台」は、手が届かない場所で高さを少し補うための小型の台で、窓ふきや棚の上の物を取るなどの室内作業に便利です。「足場台」は、天板が広く安定性が高い台で、洗車や塗装などの長時間の作業に向いています。
本資料では、家庭内で多く使用されている「踏み台」と「足場台」を対象製品とします。
※1 「JIS S 1121:2013 アルミニウム合金製脚立及びはしご」では「足場台脚立」と定義されていますが、本資料では一般的に使用されている「足場台」とします。
◆気を付けるポイント
○身を乗り出す、つま先立ちするなど無理な体勢で使用しない
踏み台や足場台を使用する際は、身を乗り出したり、つま先立ちになるなどの不安定な体勢は避けましょう。バランスを崩して転倒するおそれがあり、思わぬ事故につながる危険があります。特に作業に集中していると、本人も気づかないうちに無理な体勢になっていることがあります。届きにくい場所には、踏み台・足場台の位置を移動して使用しましょう。
なお、踏み台や足場台の高さが足りず無理な体勢にならざるをえない場合は、より高さのある踏み台や足場台を使用するか、はしごや脚立など、用途に応じたより安全な製品の使用を検討しましょう。

○昇降面を向いて昇り降りする
踏み台や足場台を使用する際は、身体の前面を踏み台の昇降面に向けて昇り降りしましょう。踏み台や足場台を背にして昇り降りすると、体のバランスが崩れやすくなり、踏み台や足場台自体も不安定になって非常に危険です。
特に荷物を持っていたり、急いでいるときなどは、無意識に危険な動作をしてしまうことがあります。踏み台や足場台の昇降は正しい姿勢で、ゆっくり慎重に行いましょう。

○開き止め金具(止め金具)をしっかりロックし、安定した地面に設置する
開き止め金具(止め金具)のロックが不十分な状態で使用すると、使用時に開閉して転落するおそれがあります。踏み台や足場台を完全に開き、開き止め金具(止め金具)を確実にロックした状態で使用しましょう。
また、傾斜のある地面や柔らかい土の上、雨上がりの地面では、足場台が不安定になり転落するおそれが高くなるため、水平な地面の上で使用しましょう。

○開き止め金具(止め金具)をしっかりロックし、安定した地面に設置する
開き止め金具(止め金具)のロックが不十分な状態で使用すると、使用時に開閉して転落するおそれがあります。踏み台や足場台を完全に開き、開き止め金具(止め金具)を確実にロックした状態で使用しましょう。
また、傾斜のある地面や柔らかい土の上、雨上がりの地面では、足場台が不安定になり転落するおそれが高くなるため、水平な地面の上で使用しましょう。

○過去に発生した事故情報、リコール情報を確認する。
踏み台・足場台の事故の中には、リコールが開始された後に発生したものもあります。お持ちの製品がリコール対象になっていないか今一度ご確認ください。
毎号でご案内している 「NITE SAFE-Lite」 で、リコール情報を検索できます。ぜひご活用ください。
https://safe-lite.nite.go.jp/
消費者庁のリコール情報検索サイトでも確認できます。
https://www.recall.caa.go.jp/
もしリコールの対象となっている製品をお持ちの場合は、不具合が生じていなくても直ちに使用を中止し、お買い求めの販売店や製造・輸入事業者に確認や相談をしてください。そのまま使い続けないようにしてください。
■NITE では、この PS マガジンと同じく、12月9日に注意喚起として『新年を安全に”踏み“出そう!~年末の大掃除での踏み台・足場台の事故に注意~』をプレスリリースしています。併せてぜひご覧ください。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2025fy/prs251209.html
■新作映像資料
踏み台・足場台「3.誤った使用方法で転倒」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/20251209.html
2.製品事故収集情報
(11月2日~ 11月15日 受付77件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
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1. モバイルバッテリー ( 火災等 11件 )
2. 電気かみそり(充電式) ( 火災等 8件 )
3. 電動アシスト自転車 ( 火災等 4件 )
3. 電気掃除機(充電式、自走を含む) ( 火災等 4件 )
5. エアコン ( 火災等 3件 )
5. ガス給湯器(開放式含む) ( 火災等 3件 )
電気かみそりは、全て同一メーカーのリコール事案(充電用差し込み口の焼損)になります。
3件の事故は、上記の他に3製品あります。(電気湯沸器・ケトル、充電式スピーカー、電動工具用バッテリーパック)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
■事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
◆ヤマハ発動機株式会社(法人番号:2080401016040)
「電動アシスト自転車(ステムハンドル)」2025年12月2日
【詳細】https://www.yamaha-motor.co.jp/recall/pas/2025-12-02/
◆株式会社キューブ(法人番号:4011001045995)
「ゴルフウェア」2025年11月25日
【詳細】https://brand.markandlona.com/25w_collect/
4.その他の製品安全情報
YouTube動画公開のお知らせ
本講座では製品安全行政、製品事故動向、リスクアセスメント、事故事例、事故調査手法等についてわかりやすく解説します。本講座を受講することにより、製品事故を取り巻く最新の状況やリスク評価、事故原因分析等による事故防止対策について幅広い範囲の基礎知識を得ることができ、これから企業等において製品安全対策をされようとしている方の基礎的な知識習得に役立てることができます。
【講座の詳細ページ】こちらにPDF資料がございます。
https://www.nite.go.jp/jiko/event/kouza/2025fy/20251114.html
【開講科目及び動画リンク】
※No.1「製品安全行政の概要と今般の動向」については資料の配付及び動画の公開はございません。
■No.2_製品事故の最新動向(30分)
https://youtu.be/EJVaEwSdYG4?si=BeKHm0EQTCi9Wauv
■No.3-1_事故原因調査手法について(電気)(30分)
https://youtu.be/km9Bctu9Miw?si=q0jL1j1Ze_8EIK6B
■No.3-2_事故原因調査手法について(機械)(30分)
https://youtu.be/ESprCrce7vs?si=8aRRJXVAZRdmfWQc
■No.3-3_事故原因調査手法について(化学)(30分)
https://youtu.be/IoEBcVvDWuY?si=iUFxMq3pUxd0Khkz
■No.4_プラスあんしん制度のリスクアセスメント(30分)
※動画の説明欄に関連動画もございます。
https://youtu.be/Szy6DcGRUds?si=6UA5y-Cj60jJ9rEL
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◆◆◇ 製品安全4法一部改正に関する解説動画作成及び英語版サイトの更新 ◇◆◆
経済産業省では、令和7年12月に施行される「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律」の概要や、主な改正内容についての解説動画や、英語サイト(海外事業者向け)をこの度、整備いたしました。海外からオンラインモール等を通じて日本国内の消費者に製品を販売する事業者や、子供向け製品の製造・輸入・販売事業者におかれては、ぜひご覧ください。
以下リンク先に日本語版と英語版の紹介サイトを掲載しております。
【日本語版】
・(ベース)製安4法の解説動画(3分半)
https://www.youtube.com/watch?v=GuLbROueXFk
・改正法の概要動画(4分)
https://www.youtube.com/watch?v=6RRda5ZYpUI
【英語版】
1.解説動画
・(ベース)製安4法の解説(3分44秒)
https://www.youtube.com/watch?v=ltcJWVvVays
・改正法の概要動画(3分半)
https://www.youtube.com/watch?v=HatWmLQ2X7Y&t=209s
2.製品安全4法に関する解説ページ(更新版:各法の事業者向けガイド等)
https://www.meti.go.jp/english/policy/economy/consumer/product_safety/index.html
ぜひご覧ください。
IoTやAI、そしてグローバルな社会課題の拡大により、製品を取り巻く環境はこれまでになく複雑化しています。製品の設計・製造から使用・廃棄に至るまで、リスクの捉え方や安全確保の手法も大きく見直しが求められています。
こうした背景を踏まえ、本フォーラムでは、複雑化する技術・社会環境に対応した製品安全の考え方を再構築し、実効性の高いリスクマネジメントや、変化に即した安全確保の最新動向について、各分野の第一線で活躍される講師陣をお招きし、ご講演いただきます。
【開催日】2026年 2月20日(金)
【会 場】大阪コロナホテル 大会議室200AB
ハイブリッド形式(会場とZoomオンライン併用)
【参加費】会員 5,500円 非会員 7,700円
【内 容】
[基調講演] 失敗学の視点から製品安全を考える
東京大学 名誉教授 中尾 政之 氏
[講演2] 製品安全分野のリスクアセスメント
独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 次長
(情報解析企画課 課長) 酒井 健一 氏
[講演3] 車載バッテリーの安全試験における規格動向と新試験所の特徴
エスペック株式会社 テストコンサルティング本部 試験部
あいちバッテリー安全認証センター 所長 梶原 隆志 氏
[講演4] 欧州デジタル製品安全の規制と標準化動向
三菱電機株式会社 神余 浩夫 氏
【詳細】 https://www.kec.jp/img/committee/2025/psf25.pdf
【申込先】 https://www.kec.jp/seminar/psf25/
問合せ先: 一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
専門委員会推進部 事務局 西川 哲弘
TEL:0774-29-9041 E-mail:publication01@kec.jp
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「NITE SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6 万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
「NITE SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。
【NITE SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆
消費者庁
12/05 38件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_251205_01.pdf
12/02 21件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_251202_01.pdf
11/28 25件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_251128_01.pdf
11/26 15件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_251126_01.pdf
11/21 30件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_251121_01.pdf
◆◆◇ NITE公式Xアカウントのご案内 ◇◆◆
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編集後記
(編)も子育て時代のマイカーがワンボックス車で、アルミ製の踏み台は洗車やボディカバー掛けには必需品でした。今は子育ても卒業し、背の低い車に乗り換えて踏み台は使いませんが、今のハイト系ワゴン車はボディがさらに大きいので洗車やふき取り作業は大変だろうなと思います。作業の際は安全にご注意ください。
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図







